空、海、地球、宇宙、夜空、深い闇の色…名もない青。Blueブルーの名前。

Indigo Blue、Mid Night Blue、Antique Blue、そしてCobalt Blue。今回Blue展に参加してくださった、4人の陶作家さんの作品をディスプレイしているうち、その個性の違う青たちを自然とそう呼び分けていました。中村恵子さんのインディゴブルーはデニムのように洗いこんで擦れた青が重なって生まれた色。「限りなくブラックに近い真夜中のブルー」と、昔流行った小説のタイトルをもじって呼び続けているのは加藤仁志さんのミッドナイトブルー。前田育子さんの突き抜けるようなコバルト・ブルーは、これぞ瑠璃!というべき鮮やかで濁りのない南の島のような青。アンティークブルーという呼び名こそ沼田さんの古伊万里のような淡い染付を見て浮かんできた造語ですが、それぞれの青の名前は一般にも認知されている名称で絵の具の色などに使われています。こうして考えてみると青を表す名前は相当あって、もしかすると青ほど沢山の名前を持つ色はないかもしれません。

先述の小説、村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』を初めて読んだ時の衝撃。当時美大の受験生であった自分が日々作りためていたアクリル絵の具の混ぜ色に使う「アクアブルー」やら「ウルトラマリン」やら、日常生活では使わないような青の名前が沢山小説中に出てきたのを書き留めながら読んでいたことを思い出します。当時はかなり話題作と騒がれていたのに今となってはストーリーさえ思い出せません(村上さんごめんなさい)。それなのに、日々使わない色の名前だけは忘れないでいるのですから何が記憶に残るのかわからないものですね。はじめてブルーブラックという言葉を知ったのは確か中学生の時だったと思います。モンブランが出している万年筆用のインクの名称で、手紙を書くのにそのインクしか使わないと話す教師になりたての兄がカッコよく思えて、すぐに画材店に走ったのを覚えています。以来万年筆を使う時はブルーブラック一辺倒(笑)。そうやってわたくしママろばの中には少しずつ、青の名前の語彙が増えていったのです。

Blue=青という日本語の英訳であるはずなのに青と呼ぶのとはまた違った印象になるのも不思議で、好んでブルーという言葉を使っていました。アンニュイやクールという言葉とは程遠いガハハな性格である自分にとって、憧れのイメージだったのかもしれません。ブルーという言葉の響きが好きで、色そのものより響きに憧れて身に着けるものをブルーだけと決めて過ごしていた時代さえありました。「わたしブルーのシャツしか着ないの」という自分に酔いしれてブルー系のシャツだけを毎日着まわしていました。ブルーなら柄物も抱負で沢山選択肢があるので全く困らないですもんね。これが「あたし黄土色しか着ないのよ」とかだと結構困ったはずです。何年かつづけた挙句自分にそんな狭い縛りを課すこと自体がふとアホらしくなって、反動のようにピンクやオレンジなどヴィヴィッドな暖色の服を買いあさったり…。若いころ自らに決めるルールというのはホントひとりよがりで恥ずかしいものですね。まあ、そんな幼い自分もかわいいじゃないかと思える歳になりましたけれど。

あなたは、どんな色が好きですか?無限にあるブルーの中からただひとつのブルーを選ぶとき、あなたがそのブルーに与える名前は、なにブルーなのでしょう。

食卓で使ううつわには選ばれることが少なく感じてしまうブルーですが、ここに集まっているブルーたちはお野菜の緑も卵の黄色もトマトの赤も、そしてパスタやリゾットの白も、驚くほど鮮やかに引き立ててくれるテーブル馴染みのよい色ばかり。実際使ってみると、黒より映えて使いやすいと思えるほどです。そんなブルーのうつわたちを届けてくださった4人の作家さんに、ブルーについて、色について、簡単なコメントをいただきました。うつわを手に取りながらそのブルーがどんな人の手によって生まれてきたのか思いをめぐらせてみてください。

KOMOさんのLinnell Blue

前田育子さんのCobalt Blue

沼田智也さんのAntique Blue

中村恵子さんのIndigo Blue

加藤仁志さんのMidnight Blue

La RenonculeさんのNatural Blue

 

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