加地学さんとも繋がっていました。世界に広げよう、お豆料理の輪!

先週の金曜日、ろばの家に北海道留寿都村に窯を構える加地学さんが来てくださいました。大きなハイエースにたっくさんの作品を積んで。岡山で1000点越えと謳われた大展示を終えたばかりで、そこから友人宅などに寄りながら北上し「明日フェリーで八戸から苫小牧へ帰る」という日につくばに立ち寄ってくださったのです。前回は短い滞在でゆっくりお話しできなかったので、今回はぜひ一緒に飲みましょうとお誘いしてありました。携帯を持たない加地さんへは、一度約束をしたらそれを頼りにひたすら信じて待つことしかできません。約束は忘れていないよと確約するかのように数日前加地さんからどかん!としゃぶしゃぶ用のラム肉が送られてきました。では、としゃぶしゃぶの用意をし、あとはサラダや和え物など覚えたての豆料理でおもてなしすることに。白花豆のハーブマリネ、青大豆とこごみの梅おかか和え、鞍掛豆とキュウリの純胡椒入り浅漬け、紫花豆とさくら豆&きのこのアヒージョ、文旦と春菊のサラダ…。青大豆入りスンドゥブ風スープと大福豆のアイリッシュシチューは、美由紀さんのレシピ本で覚えたレパートリーです。そして他のメニューもこの本からヒントを得てアレンジしたもの。何度か作って評判のよかったものばかり出したので、一緒に加地さんを囲んだ皆さんにもとっても好評でした。美由紀さんに「なんと、加地さん来ろばです!レストランを予約して…っていう雰囲気でもないので、青大豆のスンドゥブとアイリッシュシチューでおもてなしする予定です。」と書くと「いいな~加地さん!自分のレシピでもてなされるという経験がないから羨ましい…」とメッセージが帰ってきました。そう、実は美由紀さん、もう何年も前から加地さんのうつわを使っていらっしゃったのです。加地さんの工房にも行ったことありますよ、とも。そっちの方が羨ましい!皆さんぜひ一度美由紀さんのインスタのページを覗いてみてください。本当に毎日地豆の美しいお料理がアップされています。「俺もこの本すぐ買いましたよ。いっつも美味しそうなお料理ばっかり載せててね、あ、美味しそうじゃないよね。絶対美味しいんだよな」と、持参の北海道限定サッポロビールをぐびりと飲み干しお豆料理をつまむ加地さん。「俺の工房に最初は取材で来たんだよ。カメラマンさんと一緒にね。JAの季刊誌かなにかだったはずだけどね。そこでうつわも買ってくれて、それから個展にも毎回来てくれるようになったんだ」…ああ、そうだったのか。きっと美由紀さんも、加地さんのうつわから溢れだす生のパワーに魅せられたひとの一人なんだろうなあ。その場にいる誰もを引きこんでしまう加地さんのパワーに直に触れてしまうと、その圧倒されるほどの生命力に納得せざるを得なくなります。ああ、この人がこうだからこんなうつわたちが生まれるのだ、と。


その力は、野生の草花や野生動物、手つかずの自然の有様を想像させます。生命力の強い、在来種の作物も同じ。品種改良された品種はツルを長く伸ばさない、枝が太いなどの栽培の容易さや、大きさや収穫の時期が揃うなど出荷時の便利さ、全て人間側の都合で交配されてきたいわば人工的な品種。かたや代々農家が自家消費用に種を取り継ぎ、不便でも一律じゃなくても「美味しいから」というただそれだけの理由で栽培されてきた品種です。そして長い年月をかけてその土地の風土に合った性質を備えているものです。べにや長谷川商店さんから届いた新豆の情報に「昨年北海道は大変に難しい気候でじゃがいも、お豆などの農作物は多大な被害を受けました。けれども在来種のお豆に関してはそこまでの影響を受けずにすみ、これも地豆の底力と感心させられました」というような内容の一文があったのを覚えています。マネージメントは大変だけれど、本来備えられた生き抜く力、子孫を残そうとする生命力については圧倒的な違いを見せるのです。もともとお豆料理が好きで、よく調理していたものの地豆というものの存在すら知らなかったという美由紀さん。十数年前新聞で長谷川清美(べにや長谷川商店代表)さんの記事を読み、すぐに電話して10種類くらいの地豆を取り寄せたのがすべてのスタートだったそう。30kg(なかなかな量ですよね)ほど届いた地豆を消費するためせっせと世界各国のレシピを試してはブログにアップするうち、とある編集者の目にとまって『地豆の料理』出版へと繋がったのだと後でうかがいました。
 
ワタシにとっては、まさにその本との出会いがお豆に関わるすべて、引いては3月の『豆まめしく』の出発点でした。実は全くの偶然から、つくば市の図書館で豆レシピを探していて発見しました。ご試食をお出しするためお豆料理のレパートリーを広げたかったのです。まず写真の美しさに目を奪われて手に取ったのですが、中のレシピがどれもこれもとびきりおいしそうなお料理ばかり。それなのにほとんどのお料理が、3ステップ程度の短い文章で説明されていて手軽に作れそうなものばかり。早速借りてきていろいろ作ってみましたが、眼からウロコの簡単さ。ろばのウチの食卓には毎日新しいお豆料理が次々に登場しました。先にも書きましたが、この1ヶ月で最低でも60種類以上のお豆料理に挑戦したと思います。今ではワタシもちょっとした豆マニア気取りです。作り置きできて冷凍もきくお豆は、いっぺんに沢山茹でておけば次に何かつくるときに素早くボリュームのあるお豆料理が展開できます。今はもうただひたすらお豆料理の楽しさを人に教えたくて、何かあると「じゃあ豆でも煮るか」と家にあるお豆を戻してしまうほどです。それで加地さんがいらした時にも「これはマメパだ!」となったのでした。その宴には、笠間の陶芸家・Keicondoさんも、船串篤司さんも同席していました。ろばの家に加地さんを紹介して下さったのは船串さんなのです。

船串さんが北海道で加地さんの作品に触れてガーンと殴られたようなショックを受け「絶対ろばさんにも会ってみて欲しい」と加地さんを紹介してくださらなかったら、今この場に加地さんの作品が並んでいることもなかった。はじけるような生命のエネルギーを振りまいているこの素晴らしい作品たちに、いつ出会えていたかわからないのです。もしワタシが図書館で偶然美由紀さんの本に出会っていなかったら…。もしも美由紀さんが、長谷川清美さんの記事を目にしていなかったら…。美由紀さんが仕事で取材に行った先が、加地さんのいる留寿都村でなかったら…。北海道という共通点もありますが、人と人との繋がりの妙に、その幸運に、感謝してしまうよりほかありません。まるであちこちにバラバラに仕掛けられていた運命のピースが、少しずつ何かの形を表してゆくようなそんなワクワク感を感じてしまう。地豆が、わたしたちを繋いでくれたのです。そして、美由紀さんの本を手にろばの家のドアをくぐり「このレシピに載っているお料理をつくりたいんですけどどのお豆がいいですか?」と戻ってきてくださるお客さま、これまでお豆料理なんてまったく手をつけたことのなかったような若いひとや男性まで、日常的にお豆を購入してくれるようになった場面を目にするにつれ、その”お豆の輪”の底力に感心してしまうのです。もっともっとお豆料理を楽しみたい。お豆料理の楽しさを伝えたい。そしてさらに、地豆というお豆の中でも絶滅の危機にある在来種を絶やしてはいけないというメッセージを発信してゆきたい。この気持ちはきっと、10数年前地豆の存在に気が付いてその多様さと美しさ、味わいの豊かさに魅入られた美由紀さんがあれこれお料理を試してゆくうちに感じていた気持ちと全く同じなのではないでしょうか?にわかお豆フリークのワタシにも、まだまだ出来ることがある、そう実感しています。徹底的に『豆まめしく』過ごした1カ月。お豆料理の1000本ノック(加地さんに100本ノックと言ったら「それは1000本ノックって言うんだよ。100本なら簡単だろ?」とツッこまれました。確かに!)はこれからも続けてゆこうと思います。

お豆料理は美味しい、簡単、ヘルシー。もっとお豆を食べましょう!世界に広げよう、お豆料理の輪!

豆まめしくにご参加いただいた作家さんから、常設用にも作品を分けていただきました。『豆まめしく』会期中見逃してしまった方、気になっていたけれど会期が終了して諦めていた方、ぜひ再度チェックしてみてください。ご参加の方のうつわは次のページでご覧になれます。また、すっかり会期後となってしまいましたが下記の皆さん、Cayaさんも含めて皆さんの”お豆観”がうかがえるアンケートも本HPでご紹介しましたのでぜひ合わせてお読みください。 ああ、やっとひと区切りついた、かな。お豆料理はやめないけどね。もっともっと、さらにずっと豆まめしく!

近藤康弘さん / 白石陽一さん / 関口憲孝さん / 高田谷将宏さん / 壷田亜矢さん / 壷田和宏さん  

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