シチリアのパンテッレリア島から届いた、 むせかえるほどの潮の香り。

hp-capperi2

 

シチリアのパンテッレリア島から届いた、 むせかえるほどの潮の香り。

お店の扉を開けると、ほんのり潮の香りが漂ってきます。
レジのそばに並べた、ケイパーの塩漬けの袋詰め。。。。

青い、爽やかだけれどワイルド感もあるハーブのような香りですが、明らかに磯の雰囲気なんです。香りからも、海の塩味を感じとれます。ケイパーは野ばらにも似た白と紫の色鮮やかな花をつけるツタ性の低木で、シチリア島の海岸沿いの岩場などによく自生しています。

日本では、スモークサーモンの添え物としてよく酢漬けのものが使われてきましたが、その多くは酢と塩にがっちり漬けられていて、ケイパーそのものの味わいが感じられず、それしか食べたことがないと、あまり印象に残らない食材なのではないでしょうか?イタリアでは、塩漬け、酢漬けどちらも出回っていますが、塩漬けのほうが一般的で、サラダやパスタ、煮込みなど色々な場面で使われています。特に、シチリアでは間違いなくどこの家庭も常備している、欠かせない食材。調味料と言った方が近いかもしれません。

パンテッレリア島や、エオリエ諸島、など、シチリア周辺の小さな島々の特産品で、中でもパンテッレリア産のケイパーは最高級品とされ、その小さな島でもケイパーで生計を立てている農家が数多くあり、協同組合でも良質なケイパーを作っています。インサラータ パンテスカ(パンテッレリア風サラダ)といえば、茹でたじゃがいもにトマト、玉ねぎなどをベースに、ゆで卵を入れるもの、ブラックオリーブを入れるもの、などいろいろなレシピがあるなか、ケイパーだけは絶対に欠かせないもの、として必ず使われています。入らなければパンテスカ、じゃありません。シチリア島は塩田も有名で、ミネラル豊富な天日干しのお塩がトラーパニ近辺で沢山作られていますが、このフェッランデスさんのケイパーも、トラーパニ産のお塩を使っています。

フェッランデス家は、家族3人だけで営む小さなワイナリーで、パンテッレリア島のもうひとつの特産品、パッシートと呼ばれる干し葡萄から作られる甘口のワインを造っている農家です。この、地元でジビッポと呼ばれるマスカット品種を使った甘口のワインも唯一無二の素晴らしさなのですが、採算度外視、といった感の気長な、時間のかかる生産方法なためなかなかワインだけでは生計が成り立たず、ケイパーで収入を得ていた、というお話を当主のサルヴァトーレ・フェッランデスさんから聞いていました。

実は、彼らのワインはろばの家のママろばが何年か前まで日本に紹介していたので、パンテッレリア島のワイナリーにも2回ほど遊びに行きました。最後に彼らの家を訪ねたのは2007年でしたので、もうずいぶん前のことになりますが、フェッランデス家の家族の温かく謙虚な人柄、本当に質素な暮らしぶり、でもその中で家族仲良く楽しそうに、全員で助け合いながらワインとケイパー造りに励んでいたこと、それを語ってくれるちょっと皮肉屋のサルヴァトーレの冗談など、忘れられないシーンが沢山あります。

夏の、強い日差しの中で見た、岩場に這うようにツタを伸ばすケイパーの白い花の美しさ。花びらまで、あの、磯の香りがすることを、パンテッレリア島を散歩しながら、サルヴァトーレの奥さんに差し出された花びらを食べて初めて知ったのでした。
ワインとケイパーの現輸入元、ヴィナイオータさんからケイパーと干し葡萄が届いた時、その箱を開ける前からお店いっぱいに広がった独特の磯の香りに、8年前のそのシーンが沢山よみがえってきました。シチリアに住んでいたこともあって日本に帰ってきてからもケイパーだけは欠かせない、というほど日常的に使う食材なのですが、改めて今食べてみても、フェッランデスさんのケイパーはパンチがきいていて、料理に使うとバシッときまります。

塩分が強めでも、旨味の強いお塩なので、逆にケイパーの塩味で料理の味を決めるようにして使うと、単純に塩で味を決めるのと違って味に奥行きと香りの楽しさが加わります。煮込み料理のかくし味に、例えばトマトソースでお肉などを煮込むときのかくし味にして時間をかけて塩分をしみ出させるように使う時以外は、刻んで使うのがケイパーの鉄則です、が、なんだか今回のフェッランデスのケイパーは少し開いた蕾も混じっているので、お湯か水に浸けてからごくごく軽く水分をペイパーなどで拭いてあげただけでも、お料理のアクセントに使えます。全体に味を馴染ませたいときには、やはり刻んだ方がいいですね。

いつもざくざく刻んだものをオリーブオイルで和えて、トマトはもちろん、茹で上げ野菜(じゃがも、いんげん、カリフラワー、などなんでも)と和えたりするシンプルな使い方をご紹介しているのですが、今日は、塩味のパンチがきいたフェッランデスのケイパーの特徴を生かして、無塩の発酵バターに混ぜ込んで、ケイパーバターを作ってみました。

これが、これ単体でもバクバク食べてしまえる、危険な美味しさです。

あんまりにも簡単なので、レシピというものもないくらいですが、先のやり方で塩抜きしたケイパーを刻んで、無塩の発酵バター(普通のバターでも構いませんが、発酵バターの方がより磯の香りの尖ったかんじをふんわりやわらげてくれます)と混ぜるだけ、です。コレを作っておくと、これほど使える調味料はない、というほど重宝します。

蒸したジャガイモの、あつあつのところにちょいとのせると…っていうのは多分想像がつきますよね?刻んだケイパーをポテトサラダに混ぜるのも、ろばのウチではポピュラーな使いかたなので、ポテトが熱いうちにこのケイパーバターで下味をつけて冷ますだけ、というシンプルサラダもぜひ試したいところです。玉子にもよく合うので、プレーンオムレツにつけたり、あとはかじきや鶏肉などをソテーした最後に、焼き汁にこのケイパーバターを落としてソースとすると、極上の一品が出来上がりです。このままでも、瓶に移し替えても、冷蔵庫にいれてれおけば何年でも…というくらい日持ちもするのでぜひ常備していろいろ使ってみてくださいね。

フェッランデスのケッパーはこちらです。干しブドウはこちらです。

記事をシェアするShare on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0Pin on Pinterest0Email this to someone

関連記事