知らなかった種類の心地よさを発見できる、新たな接点。

おやつの時間からは少しズレますが、”接点”についてお話してみたくなりました。

そう、接点。どことどこが触れるか、という点。違う角度で接しても感じられないものが、ちゃんと角度が合えばピッタリ、すんなり、これまで入り込めなかった世界に入れたりする。

渡辺さんのうつわは、カップでもお皿でも、とにかく目立ちます。偶然飛び込んで来たような方が、初めて渡辺さんの作品を見て取る態度はだいたい「何これすごいキレイ!」と一瞬で惚れ込んで見入ってしまうか、「わ、オシャレ~」「薄~~~い!」と言って後ずさるかのどちらか(笑)。いずれにせよ、これまで出会ったことがなかったタイプのうつわだったのでしょうね。そして後者の人にとっては特に、日常感が感じられないのかもしれませんね。



テーブルにこんな風にディスプレイされていたら、余計に縁遠くなっちゃいますよね。こんなシーンが自分の部屋の展開されるところなんて、想像がつかないわけです。自分の暮らしとの接点が見い出せない。まあ、当たり前ですよね。ホテルのロビーじゃあるまいし。作品として美しいので、ついオブジェ風にも並べてみたくなってしまうだけなのですが。

もちろん、渡辺さんのファンの方々やうつわ好きの方は、はじめから興味を持って手に取ってくれるので、全く別の見方をします。そういう人はすでに接点がある状態なのです。
*お皿は野口悦士さんの作品です。

今回の『おやつの時間』の会期中、パパろばが途中から渡辺さんのカップでお茶やSabadiのジンジャーレモネードの試飲を出すようになりました。この、石ころみたいなカップです。何度かこのHPの記事でもご紹介してきた”なんだかわからないけどいい感じ”の、薄くて軽くて、ちょっと歪んだカップ。

ところがそれから面白いほど、渡辺さんのカップを購入してゆく方が増えたのです。はじめ、後ずさりしていたような人でさえも(笑)。

手渡された時のハッとするほどの軽さや、口に触れる時の石のような自然な触感といった、予期せぬ感覚が軽い衝撃だったということはあると思います。サラリとした触り心地の良さを実際に手で確かめられたのも良かったのでしょう。

しかもその人たちは、うつわを探しに来てあれこれ比較検討して選んだ、という感じではありませんでした。むしろあまりうつわに興味などなかった人でも、あれれ?という感じで「なんだかこれ、気持ちいい」と惚れ込んでしまうケースが多かったのです。

きっとこれが、接点が持てたということなのです。その場に居合わせることが出来て嬉しく思いました。見た目がオシャレだからひとつ買ってみようか、という接点よりずっと建設的ですし(笑)。

オブジェのように絵になりすぎるがために、自分の暮らしに取り入れることが想像しにくいという人も出てきてしまう渡辺さんの作品。こんな風に棚に並んでいるのを見て、「キレイだな」とは思えても使ってみようとまでは思わないのです。

でもそれは、たまたま接点がなかっただけなのだ、と今回よくわかりました。石ころのようなカップを”実際に使う”という選択肢がなかっただけ。

いったん接点さえ持ってしまえば、渡辺さんが作り出すうつわの心地よさ、理屈抜きに癒されてしまう不思議な魅力をすんなり受け入れることができる。そしてどんどん引きこまれてしまう。

そうなると、カップの裏側の本物の石のように見える模様も、ますます気に入ってしまう要素のひとつになる。砂浜で貝殻や石を拾う無垢な気持ちを思い出させてくれた、と初めて渡辺さんの作品に出会った時に書いた記事は、その点ばかり強調しすぎてしまったかもしれません。でも、渡辺さんの作品の一番の魅力は何より、使い心地(使い勝手ではなく)の良さだと思います。

ワタシたちはもうすっかりこの心地よさ、気を張らなくてよい楽ちんさのとりこで、お茶だけでなく家ではワインやお酒をチビチビ飲んだりするのにも愛用しています。

 

これまで接点を持てずにいた、という方はまずはじめにカップを手にしてみるといいかもしれません。使えば使うほど、独特のゆるさが手放せなくなりますよ。

きっと、これまであまり毎日使ううつわに求めずにいた種類の心地よさや感覚を発見できると思います。そうなればもう、もっと色々使ってみたくなるはずです。『おやつの時間』の本編の記事も見てみてください。こちらの記事はいわば裏、番外編なのです。

本編の記事では渡辺さんのお皿ほどお菓子という存在に合致するものはない、というくらい”お菓子”とか”スナック”といった軽やかなものが似合ってしまう様子をご紹介しています。ちょっと華やかすぎて、ここで書いていることと矛盾してしまうようですが、使い方、見方次第というのもまた面白いものです。

◎渡辺隆之さんの作品はコチラでご覧いただけます。

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