宮下敬史さんの木のうつわではじまる朝食。

黒い木のプレート、宮下敬史さんの作品(樺の丸皿)です。こんなにも美味しそうに、香ばしいパンの色が映えるなんて。

今回宮下さんは、定番の山桜のスプーン、バターナイフなどのほかいろいろな形のパン皿を黒い拭き漆仕上げで揃えてくれました。コーティングされていない木のうつわは吸湿性が高く、オーブンから出したトーストを置いても汗をかかずにカリッと焼きたての食感を保ってくれます。

パン皿にもいろいろあれど、機能の上で「理想のパン皿」と言われたら、木のうつわを挙げてしまいます。木のお皿というとどうしても無垢の木肌の色、茶色いナチュラルな色のうつわを思い浮かべますよね。素朴な木の色も素敵ですが、こんな風に黒くマットに拭きあげられたプレートは洗練されていて、とても上品な印象です。パン皿にちょうどよいサイズ感のものが5~6種類届いているので大きさの比較をOnlineショップのニュースでご紹介していますので参考にしてくださいね。形が少しずつ違うスプーンについても説明しています。

この黒いプレート、拭き漆で仕上げてあるので経年変化でゆっくりと下地の木の色が透けてきたのですが、だんだんと風格が増してきて使えば使うほど愛着がわいてきます。
これは自宅で3年ほど使っている宮下さんの拭き漆仕上げのプレート。はじめはもっと黒々としていましたがだんだん透けていい風合いに育ってきました。

このプレート、サラダやパスタ、果てはカレーにまでガッシガシ使っていますが、フォークも気にせず使えるし色移りもないので気楽なものです。油分のあるものにもどんどん使うと逆に木の素材が乾くことがなく、オイルでお手入れする必要もありません。大きな鉢など、サラダボールやパスタの盛り皿にしてお料理の上からオリーブオイルをたっぷり回しかけたって平気です。使い込めばこむほど、しっとりとよい艶がでてきます。

パン皿は黒い拭き漆で揃えてくださいましたが、大鉢や大ぶりのトレイプレートは、それぞれの木の素材の面白さを前面に出した一点もの。圧巻の表情を持つ木もあって、思わず見入ってしまいます。


これは樫の木。日本の木の中でもトップレベルの硬さと耐久性がある樫材は育て甲斐もあり、まさに一生もの。このサイズの樫はなかなか貴重だと思いますよ、と宮下さん。とくにこの一点はうっすら桃色に見える木肌やユニークな木目が面白く、宮下さんが「売れ残ったら自分で使います」というほどの惚れ込みよう。チェーンソーでの伐採から運搬、エージングまで全てにかかわった木で、思い入れもひとしおなのだそうです。

裂け目に鎹(かすがい)が打ってありますが「これ以上裂けてくることはないはずです」と宮下さん。この鎹や大きな節穴を生かした仕上げを見ると、宮下さんのこの材への愛情の深さがうかがえますよね。



上のボウルと下のリム皿は、クルミ材。なんとも言えない不思議な色合いと木目はインドのメノウ石、ババグーリと呼ばれる天然の石の模様のよう。まさに「自然の美にかなう造形はない」というヨーガンレールの言葉通り、自然のままの美しさをいかに損なわないよう造形するか、自分が惚れ込んだ材の魅力をどうしたらそのまま伝えることができるか…。

材の特徴的な部分をよくよく観察してみると、微妙にラインがカーブしていたり節を平らに均してしまわずにあえて波打たせていたり、それぞれの材が持つ個性を封じ込めてしまわないよう模索する宮下さんの思いがそのまま形に表れています。


工場で作られた木のプロダクトと違い、節穴があったり、虫食い穴が残っていたり、均せないギザギザな部分があったりと、やんちゃ坊主の集まりのような自由で破天荒な素材たち。その悪ガキたちを不良扱いせずひとりひとりに向き合い、ちゃんとよいところを引き出してあげる金八先生のような宮下さん。均一で完璧に整っていても無個性なものより、未完でも個性的な面白みに魅せられているように思えてきます。きっとこの子たちは誰かに見いだされ、使い込まれ、年月をかけて育てられることでグッと魅力を増し、大人びてゆく。そういう手つかずの武骨さが残っているものばかりです。少し、野生っぽいところがあるというか…。
今回宮下さんがいくつか届けてくださったお盆タイプのトレイプレート。縁と底面を組み合わせて作られているのではなく、一片の材からくり出して作っています。とても丈夫で壊れにくく、それこそ一生かけて育ててほしい特別な作品です。どのトレイも油がしみて育ってゆく姿が想像できます。きっともっと魅力的に成長してゆくんだろうなあ、と。トレイとしてお茶道具やうつわを載せるためにはもちろん、お皿にしてパンをそのままのせたりお料理を盛ったり、用途にとらわれない様々な使い方を楽しんでほしいと思います。

焼きたてのパンにバターやジャム、ヨーグルト、サラダでもなんでもみんな乗っけちゃって。朝、こんな風に一日を始められたらそれだけで今日という日が特別な一日になりそうな気がしませんか?

木のうつわは陶器と比べて価格も高めになってしまうので、そうそう気軽に買えるものではないということは、宮下さんに限らず多くの木工作家さんが自負するところです。

とくに今のこの日本、いえ世界の状況。こんな落ち着かない日々の中「木のうつわを新調しよう」と思ってくれる人は少ないのではないか…。今回『はじまりの朝食』に出展してくださるにあたり、日本各地で外出自粛要請が出始めた時期と重なったこともあり宮下さんは相当心配してくだいました。クラフト業界だけにはじまったことではありませんが、多くのフェアや展示会が延期や中止となり、今後どうなってゆくのか先行きが見えない中多くの人が不安を抱えているだろう。何か僕にできることがあれば…と考えてくださったのです。

「すごく単純なアイデアだし喜んでいただけるかどうかわかりませんが、プレゼントを用意することにしました」と会期の直前に宮下さんからご連絡がありました。

この展示会で宮下さんの作品を選んでくださった方に、お礼がしたいと言うのです。

送られてきたのは、なんとこの作品たち。「えええええ~~~販売したい!!」と喉から下世話なセリフが出そうになるのを必死にこらえ(…でも販売してほしいですよ、ね?)、ひたすら宮下さんに頭を下げるより方法はありません。こんな素敵なカトラリーや小皿、もらってうれしくない人、いるのでしょうか?


というわけで、急遽プレゼントのお知らせです。今回、宮下さんの作品を合計5000円以上お買い上げの方に上のいろおいろな素材の豆皿の中から一点(大変恐縮ですが当方で選ばせていただきます)、10000円以上お買い上げの方にはさらに黒い拭き漆の細身のスプーンを一本おつけいたします。数に限りがございますので、なくなり次第終了させていただきます。

「これは、本当に僕からの気持ちなんです。こんな大変な時に、僕の作品を手に取ってくださる方に心から感謝します」と宮下さん。

作家さんからこんなオファーをいただくなんてろばの家始まって以来の出来事ですが、そのくらい特殊な今の世界の状況。宮下さんのお心遣いにわたしたちも心から感謝させていただきます。

木という素材の魅力。どんな時代のもとでも無言で時を刻んできたことの証である木目の、包容力。そしてそんな木という材に心底惚れこんでしまった宮下敬史さんの温かさに、ひとりでも多くのひとが安らぎを感じてくださることを願って。

購入するしないにかかわらず魅力的でユニークな木の表情、一枚一枚見くらべる時間を持っていただけたら嬉しいです。ウインドウショッピングならぬウッドショッピング(?)、ぜひ楽しんでください!

『はじまりの朝食』宮下敬史さんのページはコチラです。

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