Part.1 ハレなケ #みんなで囲める土鍋は、ハレの食卓でも主役


ホホ~~~ウ。来ました来ました、和宏さんの土鍋くんたち~!だって、こんなお姿ですよ。人の顔にしか見えないんです、ほんと。なんかちょっと、この上の子はやんちゃというか、いたずら坊主というか、ちょっと意地悪に笑っている感じがしませんか?笑う?土鍋が笑うって…と思うかもしれませんが、和宏さんの土鍋は笑ったり喋ったり、なかなかに騒々しいんです。

『ハレもケも』のDMにも”笑う土鍋”と題して、童話のような文章を添えてしまいました。

土鍋が笑っているところ、見たことある? じゃあ、喋っているのは聞いたことない?
あの有名な決めゼリフ 「はよ炊いてえな」  言わせないであげてね。

この仕上げ前の青い土鍋。釉薬がとけてお皿同士やお皿が棚板などにくっついてしまうのを防ぐため、目土と呼ばれる、丸めた無釉の土などで隙間を作ってあげるのですが、それがもう、大きく開いた口の歯にしか見えないんです。焼き物というのは焼成するとかなり縮んで大きさが変わってしまうので、蓋と本体を一緒に焼かないと後でかみ合わなくなってしまうのです。土鍋の蓋の口の部分に釉薬をぬらずにくっつかないようにするなど、他にもいろいろなやり方があるのですが、和宏さんの場合はこのように目土を等間隔に並べて、後で剥がした箇所が模様のように残るやり方で焼いています。その目跡自体が表情となり、アクセントになってくるのです。

冒頭の土鍋も、等間隔の目跡が水玉のように模様を作っています。

この土鍋は、中面もマル!と和宏さんのお墨付きですよ(笑)。

再三このHP上で、和宏さんの土鍋の使いやすさに関しては熱弁をふるってきましたが、その姿のユニークさ以上にお伝えしたいのが扱いやすさです。大きさの割りに軽い。内側にはしっかり釉薬を塗ってあり、くっつきにくい。お米などを炊いても少し水につけておくと楽に洗えます。軽さに関しては皆さん持ってみて驚かれるようで、取っ手や蓋も大ぶりだし分厚いので相当重そうだと思ってしまう様なのです。和宏さんいわく、それは伊賀の土だけで焼いていること、低い温度で焼成されていることによるもので、スポンジ状にスカスカな組成になっているのだそうです。水を含ませると水分がその空気穴に入り込み、調理した物を素早く鍋肌から剥がしてくれる役目を果たしてくれます。伝統的に直火にかける陶器に使われてきた伊賀の粘土だけで作られている、ということは亜矢さんのオーブンウエアにも、和宏さんの土鍋にも言えることで、今となっては譲れないポイントであるようです。

そうそう、そこで大切なことをお伝えしておかなければ。耐熱、直火にかけられる陶器と言うのは低い温度で焼かれているのです。土の中の成分が完全にガラス化してしまうほど高温で焼いてしまうと、直火にかけた時に割れてしまうのですね。一方土鍋は低い温度で焼かれているので、まだ素材に若干とはいえ伸縮性が残っている状態なのです。ですから、使い続けていると、底にヒビが入ってくる場合があります。それは、耐熱の特性上当たり前のことなのです。壊れてしまったわけではないのでご安心を。ヒビが入っていても水漏れしてこなければ全く問題はありません。水漏れしてくるようになったら、一度お粥を炊いていただくと、ヒビに糊が入り込み、目が埋まります。そうやってヒビが入っても使い続けていけるのが、伝統的な粘土で作った土鍋の特徴なのです。下の画像はろばのウチで昨年から使っている(あだ名がプーさん)かなり大きな土鍋ですが、底は今こんな状態です。大きくヒビが入っているように見えますが、水漏れすることもなくいつでもとびっきり美味しいスープを作ってくれます。

それにしても、思わずあだ名で呼びたくなってしまう和宏さんの土鍋。今回もまた、キョーレツに個性的な面々が揃いましたよ。この子のあだ名は「栗坊主」。中面の栗饅頭のような色合いの飴釉にツルリと円が描かれていて、ザラザラした外面とのギャップにやられます。

この子は、ちょっと優等生なお顔立ちです。冒頭のいたずらっ子にとっては、もしかすると気に喰わないところばかりなのかもしれません。心なしか目跡の跡も上品で、中までキッチリ整った端正な印象です。



こうやってご紹介してゆくど、どんどん情が移ってきますね。お次はどなたかな~。

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~~ン!ワタシハトオイクニカラキマシタ、ヨロシクネ。」

異邦人感全開なこのお鍋、和宏さんのたたき鉢、乳鉢なんかと並べておくとそこだけ異国でした(笑)。マトンで火鍋とか、タジン風に使うとか、エスニックなお料理が似合いそう…。今回の企画展で箱を開けて最初に出てきたのがこのシマシマ君でしたからね。インパクト大です。取っ手の形までモスクに見えてきました。使い込んで焼き締めのテラコッタ色に艶がでてきたりすると、より貫禄が出そうです。

そう、優等生君もそうなのですが、こういったドーム型の蓋の土鍋、実はとても便利なんですよ。キャベツ鍋のようにお野菜をギュギュっと山盛りにして作るお料理など、いつも出来上がってみるとあまりに嵩が減っていてがっかりしてしまうのですが、これならキャベツまるまる1個半以上入りそう。たっぷり、人数分より多く作って残りものでリゾットや麺類など、最後の〆のお料理まで楽しめます。

今回届いた中で、間違いなくドン的存在だったこの子も最後ご紹介してしまいますよ。身体は大きいのに、もう可愛いことかわいいこと。取っ手の丸さが、蓋のまん丸とってが、大柄な彼女を(どうしても女性に見えます)チャーミングに魅せてくれています。でも怒らせると怖そうです。蓋をガタガタ震わせて怒りそうです。普段はね、こんなにね、穏やかなのに。こーんな姿で「はいはい、お待たせ~~」とぐつぐつお鍋が出てきたら、宴の席がほわあ!と和みそうですよね。


いやいや、こうして見ると和宏さんの土鍋は小さいものから大きいものまで、ハレの日の食卓だけでなくいつだって主役です。こんなに大きいの、どこに仕舞おう?なんて愚問ですよ。出しっぱなしでいいのです。ほら、ちょっとでもご無沙汰しちゃうと言われちゃいますからね。

「はよ、炊いて~な~」ってね。

壷田和宏さん・亜矢さん暮らす陶 『ハレもケも』のOnlineページはコチラです。

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