美しい姿と抜群の使いやすさ。宮下敬史さんの桜のおしゃもじ&サーバー
美しい姿の山桜のおしゃもじ。宮下敬史さんの削り仕事の丁寧さが一番よくわかる美しく優雅な姿と使い勝手の良さから、プレゼント用にもと2本買う方もいるほどです。おしゃもじやサーバーは毎日使う身近な道具であるはずなのに、本当に気に入るものに出会うことの少ない難しいアイテムでもあります。宮下さんがミリ単位での調整を繰り返し、より使いやすく、より持ちやすく、と常に進化し続けてたどり着いたのが現在の形。
見た目も美しいこのおしゃもじ。なんといっても使いやすい。鍋肌にフィットしてお米粒を残さない絶妙なカーブと、手に吸い付いてくる持ち易い柄。薄くてご飯の返しが楽で、手彫りの跡が米粒もつきにくく作用し…と、良いところを並べたらきりがないくらい。特に炊き立てのご飯に十字に切り目を入れ、1/4ずつひっくり返す際にそのエッジの薄さがいかに重要かということに気が付きます。分厚いものでそれをやろうとすると、せっかくツヤツヤに炊き上がったお米の粒をつぶしてしまうのです。だから、おしゃもじというのは平らにできているんですね。使う前に5分ほど水につけて置くと、よりご飯がくっつきにくく快適に使えます。
おしゃもじと同様に定評があるのがこのサーバー。おしゃもじより気持ち小さめで持ちやすく、コンパクトな作りで小回りが利くためお料理の取り分けとご飯兼用で使う人も多いようです。個人的には、お米専用と決めて使うのであればおしゃもじをお勧めしますが、サーバーの掬いやすさも捨てがたいところではあります(笑)。
そして宮下さんの木のカトラリーやうつわの最大の特徴は、やすりをかけずに細部までナイフで仕上げているところ。やすりをかけてなめらかにすれば一見すべすべに思えますが、表面積を増やすことになり水が浸みやすくなってしまうのです。それが劣化を早める。よくエッジを見ると、曲線ではなく無数の直線によってラインを形づくっているのがわかります。その手数の多さに気が遠くなってしまいそうです。
今回届いているヒメフォークも、実に細かいナイフワークで金属製に劣らない心地よい差し心地に驚きます。木製のフォークには先端が丸く刺しにくいものが多いのですが、このフォークは先端まで全方位から尖らせてありストレスなく使えます。果物を食べる時などに感じるのですが、木のフォークは刺さった時に滑りにくく抜けにくいという長所もあります。一度刺してもつるんと抜けて刺しなおすなんていうわずらわしさもない。実に優秀なものですよ。金属のカチャカチャいうのが苦手な方にもいいと思います。
そして、宮下さんの木という材への思い入れと個々の材に向き合う真摯な姿をもっともストレートに感じていただけるのは、やはりお盆やプレートといった一点物の作品。こちらはもう息をのむような迫力のものばかりです。今回数点ですがそういった個性豊かな作品も追加で届けてくださいましたので、そちらもぜひ一点一点ご覧ください。
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