冷蔵庫の隅っこでしわしわになりかけたキュウリを、無駄にしない。河井美歩さんのお野菜使い切り術。


つくばと神楽坂を拠点に、自然料理教室cocochi(ここち)を主催する料理家の河井美歩さん。今回『あんしんの食卓』展では、ご自身の著書「なんでも、漬けもの。」(主婦と生活社)に掲載しているレシピのご試食会や、わっぱお弁当のワークショップで、作り置きできるお料理の段取りをレクチャーしていただきました。
10品くらいをあっという間に作ってしまったWSはとっても楽しい雰囲気。きちんとお料理の前と後でポイントをおさらいしてくれるので、家ですぐに実践できます。神楽坂教室、つくば教室の予定が更新されるのですが、色々なテーマを単発で参加できるレッスンはとっても人気。ぜひサイトインスタでスケジュールをチェックしてみてください。

もちろん、美歩さんにもごはんアンケート、聞いてみましたよ。


河井美歩さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—納豆:だし醤油少々、卵黄、黒酢少々、青ネギ入り。 『贅沢納豆』と命名して週の半分は食べています。

Q2、ご出身は?
—徳島県徳島市

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—そば米汁(徳島): そば米が入った具沢山のすまし汁
金時豆入りちらし寿司(徳島):ちらし寿司に金時豆の甘煮が入っています。
お雑煮(徳島):いりこ出し+白菜+大根+人参+甘くない白みそ

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—いりこ出汁+麦味噌 /いりこ出汁+合わせ味噌
合わせ出汁+合わせ味噌 /合わせ出汁+麦味噌
昆布だし+赤味噌
※合わせ出汁はマエカワさんの天然出汁パックで(かつお、いわし、しいたけ、昆布)

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:きのこ
—2位:大根
—3位:ネギ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—好きです! 週5~6日は味噌汁。(家族が朝はごはん党なので)

Q7、ご自身の出身地、もしくは現在暮らしている地方特有のお味噌汁があればそれがどんなものか教えてください。
—魚のあらで取った出汁+白みそ+わかめたっぷり(徳島)

Q8、これまでの人生で見聞きした、もしくは食べた中で最も変わっている、斬新に思えた(組み合わせ)のお味噌汁の具を教えてください。
—納豆汁、野菜の重ね煮の味噌汁、豆乳味噌汁。母親の味ではなかったので、初めて食べたときには衝撃でした。どれも大好きで、時々家庭でも出ます。

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—もちろん漬けもの(笑)、冷蔵庫に1~2個ストックがあると重宝します。楽しむコツは2つ。
① 家庭の味なのでルールに縛られず、余り野菜を楽しく漬ける。
② 塩加減はサラダ感覚で沢山食べたい&翌日までに食べきるなら野菜に対して0.8~1%。
漬け物感覚&3日程度は日持ちさせたい時は2%の塩梅にしています。


さすが、美歩さん。やっぱり、漬けもの!ですよね。来年のごはん党のタイトルにしちゃおうかしら(笑)。

ほんのひと手間かけておくだけで、あっという間に食卓に並べられる作り置きのお惣菜。美歩さんの『なんでも、漬けもの。』は、いわゆる、腰を据えて用意するタイプのお漬けものの本ではないのです。

「漬けものとはいえ、本書では糠や粕、米麹などは使いません。
酢やしょうゆ、油などなど、家にあるいつもの調味料で、
しかも短時間のうちに作れるものばかりです。
とりあえず漬けておけば、味がしみておいしくなり、
保存性も高まって、いいことずくめ。
食材はなんでも漬けものにして、無駄なく使いきりましょう。」

と、扉にも書かれている通り、お野菜や少しだけ余ってしまった食材の、上手な使い切り、作り置きのアイデア集とでも説明すれば良いのでしょうか。本当に家にあるものだけで、すぐに試せるレシピが満載。お弁当の隙間を埋めるのにも便利で、そのままお酒のおつまみにもなります。

『あんしんの食卓』会期中、皆さんに毎日試して頂いて大人気だった「ビール漬け」など、調理時間は10分以下です。レシピではきゅうり、大根、人参の3種類のお野菜を漬けこんでいますが、生で食べられるお野菜なら何でも良いそう。会期中、セロリ、玉ねぎ、ピーマンなど残っているものを色々試しました。意外ですが、ビールのほろ苦さと合うのかピーマンも大好評でしたよ。
キュウリのビール漬け うつわ:内田好美さん

その他のお料理も、お野菜をザクザク切ってジップロックに調味料とともに放り込み、冷蔵庫に一晩いれておくだけ、和えてすぐ食べられるレシピも沢山あります。セロリのヨーグルト味噌漬け、ゴーヤのカレー漬けもご試食会で人気でした。他にも、キャベツの酢じょうゆ漬け、レタスのゴマ塩レモン漬け、しらすの酢漬け、ゆで玉子のナンプラー漬け、なんと、こんにゃくを生で揉んで醤油で漬けるだけのお惣菜まで!自分じゃ絶対たどりつけないけれど、手順はとても簡単なものばかりです。

ゴーヤのカレー漬け うつわ:内田好美さん
左:即席べったら漬け 右:ラーパーツァイ うつわ:内田好美さん
「なんでも、漬けもの より」

美歩さんは当店のお客さまで、自分用にも、撮影用にも、うつわを選びに立ち寄ってくださったり、調味料もいくつか愛用していただいています。お子さんが小学一年生でチビろばちゃんと一学年違い。子育て中のママという立場でもアレコレお喋りさせていただいたり、イタリアにも行かれることが多かったりと共通の話題が多く、お話はつきません。

このレシピ本出版も実は、息子さんが小さな頃から大好きだった「きゅうりの一本漬け」のレシピがきっかけとなったのだそう。

「子どもって、ポリポリ食べられるお漬物が大好きじゃないですか。でも、スーパーに売っているのは、添加物が沢山入っていて心配なものばかり。本当は、ただ塩水に漬けて置くだけでこんなに美味しいお漬物ができるのに。」

「よく冷蔵庫の野菜室の隅っこで、しなしなっとなった可哀そうなキュウリが一本だけ残ってたりしますよね?ああなっちゃう前に、一本だけでも漬けちゃえばいいんです。」
キュウリの一本漬けを漬けているところ(「なんでも、漬物」扉ページより)

ほんと、それ、わかります!しかも、美歩さんとも意気投合したのですが、男のひと(失礼!)がお料理をすると中途半端にお野菜を残して困る、ということありませんか?なぜピーマンを2個だけ残す?人参が半分だけ残ってるって、意味わかんないよね、と大笑い。もちろん、すべての男性がそうだとは思いませんが、思い当るふしが多すぎて(笑)。

先のビール漬けは、こういう時に本当に助かるレシピ。余った野菜を何でも放り込めちゃう。ほかにも簡単な保存法やアレンジ法、裏ワザなどが、ひとつひとつのレシピに注意書きのようにびっしり補足されているのです。このレシピ本を買ったら、ぜひその注意書きにも目を通して下さい。段取り上手のヒントがザクザク隠れていますよ。

中でもワタシがものすごくありがたかったアイデアは、生姜のスライスをお酒につけて瓶で保存する、というもの。目からウロコでした!

生姜って、扱いが悪いとすぐに腐ってしまうものの筆頭ではないですか?カラカラにしぼませてしまうか、茶色く腐らせてしまうかのどちらかで、上手に保存できずに困っていました。皮をむいて冷凍しておけばよいのですが、すりおろすのには良くても、スライスや千切りだとやはり食感が損なわれます。

ところが。日本酒に漬けておけばシャキシャキ感はそのまま、長期保存が可能。薬味として千切りして使いたい時、そのまますぐに出せるのです。煮物などに入れるのにも、早い早い。ついでに漬けておいたお酒もそのまま調理に使えて一石二鳥、無駄なしです。

ネットで何でも情報が手に入る今の時代、本当によいレシピ本というのは、自分が何に手間取っていたのかを気が付かせてくれるような本、なのかもしれません。

何か新しい技が身につくことも大切ですが「これまで手間取っていたことが楽になる」ということはとても嬉しいことですよね。そして人は、新しく知りたいこと、気になることは検索してみようとするものですが、出来ないこと、苦手なことは自分でそれを認識しない限り動き出すことができないものです。

わたしは『なんでも、漬けもの。』を読まなければ、自分がよく生姜をダメにしてしまうことを問題視しなかったかもしれないし、冷蔵庫にある野菜を最後まで使い切る努力ということも、頭ではわかっていながらおろそかにしていたかもしれません。昨今はやりの”時短だけに重きを置いた作り置きおかずの本”とは一線を画していると思えたのは、この本のそんな部分です。

大根の葉っぱも、美味しいわさび漬け風に。茎がスカスカになってしまう前に、セロリは漬けて。豚汁に使って余ったゴボウも、シワシワになる前にフライパンで即席の南蛮漬けに。冷蔵庫の食材を全部残さず、美味しいうちに使い切る。しかも、簡単に。

河井美歩さんの『なんでも、漬けもの』(主婦と生活社) ぜひ一度、読んでみてください!


cocochi by Miho Kawai  河井美歩:プロフィール

徳島県出身。大学から京都にて活動。
大手料理教室にて10年間、講師・人材育成・商品企画・開発等を担当。
2009年~フリーの料理家としてつくばと東京・神楽坂を拠点に ニューヨーク、熊本、名古屋など国内外で料理イベントを開催中。
海外の食文化を学びにフランス、イタリア、ベトナム… 時間を見つけては料理修行の旅に出ています。
著書に「秘密の型なしパイ」(主婦と生活社)、「はじめてのおいしいフォカッチャ」(主婦の友社)

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