momento poetico #4 境道一さん

道一さんと言えば、このグリーンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。なんとも言えない深い青緑。秘境とよばれる洞窟の奥の滝壺、古い銅が錆びてできる緑青、美しいけれども人工的な感じのしない色です。この色に魅かれて道一さんの作品をはじめて手にした、という方も多いのではないでしょうか。織部釉という日本の伝統的な釉薬であるのに、なんとなく異国情緒が漂う色合いで、和洋問わずどんな雰囲気のお部屋にも溶け込みそうです。

道一さんは、今回蓋つきの物入れを沢山届けてくださいました。上の画像の蓋ものは中でも一番大きなもので、焼き菓子やメレンゲ、お干菓子などを入れても素敵ですが”秘密の宝箱”として大切なものをしまう、とっておきの場所にしてもさもありなん、な佇まいです。織部釉以外の蓋物も沢山作ってくださいました。よく考えてみたら、ワタシたちがはじめて手にした道一さんの作品も、蓋物でした。やはり織部釉のものでしたが、グリーンよりも黒の色調が強く出ているもので、ツマミの装飾も含めて中近東っぽい形ととてもマッチしていました。大きさ的にぴったりで、お塩入れとしてキッチンで活躍しています。



*一番右と左から2番目の白い蓋物は奥様の知子さん作

そしてまた、道一さんといえば、土瓶や急須、ポットなどの注器。焼き締めのポットはすでに定番ともいえる形で人気の品ですが、今回ははじめて耐熱土瓶も届けてくださいました。持ち手の木の部分も自作でこれがまた握りやすいのです。

こんな土瓶で湯を沸かすところ、想像してみてください。それだけで、詩的な感じがしてきますよね。おとぎ話のようです。実はろばのウチではもう4年ほど奥様の知子さんが作った木の持ち手の耐熱土瓶を使って湯を沸かしているのですが、土モノで沸かすお湯は金属で沸かすお湯と全く味が違います。味がまろやかになるのは想像がつくと思いますが、冷めた後の水の味が如実に違うのです。わたしたちは二人とも湯冷ましをよく飲むので、その違いがよくわかるのです。湯冷ましというのは温かいうちはよいのですが、冷めると味の違いがわかりやすく、金属の鍋で沸かしたものが冷めるとかなり飲みにくい味になってしまいます。当然お茶を淹れてみると差は歴然で、土瓶で沸かしたお湯で淹れるお茶は格別柔らかな味わいに出ると思います。

焼き締めは水が腐らないからと、備前の甕が水の保存に使われていたことは以前どこかでお話ししましたが、同様に焼き締めのポットで淹れるお茶も美味しく出来上がりますよ。お茶好きな方はぜひ試してみてください。

少し面倒でも、ポットをしっかりと温め、茶葉を蒸らしながらゆっくりと開くのを待つその時間が与えてくれる心の余裕は、上質な詩を一篇読むのに匹敵するのではないでしょうか。土瓶で湯を沸かす、ポットでお茶を淹れる、買ってきたお惣菜や常備菜でも、蓋物に移し替えて食卓に出す。そのほんのワンステップで、どれほど豊かな気持ちになれることでしょう。

片口だって同じこと。今は添加物を使わない美味しいポン酢やドレッシングも簡単に手に入ります。働いていて時間がないのなら、全てを手づくりにこだわらず身体に優しい食べ物を見つけることも出来る時代です。それでも、市販のビンごとテーブルに出すのではなく、さっと移してからサラダに添えるだけで、ずいぶん印象が変わるのではないかと思います。
既製品のラベルの色彩や情報は、想像以上に邪魔なものです。食卓回りで目にうるさい薬やサプリなど細々したものを蓋物に入れて仕舞っておくだけで、ぐっと食卓がスッキリしますのでぜひ試してみてください。

一昨年の『やっぱり、ごはん党』に出ていただいた時のアンケートもそうだったのですが、道一さん穏やかでおっとりしたお人柄は、作品からも、ちょっとしたやりとりからも滲み出ていていつもほのぼのしてしまいます。やはり、というかどうしたって自然にでてしまうのでしょうけれど、今回も「ああ、道一さんらしいなあ」というお答えで、ニマニマしてしまいました。


#4  境道一さんへの質問

Q : 最近読んだ中で印象に残ってるいる本や記事、文章があれば教えてください。
A : サンワみどり基金 『野草の本 四季の野に遊ぶためのカラーガイド』
身近な草木のガイド本です。

Q : 今気になっている、読みたい本や写真集などあれば教えてください。
A : 図鑑です(草木.草花等)。

Q : 好きな作家さんのお名前をあげてください。
A : この人という作家さんはいません。本を買う時はタイトルで選ぶ事が多いです。

Q : 読書をする時は、どんなシチュエーションが多いですか?
A : 入浴中か就寝前の布団の中。

Q : 自分の人生や生き方に影響を与えたような本、文章、言葉を教えてください。 もしくは、座右の銘としている言葉、お気に入りのフレーズをあげてください。
A : 小林よしのり責任編集 『国民の遺書「泣かずにほめて下さい」靖國の言乃葉100選』


わたしは知らなかったのですが、『国民の遺書』はずいぶん話題になっていたのですね。機会があったらぜひ読んでみようと思います。道一さん、ありがとうございました。

境道一さんの作品をmomento poetico Onlineページに掲載いたしました。

この記事をシェアする
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter

関連記事