Part.2 ハレてケ #ハレもケも、毎日使えるたのもしいうつわ

壷田家の食器棚。ゴチャゴチャにいろいろなものが積み上げられているのに、ゴッチャゴチャには見えないんですよね。もちろん、整然としているわけではありません。でも、雑然としているなりに整っているのです。それは、部外者であるワタシたちのようなものが突然入り込んでも、すぐに使いこなせてしまうということからもわかります。逆に言えば、生活スタイルが合わない人にとっては、否論理的でチンプンカンプンの空間であるのかもしれません。「あたくしのバラのティーカップはどこ?銀の燭台はどちら?」って、そんな人は今時いないでしょうが(笑)、家族でご飯を食べる時、友人家族が遊びに来てみんなで食卓を囲むとき、ドンドンドン!と大皿や鉢にお料理を盛って、各々勝手に取り分ける、というスタイルが好きな人なら「これほど使いやすい棚はない」と思うはずです。

今回『ハレもケも』でご紹介した作品は、”ハレ”にも”ケ”にも使えるシーンを選ばないうつわ、というテーマでお二人にお願いして作っていただきました。色がない分だけ余計にそう見えるのですが、例えば亜矢さんの白磁などは本当にプレーンな形のものが多く、一見ありふれたものであるかのように見えてしまいがちです。実際には、まったくもってありふれたものではないどころか、唯一無二の個性を放っている、これぞ真骨頂!と呼びたいような壷田印のうつわばかりでした。けれどもその輝きは、きっと長い時間を一緒に過ごしてゆくうちに、深く実感できたり、時間とともに育ってゆくタイプの輝きなのだろうなあ、ということも何となく想像していました。それを、分かる人にはわかる、などど表現したくはありません。うがった言い方に聞こえないとよいのですが、ものの良さというものは、付き合ってゆくうちに時間をかけて理解していくもの、もしくは自分も一緒に成長しながら相手との関係をアジャストしつつ、確認してゆくべきものなのではないかと思うのです。

亜矢さんと和宏さん、つまり壷田家の食卓にお客として一緒に席に着くと、まずお箸が沢山放り込まれてあるツールスタンドが置かれ、八寸くらいの取り皿、飯碗ともボールともつかないお椀、などが人数分手渡されます。たくぼさんの藁の鍋敷きが置かれたところにドン!とご飯の土鍋が置かれ、イエルカさんのストーブの上に置かれた土鍋ではスープが湯気を立て、大鉢に盛られたサラダや煮物、和宏さんがストーブの煙突に吊るしておいた塩漬けの豚肉をその場でスライスして角皿に並べ…と目の前で次々に宴の用意が整ってゆきます。朝昼晩、何回かご馳走になりましたが、必ず山盛りのサラダと汁物、スープ類が用意されているのが印象的でした。

サラダやスープの取り皿は、飯碗としても使えるボールだったり、小鉢としても使えそうな大ぶりの、ボールのような汲み出しだったりと、自由です。時にはマグカップだってスープボールになります。その時のお料理に合わせて、人数に合わせて、自由に、臨機応変に。折敷、お膳というイメジの強い角皿にストーブで温めたパンが盛られたり、改まった印象の高坏でお漬物やチーズを出して下さったり。自分も家に帰ったらすぐに真似してしまいたくなる、新鮮なアイディアの宝庫なのです。土鍋でお味噌汁を提供するシーンも初めて目撃。大いに参考になりました。早速展示の最終日、ご試食をお出しするのに採用しましたが冷めにくくてとっても具合が良いのです。

お味噌汁を入れているのは、汲み出しです。ちょっと前の自分だったら「え?汲み出しにお味噌汁?だめじゃない?」なんてパパろばにダメ出ししていたかも。でも全然おかしくなんかないですよね。

これにはこれ、と決めつけずに頭を柔らかく保つこと。先入観にとらわれない事。まずは何でも、試してみる。そしてその試みがどう映るかを、ちゃんと心で受け止める事。壷田ご夫妻と一緒にいると、よく、耳にするセリフがあるのです。

「これ、美しいよね。」

特に、何かの作品を見ているわけではありません。ことさら絵画的である図とも思えません。何でもない、生活のワンシーン。食べ残されたサラダの葉っぱが、黒いボールにへばりついている、その色のコントラスト。白いリコッタチーズに鮮やかなオレンジ色のあんずジャムが乗っかっているところ。ワインの箱に印刷されていた、イタリア語のワイナリー名の書体。小さな、気づき。

「美しいねえ。」「ほんまや、美しいねえ」

そういうやりとりが、本当に、一日に何度も、お二人の間で、家族の団欒の中で、交わされているのです。

 

その事実に気が付いた時、「なんて豊かなんだろう」と、心の底から感動したのでした。

それは、お二人がモノを作る仕事に従事しているから、ただそれだけなのでしょうか。忙しい毎日を送っている人には、望めない感覚なのでしょうか?

あなたの手元にやってきた、お二人の手による作品が生み出すとある一瞬が、あなたの心を温かく、晴れやかな気持ちにしてくれますように。それが、見逃してしまうほど些細な瞬間であったとしても。

日々、小さな事の積み重ね。毎日が、ハレの日。


壷田亜矢・和宏 暮らす陶 『ハレもケも』 は店頭、Onlineともに終了いたしました。
足をお運びいただいた方、遠くからご覧いただいた方、そしてご協力いただいたすべての方に、心より感謝申し上げます。

亜矢さん、和宏さん、本当にありがとうございました~~~~!! また、高千穂行きたい~~~~~!!

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