10年越しの思いを込めて。飽食のこの世の中に、あえて新しいお醤油をリリースする理由。

8349b2827d9e187310df
ろばのウチでは3年前からもう他のお醤油を試さなくていいな、と思えてしまった梶田商店のお醤油。お料理によって薄口、濃口、そして再仕込み醤油を使いわけていたのですが、そしてそれで十分事足りていたつもりだったのですが、ここへきてまた新たなお醤油がリリースされ、困ってしまいました。だってこれは、本当に素晴らしい。どちらも文句なしに美味しい濃口、薄口のよいところばかり集めたようなお醤油なんだもの。

小さいころにアトピー性皮膚炎だと診断されたという13代当主の梶田泰嗣さん。大きくなっていろいろな情報に出会いながらも、シンプルに「昔はこんな病気はなかったはずなのに、何が変わったのか」と自ら問い、食生活の変化によるものではないかと思い当ったのがきっかけで、添加物をはじめ昔は使われていなかった農薬など、自分の家の生業であるお醤油づくりの現場にも当てはまる問題に行き着きます。短い期間で発酵や熟成を進めるための技術にも疑問を持ち始め、昔ながらの時間と手間暇かけた造りにこそ本来のお醤油の姿があることを確信するのですが、その想いが熱い熱い…。彼のアツさは、多分遠くからでも本人を眺めたことがあればみな感じられるのではというほどの熱量なのですが(最近よくあちこちの催事に出ているのでぜひ遠巻きにでも会いに行ってみてください)、よろしければ梶田商店のサイトをご覧になってみてください。まあ何から何まで、全力投球、体当たりです。よくこんな風に生きていて疲れないなあ、という気がしてしまいますが、それは余計なお世話と黙って電話口から延々聞こえてくる彼の長い演説を聞いているママろばでした。

梶田さんの愛息子“晃世”くんから一字をとったという「ヒカリ」という名前を冠した新しいお醤油。誕生までの背景をたずねました。実に40分くらい電話でお話ししていたのですが、肝心のヒカリ誕生の瞬間にまだたどり着かない。長話では負けないママろばですが、さすがにお店でこれ以上電話しているのも、と思って「箇条書きでいいのでメッセージで背景を教えてください」とお願いして電話を切ったら翌日…わあ!!やっぱり…。おみそれしました!というような長~いメッセージが届いていました。あっぱれです。梶田さん!

でも、その思い入れ、お醤油が普通の出来だったら独りよがりの空回りですが、どっこい!その暑苦しさも許すわい!というほど飛びぬけているのだから面白い。何より個性がある。でもその美味しさを、農薬・化学肥料不使用の大豆と小麦をを使っているからだからだ、と短絡的に結び付けては欲しくないのだな、ということもわかり、40分の長電話は無駄話ではなかったと思えました。ワイン生産の現場でも、この「ビオだから美味しいんですか?」「ビオディナミのワインはやっぱり美味しいんですか?」現象には多々遭遇してきました。そうなんです、無農薬or自然栽培イコール美味しさではない、というのは、農作物を使った加工品の持つ永遠のジレンマと思います。ことさらにそれを販売する人にとっては、ともすれば安易にセールスポイントにしてしまいがちなトピックスだからこそ、真摯に消費者と向き合いたいところです。

このヒカリはその名前の由来と同様、梶田さんのロマンの追及の結果生まれたものといった位置づけなのです。生産者のあくなき努力、挑戦のたまもの、とでもいいますか。以下、彼の長~いメッセージから一部を引用しましょう。

「巽晃 たつみひかりが産まれた背景には一つ私が蔵に入ったばかりの何も知らない時に地元の農協に無農薬の大豆と小麦を買いたいと相談に行ったことが始まりです。その時、何も知らない私は農協の窓口のおばさんにそんなのないわよ。農協は農薬を売っているんだからと笑われました。本当に行けば何かしら紹介してもらえると思ってたのです。当時は何も知らなかったんです。笑
その日からいつか無農薬の大豆と小麦でいつか醤油を仕込みたいと心に秘めてました。何故、無農薬かというと当時は単純に江戸時代には農薬も化学肥料も無かったはずだから、やろうと思えば出来るはずだし、きっと無農薬で栽培されている農家さんもいるだろと簡単に考えてましたし、その方がより自然だと考えてました。地元の農家さんを訪ね始めていろいろ話をさせていただくうちにいろいろなことを知って、理想と現実のギャップに驚いたのを覚えてます。農家さんを訪ねて行くうちにいろいろな方を紹介していただき、私の考えや想いに共感していただく方達との出会いがあり、無農薬、無化学肥料で栽培していただくようになりやっと仕込むところまでこぎつくができました。
その時にどんな醤油にしたいかな?どんな醤油が出来るかな?と想像した時に既に販売していた巽醤油のこいくちとうすくちと同じ醤油にするのでは意味がないと考え、巽醤油のこいくちとうすくちとの両方の良さを併せ持った醤油をイメージし、仕込むことにしました。出来上がった巽晃(たつみひかり)はそのイメージに近づいた醤油に仕上がったと感じています。」

とのこと。無農薬、自然栽培だからといって、その原材料がそうでない原材料より確実に味がよいかと言われれば、そうでない場合も多々あります。それはどんな加工食品にも言えることで、原材料の素性の信ぴょう性はむしろ、製品の味わいに直結するのではなく、それを造る人の姿勢を物語っているのだと思うのです。それだけの苦労をして、また高いお金も払って、納得のいくものを探してくる。そうして得られた貴重な原材料を、いかに生かしてあげるか。そこで払われる敬意と細心の注意が、最終的に味わいにまで現れるのではないかと思うのです。

余談ですが、と付け加えて「巽晃(たつみひかり)は息子の晃世から一字を取りました。晃世の名前の由来は世の中に明るい光を照らす存在であって欲しいという願いから名付けました。巽晃(たつみひかり)も様々な食が溢れる飽食の現代でより佳い調味料としての輝いてほしいという親バカな気持ちも込められています。」と最後に添えられていたコメント。こんな想いをこめて造られたお醤油が、特別でないわけがないですよね。

とても香りのよいお醤油です。はじめは、ストレートに味わいが感じられるような、つけ、かけ醤油として使ってみてください。長々とお付き合い、ありがとうございました!

梶田商店 天然醸造丸大豆醤油 巽晃(こいくち)300ml は、オンラインストアでお求めになれます。

 

記事をシェアするShare on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0Pin on Pinterest0Email this to someone

関連記事