こんなツールスタンドを、ずっと探し続けていたのです。


香川県高松市の境さんご夫妻の工房に家族でお邪魔したときに見つけたツールスタンド。「こ、こんなツールスタンドをずっと探していたんです!」と声をあげてしまいました。適度な高さがあって、口は広めだけれど同時にツールがバラバラにならない程度にすぼまっていて、長いものを入れても倒れないだけの安定感があって…。まさに理想のフォルム。その場ですぐにあるだけ分けて頂けるようお願いしました。だって本当に、ここまで自分が思い描いていた通りのものが、目の前に現実の姿で存在しているなんて信じられない気がしました。

知子さんも道一さんも、焼締めと粉引と両方、また取っ手のあるピッチャータイプのもの、サイズ違いなど色々なツールスタンドを作っています。大きなものはコンロ近くで菜箸やお玉、フライ返しなどに。小さなものは食卓や食器棚でお箸やフォークスプーン立てとして。陶器だから火の近くで使っても安全で、焼き締めも粉引も適度な通気性があるので竹のツールなどもカビにくく、何より、横から見た時の立ち姿が美しい。ひとつのツールを持ち上げるとほかのツールまで引っかかって上がってきちゃったりすることもないし、広がってバラバラになった菜箸もすぐにペアを見つけられるほど口がゆったりしています。ろばのウチでは知子さんの焼き締めの大きなものに調理ツールをガシガシ投げ入れていますが、縁が丈夫で欠けにいので気兼ねなく使えます。これ以上完璧なツールスタンドがあったら教えて欲しいと豪語するほど惚れ込んでいて、つい皆さんに自慢してしまうのです。

ツールスタンドも、塩壺などと同じようにコレ!と一発で気に入るほどのものがどこにもないから、割り切って空き瓶だとかマスタードが入っている大きな陶器のポットとか、そういったもので代用している場合が多い。ウチも例にもれず、赤い蝋封がついていたフランス製のマスタードポットと、テラコッタで出来た筒状のワインクーラーなどで間に合わせていましたが、そういう間に合わせ的なものほど壊れたりしないもので、随分長いこと間に合わせでしのいできたことになります。その間に、キッチン用品が並ぶところでは一応必ずは「いいスタンドないかな?」「塩壺ってもっとシンプルなのないのかな?」と覗いてみるのが習慣となっていました。そして探してみてくださればすぐわかるのですが、本当にさりげないデザインのものって見つからないんです。余計な模様がついていたり、形状が不便そうだったり。焼しめは同じ粘土を使って同じ窯で焼いてもできる色合いはこんなにも違います。使えば使うほど色合いが変わってゆく焼き締めや粉引。コンロの近くで使っていれば余計に風合いが変わってくるのも早い。その変化の過程も楽しんでいただけたらと思います。


境さん家のツールスタンドは、きっとこれからもずっとツールスタンドの定番、決定版、という存在でいてくれる気がします。だって決定版といったって正解があるわけじゃない。お二人それぞれの個性があり、さらに焼き締め、粉引きという違いもあり。そしてさらに同じ焼き締めの中でも色や模様のバリエーションがあって…。定番だからといってどれを選んでも同じ、とはならないあたりもまた、楽しいのです。自分にとっての定番。他人からの受け売りではなく、自分でそれを選びとったと実感できることが定番として理想的な条件なのではないかと、ちょっと逆説的なことを思うのです。

境知子さんのページはコチラ、境道一さんのページはコチラ

(展示中の境さん家のツールスタンド。右が知子さんのツールスタンド。左が道一さんのお箸立て)

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