2023-11-12

ただ温めるだけ。プロ顔負けの極上トマトソースが一瞬で完成。旨味とコク、そして瑞々しさ。

定番トマトピューレ、ラ・コッリーナのパッサータですが、最終在庫となってしまいました。輸入元でも欠品しているので現在庫終了後は来春まで入荷がないかもしれません。寒い季節はパスタだけでなくトマト煮込みやスープなどパッサータ登場の機会が多いので手に入らないとなると大変です。

他に代りのない唯一無二の裏ごしトマトだと思います。欠品すると、かなりのお問い合わせが来るんです。一度使ってしまうともう、ほかのトマトでパスタを作れなくなってしまいますからね。何と言っても煮詰めなくて良いというのも大きいです。

うちではこのパッサータを12本単位でストックしています。なぜならば、絶対に切らしてはいけない食材のひとつだから。どのくらい欠かせないかというと「このパッサータがなければトマト味を諦める」ほどの絶対的存在です。いや、本当に。大げさでなく。

そんなに?はい。そんなにです。試してみていただければわかります。

いやなに、パスタ・アル・ポモドーロ(トマトースのパスタ)を作ってみるまでもありません。スプーンでペロっと舐めてみるだけで十分です。まず、想像を超えるトマト感に驚いてしまうはず。夏はキーンと冷やしておけば、瓶から出してオリーブオイルを回しかけるだけで冷製トマトスープの出来上がりです。もう、これだけで完成した味なのです。

はじめてこのトマトピューレを味見した時は、その濃厚さに驚愕しました。なにせ、蓋を取って上下逆さまにしても中身が落ちてこない(笑)。えいっと振ってようやく個体が下りてきたのをスプーンに受けて(最近はややゆるめのロットもありますので真似しないでくださいね)口に入れた途端、あのむせるような真夏のトマトの香りが!夏休みのおばあちゃん家の畑でもぎたてを頬張った、青いトマトの風味。いや、実際には青さは皆無。もっと甘くて濃厚な味なのだけれど、その鮮烈さにおいて夏休みばあちゃんトマトをはるかに上回るものでした。長く記憶に残るほどの、ビビッドかつ深い味わい。

とにかくめっぽう旨味が強い。そして濃厚でありながら、ものすごくフレッシュで瑞々しい。

パスタソースやピザソースを作る時に、煮詰める必要は全くありません。軽く温めるだけで十分です。むしろ煮詰めてしまうと、せっかくの瑞々しさが損なわれてしまいます。久々にこのパッサータでパスタ・アル・ポモドーロを作りましたが、まあ、言葉を失いましたね。

自分で言うのもなんですが、イタリアの適当なトラットリアで食べるトマトパスタなんかより数十倍美味しい。そして本場イタリアにおいてさえ市販のトマトピューレでこのレベル、そう簡単には見つかりません。エミリア・ロマーニャ州はイタリアにおけるトマトの一大生産地で沢山優良な生産者がいるのですが、ラ・コッリーナは1975年に循環型の農業で自立を目指す若者によって設立された生協。トマトだけではなく穀物や野菜、鶏や牛などをバイオダイナミクス農法によって育て、物々交換、相互扶助で生活してゆける理想郷のようなコミューンを作ることを目的にはじめられた特異な存在です。15000平方メートルのビニールハウス、23ヘクタールの野菜畑、6ヘクタールの穀物畑、6ヘクタールのワイン用ブドウ畑…とかなりの規模でありながら、そのすべてをバイオダイナミクス農法(あの厳しいデメテル認証もクリア)で管理しているというのは、それだけで特筆に値します。イタリアはトマト王国と思われているかもしれませんが、数年前にはイタリア産として販売されている安価なトマト缶の多くが中国産のトマトを使用していることが暴露されて大問題になっていました。日本へ輸入されているものでイタリア産と書いてあっても首をかしげるほど安価なものがありますが、そういうことだったのかと妙に納得したものです。

話がそれましたね。それでは、最高のパスタ・アル・ポモドーロを作ってみましょう。

パスタを先にお湯に放り込んじゃっていいですよ。茹で上がる前にソースができてしまいますから。


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<< 基本のパスタ・アル・ポモドーロ(1人分)>>

①好みの乾麺100gをたっぷりの湯で茹ではじめる。パスタ湯の塩はお好みで。

②オリーブオイル大匙2杯を弱火で熱する。つぶしたニンニクひとかけを入れゆっくり香りを出す。

③にんにくが焦がさないよう注意しながら黄金色になったら火を止め、パッサータ100g(小ぶりのレードル約2杯分)を入れよく混ぜ、塩味を整える。パスタ湯にしっかり塩をしてあれば塩は加えなくてもよいくらいです。逆にパスタ湯にまったく塩を加えず、ソースをしっかり目の塩味に仕上げても。

④再び火にかけ、ソースが温まったらよくお湯を切ったパスタを和えて出来上がり。お好みで上質なエキストラヴァージンオリーブオイルを回しかけて。
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ちなみに画像はアリアンナ・オッキピンティの古代小麦のフジッリというパスタで、仕上げにもアリアンナのゲータという樹齢100歳畑のオイルを使用しています。ゲータはシチリア産のオイルの特徴ともいわれるトマトの香りを如実に感じられるフルーティで軽やかなオイル。フジッリのプリプリ弾力のある楽しい食感とあいまって、フォークが止まりません。

パスタソースはややたっぷり目のレシピとなっています。トマトソースがパスタに対して足りないのだけは絶対にNG。乾いた仕上がりになりこのパッサータの持ち味であるトマトの瑞々しさを楽しめません。気持ち多いかな?くらいがおすすめで、お皿に余ったらパンで拭って食べればよいのです。

パンをちぎってお皿の中を右に左にペタペタ。スカルペッターレって言ってね、Scarpeスカルペって靴ですからね。なんだかパンが靴みたいにお皿を行き来する様子、想像できますよね。きれいに拭って最後まで余すことなくいただきましょう。

Buonappetito!

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