恵山(小林耶摩人さん&西村峰子さん)

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今年、2015年春から活動をスタートしたばかりの、出来立てほやほやの『恵山』。
笠間で修業した小林耶摩人さんと西村峰子さんの二人で開いた窯です。同じ屋号で、二人別々に個人作品を制作して活動しています。春の陶器市、笠間の陶炎祭の新人ブース『笠間のたまご』での出展がデビュー戦となった小林さんと、同時期に開催されていた『新進作家陶芸展』に出展した西村さん。
 
ろばの家にふたりが立ち寄ってくれたのはデビュー前のことで、その時偶然小林さんが作品を持っていたことから、パパろばが「お!」と注目。活動開始を楽しみに待っていたのです。それが、今年の1月の終わりのこと。夜だったのでわたしママろばはお会いできず、パパろばが写真を送ってきてくれたのを「わ、いい雰囲気だね!」と興味を持つと「そうだよね?いい感じだよね!!」と得意気にうなづいていました。
 
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その時、ふたりはつくばにある『da Dada ダ・ダダ』というワインショップに来ていて、そこで陶芸をやっていることをシェフに話したところ、仲の良いろばの家の話になり…といういきさつでした。da Dadaでは、笠間の作家である額賀章夫さんの様々なうつわをレストランで使用しているので、額賀さんからda Dadaのことを聞いてつくばまで来ていたのです。というのも、小林さんは当時額賀さんのところで研修中。約2年間の弟子入り生活を終えようとしている頃でした。額賀さんとda Dadaのつながり、da Dadaとろばの家のつながりが、今の恵山とろばの家とのつながりに。そういえば、今ろばの家で扱っている折笠秀樹さんも、ろばの家のオープン前に額賀さんを訪ねた際に名前を教えてくださったのがきっかけだったし、後でわかったことですがシモヤユミコさんも額賀さんのお弟子さんで、小林さんの姉弟子になる関係。西村さんは窯業指導所で働いていたことがあり、その時に生徒として来ていたシモヤさんと仲が良く、お手伝いに行ったこともあると聞いて「つながってるな~」としみじみ。なんとなく、ご縁を感じてしまいます。

“茨城県笠間市にて、2人で活動している陶芸工房です。普段使いの器を中心に作陶しています。”
とブログの紹介文にはそっけなく書かれて(笑)いますが、そのそっけなさ、さりげなさが作品にも滲み出ています。
二人の作品は、まったく個性が違うのにどこか共通点を感じさせる、シンプルだけどほっとできる身近さが魅力。意識してか否か、やりすぎ感と無縁でいたいというスタンスが根底にありそう。小林さんの、シャープでモダンなデザインに落ち着いたニュアンスのある色合いの組み合わせ。西村さんの丸く愛嬌のあるフォルムにごくごくプレーンな色展開。そのバランス感覚が、背伸びをしない、適度に居心地のいいリラックスした雰囲気を作品に漂わせています。オシャレすぎて手が出ない、というところまではいかない、いかせないさりげないセンスが恵山の持ち味、と勝手に一人ごちていました。
 
それは、実際二人の工房を訪ねるとすぐに納得。ふだんの二人の暮らしぶりが、すでにさりげないセンスに満ち溢れていました。古い家を自分たちで補修して住まい兼工房、オフィスに利用しているのですが、古道具屋で安く買ったというような木の家具やなんでもない棚も、なんとな~く素敵に二人の作品の雰囲気に合うような感じに配置されている。古い小さなちゃぶ台に小林さんの灰釉のそばちょこを並べ、西村さんのポットから紅茶を注いてくれる、その図がとってもまとまっていて自然です。自分たちの器を色んな料理に試して使い勝手を確認している、と話していましたが、きっとこんな風に絵になる実験風景なのでしょう。インテリアなども大好きで、という二人のセンスは方角が一緒。とっても楽しそうです。
 
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  「工房名は『恵山(ケイザン)』と言います。粘土と言う山からの恵で仕事が出来ることに感謝し名付けました。」と教えてくれた、名前の由来。そこからも、謙虚な二人の姿勢がのぞけます。お互い助け合いながら、もっともっと上手になりたい!と意欲的に制作を続けていく二人の作品。仲の良い二人が生み出す、それぞれの持ち味を生かしたうつわたち。「お客様が来た時に…」などと気負わず、毎日すぐ身近で接していたいものばかりです。

さて、そのお二人。それぞれのプロフィールをご紹介すると…。

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小林耶摩人さんは1983年笠間生まれ。父親も陶芸家で、小さなころから仕事をする父を見てきてはいるものの、特別な仕事とは思ってこなかったそう。毎日お父さんが家にいるのも当たり前だと思っていたし、美術の先生だという母親も長い休みには家にいたので、大学生になるまで大人も1か月以上の夏休みがあるものと信じていたという驚きのエピソードも聞かせてくれました。家業を継ぐように願われたこともなく、東京で大学を卒業した後5年ほど務めた出版社をやめ、窯業指導所に入ることを決意して笠間に戻った時には驚かれたそうです。ただ、勤め人を辞めてクリエイティブな仕事でやっていこうと決め、陶芸を選んだ背景には、やはり幼少期の影響があったのでは?という質問には「それはあるでしょうね」と答えていました。あまり雄弁に語るタイプではなく、尋ねれば遠慮がちにポツポツ話してくれるシャイな印象があり、なんだか無理やりインタビューしている感じになっていないか、冷や冷やしながらお話を聞き出していました。窯業指導所で学んだ後2年間額賀章夫氏に師事して経験を積み、その後西村さんと一緒に独立したのが今年の春、です。
 
 一方、西村峰子さんは1979年生まれで水戸の出身。小さなころからイラストや手芸などモノづくりが大好きで、専門学校のポップアート科に学びました。卒業してすぐオケクラフトで有名な置戸町に移住し、木工を体験しながらクラフト作家さんたちと交流したことはとても刺激になったと話します。社会人になって自分でご飯の支度をするようになり、急にうつわへの興味が高まった。「こういうのにお料理を盛ってみたいな~」と、あれこれうつわを集めているうち友人と陶器市をめぐるようになって、さらにのめりこんでいきます。「あんまり収集癖とかない方だと思っていたんですけど、陶器だけはあたしどうしちゃったんだろう?ってくらい買い集めてました。あんなにハマったのは陶器だけかも」と。笠間の窯業指導所で臨時職員を募集しているのを知り、仕事を辞めて指導所に勤務します。
 
実はここで、運命の出会いが!?
西村さんが指導所に務めている間に、小林さんが入学してくるのです。「願書出しに来たの覚えてるよ~」と西村さんが言うと小林さんも「俺も出したときにこういう人いたっていうの覚えてるんだよね」と。この出会いがなかったら、今の恵山はなかったかも…そして、二人はまったく今とは違った作品をそれぞれに作っていたのかも。出会いって本当に不思議です。
 西村さんは職員として働きながらも興味のあることはどんどん聞きに行き、自分が入学してからも2年のところのろくろ科を一年でやめ、すぐに釉薬科に進みます。どうしても教えてほしい先生が辞めてしまうかもと聞いていたので、はじめから1年で終わらせようと、自分なりに必死で技術を覚えるよう努力したのだそうです。そして、その時から「卒業するまでに急須をひとつ満足に引けるようになりたい」と、難しい成形技術の集結とも言える注器をひとつの目安に頑張ってきたのだそうで、卒業作品展にも土瓶やポットを出品していました。そこでわたしたちも彼女の作品を初めて目にしたのですが、その完成度に驚き、興奮したのを覚えてます。
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「丸い形が好きなんです。」という彼女の言葉通り、ポットも土瓶も汲み出しも、丸く愛らしい形がキレイな西村さんの作品。「ポットの様に、少しずつパーツを足していって、だんだん形になるというのが楽しくて」と、西村さん。ただの丸い胴体に、部品が付いていく度に愛情が増していく。「注ぎ口が付くとがぜん可愛くなるんです!さらに持ち手が付いたりするといとおしくって」と嬉しそうに話してくれました。
 
とっても明るい西村さんはアウトドア派でカヤックなんかもやっていたほどの行動派。読書が好きな小林さんとは対照的、と西村さん。もっとも、制作に追われて今はカヤックも本もお預け状態。作家活動を始めたばかりの二人ですが、笠間のデビューを皮切りに、5月は千葉で『にわのわ』に、6月入って栃木『クラモノ』に参加したかと思えば、6、7月でまだあと3つもイベントに出展予定。茨城、東京、北海道まで!「自分たちから動かなきゃ!」とどんどん積極的に地方に出ていくことにしたのだそう。旅するような気分も味わえて楽しいし、ととっても意欲的。小林さんもそんな西村さんに最初は引っ張られるようにしながらも、直接お客さんと会話ができる機会を楽しめるようにまでなってきた様子。
 
「二人の作品は一緒にあっても違和感ないですね、とよく言われました」。全く作風は違うのに、相性が良いのですね。西村さんはポット類や汲み出し、マグカップなどお茶周りのアイテムを中心に作っていて、お皿や鉢などは小林さんにお任せ、と笑っていました。二人のアイテムがかぶっていないのもいいのかも、とも。「でも耶摩人の急須も見てみたいな~。絶対わたしの形とは違うんだろうなあ~」と話しているのを見ると、将来ふたりの共同作品が出てきたりするかも、なんて想像して楽しみになります。
 
『恵山』の今後の出展予定はこちらのページでご覧になれます。機会があったらぜひお二人に会いに行ってみてください。
 
OnlineShop 『恵山』のページはコチラ
byママろば
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