Plate for Cheese? Cheese for Plate? ご参加ありがとうございました!

5月13日に水戸のto_dining&daily good thingsさんで、20日には当店ろばの家で行ったイベント『Plate for Cheese? Cheese for Plate?』無事終了いたしました。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました! どちらの会場でも司会進行役をつとめさせていただいたママろば、初めての企画でしたがいつものごとく喋り倒し(笑)、自らとことん楽しんでしまいました。ご協力いただいたVia the Bio の綿引さん、笠間のKeicondo さん、船串篤司さん、そしてto_dining&daily good thingsの田口さんご夫妻にも心から感謝です。

当店から徒歩一分という至近距離にあるLa Mariniereラ・マリニエールさんは、Via the Bioの直営店で昨年鹿島から移転してオープンした路面店です。オーナーの綿引さんは365日身に着けているボーダーのお洋服がトレードマーク。さらにニット帽プラス丸メガネと、まるで”ウォーリーを探せ!”のウォーリーさんのような組合わせですがヨーロッパの空気感が漂うのは彼のファッションだけではありません。ショップに一歩足を踏み入れると「ここはパリのチーズ専門店?」という圧巻の品揃え。大きなウインドウには馴染みある名前のものから聞いたこともないようなチーズまで棚いっぱいに並べられています。実は今回のこの企画、ここにKeiさんと船串さんをお連れしたのがキッカケで生まれたのでした。二人の作品を以前から気に入っていた綿引さんは、お店で試食を出す時やウインドウの中で段差をつけてディスプレイするのに、プレートやコンポートを使っているのです。「チーズ屋さんで聞いて…」と二人の作品を探しに立ち寄ってくださる方も多いんですよ。

「このくらいのサイズのプレートって作ってないの?」と綿引さんがKeiさん船串さんに両手でスクエアを作って尋ねています。「お店で味見してもらう時は本当に一口ずつだから、あんまり大きすぎても間延びしちゃうんだよね」と相談を持ちかけたことから「今度そういうの作ってくださいよ」となり「いっそのことそのプレートでチーズをあれこれ楽しむ会をやっちゃおう」と話はとんとん拍子に進みました。それが確か2月も終わる頃の話ではなかったでしょうか。そこから何度か綿引さんを交えてどんなプレートにしようか話し合い、どのような形式の会にしたらチーズもプレートも両方楽しんでもらえるだろうとアイデアを出し合ったり…。決め手は綿引さんの「何かを教えるようなセミナー形式にしたくない」という発言だったと思います。綿引さんがいつも「チーズは難しく考える必要のない気軽な食べ物」と話しているように、決まったルールやマナーがあるわけではありません。食べる順番なども実は自由で、あれこれ少しずつ試して好きなモノを好きなように食べればいいのです。できるだけチーズを身近に感じてもらえるよう堅苦しくならない工夫をしよう、と方向性が決まると自然とうつわのプレゼンテーションも等身大でいいのでは?となりました。今回は新作発表という形ですが、作家さんにとって新作とはこれまで試したことのない作品。ひとつの作品が、繰返し作るいわば定番のような存在になるのには、料理を盛った時の姿や使う人の意見などを組みいれ、少しずつ細部を改良しながら反応を見るというプロセスを繰返し、時間をかけて完成形へ近づけてゆく必要があるのです。デザインのラフを書いてその通りに制作し「じゃじゃ~ん!これが理想のチーズプレートだ!」と発表するようなものではないはずです。だったら、そのプロセスをみんなでシェアしちゃえばいいんじゃない?参加型の方が楽しいよ!と話がまとまりました。試作品を実際に使ってもらって、その場で意見を聞いてしまおう!そうなれば、チーズをワインと合わせるのもお茶やハーブティーと合わせるのも「いろいろ試してもらっちゃえばいい」となるのは自然のなりゆきでした。toの田口さんも「はじめからこのチーズにはこれ、というガチガチのマリアージュにはしないつもりでした!」と同意見。どうしてこんなに話が早いと思います?ママろば、実はわかっているんですよ~。

toの田口さんも、綿引さんも、そして私たち自身も愛してやまないヴァン・ナチュール。自然派ワイン、ナチュラルワイン、などと呼ばれていますがその呼び名はどうあれ、ワインにブドウやその土地の個性をそのまま反映させるため出来る限り余計なことをしないようにと作られたワインです。畑で有機栽培や自然農法を心がけ、添加物や化学処理に頼らず作られた健全で身体に優しいワインはそれぞれに個性的で、よく作り手の人柄がにじみ出るものだとも言われます。この土地、この土壌のこの品種の特徴はこれこれで、とワイン教本に書かれている通りの特徴を備えていることはむしろまれで、ヴィンテージチャートに書いてある良い年、悪い年がそのまま該当するとも限りません。つまり、人の個性の方が土壌や品種などの属性を上回ってワインのキャラクターを決めているということなのです。だいたい、同じ年の同じワインでもボトルによって味が変わるくらいなのです。そもそもがこの地方のこのブドウで作られたワインはこういう個性、というざっくりした分け方で語れる代物ではないんですよね。お勉強のようにどこの地方のワインはこういう個性がある、ということを知識として覚えるのではなく、作っている人の個性を自分の感覚だけで感じられることがナチュラルワインの楽しさです。心地よいか、自分にフィットするか、それが指標でよいのです。そしてそういう楽しさに、Keiさんも船串さんもここ何年かですっかりハマってしまったようなのです。ワタクシママろばもこの場で何度か熱弁してきたのですが、ワインと焼き物にはとても共通する点が多い。それはおそらく土から生み出されるものを相手にしているから。人間がコントロール仕切れない自然のいたずらにある程度身を任せ、それでも日々挑戦する姿勢が無ければ続けていけない仕事だから。そして人が共感・感動できるのはモノそのものではなく、それをつくる人の姿勢・生き方でしかないはずだから…。

会の途中でも「笠間焼きってどういうものなんですか?」という質問が飛び出ていました。keiさんも船串さんも笠間で活動しているので、二人が作るのは当然笠間焼なのだろう、と考えたのかもしれません。Keiさんは笠間生まれの笠間育ち。この手の質問には慣れているのでしょう。淀みなく「笠間の土を使って、笠間で昔から使われている釉薬を使って、いかにも笠間らしい作品を作るひとはいるし、そういった焼き物を笠間焼と呼ぶのかもしれません。でも笠間には今、日本全国、海外からも本当に多くの作家が移ってきてそれぞれに個性的な作品を作っています。その土地の土を使っているひともいれば、違う土地の土で自分のやりたい表現を追求しているひともいます。最終的には、笠間で作っていれば笠間焼、ということになるのかもしれませんね。」と答えていました。同じ土、同じ釉薬を用いていても出来上がる作風は決して一言で、例えば笠間焼、といった言葉でくくれるほど似通ったものにはなりません。keiさんと船串さんの工房は徒歩50歩くらいしか離れていませんが、二人は全く違った個性のうつわを作っています。そして今回「チーズを盛るためのプレート」という同じお題に対しても全く違ったアプローチで新作に挑んでくれました。

そして、その新しい試みが現実に少しずつ形を成してゆく過程を、ワタシたちみんなで共有させていただいたのです。失敗談や、ギリギリまで制作していて当日の朝窯出ししたばかりのアツアツのうつわが直前に届くようなハプニングシーンも含めて、ふだん見ることのない作家さんの素顔や本音にも触れられたというのも魅力でした(こちらはドキドキでしたが…)。それを、とびっきり美味しく食べ疲れないチーズやワイン、香り豊かなお茶たちと一緒に味わうのです。そんな貴重な時間が楽しくないわけ、ないですよね。そりゃあママろばのお喋りだって、冴えわたっちゃいますよね?初めての企画ではありましたが、やっている本人たちはあまりに楽しくなっちゃって、もっともっと多くの人とこの瞬間を共有したいと本気で考えました。遠くにいてチーズ会に参加できなかった方。Keiさん船串さんの、新作に興味がある方。ぜひOnline会場で『Plate for Cheese? Cheese for Plate?』を楽しんでみませんか?きっとこれまで見られなかった一面を発見できると思います。チーズにも。うつわにも。主役はどっち?という意味をこめたタイトルでしたが、もちろんどちらも主役とわかっていながらあえてつけたタイトルだったのです。

現在、ろばの家店舗ではPlate for Cheese? Cheese for Plate?週間として、本企画のチーズプレートとそれ以外の二人の作品をあわせて展示しています。実店舗では27日日曜日までの期間限定展示となりますのでぜひこの機会にご覧ください。Onlineでも間もなくご覧いただけますのでどうかお楽しみに!

下の画像はすべて水戸会場の様子。Keiさん船串さん仲良く納品、にはじまりチーズを切る綿引さん、Keiさんの新作プレートに盛り付けてゆく様子、toさんのスペシャリテと呼びたいサクサクのキッシュ…etc. この日は会の途中から土砂降り。会終了後傘をささずに走り去るKeiさん船串さん。船串さんは自身の大皿を傘代わりに…。この日は自分の思惑と違った作品だと言って3枚だけプレートを持ってきた船串さん。始終「帰って仕事しなきゃ」とこわばり気味に自分に喝を入れていた様子でしたが、会が終わるとこの笑顔。ふだん工房でカメラを向けても笑ってくれないので貴重なショットかも…(笑)。皆さん、本当にありがとうございました!







記事をシェアするShare on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0Pin on Pinterest0Email this to someone

関連記事