2022-12-27

キレッキレの切れ味。クセになるほど気持ちよいお醤油差し。

ペンギンのような立ち姿が愛らしいお醤油差し。スリムな子あり、ぽっちゃりした子ありと個性豊かです。でもみんな、口だけは達者でキレッキレですよ(笑)。岐阜県土岐市の大江憲一さんの代表作。「お醤油差しといえば大江さん!」と呼ばれるほど定評があるのです。



そのキレの良さは快感というほどで何度も試してみたくなります。江戸切子の古いお醤油差しをモデルに試行錯誤を重ね、たどりついた口先の形状。液漏れしにくくテーブルを汚しません。驚くべきはポタリポタリと一滴ずつ垂らすのもスーッと細く注ぐのも自由自在なところ。もうあの「わ、かけすぎた!」という悔しい思いをしないで済みます。テーブルにこの子がいるだけで場がなごみ、お醤油を入れ替える面倒さも忘れてしまうほどの楽しさなんです。聞くと試すとでは大違い。店頭では実際に水を入れて試して頂くこともできるのですが、皆さん「何コレ?」と驚かれます。そしてすぐ、誰かを呼ぶのです。「ちょっとコレ試してみてよ、スゴイから!」と。…そうそう、わかりますよ、その気持ち(笑)。どうしても、人に言いたくなっちゃいますよね。だからギフトに選ぶ方も多いのです。


このお醤油差しを初めて試した時、わたしたちはすぐに「これにはやっぱり梶田さんのお醤油でしょう!」とひらめいてしまいました。材料を吟味し、時間をかけて丁寧に造られた特別なお醤油を、一滴だって無駄にはしたくない…という思いもこのお醤油差しなら受け止めてくれます。以来ずっとセットで販売しています。大江さんのお醤油差しが入荷するたびに、なぜいつも梶田さんのお醤油とセットで売るのだろうと変に思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、ワタシたちはずっとそういう思いで一緒におススメしてきました。決して抱き合わせ商法などではないのです(笑)。だって、どちらも単体で十分すぎるほどの訴求力がありますからね。どちらも、その飛び抜けたクオリティーレベルに驚いていただけるものと確信しています。


大江憲一さんの作るものはどれもこれも目が覚めるほど美しく、細部まで精巧に作られています。その徹底ぶりが、梶田さんのお醤油の哲学に通じている気がするのです。「機能が美しいものは見た目も美しい」という彼の信条を裏切らない、緊張感のある佇まいはどの作品にも一貫していてワタシたちを魅了するのです。それは、ちょっとハズして遊び心満載で作ったものまで同じ。今回は、定番のお醤油差しだけでなく「いちねんのはじまり展」に相応しい、ハレ感のあるバージョンも作ってくれました。冠雪富士カラーのお醤油差し。楽しすぎです。乗っけたひさご皿まで、なんだか縁起が良さそう。

そして、今回の目玉作品はコチラ、鏡餅です。いちねんのはじまり展のDMにしたかったくらい。さすがとしかいいようのない精巧さですが食べられませんのであしからず。

大江さんはとにかく楽しそうにお仕事をする。一年で一体何個お醤油差しを作っているのか想像もつきませんが、ひたすら鎬を削っている時も「今日も今日とて」とリズミカルに仕上げてゆく。きっと、ノリの良い音楽に乗せて次々と仕上げてゆくのでしょう。ほら、鏡餅までしのいでしまった(笑)。でも、この凹凸がなかったらずいぶんと間の抜けたお餅に仕上がってしまったかもしれない。写実的に仕上げるには、鎬は必要ないはずなのに。


ハードスケジュールで追い込まれていそうな時、窯焚き、間に合うのか?というスリリングな瞬間でさえ「1号機、2号機点火!」とそのスリルを楽しんでいるかのよう。もちろんそんなところばかりを見て楽しそうと言っているわけじゃないですけどね。なんだか伝わってくるのです。大江さんの楽しそうな空気が、作品からも。作っている本人が楽しんで作っているものは、やはり使う人をワクワクさせます。どんな状況も楽しむ。あやかりたいものですね。ポジティブパワーに満ちた縁起のよい作品をお迎えして、いちねんのはじまりを彩ってみてはいかかでしょうか。

◇大江憲一さんの作品はコチラです。

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