パンのある食卓をもっともっとシアワセに。

やっとやっと、境道一さん、境知子さん、関口憲孝さんの作品を『Pane felice シアワセのパン』Onlineページに掲載いたしました。すでにご紹介している大江憲一さん、村上雄一さん、宮下敬史さんの作品も含め、11日までの限定公開となりますのでご注意くださいね。

実店舗での『Pane felice シアワセのパン』は長いGW連休の終わり、6日の休日が最終日でした。

パンのある食卓で活躍するうつわや食べ物をテーマとして展開してきたこの企画展、連日沢山の方にお越しいただき、慌ただしいながらも充実した2週間を過ごしました。そして改めて「パンってすごい!」と感心してしまいました。

「パーラー江古田さんのパン、一度食べてみたかったんです」と遠くからかけつけてくださった方、「ベッカライさんとのコラボパンってこれですか?」と毎日SNSをチェックしてくださっていた方、リボッリータにはやっぱりイタリアパンでないと…とPanezzaさんのパンを沢山買い込む方、本当に、良く皆さんこんなにご存じだなあ、何度もすごいなあ、と。パンって、かなりの訴求力を持つ食べものなんですね。

なぜこんなにもパンという食べ物が好まれるのか?腕を組んで考え込んでしまうほど、誰もが夢中になる様子を目の当たりにしました。そう、どうしてパンはこんなにも、多くのひと、幅広い年齢層に好まれるのか。子どもからお年寄りまで、まあお年寄りになると硬いパンは苦手とかいろいろ好みもあるかもしれませんが、とにかく老若男女、一億総パン好きと言っても過言でないほど、日本人はみんなパンが好き、そんな印象があります。街を歩いていて目にするパン屋さんの多さもそれを物語っています。ろばの家があるつくば市はパンの街、と行政的にもアピールしていて本当にパン屋さんが多い。国の研究機関が集中しているため外国人居住者が多い、というのもパン屋さんが古くから発展した理由のひとつ、と市が発行している案内誌で読んだことがあります。

当店の道を挟んで真向かいにあるBäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトさんには、開店前から行列ができます。県外からパンを買いに来る人も絶えません。聞くと、他に何軒もパン屋さんをはしごするのだそうで、その情熱たるやレンタサイクルで数時間の道のりをも物ともしない、やや尻込みしてしまうほどの気合です。パンという食べ物の何が、そこまで人を動かすのでしょう。それにはもちろん、沢山の理由があるのだと思います。まずもって簡単、超がつくほどファストフードです。ペリリと紙袋から出すだけで食べられる。一食それだけで済んでしまうことも多いですよね。その割にはリーズナブルであるということもきっと大きな理由です。星付きレストランを食べ歩くお金があったら、いったい何軒パン屋さんをはしごできることか!そして、驚くほどに多様なバリエーションがある。それも人気の理由だと思います。パーラー江古田の原田さんは一日にだいたい30種類のパンをお店に並べるそうですが、原田さんが修行したお店はそれが常時300種、バリエーションで言うと400種もあるそう!ひええ~~~、400種類のパン!手軽というならおむすびだって手軽ですが、おむすびで400種の具材を揃えるのは至難の業という気がします。そして、それだけ自由にバリエーションをつけられるということは、お店によって違う味、個性を出すことが可能だということですよね。だからこそ、パン屋めぐり、などという発想が生まれるのでしょう。

今回の企画展に出ていただいたパン職人さんのお店は3店ともハードパンが主軸で、いわゆるお惣菜パン、菓子パンの部類に入るモノにあまり力を入れていません。小麦と水、そして酵母と向き合っている職人さんたちです。わたくしママろばは、あんパンだって大好きだし、チョコレートデニッシュにだって目がないし、日本の菓子パン文化を否定する側ではありません。けれどもパンを食事の中でいただく時にはやはり、パンの本場、フランスのバケットやドイツのサワーパン、イタリアの田舎パンなど、出来るだけ現地の味に忠実に作られたものを好みます。ふわふわの食パンでトマト煮込みを食べたいとは思わないし、ロールパンをスープに浸すのは遠慮したい、それが本音です。意図したわけではなかったのですが、今回はPanezzaの角谷さんはイタリアで修業したままのやり方で薪窯のイタリアパンを焼くし、ベッカライの菅原さんが修行したのはドイツです。パーラー江古田の原田さんのパンは、国籍不明、いろいろな国の良いとこどりのような形ですが、むしろイタリアではお目にかかれないようなしっかりしたチャバタ、フランスでもここまで風味のあるものは少ないだろうというようなバケットなど、ふわふわパンとは真逆の立ち位置にいます。

単にパンの硬さが問題ではないので軟派、硬派、と呼び分けるといろいろと波風が立ちそうですが、まあ、あえて分類するなら硬派の部類に入る彼らのパンにも、こんなにもファンの方がいる。それは異国の食文化に敬意を払いつつ日本人の口に合うようにアレンジするのが上手な日本人の器用さが、結果として日本におけるパン文化の二極化を生み出した。高品質な原材料にこだわった本場顔負けのパンと、日本独自の多様な創作パンの二極。そうとらえて良いのだと思います。ヨーロッパの人に、日本では全国どこでも同じ銘柄、同じ味、同じ値段で売られるパンがドラッグストアでも買えるのだと教えるととても驚きます。スパゲティナポリタンが喫茶店メニューに載っているのと同時にイタリアンのリストランテではかなりマニアックなご当地パスタも食べられる。いかなる国のものであれ、異文化の外食産業すべてに当てはまる日本独自の発展の仕方なのでしょう。沢山選択肢があるという意味では健全に発展してきた証なのかなあ、とも思います。一方で、先日もSNS等で話題になっていましたが、デパートの催事場で出されたバケットが焦げすぎているとお客さまから苦情がありパンを全て引き下げた、という事件に代表されるような、文化の未成熟さを感じるのも事実です。もっともっと、Panezzaさんの薪窯で焼いた小麦と塩と水だけが原材料のイタリアパンのように、食事と合わせてこそ真価を発揮する、つまり真の意味で主食としてのパンの楽しみ方も浸透していったら素敵だなあと思わずにはいられません。

と、またまた前置きが長くなってしまいました。ママろばの日本におけるパン文化考察をご披露するのが今回の目的ではなかったのでした。ずいぶん時間を要してしまいましたが、やっとやっと遠方の方にも『Pane felice シアワセのパン』をのぞいていただく準備が整ったのため、再度シアワセな食卓シーンを再現しよう、そう思って書き始めたのでした。いうなれば、シアワセのパンの名場面集でございます。

あの、芳ばしい香り。焼きたてのパンのある食卓は、それだけでもシアワセ。そのシアワセの食卓を、さらに楽しく、ウキウキしたものにしてくれるうつわたち。しばしの間、ブーランジェリー・ドゥ・ロバアに変身していたろばの家にはお越しいただけなかった方も、その香りを少しでも感じていただけたら、ワタシたちもシアワセです。

『Pane felice シアワセのパン』Onlineページはコチラです。


トップ画像のトマトのブルスケッタが載っているお皿は境道一さんの作品。織部釉のこのグリーンは、道一さんのイメージカラーです。パンの色はもちろん、トマトや玉子などパンによく添えられる食材を鮮やかに引き立ててくれる美しい色。薪窯ならではの色調の幅広さが魅力で、上のように淡い若草色に発色するものもあれば、下のように青銅のように深い青緑色に発色する場合もある、カメレオンのように不思議な釉薬です。フラットなプレートにはチーズやサラミなど、パンのお供を盛り合わせても映えますね。

道一さんは黒も素敵です。たっぷり入るマグカップはスープにも。


お皿は境知子さん。道一さんの黒と合わせても違和感がありません。縁のしのぎがアクセントのこのお皿は白、黒色違いがあります。マットな感じが、トーストしたパンを載せても汗を吸収しカリッとクリスピーに保ってくれそう。それにしても、Panezzaさんのイタリアパンはトーストすると外側がカリッと、中はモチモチと弾力があり食感がとてもいい。焼かずに食べた時とものすごく印象が変わります。噛みしめる度に小麦の味が口いっぱいに広がります。

知子さんといえば、ポットやカップなどの茶器。たっぷり紅茶が入る優雅なポットや横から見た立ち姿が美しいマグカップたちもぜひご覧ください。


知子さんは白磁の素晴らしく美しい台皿も届けてくださいました。これが、ちょこっとバターやパテを添えたり、フルーツやサブレやマカロンなどのプティフールを盛りつけたりするとテーブルのよいアクセントになるのです。台皿は、もっともっと活用してほしい便利アイテム。一段ほかのお皿より高くなることで、パッと目を引くうえ皆が手を伸ばしやすくなりおもてなしに重宝します。

そして、ミスターニュアンスカラーといえば関口憲孝さん。今回は、スープやシチューによいお皿やヨーグルトやスープに使えるカップ類やマグを届けてくださいました。相変わらず優しいカラーが美しく、パンの地味なブラウンカラーを引き立ててくれます。下の画像は奥のうつわも関口さん。そして…これが噂のシアワセすぎる絶品パテ・ド・カンパーニュ。長崎のImpeccableアンペキャブルの大坪シェフ特製です。あの脂身の甘さ、熟成させた時のレバーのねっとり感…忘れられません。


会期中は、パンを使ったお料理もいくつかご紹介していました。夏になると必ず食べたくなるパンツァネッラは硬くなったパンを水にひたしてからトマトや玉ねぎなどと和えて冷やして食べるパンサラダ。食欲のない時、暑くて火を使いたくない時などに最高のひと皿で、画像はシチリア風にアレンジしたパンツァネッラ。生のトマトよりもトマトの旨味をフレッシュに楽しめるイザベラおばさんのペラーティと塩抜きせずに使える香り高いアリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーをオリーブオイルで和え、生のスライス玉ねぎを和えただけの簡単パンツァネッラです。関口さんのスープ皿にトマトの赤が鮮烈でした。
アリアンナのケイパーについては別の記事でレシピを載せていますjので、ぜひ参考になさってくださいね。ケイパーを入れると途端にパンに合うおかずができますよ。そしてそれはイコール、ワインにも合うお料理がすぐにできてしまうということ。パンの企画でしたが、パンの出番は朝食だけではありません。ワインを飲むときには、どうしてもお米でなくてパンが欲しくなってしまうもの。美味しいパンに良質なチーズ、身体に負担をかけない自然なワイン。まっとうに作られたオリーブオイルもかかせません。ろばの家のあるつくば市(さらに言えば天久保界隈)は、そのどれもがすぐに手に入る恵まれたロケーション。次回は『ろばの家、春のパンまつり』はやめにして、パンにワインにチーズ(…略してパンチーワイン!どうかしら?)にフォーカスした企画にしようかな。

次回の構想(妄想?)も見えてきたところで、Onlineでのご紹介は11日まで。あと4日間だけ、ろばの家春のパンまつりにお付き合いくださいね。

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