料理する人のアイデア次第。パズルのように組合わせられるプレートたち。


これはなんとも、遊び心をくすぐられるプレートたちです。アイデアと想像力次第で無限に形遊びができる、ユニークな形とテクスチャーの磁器。ズラリと並べると現代アートのようにも何かの記号のようにも見えてくる、白石陽一さんの作品です。
2枚組み合わせると正円になる半月、長細く横に並べても、上下に合わせて6角形を作っても楽しい台形。ふたつと同じ形のない変形型は、角度が合うところを見つけて自由に組み替えられたり…。ベーシックな正円は、ケーキや取り皿にぴったりの手頃なサイズと、前菜やデザートなどをワンプレートに盛り合わせても余白がとれる大きいサイズとの2種。そして、白石さんと言えば!当店の定番殿堂入りのパスタ皿。久々に全色届きました。

それぞれの形にさらに、白、黒、グレー、薄グレーのカラーバリエーションが加わって、組み合わせは無限です。色の並び順を考えながら組み替えているだけで、どんどん想像がふくらんできます。小ぶりのフィンガーフードを種類別に盛り付けてテーブルの真ん中に寄せ集めたら、モザイクのような大皿のアペリティフに。あとはシャンパンでも用意すれば、パーティーの演出は完璧です。繊細そうに見えても磁器なので、色は浸み込みにくいし丈夫だし、電子レンジもOKと扱いも楽。あえてこれに、お浸しや香の物など和食のお惣菜を並べても素敵です。卵焼きの色も映えますよ。台形のお皿を「お刺身を盛りたい」と求めた方もいらっしゃいました。和洋中問わず、あらゆるお料理に応用できます。ありがたいのはお皿自体の形がユニークなので、真ん中に盛るだけで気の効いた演出ができるところ。ひとつひとつは普段通りの盛り付けでも、色違いだったり、形違いだったり、組み合わせられたりと「サーブした後」にも楽しめるのです。

進級、卒業や異動でのお別れ会や歓迎会など、何かと集まりの増える季節。今回はティーパーティーをイメージして、プティフールを盛り付けてみました。白がどんな色でも映えるのはわかっているとして、グレーは盛り付けてみないと皆さん想像がつかないのでは?焼き菓子のブラウンと、とても相性が良いのです。ピンクやティーグリーン、黄色など春色のパステルカラーの淡い色も、背景がモノトーンだと生き生きとヴィヴィットに映ります。

白、黒のうつわはツヤッとしていると安っぽく見えがちですが、白石さんの磁器は肌理の細かい石のようにマットな質感がどこまでも上品です。冷たいモノトーンの印象を和らげてくれる、有機的なテクスチャーがその身上。泥の流れにできるだけ手を加えず、かすかに揺れる水面のさざ波をそのまま固めたような、流動感のある表面やしずくのようにたまる縁の凹凸。これはもう、白石さんだけにしか表現できない独特の世界です。カメラのストップモーションさながら、液体の泥漿が動く一瞬を閉じ込めたかのようなエッジに、思わず息をのみます。

同業の作家さんが「羨ましい感性を持った人ですよね」と白石さんのことを話しているのを聞いたことがあります。技術的な問題ではなくセンスについて、他のひとにはない独自の世界を確立できている、そのことが羨ましいと言うのです。

確かにわたしたちも、他の誰でもない白石さんだけの質感、雰囲気自体にすっかり魅了されているのです。どんな種類の作品…食器であろうと花器であろうと、はたまたオブジェであろうと、そこにしっかりシライシイズムが投影されているからこそ、彼の表現なら何でも見てみたいという気持ちになってしまう。白石さん自身が泥の魅力にはまりこみ、面白みを感じて作っている姿を作品の中に見てしまうからなのでしょうか。「狙い」を超えた、自然な心の動き。土の動きに感じ入り、予期せぬ仕上がりに驚き、泥漿の表現の可能性に面白みを見出しながら探り続ける。その未完ともよべる途上感。それがライブ感となり、作品に動きと生命力を与えている。だから静的で端正な作品なのに、美しすぎて自分たちとは接点がないといった退屈さを感じさせないのかもしれません。

なんと挑戦的なお皿たちでしょう。これでもか、これでもかと料理する側の遊び心、想像力を刺激してきます。ぜひともリストランテのシェフやパティシェなど、プロの方々にも手に取って、存分に遊んでいただきたい。だってこんなにも楽しいパズル遊び、大人になってからはそうそう体験できないですものね。しかもそれを、テーブルの上で試せるだなんて。これは腕の見せどころですよ。

白石陽一さんのページはコチラです。


 

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