付き合い方そのものが変わります。uf-fuさんの紅茶という、新しい世界で。

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損得感情?

歳をとってくると、いろいろずる賢くなってきて計算高くなる…らしい。なにも全ての物事を損か得か勘定してから行動を決めるわけではないけれど、自分に興味のないもの、不快感を与えられそうなもの、面倒で手に負えなさそうなもの(や人?)には上手に近づかなくなるのは確かです。そういったものに関わる時間が無駄という意味で「損をした」と言えなくもないのですが、そうやってあれこれ遠ざけていた結果、せっかく享受できる可能性のあった、自分にとって有益な何かを見逃してしまうこと、そっちの方が損、大損なのではないだろうか…。と最近よく思います。

昨年の秋、東京、神田にある旧小学校を使った千代田アーツというイベントスペースの、体育館であったというだだっ広い空間でひとり、

「ああ、今までなんて損してたんだろう~~~」

と、自分の不要な先入観を嘆いていたのでした。たった一口、水出しの紅茶を味見しただけで。
フレーバーティーだなんて、はっきり言って一生用のないものだと信じていました。ごくごく一部の、せいぜいジャスミンティーくらいは興味を持てるものの、それ以外の、いわゆる後から香りづけしたお茶というものに、どうしても魅力を感じられなかったのです。紅茶と言えばストレートで飲めるダージリンかミルクティーにするアッサム、それを買い求めるために紅茶屋さんに行くと「本日の試飲です」と手渡されるバニラティーやらストロベリーティーやら、季節感満載の「さくら茶です」「マロングラッセティーです」などの攻撃にはほとほと参っていました。まだ柑橘系やさわやかなハーブ系ならまだしも、甘い香りのモノは、いつもうまくかわすか一応試すものの「ふんふん」と味わっているふりだけして丁寧にお礼を言ってコップをお返しするはめになるのが常。まあ避けて通れるものなら回避するに越したことはない、というほど接点のないものでした。

uf-fuの大西さんに「これはですね、オトンヌといって…フランス語で秋という意味なんですけれども、ダージリンベースにバニラなどのエッセンシャルオイルをベースに香りづけしたものです」と言われて逃げ腰にならなかったのは、その前に出された水出しの秋摘みダージリンでいきなりカウンターパンチをくらわされていたから。それはもう、なんというか「紅茶でこんな味わいのものがあるなんて」というレベルではなく「この世の中に、こんな飲み物が存在しているなんて!」というクラスの衝撃だったのです。水以上に瑞々しく、ワインのような余韻を持ち、見せかけの軽さとうらはらに、とても深い。あの時の感動は、本当に忘れられません。そんな紅茶を輸入している人が差し出すフレーバーティー。しかも最も避けたいバニラ系。でも、気持ちよく打ちのめしていただきました。どこまでも上品で、後味にだけふんわり余韻を残すエキゾチックな香り。あくまでも紅茶のフレーバーが前。これまで受け入れがたかったのは、バニラという香辛料そのものではなく、その質と使い方だったのか!そんなわかりきったこと…。他の多くのことで何度も「先入観はいけない」と学んできたはずが、やっぱり実際にはがんじがらめに頭でっかちになってしまっていることを痛感しました。

この日の大西さんとの出会いから、わたしたちの紅茶との付き合い方がどんどん変化していきました。食事中に楽しむお茶として、今まで選択肢になかった紅茶というカテゴリー。あろうことかフレーバーティーまで。それが今や「このお料理にはどのフレーバーが合うかな?」と考える楽しさまで加わって…。ワインを選ぶように、その人の好みや場のシチュエーションを考えて、ホームパーティーに呼ばれて何種類かの水出しティーを持って行ってみんなを驚かせたり…。単なる水分としてでない、食事中に楽しむお茶という新しい世界。

こんなにも広がってゆく無限の楽しみを、自分から遠ざけてきたんだ。
大西さんに合って紅茶の話を聞くたびに、いつも何か新しい発見がありました。それを家で実践してみると、たちまち楽しみがひとつ増える。そういう小さな変化の積み重ねが、それを楽しく受け入れることが、人生のクオリティーを少しずつ底上げしてくれるのではないか、そう思えてなりません。

「香りは、ダイレクトに人の感情にうったえかけます。脳を経由しないんです。」

大西さん自身、ちょっと気持ちがざわついて落ち着かない時、ぱっとローズの香りを嗅いでふうと一安心したり…そんな話をうかがってから、家でアンバー(ローズの香りの紅茶)をベッドに入る前に一杯試してみた夜のしんみりした気持ち。お砂糖を入れなくても飲めるレモンティーがあるんだ!というシンプルな驚き。…数え上げたらきりがありません。

今日は、その大西さんがろばの家にやってきます。
「ただただ、紅茶をもっと身近に感じてもらえたらいいな、という気持ちだけなんです。」といつも話している大西さん。今日のこの場が、みなさんの毎日を少しだけでも豊かなものに変えてくれますように。

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