ずっとずっと探し求めていたシンプルさ。見るからに使いやすい近藤康弘さんのうつわと保存壺。

DSC_0443本当に、ずっと、ずうっと探していたのです。市販の塩壺でなかなか気に入ったカタチや質感のものが見当たらず、適当な空き瓶なんかでごまかしてきたのですが、キッチンの窓の結露のせいかガラスだとお塩が溶けてきてしまうのです。陶器に入れている粗塩は大丈夫なのに…。土ものの陶器は、適度な吸湿性があり塩などが固まるのを防いでくれます。ウチでは3種類の塩を使いわけているのですが、益子焼の甕に粗塩、小さ目の瓶ふたつに塩の花と藻塩を入れて凌いできました。ガラスなら中身が見えますが陶器の壺だと中身が見えないため、色違いで揃えられると便利です。そう、こんな風に大きさや色で使い分けられるのが理想的なのです。塩壺、塩壺、と騒いでいますがこの蓋物は特に用途を限定しているわけではありません。何を入れてもいいのですが、お味噌やお砂糖、梅干しやお漬物など調味料や保存食を入れておくのに最適な条件を全て備えています。そもそも伝統的な保存食はすべて甕や木樽など、呼吸ができる容器で熟成されていました。特に発酵食品にとっては酸素はもっとも大切な要素。酵母は酸素なしには生きられないからです。ただ、お塩などを入れた時に余分な湿度を吸ってしまわないよう、よく砂糖壺についているようなスプーン用の穴は開けずある程度の密閉力も持たせたのだそうで、本当に細部までよく考えられています。はじめは蓋に取っ手のつまみをつけた形も作っていましたが、冷蔵庫の段に入れる時に邪魔になるので平らに改良。これは狙ってはいなかったそうですが、蓋にくぼみをつけたら重ねやすくもなりました。

ここまでお台所事情に通じているから女性の作品かと思えば実は男性の手によるもの。益子の古民家を工房にして制作している近藤康弘さんです。「僕も自分で漬けた梅干しをこの壺で寝かせてみたんやけど、塩の角がとれるのが早い気がするんですわ」と近藤さん。わたしの関西弁の再現力はさておき(近藤さんは大阪生まれ)確かにそう話ていました。そう、ご自分で梅干まで漬けちゃうんです。塩が浸みてくるのをカビのようで汚いからと嫌がる人もいるんですけど、陶器市でコレを並べてたら「この壺、梅干入れたら塩吹いてくる?塩が浸みだしてくるのを探してるのよ!」と指名買いしていく梅干名人(多分)もいたくらいなんです、とも。それはぜひとも試してみたい!

塩壺とは呼ばず、ただ蓋物とだけ近藤さんは呼んでいますが、今回届いた蓋物は3サイズ、3色展開。それぞれのページを見て頂くとわかりますが、小さいサイズはお塩で80gくらいが入る大きさ。ろばの家で扱っているモノが例で恐縮ですが(笑)、塩の花の170gの袋だと半分の量が楽々入ります。こういう後がけに使うお塩はテーブルにも出せる小さなものがわたしにとっては便利。中サイズだと150gの藻塩がひと袋まるまる入ります。ウチではお結びにはこのお塩、と決めています。大きいサイズは500gの砂糖やお味噌がきっちり入る大きさです。もちろん、どんな容量の調味料をどのくらいのサイクルで詰め替えて使うかは人によって違うので、ご自分のキッチン事情に合わせて選んでいただけたらと思います。
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これはわたくしママろばの持論ですが、食べることが好きなひとは、お料理が盛り付けやすいうつわを作る。お酒が好きな人はよい酒器を作り、花を愛する人はよい花器を作る、とよく言われているのと同じです。近藤さんが作るうつわは、どれも形がシンプルで使い回しのきくものばかり。今回蓋物と一緒に届けてくださった鉢やお皿を手に取って「わ、こんなんめっちゃ使い易いやん!」(←なぜかわたしまでインチキ関西弁)と思わずニヤけてしまいました。こっくりと深い緑がかった飴釉は温かい印象で、素朴な家庭料理も優しく包み込んでくれそうな安心感。手土産にいただいた和菓子は「ごましぼり」というそうで、とっても美味しかった。ゴマの風味が後を引く軽い食べ心地のお餅で続けざまにふたつ、ペロリと食べてしまいました。「最近発掘してハマったんやけど、目立たない処にひっそりあるお店なんですわ」。きっと近藤さん、美味しいものには目がないのでしょうね~。もっともっと、沢山お話ししてみたい作家さんのひとりです。美味しいものの話ならどんなに話していても飽きないから不思議です。
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そして、近藤さんといえば!!はじめてろばの家に作品を届けていただいたのは昨年の『It’s a oval world ダエンなセカイ』。大胆な刷毛目模様がひときわ強い存在感を放っていた特大オーバル。初日に旅立ってしまい、コレは!と思ってすぐにオーダーしたのですから約1年ぶりの再会ということになります。形がごくごくオーソドックスなオーバルだからこそ、こんな個性的な模様が映えるのかも。何度も窯入れして色を重ねていったという刷毛の跡が、セピア色のグラデーションを幾重にも織りなしています。一点だけ単独で求めることが多い大皿。パスタなんかをどどんと気取らずに山盛りにして、どん!とテーブルに供したら、「わあ!」と場が華やぎそうです。
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近藤康弘さんのうつわはコチラのページです。
近藤さんとの出会いについて綴った『ダエンなセカイの住人紹介』のページはコチラです。

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