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『ダエンなセカイ』の住人紹介#1 関口憲孝さん

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岩手県紫波町平栗で作陶する関口憲孝さん。ろばの家、初登場です。
関口さんとは昨年10月に大阪で行われた『灯しびとの集い』で初めてお会いしました。棚に並んでいた青磁のゴブレットがブースの前を通り過ぎる度に気にかかり「あれカワイ~」「あれカワイ~」としつこく言い続けていたら「聞いてみりゃいいじゃん!」とパパろばにうながされ、恐るおそるブースで自己紹介したのがきっかけでした。無名なろばの家としては初対面の作家さんに名乗り出るのは相当に勇気のいることで毎回かなり緊張するのですが、なんというか関口さんも奥様も和やかな雰囲気で、ブース全体にほんわかした空気がたちこめていました。なんだかホッ。

以前からウェブなどで作品を拝見して素敵だな~とは思っていたのですが、実物を手にしたのは初めて。やっぱりどれもこれも好みです。青磁のほかにもいろいろな色の作品が並んでいて、改めて全体を眺めると、とてもひとりの作家さんの棚とは思えぬ充実ぶり。見ごたえたっぷりです。ひとつひとつタイプの違う作風なのに「これが得意なんだな」と思ってしまうような偏りが感じられないことが驚きでした。たいていありますよね?ああこのひとは白磁がいいんだな、とか粉引専門なんだな、とか。どれもそれぞれに個性的でどれを求めるか本当に迷いました。悩んで悩んで、ザラリとした感触のカフェオレ色の鉢をひとつだけ選んでつくばに持ち帰りました。その、デューラレックスを思わせるゴブレット型の青磁コップにしようか最後まで決めかねたのですが、お料理を盛り付けてみたかったので最後は鉢の勝利でした。とても使いやすいサイズ感といかにも土モノといった感じのアースカラーなはずなのにどこか華やかさがあり、地味な胡麻和えなども映えるので、ろばのウチで毎日愛用しております。
お取り扱いに関して、茨城県ではすでに置いてくださっているところがあるのでちょっと聞いてみないと…と丁寧に説明してくださり、後日そのギャラリーの方に尋ねてくださったらしく「大丈夫です」とのお返事に、パパろばと小躍りしました!なにせあまり作品の画像が出回っていないのでオーダーをしたくても作品のラインナップがわからず、どうやってお願いすればよいかと困っていたところ、このオーバル展に参加してくださることが決まり、晴れてろばの家初登場という運びに。今回はカーブが個性的な青磁のプレートや黒い釉薬のお皿など、オーバルワールドの広がりを見せてくださいます。粉引の楕円鉢やババロア型のように波打った鉢などもあって、オーバルっていってもお皿だけじゃないんですよ!とご紹介するのにうってつけのありがた~いラインナップです。初登場にふさわしくファンファーレつきで入場していただきましょう、というわけではないですがテンションが上がってしまったママろば。パンパカパーン!とにぎやかにご紹介させていただきます。関口憲孝さんのご登場で~す!!パチパチパチ…。

さて、関口さんにとってのダエンなセカイとはどんなものなのか、質問してみました。

Q1、「オーバルのうつわ」と聞いて、真っ先に頭に浮かぶお料理はなんですか?  
-餃子
Q2、自宅で愛用しているオーバルのうつわはどんなものですか?自分の作でないときは、作家さんのお名前も教えてください。
-内田好美さん(ママろば注:関口さんの奥様です!)
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Q3、一番好きなたまご料理を教えてください。
-茶碗蒸し。回転寿司では必ず食べます。一個では少ないし2個では多いので、いつも悩みます。…なるほど。茶碗蒸し、わたしも選びました~~~。やっぱり特別ですよね!関口さん、ありがとうございました!

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生まれ故郷の海を、森で育てたい。TAIRYO HUGプロジェクト。

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久しぶりにやってきた前田育子さんのうつわと一緒に、とても印象的なガマ口が届きました。ひとつとして同じデザインはありません。みな現役を退いた大漁旗のリサイクル布でつくられているのです。明るくてド派手な模様なのに色褪せた雰囲気が妙に懐かしい…この“大漁がま口 豆財布”は、前田さんが立ち上げたTAIRYO HUGというプロジェクトによって生まれました。北海道白老町は前田さんが生まれ、育ち、今も工房を構える町であると同時にママろばが生まれ育った町でもあるのです。苫小牧市と登別市に挟まれた太平洋側の人口2万人にも満たない小さな町です。関東では、雨量の多さかアイヌ部落による観光とで名前聞いたことがあるな~というくらいの人にたまに会うといった感じでしょうか。ママろばは18歳までその町で暮らしていました。子供の頃は、お父さんが漁師だという友達が周りにいても、白老の主要産業でもある漁業について考えを巡らせてみることなどありませんでした。でもきっと漁師さんたちは、わたしの家のように公務員だったり、会社勤めをしている人たちよりもきっと、もっとずっとリアルに自然の偉大さ、怖さを知り、人間という存在も自然の大きなサイクルのなかの一部であることを意識して暮らしていたのではないかと、今なら少し想像できます。土をこねて思うカタチを作り、火の力を借りてうつわをつくるやきものの仕事というのも、ある程度までいったら後は自然にゆだねるしかないという点では近い側面があるのかもしれません。前田さんが漁師さんが処分に困っている大漁旗を使ってなにかできないかと相談されたとき“自然に還す”ということに思いを巡らせたのには、そんな土と向き合った暮らしというものにも一因があったのでは、と思ってしまいました。微力ながらわたしたちも白老の海のために何かできればと思いました。あの、グレーでうすぐらい曇りがちな海。一度も足を入れたことなどなかった、子供の頃にはあまり好きになれなかった、白老の海です。もう何年もあの海を、車窓からですら眺めていません。なんだか急に、白老の海を見てみたくなりました。

以下は、ガマ口に添えられた文章です。

TAIRYO HUG~大漁 育~
「盛で海を育てる・大漁旗が木に変わる」
一見、森で海?と思われるかもしれませんが、簡単に説明すると、畑の肥料には腐葉土や動物の排泄物を使用したりします。海中の海藻・海草やプランクトンも同じだという事です。肥料を求めているのです。魚たちは栄養豊富な海藻・海草やプランクトンを食べるとより元気に繁殖を続ける事ができます。その栄養素はどこから来るのだろう?
水が海から蒸発し、雲や雨になり降り注ぎ、森へ降った雨は浄化され、森林の営みから染み出る養分と一緒に川となり海へ帰ります。同時に木々も育みます。また鮭は産卵のため川を遡上し障害を閉じます。体の中に貯えられた栄養が山、川、動物に還元されます。(参考資料:電機ジャーナルNo.208)

森に木を植えて海を豊かにしよう!と漁業関係者の方は活動をしています。売り上げの一部は漁業組合などへ寄付させて頂いています。他に海難遺児基金、海岸整備などへも力を入れていますので、微力ですがご協力出来たらと思っています。眠っている大漁旗はつまり資源だと考えています。船の老朽化の為にお勤めが終わった旗を再利用し、その売り上げで木を植え海を育てる事が出来る、ここまでたどり着いて初めてリサイクルが完成すると私は考えています。

<大漁旗の由来>
大漁の際雇い主が、乗り手達に褒美として贈った晴れ着の、萬祝着(まいわいぎ)が元になっているそうです。旗は豊漁祈願、海上安全の守り神の意味があります。漁船の帰港、大漁であったことを知らせるために揚げるので、沖合からでも目立つように派手な色づかい、模様は大漁の意味を込めて、鶴や亀、鯛などめでたいものがモチーフとされる事が多い様です。そして旗は航海の安全と大漁を願って寄贈されるものです。
今日では新造船の進水式や、船魂さん(船正月)の時に揚げるぐらいのようです。他では、祭、結婚、出産などのお祝いに利用されるようです。

TAIRYO HUGのページはコチラです。

2016-03-13 | Posted in Blog, 前田育子さん Ikuko MaedaNo Comments » 

 

『It’s a oval world』 ダエンなセカイ 3月18日(金)~4月3日(日)

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楕円のうつわを集めた企画展を行います。“惰”円じゃないですよ。“楕”円です。ダ円を惰円って書いちゃうと、正円のなりそこねみたいな感じがしちゃいますもんね。本当は正円にしたかったんだけど、ゆがんじゃったからダ円ってことにしちゃえ!とかいう感じで。ダ円をなめてはいけませんよ。楕円の方程式覚えてますか?楕円だって美ダエンとそうでないダエンとがあるんです。歪んでりゃいいってもんじゃないんです(笑)。

ただ、“楕”という漢字自体がすでに長円の食器という意味を持つようで、そう考えてみると“ろくろ”というものが考案される前には、むしろ楕円の器の方があたりまえで正円の器は後から作られるようになったのではないか、とさえ思えてきます。縄文時代ほど昔に遡って考えてみるとします。何か食べモノを入れようとして自然界を見回したとき、それが葉っぱや木の皮だったかは知らないけれど円形よりも楕円形に近いものの方が多かったのではないか。それでもっと耐久性のあるものをつくろうということになって、石や木を削ったり土をこねてつくってみた器というのが、果たしてはじめから正円だったかどうか…。ちゃんと研究した文献を調べたわけではありませんが、食器として作られたモノの原型が正円か楕円かというのはちょっと興味深い問題のような気がします。そう気が付いてしまって以来、自分の身体の前でいざ食べ物を入れてみようという場面を考えるにつれ「むしろ楕円の方が自然発生的に必然的なカタチなのでは…」と思えてくるのですからもうワタシはダ円の虜です。だいたい、正円の方が自然界の中においては不自然に完璧なカタチ。楕円からみれば正円のほうが歪んだ世界なのかも。ダ円な太陽にダ円な月。手をつないでみいんなダ円の輪になって、世界はひとつ。オーバルな世界。…It’s a oval world!
Wikipediaによりますとオーバル、オーヴァル(英語: oval、あるいは ovoid、いずれも玉子を意味するラテン語: ovum から)は、幾何学で卵形や長円や、あるいは楕円に似た曲線のことを指す。また卵形・長円形・楕円形のことも指す。他の曲線と異なり“オーバル“には明確な定義がなく、様々な曲線がオーバルと呼ばれる、とあるようにオーバルという言葉の語源は卵や卵型のものを指すようです。タイムリーなことに毎年4月になったり3月になったりと変動するパスクア(復活祭。英語でイースター)は今年、会期中の3月27日。キリスト復活の象徴として欧米では玉子を使ったオーナメントを飾ったりそれでゲームをしたりします。イタリアでもパスクアの時期に食べる伝統料理が各地にありますし、子供や友人同士でもおもちゃの入った卵型チョコレートなどを贈る習慣もあります。カトリックにおいては重要なお祭りなので、イタリアでもクリスマスと同様親戚一同が集まってお祝いしていました。ろばの家でも、イースターにちなんで卵料理やオーバルに似合うお料理などを考え、楕円のうつわに盛って楽しんでいただくイベントなどもきたらいいなと考えています。せっかくだからママろば得意のイタリア風オムレツ、フリッタータを沢山焼こうかな?行事の詳細については、追ってFBなどでお知らせいたしますね。
ちなみに、わたくしママろばの一番好きなたまご料理は「茶碗蒸し」です。実家の母が、お祝い事(ひな祭りや運動会の夜など)によく作ってくれた覚えがあり、ハレの日のお料理のイメージです。瓶詰の栗のシロップ煮が入っていて、小さいころはそれを最後に残しておいて食べるのが楽しみでした。今は甘くて気持ち悪いので栗は入れず、自分でつくる時は銀杏を入れることが多いです。スが入らずなめらかに、フルフルに出来上がると嬉しいです。パパろばの一番好きな玉子料理は?と聞いたら、たまごかけご飯と目玉焼きのどちらを答えるか本気で考え込んでいました。プリンも捨てがたいそうです。後で「あ!温泉玉子って答えればよかった~~~」と言っていましたが、ほんとに玉子ってエライですね。バリエーション無限大ですもんね。うちの4歳のチビろばちゃんは、なんとゆで玉子に塩をつけないんです!!そして黄身だけ残すんです。。。目玉焼きの時は大好きな黄身を最後にとっておくママろばにとってはかなり不可解です。
玉子色って、なんだかとっても幸せな気分を象徴しているように思える優しい黄色ですよね。『It’s a oval world』も、そんなシアワセな、楽しい気分の行事になったらいいなと思っています。それから、期間中の土曜日はかえる工房さんよりわらび餅の他にも春の和菓子が届きますよ。桜餅に道明寺、三色団子など、こちらも今からとっても楽しみにしているママろばです。会期中は変則的な営業となりますので以下をご覧ください。

*3月17日(木)搬入のため臨時休業
*3月18日(金)9:00~17:00
18:00より『ダ円なお楽しみ会』を予定しています(誠に恐れ入りますがご入場はご招待のお客さまのみとさせていただきます)。
*3月21日(月)営業
*3月27日(日)11:00~16:00『たまご祭り』展示会場でオーバルのお皿で玉子料理などをお試しいただけます(入場自由)。
*4月3日(日)最終日搬出のため17:00まで
*4月7日(木)臨時休業
*会期中も3月21日をのぞく月曜日・火曜日はお休みさせて頂きます。

『It’s a oval world』 イッツ・ア・オーバル・ワールド ダ円な世界 3月18日(金)~4月3日(日) 予定参加作家さんは以下の方々です。

keicondoさん 加藤仁志さん 笠原良子さん 小林耶麻人さん 近藤康弘さん 境道一さん
関口憲孝さん 中村恵子さん 西村峰子さん 村上雄一さん 渡辺キエさん
*上記の行事内容は、予告なく変更となる場合がございますのであらかじめご了承くださいませ。詳細はこのHPやFacebookなどでご案内させて頂きます。

 

2016-03-07 | Posted in BlogNo Comments » 

 

金継ぎ教室。

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重い腰を上げ、ついにこの時が来た。とても気に入っている大江さんのカップを金継ぎする。麦漆を作り、割れた部分に塗って接着していくんですが、こういっちゃなんですけど、地道な作業。でも2人ともこうゆう作業は嫌いじゃないので、無言でひたすら作業。金継ぎSETなるものを購入していざ始めたものの、工程表で見ると一つの作業かもしれないが、その中にも細かい大事なことが色々あることを教えてもらった。SETを買って自分でやったらこうゆうところはわからなかったんだろうな。そう考えると金継ぎSETって一般の人にはかなりハードルが高いような…

いざ割れたところに麦漆を塗って、接着!おお~!くっついている。感動の瞬間です。テープ姿が痛々しいが、形が元も戻るだけでむっちゃテンション上がります!はやく次の工程に入りたい気持ちを抑えつつ、残りの工程も気が遠くなるほど長いですが完成目指して頑張ります。

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Keicondoさんがろばの家に初登場です。

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『Exotic Japanエキゾチック・ジャパン!?』

ついにろばの家にお招きしてしまいました。そりゃもう、億千万!億千万!というコールまで飛び交っちゃいそうなくらいのテンションで、ノリノリでご紹介しちゃいますよ~GO! GO!(なんのこっちゃ…すいません。ほんっと古くて)。

Keicondoさんです。笠間の。ご縁をいただいてから2年越し、満を持しての登場です。

でも、見てください。このパッキリ際立った個性。こんなにもはっきりと、目を閉じたあとでさえその残像を手でなぞることができる、そんな鮮やかな印象を与える作家さんは、もしかするとろばの家では初めてかもしれません。わたしは彼に「サンタフェっていうか、サバンナっていうか、もうとにかくまぶしい太陽の光と砂のザラザラ乾いた感じ…」と説明しました。サンタフェなんていう言葉、多分宮沢りえさんの写真集で話題になった時初めて耳にして以来全く更新されていないのではというほどご無沙汰なのですが、今の私にはKeicondoイエローを表現するのにふさわしい言葉が他に思いつかなかったのです。

でも、そこまで印象的な彼のイエロー…独立して以来ずっと作り続けているというそのイエローは、2年前から私たちを捕えてくれたわけではありませんでした。わたしたちにも時間が必要だったし、おそらくは、彼にも時間が必要だったのです。とてもえらそうな言い方に聞こえてしまいそうで心配なのですが、あの頃彼の作品には感じられることのできなかったエネルギーのようなものが、わたくしママろばを、そしてパパろばを今度は確かに、キャッチしていました。キャッチされてしまったのです。

“腑に落ちる”という表現があります。頭の上っ面だけで理解するのではなく、何かのきっかけで深く、心底から納得することができた状態を指すのだと思いますが、今では逆に腑に落ちないという否定の意味で多く使われているのかもしれませんね。でもこの、腑に落ちるという感覚をものすごくリアルに実感したのが昨年の11月に大阪で行われた『灯しびとの集い』というクラフトフェアでした。Keicondoさんも参加していたのですがその少し前、プライヴェートな席で彼とご一緒する機会があって、その時何気なく交わした会話の中にも、すでにヒントが散りばめられていたのを、わたしもパパろばも気が付かずにいたのでした。ただどちらからともなく『灯しびと』に行ったら絶対にkeicondoさんのところも行こうね、と決めていました。お目当ての作家さんのブースをあちこち回って「あ、keiさんいた!」とパパろばが見つけて作品を見せていただき、沢山のお客さんに囲まれて忙しそうなKeiさんがひと段落したのを見計らい、パパろばが大きな鉢を手に取って「コレ、むちゃくちゃ安くないですか?」と聞いていたのを覚えています。「う~ん、そうかなあ。でも、使ってもらわないと意味ないから。手に取りやすい値段っていうのは大事だと思うんだよね」とかなんとかKeiさんは答えていたと思います。すごく背伸びをして買っても、結局もったいなくてあまり使わなかったりした経験が自分でもあって、それじゃ意味がないな、と。
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多分そのひと事で、わたしもパパろばも、すでにやられちゃってたんですね~。これまで二人の中で改めて話したことはなかったのですが、Keiさんの作品は個性がはっきりしていて素敵だねとお互い思っていたはずなのに、どうしてか自分達との接点が見いだせていなかったのだと思います。そう、接点がなかった。世の中には素敵な作品を世に送り出す作家さんは沢山いて、好きだなあと思う作風の方はいくらでもいるのですが「この人こそろばの家に来てほしい!」と思うのには、物質的な美しさだけでは不十分なのだと、わたしもパパろばもはっきり意識出来てきた頃でもありました。もうそのあたりから、がぜん興味がわいちゃってるわけです。Keiさんという人間に。パパろばが作品を手に取る、そのときの眼でもうわかっちゃうんですよね、ママろば。ははは。というわたしもすっかり頭の中は「Keiさん、いいじゃ~~~ん。どうして今までもっと気をつけて見てこなかったんだろう?(←超エラそう!ごめんなさいkeiさん!)」などと真剣にひとつひとつ値段をチェックしはじめてたんですけどね。確かに、彼が言うようにお手頃な価格だあ!特に大きいものになればなるほど、え?こんなんでいいの?とびっくりしてしまいます。それって、逆のパターンを考えてみればすぐわかることですが、ものすごい威力がある印象なんです。もちろん、安い、高いは人によって価値観が様々ですが、少なくともわたしもパパろばも彼の言う「手に取りやすい価格」という言葉にはとても納得感がありました。

Keiさんのブースを出てすぐにパパろばと話したことと言えば「今さらお願いして取り扱わせてもらえるのかなあ」という姑息な心配でした。実は彼、同じく笠間で作陶する船串篤司さんの大親友。ろばの家ではほぼオープン時からお取引のある作家さんで、はじめてKeiさんを紹介してくれたのも船串さんでした。工房は目と鼻の先。「ちょっとkeiくんの工房も見てみます?」と田んぼのあぜ道のような細い土手を先に歩いて連れて行ってくれたのでした。「スープの冷めない距離ですね」とわたしが笑うと「コーヒーの冷めない距離と言ってください。」とKeiさんに訂正されました。本当にしょっちゅう二人でお茶してそう…。独立したのも同じ年で、よくお昼ご飯を食べに一緒に抜けたり、本当に仲が良いのです。最近船串さんは実家のある水戸市内で制作することも多く工房を空けている日も多いのですが「Keiさん、船串さんが工房にいるかいないか気配だけで言い当てるんですよ。まだ窯の煙が出てるかどうかも見てないうちから。」と助手の女性が「ちょっとコワイですよね」とこっそり教えてくれました。船串さんのことを「あっちゃん」と呼び、展示会も二人で3度程一緒にやってきたし、昨年12月に結婚したkeiさんが「奥さんより自分のことわかってる」と言ってのけるほど。初めてkeiさんの工房にお邪魔した時には作品もとても少なかったのと、あまり鉢のように日常使ううつわがなかったのもあって、すぐに扱いたい!とはならなかったのでした。それでもいくつか気になる作品があり「オーダーさせていただくことはできるんですか?」と話していたのにその後それっきりになっていたりして、ちょっと、申し訳ないというか、バツが悪いような気もしていたのでした。それを2年以上経った今、のこのこお願いしてもよいものか、と。でもKeiさんはそんなの全く関係ないというか、お邪魔したことさえ覚えてなかっただけなのかもしれませんが「もちろん置いていただけるのでしたら喜んで!」と快く引き受けてくださいました。ああ、ホッとしたあ~。

そしてさらに彼に興味が出てしまった瞬間が。それは、業界ではちょっと話題になった、昨年12月に黒磯のSHOZO CAFEで行われた船串篤司さんとの二人展。タキシード姿(右がKeiさんです)でビシッと決めた二人の姿はFBなどでコメントが炸裂していました。ろばの家でもこのDMを置かせていただきましたが、持って帰る人が多くてすぐになくなってしまったほどです。

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「あれ、すごいですよね~。ファンの子が沢山来ちゃうんじゃないですか?」なんてふざけて話を振ったらKeiさん、ああ、あれねと苦笑して「でも、きっかけは何だっていいんです。興味さえ持ってもらえれば。」と真面目に答えたのです。ヤキモノ業界は今本当に難しくて、どんどん若い人が陶器を買わなくなってきている。「こんなふざけたDMでも、それがきっかけで作家に興味を持ってくれて、実際に何でもいいからうつわを手に取ってみようというひとが一人でも増えてくれるなら、僕はなんだってやりますよ。」そう言い放った彼の、なんとカッコよかったこと。わたしもパパろばも、もうその時点ですっかりkeiさんファンになっていました。たぶんわたしもパパろばも、この瞬間に「やらせてもらえるのかな」から「なんとしてもやらせて欲しい」に変わっていたのだと思います。

前から「ちょっと大人っぽい、落ち着いた話し方をする人だな」と思っていたのですが、そしてそれが初めて会った時には「若いのにずいぶん達観したようなことを言うなあ」と若干懐疑的な印象まで持ってしまったのですが、彼のちょっと引いたモノの見方、自分の活動のことだけを考えるのではなく常に世の中全体、社会の中のどこに自分が位置していてそこで何をできるのか、について考え続けているような…そんな印象は、決してわたしの勝手な思い込みではありませんでした。独立前、世界観が変わるような経験をしていたようなのです。2年間青年海外協力隊に所属してボリビアに暮らしていたのだと、先日工房にお邪魔して取材させて頂いたときに話してくれました。これまで少しずつ、時間差で咀嚼してきたものが、いっぺんに、全てが腑に落ちたというような瞬間でした。ここ最近のママろばのテーマである「インタビュー動画」にも残っていて、皆さんにもお伝えしたいのですが、どうもわたしの持っている動画編集ソフトが撮ってきた録画形式をサポートしていないようで、いまとても苦戦しております(汗)。船串さんにもインタビューさせていただき、お二人ともゾクっとするような素敵な発言をしていたのに…。ああ、慣れないビデオを使ったもんだから。。。なんとか変換ソフトを探している最中ですので、もし成功した暁には皆さんにも観ていただきたいです。彼らが、日々何を思って土をこね、ろくろを挽き、窯の扉を開いているのか。そんな、普段は見られないような彼らのリアルな表情。エチオピアに生まれた、同じく陶芸家である父と日本人の母のもとに生まれ笠間で育ったkeicondoという人間が、これまでの人生で感じ、積み重ねてきたことが、どのようにあの温かなイエローに映しこまれ、進化してきたのかということを。

…なあんて書くととってもカッコ良いインタビューをしてきたみたいですが、実際には大爆笑の連続。後ろで船串さんが初めから終わりまでニヤニヤしながら見ているので、ママろばも汗をかきかき、話も寄り道ばっかで、かなり編集が大変そう(汗)。話の途中で船串さんとパパろばの笑い声が入るので「お茶の間バラエティー番組の効果音みたいだ」とkeiさんに突っこまれた、30分余りの楽しい会話。わたしが長々と喋りまくるより、Keiさんのあの落ち着いた静かな口調で「これはスプーンのあたりをよくするのにザラザラすぎる風合いを少し滑らかにして…」と使い勝手も追及してきた過程などを説明してもらった方が、100万倍説得力があるとわかっているのですが。それでも、わたしやパパろばが彼にすっかり惚れ込んでしまったその理由が、わずかでも、うつわという物質からも感じられるのではないか、そう感じてもらえるような写真が撮れたら…と気合を入れて撮影いたしました(このHPの写真4枚だけは珍しくママろばも頑張りました)。もちろん、実物を手に取っていただきたい、ご本人に会って感じて欲しい、のは山々なのですが…。

さあさあ、どこまで再現できたでしょうか。2億4千万の瞳?にお見せしちゃいますよ~。エキゾッチック・ジャペーン!
Keicondoさんのページはコチラです。

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2016-02-20 | Posted in Blog, Keicondoさん KeicondoNo Comments » 

 

大澤哲哉さんと船串篤司さんのうつわが到着。

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大澤哲哉さん、久々の入荷です。
昨年の『おやつの時間』でコーヒードリッパー&ピッチャーのセットやマグカップなどが届いて以来かな…?今回は、当店で定番的にお願いしてしまうリムボールや中鉢が各色入荷しているほか、フリーカップの形違いが2種類、こちらは初めて入荷しています。ひとつは背が低めで手頃なサイズ感なので、飲み物だけでなく果物やヨーグルト、冷製スープやピュレなどアイデア次第でいろいろ使えそうです。もうひとつは大ぶりのお湯呑みですが、“湯呑み”と呼ぶのをためらってしまうような優美な立ち姿。お茶だけでなくコーヒーやビールを飲むのにも具合の良い、やわらかなフォルムです。以前オーダーしていたうつわが到着した際「白と黄色が思ったように出なかった」と言って「もう一度作らせてください」と作品を引き上げた大澤さん。今回は、しっかりOzawaカラーに仕上がったのですね。白、黄色、赤、ともに一目で「彼だ!」とわかる色合いに焼きあがっています。ママろばは今回個人的に、赤がしっとりしていて好きです。彼独特の、アンティークのペイントのようなテクスチャーも随分とスタイルが確立されてきたように思えます。大澤さんのうつわを心待ちにしていた人にとっては、たまらない雰囲気なのではないでしょうか。はじめて彼に出会った時、大切そうに手の平の上でなでまわしていた、ブルーのテープカッターを思い出してしまいました。とっても新鮮なのに、どこか懐かしい。頭の中に最近ママろばがハマっているとある曲が繰返し鳴り響いています。

○大澤さんのうつわのページはコチラです。
○大澤さんと2年前の春はじめて出会った時の記事はコチラです。

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そして、車で一時間弱という地の利を生かして3か月に一度はお邪魔してしまっている感じの笠間の船串篤司さん。月曜日に工房であれこれ選ばせていただきました。ワインや食べること全般に興味がある船串さんとは毎回話題が尽きず、肝心のうつわを選ぶ前にいつも時間切れになってしまうこともままありましたが、今回は「先にうつわを選ばせてもらってから世間話をしようね」とパパろばに釘を刺されていたママろば。「これ美味しいんですよ~~~」と始めたサバディのチョコレートの説明もほどほどに、しっかりと見せていただきましたよ~。磨きこまれた銀彩が陶器であることを忘れてしまうようなお猪口や小ぶりのカップ、人気の貫入プレートなどを持ち帰ってきました。工房に通い出して2年ほど。だんだんとお互いを知るようになり、共通の話題が増えてきたせいか話がプライベートな領域にまで及ぶことも多くなりました。子供たちの話やお買いものの話でも盛り上がり、楽しい時間を過ごさせていただきました。人となり、というのでしょうか。その人の趣味嗜好や考え方、世の中との距離の取り方といったことまで理解できるようになってくると、がぜんその人の過去や内面に興味が出てくるママろば。年のはじめにパパろばに「今年の抱負は?」と聞かれ「インタビュー!」と答えて「なんじゃそれ?」たじろがせてしまいましたが、その宣言を実行すべく、船串さんにも簡単なインタビューをしてきました。落ち着いたらそちらも記事にしますので、船串さんファンの方は楽しみにしていてくださいね。あ、気長にお願いします。

○船串さんのうつわのページはコチラです。

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岸本恵理子さんのフォンダン・オ・ショコラが2種類入荷。

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昨年10月の『おやつの時間』でご紹介させていただいて以来、数多くのお問い合わせをいただいていた岸本さんのフォンダン・ショコラ。待望の再登場です!

岸本さんのお菓子は、もうあちこちに熱烈なファンがいると思うのですが、わたしたちも実際食べてしまうと、もうそのテンションの高さ、原材料の吟味はもちろんその組み合わせの妙、細部まで徹底して検討し、出したい雰囲気に持っていく確かな技術力とハンパないプロ意識に圧倒されてしまいます。でも何より彼女のお菓子を特別たらしめているのは、彼女の「料理に対する深い愛情」の現れなのでしょう、いいようのない温かい思いまでもが感じ取れてしまうところが、ただ彼女のお菓子は美味しいよね、というだけで済まない理由のように思います。きっと彼女は、キュウリの浅漬けを作っても、ウエディングケーキを作っても、同様の愛情を注いで料理を作るのです。なぜなら彼女はどんな時でも、それを食べる人の驚く顔、美味しいと喜ぶところを想像してキッチンに立つから。ああ、彼女みたいに料理が作れたら、どんなに楽しいだろうと羨ましくなります。ただひたすら高級な素材を使って、レシピに忠実に丁寧に作っただけでは決してたどり着けない種類の食べものが、そこにはあるのです。今回は納期に余裕がなかったり、原材料に限りがあったりとごく少量の入荷となってしまいましたが、ぜひひとりでも多くの方に彼女の愛情あふれるショコラを味わっていただきたいと心から思うママろばでした(すいません、そんなこと言っておきながら、しっかり自分の分だけは1本ずつよけた数しかアップしていません。どうかお許しを…)。

以下、恵理子さんがショコラの箱に入れてくれた小さな紙に書いてあったメッセージです。
*岸本恵理子さんとは一体誰なのか?については、昨年『おやつの時間』という企画でご参加いただいた際の登場人物紹介ページがありますのでコチラをご覧ください。

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イタリア・ピエモンテ州DOMORIドモーリ社のチョコレートを使ってシンプルに焼き上げました。日を追うごとに変化していく味わいもお楽しみください。

【ご注意】13日正午までのご注文で14日着指定が可能です】*一部の地域(北海道・九州・山口県・離島)を除く。

*オンラインストアのページはコチラです。

 

 

とびっきりのチョコレート。自分用?それとも一緒に食べる?

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完全に、自分が食べたいがためにお願いしてしまいました。目黒のCookie-Gさんのオランジェットです。これは今はお休み中の伝説のワインバー、Gar.netさんにて一枚ずつ販売していた頃からの大ファン…なので6年越し?気がつけば、世間では聖なるバレンタインディが近づいているとのこと。遅ればせながら、珠玉のチョコレートギフトを何種類かご用意いたしましたのでぜひご覧くださいね。特に、イタリアワイン好きにはたまらない特別なチョコレートも届いています。
ちょっと珍しいところでは、紅茶とチョコレートの意外な組み合わせが新鮮なuf-fu×Cookie-G冬のマリア―ジュセットも!この二つの組み合わせ、本当によくあってビックリでした。当店ではすでに定番のDOMORIドモーリからも限定チョコレートでギフトセットを組みましたので、今、ろばの家のチョコレートコレクションは、ちょっとしたものですよ。ぜひ店頭にもお立ち寄りくださいね。さらに明日には、前回相当数のお問い合わせをいただいた岸本恵理子さんのフォンダン・ショコラも2種類到着予定です。こちらは今回バレンタインの超・超スペシャルバージョンも5本限定でご用意いたしますので、明日のご案内をお楽しみに!

Happy Chocolate Giftはコチラです。

 

2016-02-11 | Posted in Blog, Cibi 食べ物, Cookie-G MEGURONo Comments » 

 

お茶の時間が、こんなにも大切なひとときになるだなんて…。

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ワタシにとっては特別な意味を持つ、お茶セットをご紹介します。たまらなく愛おしい、境さんの土瓶と汲出しです。完全に私物ですいません…。

去年の誕生日のこと。
ママろばは9月生まれの乙女座、O型です。誰も聞いてないけど。

9月も後半。長くいつまでも終わらないように思えた暑い夏もあっけなく勢いを失い、夜は肩になにか羽織らなければ肌寒くさえ感じられてきたころでした。

毎年のことなのですが、パパろばは誕生日当日の夜ではなく、前夜の12時過ぎに「おめでとう」と祝ってくれます。毎年のことなのに、毎年律儀にそれを忘れていて不意打ちを食わされる格好となるのですが、やはり去年もそうでした。

いつものようにチビろばたちが眠ったあとゆっくりパパろばの晩ごはんタイムとなり、二人で流しを片付けたりしているとあっというまに深夜。何を取りにだったか寝室に入り、リビングに戻ってくると大きな包みが食卓の上にありました。

それでやっと「あ、明日は誕生日だったっけ」と思い出すのです。まあ、そろそろ嬉しいだけでもないイベントとなりつつありますからね、バースディなんて。

その前の年はパパろばが大好きな金属の作家さんのカトラリーだったのでとても小さな包みでしたが、今年はなんだかブーツでも入っていそうな大きさです。茶封筒のような飾り気のない素朴な紙に荷造り紐をかけ、赤い小さな実をつけた南天のような枝が挿されているのですが、その赤い実がとれてバラバラ、バラバラ、あちこちに散らばっていました。

「え~、よかったのに。」と言いながらも、やっぱり包みをほどく気分と言うのはよいものですね。ウキウキしてしまいました。そして、くるくるとまかれた薄紙をほどいて出会ったのが、この土瓶と汲み出しでした。ブーツなんかじゃなく。
不意打ちだったのと、土瓶のとっつきやすい容姿に思わず顔がほころぶ反面「あ、また自分が欲しいものをワタシに贈ったなあ」と思い、つい彼にそう言ってしまいました。でもパパろばいわく、今回は純粋にワタシを喜ばせようと思って好きそうなのを選んだのだ、とのことでしたがなんだか言い訳のようにも聞こえてしまいます。

だって、あの境知子さんのなんでしょう?

あんなにあんなに、好きで好きでしょうがない作家さんじゃないの。やっぱり諦めきれないんだなあ…。そのプレゼントは、長野の『わざわざ』さんというお店のオンラインで購入したようでした。あとでネットで見てみるとパン屋さんでもあり、とても素敵なセレクションと個性的な店主さんの哲学がいたるところに垣間見える、興味深いお店でした。ちょっとオシャレな町の雑貨屋さん、というのとは一線を画しているように思えます。機会があったらぜひ一度行ってみたい。

ろばのウチには彼女のやきしめの盛り鉢と、白磁の楕円の大鉢があり、どちらもパパろばが、また別の都内のお店で手に入れたものでした。今やその二つの登場頻度ほぼ毎日。下手すると1日2~3回(笑)。

そもそも、そのまま火にかけられる耐熱のピッチャーをどこかで見かけたパパろばが、あちこち調べてもなかなか取扱いショップが見つからず、なんと境さん本人に直接問い合わせて紹介してもらったお店なのでした。店主の女性がとても親切な方で、いろいろ相談に乗っていただき結局はピッチャーではなくその二つの鉢の方を選び、取り寄せたのでした。白磁も、南蛮焼き締めも、どちらも本当に何を盛ってもサマになり、その上使いやすく洗いやすいものだから、しまったと思ったらまた出して、と休む間がありません。

使い込むうちにどんどん愛着が深まり、白磁のまるくなった玉縁を撫でまわしては「ああ、いいなあ境さん」とため息をついていたパパろば。

一度「やっぱり勇気を出して聞いてみよう!」と決意して直接境さんに電話をかけ、つくばでろばの家という雑貨屋を営んでいることを話したようです。ギャラリーでも専門店でもないのだけれど境さんのうつわをぜひ扱わせてほしい、と申し出てみたといういうか、告白してみたようですが、基本的にうつわ専門のお店としか取引をしていない、というお話や作品があまりなくて新規のショップはあまり積極的に受け入れていない、などなど事情をお話ししてくださったようで「やっぱりダメか」と肩を落としていました。

その時のパパろばの落ち込みようといったら…。青菜に塩とは言うけれど、どちらかというとお酢をかけたワカメくらいにぺたんと、へこみきってました。今思い返しても可哀そうになるほど。本当に、本当に、心から扱わせてほしかったんだなあ…と他人事のように憐れんでいたのですが、当時のわたしにはまだそこまで境さんの作品への思い入れというのが芽生えていなかったのです。わたしが彼女の作品の良さをじわじわと実感するようになったのは、そのうつわたちに色々な料理を盛るようになり、さらにこの、誕生日にプレゼントされたお茶セットを毎日使うようになってからのことでした。

ショップとしてお取引はできないかもしれないけれど、いちファンでいる分には自由とあきらめ、純粋な気持ちで作品を愛でていられれば幸せ、と割り切ったのかネットで画像を見るたびに「土瓶がまたキレイなんだよ~」とワタシにも見せてくれていたくらいなので「やっぱりほら、自分が使ってみたかったんじゃない。ワタシの誕生日を口実に…」と思ってしまったのですが、早速お茶を淹れてみようよとうながされ、お湯で土瓶をあたため、ゆっくりと何のお茶だったか食事の終わった食卓に二人並んで座ってズズズと汲み出しからお茶をすすっていた、その時です。

 

「こうやってさ、ジジババになってもさ、二人でお茶を飲んでたいなって思ってさあ…」とボソッと。例の低い声で。

 

 

…正直、やられましたね。

多分、その時ほど強く、ひとにいただいた贈り物をありがたいと思ったことは、これまでのママろばの人生上なかったように思います。これは何がなんでも大切にしよう。死ぬまでずっと、使い続けよう。落としたり、洗っていてぶつけたりしてよくうつわを壊したりヒビを入れたりしてしまうことの多いママろばですが、これだけはもう、絶対に大事にするぞ!万が一落として粉々に割れてしまっても、金継でもアロンアルファでも、どうにかして修復して墓場まで持ってくぞ、ってね。
だから、このセットでお茶を飲むたびに思うんです。大切な誰かがいつも傍にいるっていうことは、なんて贅沢なことだろうって。そしてどうしてこれまでそんなシンプルな事実に、感謝してこなかったんだろうって。

そんなワケで…。ワタシの生活の中でお茶の時間がとびきり特別な意味を持つようになったのはこの、境知子さんのおおらかで、どこか愛嬌のある土瓶と、若干大きさと内側の色合いが違うためにパパろば用とママろば用にちゃんと見分けがつく、世にいう夫婦茶碗的な汲み出し2つのセットのおかげなんです。

 

「お茶、淹れたよ。」

食事のあとのそのひとことが象徴する、目に見えない幸福のカタチ。

何気ないひとことに、今日も感謝です。

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使い始めて4か月ほどですが、もう貫入が目立ってくる箇所もあり変化してきました。あと30年使ったら、どんな色合いに変化しているのでしょうね。
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2016-01-29 | Posted in Blog, 境知子さん Tomoko SakaiNo Comments » 

 

『カカオも砂糖も農産物であったことに気づかせてくれる感動的なチョコレート』

12490210_902384539869307_1608721028_o そもそも滑らかさを追い求める一般的なチョコレートとは全く違うザコザコッとした食感のモディカチョコですが、サバディは革命的と言ってよいほどの品質。あらゆるベクトルにおいて別格です。いくらでも食べ続けられる軽さと鮮烈でネイティヴな香りに驚いてください! サバディを立ち上げたシモーネ・サバイーニ氏は、イタリアのパドヴァ出身で金融関係のサラリーマンとして働いていましたが、ヴァカンスでシチリア島を訪れるうちにその豊かな食文化と文字通り繰り広げられていたスローライフの素晴らしさに魅せられ、自分の人生を見つめ直すことにしました。仕事を辞してフェアトレードの会社で働くことにしたのですが、異なるカカオやサトウキビの産地に足しげく通ううち品種や産地による味わいの違いや香りの豊かさに夢中になっていきました。そしてそこでもまた、森に囲まれた畑やそこでのんびりと働く人々を眺め、理想の農業のあり方や人間らしい暮らしについても深く考えるようになったのです。そして、今やすっかり詳しくなってしまったカカオ豆と砂糖、この二つの農産物を使った素晴らしい食べ物がこの世にあることに気が付いたのです。そう、チョコレートと言う人々の心をとらえてやまない、魅惑的な食べ物です。これまでカカオ品種の違いはよく語られていましたが、もうひとつの重要な原材料である砂糖については、あまり語られてきませんでした。自分こそがもっともっとチョコレートの世界を面白くできる、そしてそれを生業としながらも、本来の人間らしさをも追及することができるかもしれない、そんな計り知れない可能性を感じてしまったのです。 シチリアでも伝統的なチョコレート生産で有名な町、モディカに居を移しサバディを立ち上げた彼は、有機栽培でかつフェアトレードで輸入された砂糖やファインカカオ(エクアドルでしか生産されないナシオナル種(アッリーバ)というカカオの原種に近い品種を採用)だけを使用することに決めました。フレーバーに使われる柑橘やスパイスも全て有機栽培、国外から買いつけるものはフェアトレードのもの。柑橘はスローフード協会のプレシディオ*にも登録される地場品種を選び、その日のうちに手作業で皮を剥き乾燥させるという徹底した品質管理に努めます。そして、試作の日々です。どの味を食べても、カカオとフレーバーの素材が絶妙なバランスを保っていて、そのブレンドのさじ加減にひれ伏してしまいます。 素材を吟味することはもちろん、どの程度加えるか?砂糖の量との兼ね合いは?香りづけの柑橘やハーブのフレッシュな香りをそのまま閉じ込めるためどのタイミングや形状で配合するかなど、本当に信じられないほど細かなポイントでの試行錯誤を繰返した末にやっとたどり着いた自信作、とのこと。日本の和菓子にも通じる繊細な仕上がりは、主張しすぎないけれどしっかり余韻を残すギリギリのラインでのせめぎあいです。なんとも鮮やかなお手並み!一人で楽に一枚食べられてしまうほど軽やかで胃にもたれないのには、どのシリーズを食べても心底驚かされます(決してママろばがものすっごい甘党だから、というだけではありませんよ!)。 超低温で溶かすため砂糖の粒がそのまま残り、ザクザクッとした食感が特徴的であるチョコラート ディ モディカ。モディカの町は今も伝統的手法で昔ながらのチョコレートを作り続けるお菓子屋さんがひしめき合っています。2011年にデビューするやいなやイタリア中で話題になった(数々のプレミアも受賞)サバディ。その後たった4年で25ヶ国に輸出されるようになり、ローマだけでも30店舗以上も取扱いがあるというほど勢いに乗っていますが、シモーネさんは伝統的手法を守りつつも最新の技術も一部取り入れ、従来の製法では難しかった保存上の問題をクリアするなど地道な研究もおろそかにしませんでした。伝統だけに縛られなかったこと、チョコレートを作る上で欠かせない重要なファクターでありながらこれまであまりフォーカスされてこなかった砂糖のクオリティーも追い求めたこと…。あらゆる意味におおいて革新的であった彼は、現在はチョコレート界をけん引する存在として各メディアで引っ張りだこですが、圧倒的な素材のクオリティーと突出した技術の陰に、シモーネさんのシチリアという島への深い愛着と憧憬、持続可能な農業に人類の未来をかける熱い想いなどが、サバディのラインナップのいたるところで垣間見られます。 北のパドヴァ出身で金融界でバリバリ活躍していたサバイーニ氏を魅了したシチリア島。豊かな自然や農産物だけでなく、そこに暮らすひとびとの伸びやかさや人間くささに、都会で見失いかけていた人としての本来の幸せを見出した彼は、サイトのトップページにこんな詩を書いています。


『Sabadi』

(サバディ公式HPより抜粋 翻訳:福江洋子)

サバディなんていう日は多分、この世に存在しない。 でも、いったい何が人生にとって本当に大切なことなのかということについて、ほんのちょっとだけ立ち止まって考えてみる、そのための日があったっていい。 生きてゆく上で本当に大切なことは何だろうかと、そしてそのために何をすべきなのかを考えてみるんだ。 日々の小さな喜びをかみしめるための時間をとってみる、そんな一日。 小さなころ原っぱで拾ってきたアンズや、ひとつひとつなんでこんなに違うんだろうと驚きながら食べ続けたリンゴの、今はもう忘れてしまったあの味を再び思い出すために…。


  このチョコレートを日本に輸入することにしたのは、つくば市にあるワイン輸入会社『ヴィナイオータ』さん。「”カカオも砂糖も、土(大地)から生まれているんだなぁ…”と思わず口にしてしまったそのセリフにシモーネの瞳が輝いた。一瞬にしてお互い分かり合えたと思ったよ。ワインでも、ハムでも、チョコでも、見ている方向が一緒の人達というのは、容易にお互いのことを認め合えるものなのだなあと、改めて思わされた」と話していました。 実は社長の太田さんとママろばとは、イタリア滞在時代からの旧知の仲。シチリアに住んでいたのにも関わらずこのサバディというチョコレート屋さんについて何も知らなかった(帰国してから出来た会社ですが)のと、オータ氏が輸入するからにはただのチョコレートであるはずがないことを知っていたのとで、そして何より、自他ともに認めるチョコレートマニアであるわたくしママろば、甘党代表としてオータ氏にサバディにたどり着いたいきさつなどを直撃インタビューしてしまいました!顔見知りなのに一般消費者にむけて喋ってもらったので、なんだかうさんくさいヤラセみたいな動画になってしまいましたが、興味のある方はぜひご覧ください…お時間のあるときにでも(笑) https://youtu.be/5mk7phzec7s 本文中の注*スローフード協会のプレシデイォ計画…小規模生産者を直接支援して伝統的な生産方法を守るためのプロジェクト。