リゾットの一番簡単な作り方。土鍋で炊けばさらにふんわり。

明日はクリスマスイブですね。メインディッシュはチキンを用意したけれど主食を何にすればよいか困ってしまう、というケース結構ありませんか?パエリアなんかもいいけれど、結構手間も時間もかかる上チキンがホールだったりするとそれほどボリュームのある主食を食べられません。普段夕食にパンを食べることがない人が突然バケットを買っても、なんとなくいつ何と食べてよいのかわからなかったり…。そんな時おすすめなのがリゾット!早い、簡単、軽い!!というイタリアのリゾット専門点のレシピをご紹介しますので、ぜひ試してみてください。本当に、ワタシもこのレシピにしてから失敗知らず。誰でもすぐに美味しいリゾットが作れますよ。材料はお米と具材(今なら牡蠣がおすすめ。ほかにアサリ、ムール貝、クレソン、乾燥ポルチーニ、トレビス、ドライトマト、生ハム(プロシュットやスペックなど)やベーコン、グリーンピースやソラマメなどお豆も美味しいです)とお出汁(水でも構いません)だけ。何にも具材がない素リゾットだってお出汁となるブロードがあれば美味しくできます。砂抜きしたり、ドライを水で戻したりという具材の下処理さえしておけば、調理時間は20分以下というのもありがたい。お米を浸水しておかないので、炊飯より早いくらいです。

リゾットの作り方にもいろいろあって、地方によっても作る人によっても様々です。リゾットはお米が作られるロンバルディア州やヴェネト州、ピエモンテ州など北の地方でよく食べられお料理で、稲作に適さない南の地方では伝統料理のレシピに登場しません。有名なところではサフランとバターをたっぷり使ったリゾット・アッラ・ミラネーゼやアマローネという赤ワインで作るリゾット・アル・アマローネがありますが、どちらも作るシェフによって「これが理想のミラネーゼ」「いやいやこれこそ本家本元アマローネのリゾットだ!」というべきレシピが違い、正解はない状態です。まあ、そういうものですよね、お料理って。あ、そういえば!面白い場面に遭遇したことがあります。ワインの銘醸地にはだいたいその土地の名産ワインの名前がついた、例えばリゾット・アル・バローロなどのような名物リゾットが存在するのですが、ワインをお好きな方はブショネ(イタリア語だとサ・ディ・タッポ)という用語をご存知かと思います。これはワインの欠陥とされている香りで、とある状態のコルクを使用したボトルに発生するものでワインそのものの品質に問題があるわけではないのですが、レストラン側からするとちょっと困った欠陥品なのです。お客さまに「これブショネだから交換してください」と言われてそれがブショネだと思われる場合には断るわけにはいきません。ソムリエであれば、むしろそんな状態のワインを提供したことを謝罪してしかるべきシーンです。ワインは無駄になるし、新しくボトルを開けなければいけないし…高価で希少なワインであればますますトホホ状態です。だからでしょうか?ブショネのワインをお料理に使うレストランが結構あるのです。ブショネはそれを摂取したからといって健康被害が起きるようなものではないので食べても問題ないのですが、ブショネの程度によってはお料理から明らかにコルクの異臭がただようことがあるのです。これは痛い。一度ヴェネトのアマローネ生産で有名なヴァルポリチェッラという小さな村で、ここに来たらそれを食うべし的雰囲気でリゾット・アル・アマローネを注文したら…出てきた出てきた、赤紫色のブショネリゾットが!!これには本当にびっくりしました。そしてその時はコルクの香りがまたかなり強烈で、一度そうと認識してしまうととても不快で飲み下せないほどひどいものだったのです。思わずリゾットを「ブショネだから変えてくれ」と言いたくなりましたが、確かワイン生産者に連れて行ってもらったか何かでホストに遠慮をして言い出せませんでした。いくらもったいないからって、あんなにたっぷり使ったら、ねえ。あの時にブショネは加熱しても飛ばない、ということを学びました。

…とまあ、例によってまた大きく本題からそれてしまいましたね。リゾット、そうリゾットのレシピのお話でした。今日ここでご紹介するのは、ヴェネト州のイゾレ・デッラ・スカーラという一大お米生産地の中心にあるお米屋さん直営レストラン、フェロンというお店のシェフに教えてもらったレシピです。他に何にもない、広大に続く水田の中にポツリと建っているのですぐわかる場所にあります。実はワタクシママろばが直接聞いたわけではなく「フェロンのガブリエレシェフ直伝のリゾットだよ」と言って作ってくれた人から何度も詳しくやり方を教えてもらっただけなのですが。お店にはワタシも何度か行ったことがあります。グルッポ・ヴィーニ・ヴェーリという自然派ワインのグループが主催するワインフェアがその町で行われるので、その帰りに寄っていたのです。『Antica e Rinomata Riseria Ferron』というそのレストランは、リゾット専門店。当然自社ブランドFerronという名前のナノ ヴィアローネという小粒の最高品種のお米を使用しています。1650年創業というから相当歴史のあるおこめ屋さんですね。それまでは、日本でイタリアンのシェフなどがフライパンを大きく回しながらアツアツのブロードを少しずつ加える、マンテカーレ(言葉自体は捏ね回す、の意)と料理人が表現するやり方でリゾットを作るところしか見てこなかったワタシにとっては衝撃的な作り方でした。だって、どこからどこまでも日本の炊飯と同じやり方に思えたからです。唯一の違いはお米を研がないところ、でしょうか。なんだ、リゾットってこんなに簡単なんだ!そうわかってからはとても気軽にリゾットを作れるようになりました。お米はそうっと扱わないと壊れてしまう。だからガシガシ混ぜたりしない。「沸騰したら一度鍋肌から離すのに優しくかき混ぜて、あとは一度蓋をしたら火が通るまで蓋をとらない」というポイントもお鍋でお米を炊くときと全く一緒です。そうして、ワタシが食べさせてもらったそのガブリエレシェフ直伝レシピのリゾットは、これまで食べたどんなリゾットより軽く、ふんわりしていました。チーズだってしっかりと使っているのに、重たさが全くないのです。リゾットってどうもお腹にたまってあまり量が食べられない、という印象があったのにいくらでもおかわりできそうでした。

先日イタリアから沢山ワインの生産者が来日した際に、ロンバルディア州のアール・ペ・ペという造り手にドライポルチーニ茸をいただきました。上の写真はそのポルチーニとその戻し汁を使ったリゾットです。こんな乾燥ポルチーニは初めて!というほど上品で香り高いキノコでした。リゾットに使うお出汁は、わざわざ鶏ガラやお魚で時間をかけてブロードやフュメを用意しなくても大丈夫です。もちろん、美味しいお出汁があれば何も具材がなくても美味しいリゾットができるので、たまたまあるならば使うべきですが、お鍋の残り湯や鶏ささみを湯がいたあとのお湯、お豆の戻し汁などでも十分美味しく作ることが出来ます。なぜなら、白飯だって十分美味しいからです。寄せ鍋をした翌日なんてチャンスですよ。お鍋のシメに雑炊を作る時ご飯がひたひたになるように余分な水を捨てますよね。それをとっておけばよいのです。今なら牡蠣がおすすめです。牡蠣からいいお出汁がでるのでお水だけでも上等のリゾットができますよ。

レシピは今手に入りやすい牡蠣でご紹介しますが、さまざまな具材でアレンジ可能です。ではでは、Risotto al Ferron フェロン風のリゾットの作り方へと移りましょう。ああ、我ながら前置き長かったあ~。いつもお付き合いありがとうございます!


牡蠣のリゾット(2人前)

お米(あまりモチモチが売りの品種じゃない方がつくり易いです) 1合
水か野菜のブロード 380cc (お米の約倍量) *具材を炒め始めたら火にかけておきます。
洗った牡蠣 小ぶりのものなら10粒~12粒くらい *洗って冷凍したものがあれば、出汁が出易くリゾットに最適です。
玉ねぎ 半分をお米粒大程度にみじん切りしたもの *ここでだいたいお米と大きさをそろえておくと口当たりのよいリゾットができます。
白ワイン 少々(なければ水で代用)
エキストラ・ヴェルジネ オリーブオイル 大匙2(お米、具材それぞれに大匙1杯ずつ使います)
おろしたグラナ・パダーナチーズ(パルミジャーノでも) 20g
バター ひとかけ(10gくらい)
塩、こしょう

1、玉ねぎをオリーブオイルで炒め、少し強めに塩をします。焦がさないように優しく、透明になる程度で十分。

2、牡蠣を加え少し炒めてからすぐに白ワインを回しかけます。ジュジュッとワインが音を立てたら優しく混ぜて蓋をします。冷凍した牡蠣を使う場合は回答せずに凍ったままで加えます。

3、牡蠣に火が通ったら(縁が少しチリッとするくらい)いったん牡蠣だけ別によけます。

4、お米をあらわずに玉ねぎが残っている鍋に入れ、全体にオイルが回りお米がしっかり温まる程度に(数分です)優しく混ぜます。

5、そこに熱湯か熱したブロードを一気に加え、ひと煮立ちしたら鍋肌からお米をはがすようにそっとかき混ぜ具材とお米を均一にします。

6、蓋をして極弱火に調整し、13分~15分。火を止めてから蓋を開けて先によけた牡蠣を戻し、チーズとバターを加えて全体を下から返すようにふわりと混ぜ合わせます。ここで味をみて足りなければ塩を足します。

7、お皿によそい、胡椒(もちろんマリチャ!牡蠣には特にロッソ・スクーロ・ディアマンテがスモーキーでおすすめです)を挽いて食卓へ。お好みで一筋オリーブオイル、足りなければチーズも散らして。Buonappetito!



写真は先日作った牡蠣のリゾット。自宅なので携帯撮影です。画質はお許しを…。ベッカライさんで購入できる平飼いたまごのみたらいさんが朝清流で摘んだ、摘みたてをもってきてくれるクレソンがあったのでクレソンも入れました。その場合は牡蠣を最後に投入するときにちぎったクレソンも入れて、いったん蓋をして少しだけ蒸らすと風味が残って美味しいです。

家でもお店でもヘビロテで使用している関口憲孝さんのリム皿。スープにもシチューにも、リゾットにもパスタにも使える上、ちょっと汁気のあるおかずにも使える万能選手。昨日岩手から、3色オーダーしていたものが届きました。このお皿のようにリムが適度にあると、ワタシのように雑多にただどかんと盛り付けてもなんとなく上品にまとまるからありがたいです。リムの幅は心の余裕、という素敵なセリフを東海地方の有名ギャラリーのオーナーから聞いたといって、一宮の友人でリストランテをやっているご夫婦から聞きました。なるほど!言われてみれば確かに、リム幅が広ければ広いだけ、非日常感みたいなものが醸し出される気がします。上のポルチーニのリゾット、例えばちょっと、白石さんのこんな白磁のお皿に盛っただけでほら、おリストランテちっくな特別感が!クリスマスにぴったりのひと皿、できました~!

とまあ、お皿で遊ぶのはほどほどにしつつ、ガブリエレ・フェッロン氏が説く「これだけは押さえて欲しいリゾットのポイント」をおさらいしておきましょう。
1、お米は研がない(これはイタリアでは当たり前なので彼は言及していませんが)
2、お米が壊れて余計な粘りが流れ出ないよう、そっとやさしくかき混ぜる(炒めつけない)。
3、お出汁はアツアツの状態で、同じ温度になったお米に一気に加える。お米と液体の比率は1:2。
4、お米の過熱は極弱火。赤子ないても蓋とるな!
5、チーズとバターは最後に和えるだけで、さっくりふんわり混ぜる。

以上の点だけ押さえれば、フェロン風の軽くて優しいお味のリゾットができますよ。イタリアではもう少しトロリとした、液体状のリゾットが主流な気がしますがワタクシは断然ふんわりと、盛り付けた時だら~っとお皿に広がるようじゃなくちゃんと立っていられる質感のリゾットが好きです。お米の硬さはお好みですが、アルデンテだからといって芯に粉っぽさが残っているのはNG。日本の硬めの白飯、くらいの硬さが好みだし消化にもよいと思います。それから、お鍋はルクルーゼやストーブ、耐熱土鍋など厚手で保温力の高いモノを使うこと。土鍋はかなりふっくら仕上がります。ちなみに写真のリゾットはどちらも土鍋でつくりました。ポルチーニのリゾット、笠原良子さんの土鍋で作ったんです…お店で。そのままパパろば、ママろばのまかないとなりした(笑) 油調理もできる耐熱お鍋ならリゾットにも適しているのでもっともっと土鍋を活用してみてください。『冬は鍋』特集で、絶賛耐熱調理土鍋ご紹介中ですよ~ってさりげなく宣伝!もちろん昨日岩手から届いたばかりの関口さんのうつわも大宣伝!スープ皿は色違いでもスタッキングできるのでお好みで何枚かそろえても楽しいですよ。

#新着!関口さんの毎日使いたいうつわが届きました。
#笠原さんの耐熱調理土鍋はリゾット・パエリアもお手の物。

 

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