『加地学 船串篤司 二人展』第一弾F
初めて出会う、船串さんの瑞々しい作品たち。

現在開催中の『加地学 船串篤司 二人展』、作品の点数が多いためOnlineではうつわの大きさやカテゴリー別に3回くらいに分けてご紹介させていただくことにしました。

まずは、小皿、小鉢、碗、お皿でも20cm以下の比較的小ぶりなものからご紹介させてください。小さなものから慣らしてゆかないと、迫力負けしてしまいますから(笑)。

黒いうつわの多い今回の展示、お二人それぞれの黒の質感の違いを味わっていただくのも楽しいかなと思っています。

そして、船串さんのファンにとっては新鮮な驚きで見てもらえるであろう、これまでにない挑戦の数々は、何より注目していただきたいポイントです。

上の小鉢は、船串さんの作品。見慣れた金属っぽい黒い釉薬に覆われて、ところどころ石のような粒が下地に混じっている様子、わかります?敢えていつもより粗い粘土を使い、サイズを決めずに自由にろくろに向かってくれた船串さん。3年前加地さんの作品と出会い、その力強さ、根源的な生のイメージに「ハンマーで殴られたみたいに」ショックを受けた、と船串さんはその時の興奮を何度も繰り返し話して下さいました。

「絶対にわたしたちも好きなはず」と加地さんをご紹介してくださり、加地さんが本州(笑)をハイエースで縦断する際に当店で落ち合う約束をしてくれたという出会いのくだりは、このHPでもご紹介しました。いつか、一緒に展示ができたら嬉しいと言う船串さんに「そんなことがあるならばぜひろばの家で」とお願いしていたのが、今こうして現実となっているのですから、ひたすらご縁に感謝するしかありません。

粗い土を使うことも、新しい釉薬を使うことも、言ってしまえば形式的な手法の違いでしかありません。挑戦、というほどのことではないでしょう。ワタシたちが嬉しかったのは、船串さんがこの新しい試みを心の底から楽しんでくれたようだと感じられたことなのです。「こんな風にろくろに向かったのは本当に久しぶりだった。ひたすら、楽しかったですね」と、船串さん。出来上がった飯碗や小鉢。こんな船串さんの作品、わたしたちは見たことがなかった。自由に、なんの制限もなくサイズも決めず、挽きたいように挽いてみたのだそうです。いつもと違う作品を作ってくれたことよりも、いつもと違った心持で作品に向きあってくれた…それが何より有難かった。別にわたしたちのためにそうしたわけではないとは知っていても、光栄に思わないはずがありません。


作家さんは人気が出て忙しくなってくると、作風のイメージが定着してくることもあり、なかなか大胆な挑戦をする勇気や余裕を持てなくなってくると聞きます。当たり前ですよね。職業として取り組んでいる限り、やりたいこと、期待されること、両方のバランスを取って制作してゆかなかればならないわけですから。そんな中「加地さんと一緒に展示をするからには、自分がこれまでやってこなかったことにも挑戦したい」と、これまでの枠を自らはずし、外へ踏み出してみた船串さん。

偶然ではなく、加地さんを思わせる形の作品もいくつかあります。でも、わたしたちから見ると、明らかに船串さんの作品は船串さんのもので、加地さんの作品は加地さんのものです。影響を受けることは、真似することとは違う。モノを作る人で、誰かの影響を全く受けずに作り続けられる人などいるのでしょうか。人との出会いによって、自分の道や目指す方角がより明らかになったり、変わったりする。より、豊かになる。そしてそんな風に人に影響を与えることのできる加地さんのことも、改めて凄いなあと羨ましく思ったり。でも間違いなく、加地さんにとってもそのことは刺激であり、制作への原動力にもなるわけで…。

「加地さんのように力強く存在感のあるうつわを作りたい」という思いがあったことで、自分自身の制作の核を見直すことにもつながったというような話もしていました。船串さんが陶芸をはじめるきっかけとなった昔の石皿や、中国や朝鮮の質素で優美な古陶。それをダイレクトに感じさせるような作品もあります。この展示がなかったら船串篤司の作として世に出ていなかったかもしれないと思うと、より一層出会いが貴重なものに思えてきます。

もっともっと、船串さんの挑戦を見てみたい。ずっとその進化を、見続けたい。そう思わせてくれる、魅力的な作品の数々。これまで通り研ぎ澄まされてきた作品はもちろん、ここでしか見られない瑞々しい作品も、どちらも分け隔てなくじっくりご覧いただけたら嬉しいです。

『加地学 船串篤司 二人展』 船串篤司さんの作品はコチラ です。


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