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夏の間”ひたし豆”さえ常備しておけば!おかずもお酒のおつまみもアレンジ自在。


青大豆のひたし豆です。夏なので、生姜を効かせてスッキリ仕立てました。これが、これがですね。申し訳ないほど簡単なんです。一度に200gくらいずつ仕込んで冷蔵庫にスタンバイさせておけば、千切り人参とサラダにしたり、お豆腐と和えたり、ツナとトマトと紫蘇で食べたり、キュウリやキャベツの塩もみと酢の物風にしたり…とまあアレンジ無限なのですが、何よりもそのままコリコリ、モグモグ食べてしまうのがひたし豆の正しい(?)食べ方だとわたしは思います。お出汁ごとね~。これがホント、ビールにもお酒にもワインにも合うのよね~。おススメは青大豆や鞍掛豆!茶豆や紅大豆でも美味しくできます。この甘さ、お豆から出てるだけ?とびっくりしますよ。案外子どもも好きで、ウチのチビろばちゃんたちにも大好評です。

ひたし豆の作り方随分前に『べにや長谷川商店の豆料理』という本で知ったのですが、あまりに美味しくて簡単で何度も何度も繰返し作っていました。ろばの家でべにやさんのお豆を色々販売していてわかることは、お豆は好きだけど自分で戻すところから料理するのは面倒でハードルが高い、と感じている人が多いということです。そんな中ダントツの人気を誇っているのがミックス大豆。2~3分フライパンで空煎りしてお米をセットした炊飯器にジャッと入れ、普通に炊くだけで簡単に美味しい豆ご飯が出来るのです。色とりどりで見た目にも可愛らしいのですが「事前にお水に浸けておく必要がない」という一言で皆さん「やってみようかな」と思って下さるようなのです。一度試していただくと「炊いている時のあの香ばしいにおいがたまらない」「冷めても美味しい」「子どもがおかわりする」と沢山の方がリピートしてくださいます。お豆料理ってもっと大変だと思っていた、と言いながら。

お豆料理を避けてしまうという人は、レシピによくある「8時間たっぷりの水に浸け…」という一文のせいで「その時間にちゃんと調理体制に入れるのだろうか?」と不安で気持ちが折れてしまうのではないかと思うのですが、実はそんなに厳密じゃなくても大丈夫なのに…。冷蔵庫に入れておけば一日放っておいても平気です。さらに言えば、8時間と書いてあってもそれより短くたってたいていの場合問題なく茹で上がります。「冷蔵庫にお肉もお魚もない!明日買い物に行かなきゃ」というような夜にお豆を水で戻しておけば、それで翌日立派なメインのおかずができるんです。ゆで時間も、案外早い。このひたし豆など15分くらいです。慣れてしまうと、便利で手軽で美味しくて、しかもお肉やお魚よりも安い!ヘルシーで栄養価も高い!と、これほど優秀な食材は他にあるまいという素敵なお豆。でも、お豆料理は苦手、という方も多いんですよね。それはひとえに、長らく日本でお豆料理の主役の座を占めてきた、お砂糖たっぷりの甘煮のせいではなかろうか?とワタシは思っているのです。スイーツとしてではなく、食事としてお豆を食べるのに甘煮仕立てにすることが多いのは、おそらく日本だけの事なのではないでしょうか?つまり、諸外国では圧倒的に甘くない料理が主流なのです。お豆料理があまり好きでない人、特に男性に多いように感じるのですがその多くは「甘くて苦手」という印象を持っている。でも、チリコンカンやひよこ豆のカレーもダメ?と聞けばそちらは大丈夫だったりすることも多く、要は、豆が苦手なのではなく「甘い豆が苦手」ということのようです。そういう方にぜひとも試していただきたいのがこのひたし豆!まずはそのまま、コリコリどうぞ。お砂糖ではない、自然なお豆の甘さならきっと甘くて嫌い、とはならないはすです。

ここで、べにや長谷川商店さんの本にあったひたし豆のレシピをほんの少しだけアレンジしたものをご紹介します。お醤油の量が少な目なのは、梶田さんのお醤油を使っているからかも。旨味が強く、よくのびるのでレシピ通り入れるとワタシには味が濃すぎるように感じてしまうのです。あくまで目安なので味を見て調味料の量を調節してくださいね。液が冷めてゆく間に味が入るので浸し汁が熱いうちに調味料を加えるのがポイントです。

ひたし豆

材料 : 大豆系のお豆200g(大豆、青大豆、鞍掛豆など)
お醤油 大匙1
レモンの絞り汁または米酢 大匙1
お好みで薄切り生姜(繊維に添って切る) 5~6枚

1、お豆は一度ざっと洗ってからたっぷり、約4倍ほどのお水に浸しておく。
(時間がない場合は戻さずに炊飯器に4倍のお水とともに入れて炊飯スイッチを入れるだけで上手にふっくら炊けるという裏ワザもありますが炊飯器がかなり汚れます)

2、お豆がふっくら戻ったら火にかけ、沸騰したらふつふつするくらいの中火で15分~20分。歯ごたえを残して茹で上げます。

3、茹で汁を半分くらいに調節して熱いうちに調味料、生姜を入れて冷ます。冷めたら汁ごと冷蔵保存。夏場は3~4日で食べきる。

以上。残った茹で汁は、捨てずにたっぷりの摺りおろし生姜とお醤油を少し垂らすと、蕎麦湯のように滋養たっぷりのスープに。浸し地に茹で汁を使わず、熱いかつお出汁300ccに調味料を入れたものに茹でたての大豆を入れても同様にできます。もっとクリアで上品な味わいのひたし豆が出来ますが、お豆の茹で汁だけでダイレクトにお豆の旨味を感じられるひたし豆もワタシは好きです。同じやり方で米酢をワインヴィネガー、お醤油を塩に、生姜を薄切りにんにくに替えて、食べる時にオリーブオイルとコショウをかけるとまた違った雰囲気が楽しめますよ。

さて、手軽なお豆ご飯やこの浸し豆で塩味のお豆料理にハマったら、ぜひぜひ他のお豆料理に挑戦してみてください。先のレシピ本にも載っているメニューは本当にどれも驚くほど簡単で時間もかかりません。ちなみにママろばの超、超おススメメニューは、 ●青大豆の青のりがけ(P33) ●手亡ペースト(P38) ●ミックスビーンズのマリネ(P42) ●豆の天ぷら(P67) ●じゃがいもと白花豆のスープ(P76) などなど。他にもたっくさん美味しいレシピが載っているのですが、どれも一度作ってしまえば次から材料や手順をみなくても作れるようなシンプルなものばかり。「さて、あれを作るぞ!」という時にいちいち本を引っ張り出してきて(何ページだったかな?)材料を計らなければならない(えっと、醤油が大匙一杯に、お酢が…?)ようだと面倒で、結局つくらなくなってしまいます。ママろば、わが家の定番となるお料理が1冊に3つでも載っていればもうけもの、と割り切ってレシピ本を買うようにしています。これだけライフスタイルが多様化している中で、他人の紹介する料理が家族構成や家族の好みなど自分の境遇に何もかも合致するということなどそうそうない、ということなのでしょう。メニューが決まっているなら、検索すればすぐ調べられる時代ですしね。だからこそ、身体が覚え込んでしまうまで何度も作るような一品がいくつも載っている本に出会える喜びが貴重なことに感じられるのです。今はもうあまり手に取ることがなくても、これだけヒントを与えてれたのだから十分すぎるくらい元をとった、と思って感謝する。これはそんな本のうちの一冊です。海外編もあって、こちらも世界各国のシンプルで美味しいお豆料理とレシピが、その国の食文化や暮らしぶりとともに楽しめる読み応えのある本です。

そのべにや長谷川商店さんからお豆のサマーセールのご案内が届きました。お豆を煮るのって、暑いイメージがあるのでしょうか?敬遠しがちになってしまう…?いえいえ、皮をむく必要もなく、水に浸しておくだけでそのまま茹でれば出来上がり!のお豆は実は台所に立つ時間も、お鍋についている時間も短い超時短料理。夏だからこそ、お豆料理、なのです。とにもかくにも、浸し豆をお試しくださいませ

●夏の豆セール開催中!お豆全品10%オフ!
べにや長谷川商店さんのページはコチラです。

*こちらの記事は2017年7月に書かれたものを再編集しています。

 

 

 

 

uf-fuさんの紅茶は、その存在自体が詩的。水出しとアイスミルクティーをぜひ試して。

なんとも耽美なこの液体の正体は、実は紅茶です。Amber アンバーという名前のついたフレーバードティー。春摘みのファーストフラッシュのダージリンをベースに、ブルガリアンローズの製油、花びら、カモミールの花をブレンドして作られている、uf-fuさんでも人気の高いお茶です。これは水出し用に茶葉を抽出(コールドブリュー)している途中にあまりにも美しかったため白石さんのお皿に移して撮影した物です。抽出している風景はもう何と言うか、ポエムそのものです。トロンと上品な香りと自然な甘み、優しい旨味が口の中に広がる夢のように印象的なお茶が出来上がります。

紅茶という飲み物は、もう、その存在自体がPoetico=詩的で優雅なイメージがあるものですよね。そう、ポエティコとはイタリア語でPoetic、詩的という意味のことなのです。間もなくろばの家ではじまる企画展、モメント・ポエティコとはPoetic Moment、つまり直訳すると詩的瞬間という意味のタイトルなのです。何度もこのHPでもお話に登場しているuf-fuウーフの代表、大西さんのことを、わたくしママろばは密かに”ネーミングの神様”と崇めているのですが、抜群のワードセンスを持った人だと思います。uf-fuさんの紅茶を選ぶ際、ブレンドの名前を見ただけで「んもう、大西さんズルイ!」と憎たらしく思えてしまうほど、秀逸なのです。日本語、英語、フランス語、イタリア語をそのイメージに合わせて上手に使い分け、そのお茶に対してなかば運命的とさえ思えるようなピッタリのワードを引っ張り出してくる。その言葉のひとつひとつ全てが、詩的なのです。だいたい何が詩的って、彼の生き方そのものがすでにポエティックな印象を周囲に与えてしまう、特別なオーラを普段から持ち合わせている人物なのです。

例を挙げてみましょうか。まず、Soleil ソレイユ。フランス語で太陽を意味するこの言葉は、ルイボスティーにベルガモット製油をブレンドしたuf-fuさんオリジナルのハーブティーで、びっくりするほど美味しい。瑞々しく、水以上に喉を潤してくれます。ベルガモットという柑橘は、アールグレイに使われている香り、と言えば想像しやすいでしょうか?わたしもパパろばも大好きなお茶で、夜寝る前に飲むのに一番のお気に入りです。ホットで飲んでも、水出しでスキッと飲んでも両方それぞれに楽しめ、食事中も脂分を切ってくれる出番の多いお茶です。南アフリカで「奇跡のお茶」と呼ばれているルイボスティーが日本に輸入されるようになったのは30年ほど前で、正直、健康・美容に良いとしてダイエット目的で愛飲する人が多い「あんまり美味しくはないけど身体によさそう」なイメージしかありませんでした。それがこんなにも美味しく、純粋に嗜好品として味わいだけから支持できるものになりうるという事実に衝撃を受けました。ルイボスは南アフリカのセダルバーグ山脈でしか生息しない針葉樹で何百年も前から先住民族のコイ族、サン族で日常的に飲まれてきたお茶でした。体内の余分な活性酸素を除去してバランスを整えるアンチエイジング効果やむくみの改善、アトピーの改善、貧血予防、便秘・下痢解消、二日酔いを軽減するなど、効能を挙げればきりがなく、それゆえ奇跡のお茶と呼ばれているようです。

ただですね、身体によくなくたって、ただもうひたすらに美味しいお茶なのでお客さまには効能を説明することなくお勧めしております。その、南アフリカの砂漠のように乾燥した土地にしか生育しないルイボスのお茶にソレイユですよ?ちなみに、ルイボスティーに生姜をブレンドしたバージョンもあって、そちらはLuneリュンヌ=月という名前です。これが、SunとMoonだと、かなり印象が違ってしまいますよね。「太陽のお茶」「月のお茶」、あたりでもまあまあと言えなくもないですが、ソレイユとリュンヌという響きの前にはひれ伏すしかありません。

uf-fuさんのオリジナルブレンドに与えられた名前は他にも「んもうニクイ!」と膝を打ってしまったものが沢山あって、例えばkeemon Tresor キームン トレゾア という名前もそうです。これは中国紅茶の祁門(キームン)の特別なキュベで、大西さんの説明には「産地で出会った芳醇な香りと、余韻が長く続く味わいを持つ美しい茶葉。からだに巡る味わい。あまりにも好みのお茶でしたので、Tresor(トレゾア 宝物) と名付けました。」とあります。このお茶の素晴らしい余韻や唯一無二の高貴な味わいに関しては、別の記事でご紹介したので割愛しますが、気に入ったキュベにトレゾアだなんて、普通思い浮かばないですよね。フランス語が続いていますが、英語の方がストレートに伝わる響きを持っている場合には迷わず英語でネーミングしています。

上の画像はCitronシトロン。夏の水出しの定番です。レモンピールの入ったブレンドにシトロンという名前など当たり前(味は全然普通じゃないのです。恐ろしく瑞々しく、試飲で出すと皆さん買ってしまいます)にすぎますが、例えば標高の高い畑の、当方美人のように半発酵製法で作ったダージリンにつけた「Himalayan Beautyヒマラヤン ビューティー」という名前や「Jasmine Supreme ジャスミン シュプリーム」など、他にはあまり見ない名前です。「Darjeeling Pure Blend ダージリン ピュアブレンド」なんてのもありましたね。ピュアブレンド!ニクイを通り越して、いやらしい、とさえ思ってしまうほど購買意欲をそそられるネーミングです(笑)。

ネーミングって、究極の詩作だと思うのです。悪くすると手の内を見せてしまうというか、売る側の思惑をダイレクトに反映してしまうものですよね。詩作というものが、多分に職業的な作業であることを考えると、出来の良し悪しが如実に出てしまうものでもあるわけです。お店をやっていると、さまざまな立場の人間の実にさまざまなネーミングセンスをいやがおうにも見てしまうわけですが、大西さんのセンスにはいつも舌を巻くというか、製薬業界に見られるようなダジャレ的ネーミングに逃げてしまうママろばとしては羨ましくて仕方がないのです。よし、これからは紅茶王子じゃなくって、ポエット大西と呼ぼう!

…と、今ろばの家はとっても言葉というものにフォーカスしているのでネーミングの話題ばかりになってしまいましたが、何よりも彼を羨ましく思ってしまうのは、uf-fuさんの唯一無二といってよい紅茶のクオリティー、個性であることは言うまでもありません。そのネーミングのセンスでさえかすんでしまうほどの、本質的な美味しさを求める茶葉を選び抜く厳しい姿勢と自らの感性を研ぎ澄ます努力が、見事に紅茶という世界で実を結んでいるというその事実に、心からの賞賛を贈ることでちょっとおちゃらけてご紹介してしまったことを許してもらおうっと。なにせ、断然コーヒー党だったパパろばとママろば二人を、いきなりお茶党に改宗させてしまうくらいのインパクトを与えた人なのですから。たった一杯の水出しダージリンを飲ませてくれただけで、ね(確かダージリン キャッスルトンだったはず)。それに続くフレーバードティーの水出しでさらにノックアウトされたあの出会いは、何年前だったかしら。フレーバードティーなんて、一生飲まなくていいとさえ思っていたのに!

ああ、もう、ほんっと、神様はズルイ。大西さんのお茶は、全てが、あまりにも特別です。今回は彼の詩的センスにあやかり、また敬意を表して、『momento poetico モメント ポエティコ』の会期中(6月1日~16日)、大西さんの茶葉を使った水出しティーや、サロンで定番だというアイスミルクティーをご用意いたします。アマンドバニーユやペパーミントティのアイスミルクティー、皆さん試されたことはありますか?芦屋のティーサロンではスペシャリテとして長い間ベストセラーだそうで、極濃いめに出した紅茶を氷でしめて甘みを加え、少量の低温殺菌乳で割る、格別に濃厚な味わいです。エスプレッソで淹れるカフェラテと同じような芳香さで楽しめるミルクティーなのです。ほかにも桜野園さんのお茶やハーブティーなど、パパろばが気分で選ぶお茶を毎日色々用意して、皆さんに楽しんでいただく予定です。目にも口にも詩的な会となりますように。

ろばのウチで愛飲するuf-fuさんのお茶はコチラでご覧いただけます。

2019-05-29 | Posted in Blog, uf-fu ウーフ(紅茶)No Comments » 

 

パンのある食卓をもっともっとシアワセに。

やっとやっと、境道一さん、境知子さん、関口憲孝さんの作品を『Pane felice シアワセのパン』Onlineページに掲載いたしました。すでにご紹介している大江憲一さん、村上雄一さん、宮下敬史さんの作品も含め、11日までの限定公開となりますのでご注意くださいね。

実店舗での『Pane felice シアワセのパン』は長いGW連休の終わり、6日の休日が最終日でした。

パンのある食卓で活躍するうつわや食べ物をテーマとして展開してきたこの企画展、連日沢山の方にお越しいただき、慌ただしいながらも充実した2週間を過ごしました。そして改めて「パンってすごい!」と感心してしまいました。

「パーラー江古田さんのパン、一度食べてみたかったんです」と遠くからかけつけてくださった方、「ベッカライさんとのコラボパンってこれですか?」と毎日SNSをチェックしてくださっていた方、リボッリータにはやっぱりイタリアパンでないと…とPanezzaさんのパンを沢山買い込む方、本当に、良く皆さんこんなにご存じだなあ、何度もすごいなあ、と。パンって、かなりの訴求力を持つ食べものなんですね。

なぜこんなにもパンという食べ物が好まれるのか?腕を組んで考え込んでしまうほど、誰もが夢中になる様子を目の当たりにしました。そう、どうしてパンはこんなにも、多くのひと、幅広い年齢層に好まれるのか。子どもからお年寄りまで、まあお年寄りになると硬いパンは苦手とかいろいろ好みもあるかもしれませんが、とにかく老若男女、一億総パン好きと言っても過言でないほど、日本人はみんなパンが好き、そんな印象があります。街を歩いていて目にするパン屋さんの多さもそれを物語っています。ろばの家があるつくば市はパンの街、と行政的にもアピールしていて本当にパン屋さんが多い。国の研究機関が集中しているため外国人居住者が多い、というのもパン屋さんが古くから発展した理由のひとつ、と市が発行している案内誌で読んだことがあります。

当店の道を挟んで真向かいにあるBäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトさんには、開店前から行列ができます。県外からパンを買いに来る人も絶えません。聞くと、他に何軒もパン屋さんをはしごするのだそうで、その情熱たるやレンタサイクルで数時間の道のりをも物ともしない、やや尻込みしてしまうほどの気合です。パンという食べ物の何が、そこまで人を動かすのでしょう。それにはもちろん、沢山の理由があるのだと思います。まずもって簡単、超がつくほどファストフードです。ペリリと紙袋から出すだけで食べられる。一食それだけで済んでしまうことも多いですよね。その割にはリーズナブルであるということもきっと大きな理由です。星付きレストランを食べ歩くお金があったら、いったい何軒パン屋さんをはしごできることか!そして、驚くほどに多様なバリエーションがある。それも人気の理由だと思います。パーラー江古田の原田さんは一日にだいたい30種類のパンをお店に並べるそうですが、原田さんが修行したお店はそれが常時300種、バリエーションで言うと400種もあるそう!ひええ~~~、400種類のパン!手軽というならおむすびだって手軽ですが、おむすびで400種の具材を揃えるのは至難の業という気がします。そして、それだけ自由にバリエーションをつけられるということは、お店によって違う味、個性を出すことが可能だということですよね。だからこそ、パン屋めぐり、などという発想が生まれるのでしょう。

今回の企画展に出ていただいたパン職人さんのお店は3店ともハードパンが主軸で、いわゆるお惣菜パン、菓子パンの部類に入るモノにあまり力を入れていません。小麦と水、そして酵母と向き合っている職人さんたちです。わたくしママろばは、あんパンだって大好きだし、チョコレートデニッシュにだって目がないし、日本の菓子パン文化を否定する側ではありません。けれどもパンを食事の中でいただく時にはやはり、パンの本場、フランスのバケットやドイツのサワーパン、イタリアの田舎パンなど、出来るだけ現地の味に忠実に作られたものを好みます。ふわふわの食パンでトマト煮込みを食べたいとは思わないし、ロールパンをスープに浸すのは遠慮したい、それが本音です。意図したわけではなかったのですが、今回はPanezzaの角谷さんはイタリアで修業したままのやり方で薪窯のイタリアパンを焼くし、ベッカライの菅原さんが修行したのはドイツです。パーラー江古田の原田さんのパンは、国籍不明、いろいろな国の良いとこどりのような形ですが、むしろイタリアではお目にかかれないようなしっかりしたチャバタ、フランスでもここまで風味のあるものは少ないだろうというようなバケットなど、ふわふわパンとは真逆の立ち位置にいます。

単にパンの硬さが問題ではないので軟派、硬派、と呼び分けるといろいろと波風が立ちそうですが、まあ、あえて分類するなら硬派の部類に入る彼らのパンにも、こんなにもファンの方がいる。それは異国の食文化に敬意を払いつつ日本人の口に合うようにアレンジするのが上手な日本人の器用さが、結果として日本におけるパン文化の二極化を生み出した。高品質な原材料にこだわった本場顔負けのパンと、日本独自の多様な創作パンの二極。そうとらえて良いのだと思います。ヨーロッパの人に、日本では全国どこでも同じ銘柄、同じ味、同じ値段で売られるパンがドラッグストアでも買えるのだと教えるととても驚きます。スパゲティナポリタンが喫茶店メニューに載っているのと同時にイタリアンのリストランテではかなりマニアックなご当地パスタも食べられる。いかなる国のものであれ、異文化の外食産業すべてに当てはまる日本独自の発展の仕方なのでしょう。沢山選択肢があるという意味では健全に発展してきた証なのかなあ、とも思います。一方で、先日もSNS等で話題になっていましたが、デパートの催事場で出されたバケットが焦げすぎているとお客さまから苦情がありパンを全て引き下げた、という事件に代表されるような、文化の未成熟さを感じるのも事実です。もっともっと、Panezzaさんの薪窯で焼いた小麦と塩と水だけが原材料のイタリアパンのように、食事と合わせてこそ真価を発揮する、つまり真の意味で主食としてのパンの楽しみ方も浸透していったら素敵だなあと思わずにはいられません。

と、またまた前置きが長くなってしまいました。ママろばの日本におけるパン文化考察をご披露するのが今回の目的ではなかったのでした。ずいぶん時間を要してしまいましたが、やっとやっと遠方の方にも『Pane felice シアワセのパン』をのぞいていただく準備が整ったのため、再度シアワセな食卓シーンを再現しよう、そう思って書き始めたのでした。いうなれば、シアワセのパンの名場面集でございます。

あの、芳ばしい香り。焼きたてのパンのある食卓は、それだけでもシアワセ。そのシアワセの食卓を、さらに楽しく、ウキウキしたものにしてくれるうつわたち。しばしの間、ブーランジェリー・ドゥ・ロバアに変身していたろばの家にはお越しいただけなかった方も、その香りを少しでも感じていただけたら、ワタシたちもシアワセです。

『Pane felice シアワセのパン』Onlineページはコチラです。


トップ画像のトマトのブルスケッタが載っているお皿は境道一さんの作品。織部釉のこのグリーンは、道一さんのイメージカラーです。パンの色はもちろん、トマトや玉子などパンによく添えられる食材を鮮やかに引き立ててくれる美しい色。薪窯ならではの色調の幅広さが魅力で、上のように淡い若草色に発色するものもあれば、下のように青銅のように深い青緑色に発色する場合もある、カメレオンのように不思議な釉薬です。フラットなプレートにはチーズやサラミなど、パンのお供を盛り合わせても映えますね。

道一さんは黒も素敵です。たっぷり入るマグカップはスープにも。


お皿は境知子さん。道一さんの黒と合わせても違和感がありません。縁のしのぎがアクセントのこのお皿は白、黒色違いがあります。マットな感じが、トーストしたパンを載せても汗を吸収しカリッとクリスピーに保ってくれそう。それにしても、Panezzaさんのイタリアパンはトーストすると外側がカリッと、中はモチモチと弾力があり食感がとてもいい。焼かずに食べた時とものすごく印象が変わります。噛みしめる度に小麦の味が口いっぱいに広がります。

知子さんといえば、ポットやカップなどの茶器。たっぷり紅茶が入る優雅なポットや横から見た立ち姿が美しいマグカップたちもぜひご覧ください。


知子さんは白磁の素晴らしく美しい台皿も届けてくださいました。これが、ちょこっとバターやパテを添えたり、フルーツやサブレやマカロンなどのプティフールを盛りつけたりするとテーブルのよいアクセントになるのです。台皿は、もっともっと活用してほしい便利アイテム。一段ほかのお皿より高くなることで、パッと目を引くうえ皆が手を伸ばしやすくなりおもてなしに重宝します。

そして、ミスターニュアンスカラーといえば関口憲孝さん。今回は、スープやシチューによいお皿やヨーグルトやスープに使えるカップ類やマグを届けてくださいました。相変わらず優しいカラーが美しく、パンの地味なブラウンカラーを引き立ててくれます。下の画像は奥のうつわも関口さん。そして…これが噂のシアワセすぎる絶品パテ・ド・カンパーニュ。長崎のImpeccableアンペキャブルの大坪シェフ特製です。あの脂身の甘さ、熟成させた時のレバーのねっとり感…忘れられません。


会期中は、パンを使ったお料理もいくつかご紹介していました。夏になると必ず食べたくなるパンツァネッラは硬くなったパンを水にひたしてからトマトや玉ねぎなどと和えて冷やして食べるパンサラダ。食欲のない時、暑くて火を使いたくない時などに最高のひと皿で、画像はシチリア風にアレンジしたパンツァネッラ。生のトマトよりもトマトの旨味をフレッシュに楽しめるイザベラおばさんのペラーティと塩抜きせずに使える香り高いアリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーをオリーブオイルで和え、生のスライス玉ねぎを和えただけの簡単パンツァネッラです。関口さんのスープ皿にトマトの赤が鮮烈でした。
アリアンナのケイパーについては別の記事でレシピを載せていますjので、ぜひ参考になさってくださいね。ケイパーを入れると途端にパンに合うおかずができますよ。そしてそれはイコール、ワインにも合うお料理がすぐにできてしまうということ。パンの企画でしたが、パンの出番は朝食だけではありません。ワインを飲むときには、どうしてもお米でなくてパンが欲しくなってしまうもの。美味しいパンに良質なチーズ、身体に負担をかけない自然なワイン。まっとうに作られたオリーブオイルもかかせません。ろばの家のあるつくば市(さらに言えば天久保界隈)は、そのどれもがすぐに手に入る恵まれたロケーション。次回は『ろばの家、春のパンまつり』はやめにして、パンにワインにチーズ(…略してパンチーワイン!どうかしら?)にフォーカスした企画にしようかな。

次回の構想(妄想?)も見えてきたところで、Onlineでのご紹介は11日まで。あと4日間だけ、ろばの家春のパンまつりにお付き合いくださいね。

 

Pane felice シアワセのパン
~パンをもっと楽しむヒント集~

いよいよ始まりましたよ~。ろばの家、春のパンまつり!
シールを集めて、素敵なうつわをもらっちゃおう…じゃなくてっと…誰かに怒られちゃうかな(汗)。

冗談はさておき、春のパンまつりはすでに始まっております。

なんとなんと、な豪華メンバー。パンをもっと楽しむためのヒント集。

つくば市は、パンの町と謳っているようにパン屋さんの沢山ある街。
なかでも、当店のお向かいさん、Bäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトは数あるつくばのパン屋さんの中でも都内や近隣の県からもパン好きが行列に並ぶ、名店中の名店。ご近所さんの特権を行使して無理難題をふっかけ、毎日菅原さんを困らせてしまうママろば。まんまとろばの家の食材を手渡し「あとはお任せしました!」とスペシャルパンをオーダーしてしまいました!初日の日曜日にはいきなり、仙人スパイスさんの純胡椒を使ってペコリーノフレッシュを練り込んだスティックを焼いていただきましたよ~。カリリと焦げたチーズが芳ばしい軽いパンに、ピリリと爽やかな生グリーンペッパー。食べたひとは一人残らず、ビールやワインが欲しくなったに違いありません。

そして、久々に復活!贅沢焼きパニーノも用意しました。これはもう、ひとえにAncomar社の特別なアンチョビを味わって頂くためのシンプルサンド。そのアンチョビ、どんなお味かといいますと、超高級な熟成生ハムの持つ複雑な旨味、しっとりとした肉質、上品な塩味…なにからなにまで、単なる缶詰とは思えないクオリティー。実際に食べてみないことにはわからない、言葉では言い尽くすことのできない味わいです。会場では、そんな特別なアンチョビをストレートに感じて頂くために、ニュートラルな味のチャバタ(ベッカライさんのサンドの定番!)を使用。セミドライのトマトのオイル漬けだけをアンチョビと重ならないように配置して、グリルパンの上で木蓋で押さえながら焼きパニーニに仕上げるのです。外はカリッと、中はモチッと。齧るとわかる、アンチョビの旨味。違いの分かる、大人の味わいです。

会期中は、他にもいろいろなろばの家の食材コラボパンを、毎日焼いていただく予定です。完売必須。早いモノ勝ちです!

そんな幸運な立地とイタリアワインの仕事をしていた頃からのコネ(笑)をフルに生かして、隣町の八郷にある薪窯イタリアパンのPanezzaパネッツァさん、東京は練馬区の江古田にあるパーラー江古田さん、そして、長崎の名門フレンチ、Ampecableアンペキャブルさんまで巻き込み、これでもかとパンのある食卓を充実させてしまいます。

もちろん、パンそのものが美味しいだけでは満足できません。今回は、パンをもっと美味しく楽しむためのうつわがテーマ。一見パンが主役のこの企画、どっこい主役はうつわなのです。パンは、その引き立て役(笑)。焼き立てパンをパリッと保つ木のうつわはもちろん、パンとスープも盛れちゃうゆったりプレート、スープカップ、パンと一緒のテーブルで活躍するヨーグルトカップやサラダボールなど、パンのある食卓をさらに豊かに彩るうつわを揃えました。今後もまだまだ入荷しますよ~。

…Pane felice、シアワセのパン。

ほっかほかの焼き立てパンは、それだけでもシアワセの象徴。

こんがり焼けたトーストに溶け出すバター、オレンジ色のジャムをたっぷりつけて、ポットには香り高い紅茶。
とびっきりのパテにマスタードを添えて。世界一美味しいアンチョビはいかが?

さあ、パンをもっと楽しむためのヒント集、存分にご活用ください。


『Pane feliceシアワセのパン』
~パンをもっと楽しむためのヒント集~

会期:4月21日(日)~5月6日(月祝)12:00~18:00
会期中も月・火曜日はお休み(5/6・祝は営業)

パンのある食卓で活躍するうつわ:
大江憲一 、村上雄一 、宮下敬史(木工) 、境知子、境道一、関口憲孝、ほか(敬称略)

噛みしめるほどに美味しいパン:
Bäckerei Brotozeit 、Panezza 、パーラー江古田
パンに合うスペシャルなパテ:Impeccable

*パンやパテ、その他フードに関しては日替わり、数量限定のためご来店の前にSNSなどで最新情報をご確認ください。
別ページにパンカレンダーを用意しますので、そちらもチェックしてくださいね。


*Online Shopには準備ができたものから順に掲載させて頂きます。会期中追加で到着するうつわも多数ありますので、今後も随時チェックしてみてくださいね。

『Pane felice シアワセのパン Online』 のページはコチラです。

 

 

 

 

 

 

これこそ高田谷さん作品の醍醐味、と小躍りしてしまう。”らしさ”を堪能できる喜び。

愛知県常滑で黙々と土をこねる高田谷将宏さん。わたくしママろば、実は一度もお会いしたことがないのですが、四年前パパろばが常滑の工房を訪ねてお会いした時の「おっきくて自分からはしゃべらない人だった」という話が頭にこびりつき、高田谷さんと聞くと枕詞のように「黙々と…」という形容がつきまとってしまうのです。単に初対面だったからだけなのかもしれないのですが…。

その乏しい情報源であるパパろばの主観以外、高田谷さんの人物像を想像する手がかりは作品しかなかったわけですが、その作品が届く度にグイッと手に感じる土の密度や勢いのある釉の流れ、やや大ぶりにすぎる酒杯や飯椀のスケールなどから勝手に「男っぽい」だの「お酒が強そう」だのと少しずつイメージを膨らませてきました。2年前の『やっぱり、ごはん党』ではお米レンジャーが妙なテンションで「男は黙って!」と高田谷さんをご紹介しておりました(汗)。その後はもう、大きなお茶碗にかけられた手の厚みまで感じられるほどに肉付けされ、豪快なイメージが固まってしまったのですが、それらすべては土が焼かれてできただけの作品が与えているのだと考えてみると、ずいぶん乱暴な話ですね(笑)。

実際、高田谷さんをよく知っている木工の宮下さんをはじめ交流のある作家さん、ギャラリーの方などから噂話を聞く機会が増えてゆくにつれ、その寡黙なイメージと言うのは実は根拠のないものだとわかってきました。極めつけは昨年の『豆まめしく』に出ていただいた時で、豆料理に関するアンケートを電話で行った時の記事がもう、最高なんです。面白すぎる…高田谷さん。意識したわけではなかったのに、なんだか今回もお豆料理を盛り付けたくなるタイミングで入荷してしまいましたね。よりにもよって、『豆上手』の終盤に到着するなんて…。

それにしても、いくら自らの手で作られたものであるからといって、作者がどんな人間であるかまで見知らぬ人に勝手に想像されちゃうだなんてはなはだ迷惑な話ですよね。大きなお世話、というか。でも、それこそがモノを作りだすことのできる人の特権でもあり、醍醐味なのではないかと羨ましくも思います。

食卓を囲むその時間をより豊かに、より楽しく変えてくれるようなうつわを作る、そんな素晴らしい仕事ができるだけでなく、なんらかの”らしさ”に価値を見出してもらえるだなんて。遠く離れた見知らぬ町に住む誰かが例えば「高田谷さんらしい」と感じて単なるモノであるはずの作品に愛着を見出し、大切に扱ってくれる。たった一枚のお皿やお茶碗を通して、その人の世界とつながることができる…。そのイメージがたとえどんなに本人の実像とかけ離れていようと、作品に狙うイメージとズレていようと、そんなこと問題にならないくらいに素敵なことのようにわたしには思えます。

だからこそどんなに美しい、一分のスキもない完璧なフォルムを持つモノであってもそこにその人”らしさ”が感じられないものには魅かれないのかもしれません。美しさだけを追求していった先にあるところでは、血の通った世界とのつながりが希薄に感じられるような気がするのです。

パパろばが頼んで送ってもらった高田谷さんの作品を初めて見たとき、正直言って自分の好みとは違った作風のものも混じっていて「パパろばこういうのが好きなのか~」と驚いたことを覚えています。でも、そこには何か明らかに他の人にはない勢いというか、力というか、その時にはまだそれが「高田谷さんらしさ」なのだとはわからなかった、”何か”があったのだと思います。「でも、この縁のあたりの雰囲気は好きだな~」とお皿の一部を指したりなんかしていて、あまり全体像で見ていなかったのでしょう。

一枚いちまいの個体差がとても大きいことや、同じ釉薬でも窯によって仕上がりの色が異なっていたり、飯椀や汲み出しでも形がひとつひとつかなり違ったりする特徴も、高田谷さんざっくりしてるな~、おおらかだなあ程度に見ていました。ただ、納品がある度にパパろばがいろいろと質問をしたり、感想を述べたりするのをものすごく真摯に、前向きに受け止めて取り組んでくださっているという話も聞いていたので、ある種の好感を持ってその個体差を受け止めることができました。

作品を送って頂くたびに説得力を増してゆくその「何か」を単に技術力、精度が上がってきたのかと勘違いしてしまいそうでした。けれど、きっとそうではなかったんだなあと、今回届いた作品を見て深く思い知らされてしまいました。

きっとずっと、高田谷さんは一貫して高田谷さんらしかったのです。

今届いたそれぞれの作品を見ると、そう思わずにはいられません。ずっと前に見てそれに気付けなかった作品と、ここにある作品との間に、そう大きな差があるわけではないのです。それなのに、今ここにある作品には有無を言わせぬ説得力まで感じてしまう。細かい点ばかり気にして、そこに貫かれている彼のもっとも彼らしい点、そこを見ていなかったのだとハッとさせられました。一枚一枚を均一に、同じような仕上がりにしようと気にしていたら、恐らく出せなかったであろう自然な力の方向や、土の個性などをダイレクトに感じとることができます。

今回、これまで見たことのなかった真っ黒な、一見漆仕上げのようにも見える黒い釉薬の作品も数点入ってきました。漆黒の黒さをくっきりと出すために、いったん白化粧をかけてから黒い釉薬をかけているそうで、時折作品にヨレのようにズレて下の白地が見えているものがあります。失敗したかのようにも見えなくもないその破綻が、ひたすらに黒い、墨のように黒い作品にほころびを与え、とても魅力的に見せている。クールな印象の人が、笑った時だけ見せる八重歯やえくぼのように。

二度と同じものには出会えないかもしれない、その一期一会感を大切に、自分だけに語りかけてくる一枚を選ぶ。そんな接し方の方が彼の”らしさ”には合っているように思えます。同じ企画のものを揃えようとか、ひとつ欠けてもまた同じものを買い足せばいいといった接し方は、残念ながら向かないなあというのが正直な感想です。自分だけはオマエの良さをわかっているのだよ、うんうん、というような偏った愛着を持てる相手もなかなか良いですよね。なんだか本当に人間の話みたいですけど。

見るたびにカッコよさを増している三島手や刷毛目の作品は、あえて洋風に使うことも提案してきました。パスタやサラダ、そういった日常的な、でも和食とは呼べないお料理と出会うと、グッと新鮮味を増します。そして今回わたくしママろばもパパろばも、一発で惚れ込んでしまった古陶のような渋い佇まいの白磁。これこそが、高田谷さんの魅力なんだよなと、二人して小躍りしながら作品を紐解きました。

皆さんも、皆さんなりの高田谷さん”らしさ”を見い出していただけると嬉しいです。



高田谷さんの新着の作品はコチラです。どうぞ、じっくりと、彼の無骨な語りかけに耳を傾けるようにご覧になってみてください。

 

2019年3月、ろばの家は5周年を迎えます。

なんとなんと、月日のたつのは早いことでしょう。
本当に、あっという間の5年間。

その5年という、長いんだか短いんだかよくわからないような微妙な単位の月日が流れる間に、沢山の経験をさせていただきました。

沢山の失敗、沢山の後悔…。

パパろばと二人、あーでもないこーでもないとうんうん悩みながら、どうしたらもっとお店をよくできるか、お客さまにもっと喜んでいただけるか、常に真剣に考え、手探りでここまできました。そのために激しく言い合いになったり、数日に及ぶ喧嘩にまで発展したり…。いやあまあ、この5年の間に、どれだけ一言も口をきかないような険悪な日々をやり過ごしてきたことか…(笑)。

そんな険悪な日々をどうにかこうにかやり過ごしてきたのは、それをはるかに上回る、楽しい経験があるから、に間違いありません。

沢山の喜び、沢山の感動。
それをもたらしてくれた、沢山の出会い。

時に自分たちの人生観までをも変えてしまうほどの、心に響く何かを宿した作品や、それを生み出す手の持ち主との対話。美味しさの向こう側にある、真摯な思いと誠実な仕事。そのような人たちと同時代に生き、何かを共有し、それを伝える役割につかせていただける、とてつもない幸運。わたしたち二人を信用して大切な作品を預けてくださる、作り手さんたちには感謝するだけではなく、これからはどうしたらその期待に応えてゆけるか、もう一歩踏み込んで考えてゆかなければならない時期にもきていると思います。

まだまだ、しっかりとその役割を果たせているとはとても言えません。でも、自分たちの意識をそうした出会いや感動の探究へと向かわせてくれるのは、ほかでもない、ろばの家を支持して下さっている皆さんなのです。

皆さんがワタシたちを応援してくださらなかったら、パパろばと二人でどんなに頑張って協力しようとも、ここまで来ることはできませんでした。これだけの出会いに恵まれることも、なかったのです。

こんな風にまたあっという間にこれから先また5年と言う月日が流れ、10周年を迎える日も来るのでしょうか。今はまだ、とても想像ができませんが、ただがむしゃらに突っ走ってきたこれまでの5年間とは、違った濃度で一年一年、一日いちにちを大切に過ごしてゆきたいと強く思います。

でも、これだけは確かです。その日が来ようと来まいと、ワタシたちはここまで支えてくださった皆さんへの感謝の気持ちは、決して忘れないということです。

本当に本当に、ありがとうございます。どんなに感謝の言葉を尽くしても、全てを言い表すことはできません。

どうか、これからのろばの家も、よろしくお願い致します。これからも、素敵な出会いを皆さんと共有してゆけるようパパろばと二人で(仲良く)協力してゆきたいと思います。

3月、本格的な春の到来とともに、新しい生活のスタートを予感を抱えて過ごすワクワクな一カ月。その3月いっぱい、5周年の感謝をこめていつも応援してくださっている皆さんに少しでも還元できるよう、さまざまな企画を考えています。

まずは、月並みですが感謝セールを開催いたします。
ほかにもいろいろと5th Anniversary Fairの内容を考えておりますので、3月はまるまる、ろばの家のために空けておいてくださいね(笑)。目が離せませんよ~。

2019年2月24日

ろばの家 ママろば筆

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それでは、よいものに出会えますように~。
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2019-03-03 | Posted in BlogNo Comments » 

 

生姜を効かせたイタリア産ひよこ豆のとっても簡単なスープ。

イタリアはアブルッツォ州から、とっても美味しいひよこ豆が届きました。ヴィナイオータさんが取り扱うことになった新しいワイン生産者de Fermoデ・フェルモさんが作っている有機Ceciチェーチ(ひよこ豆)です。有機栽培、と書かれていますが実際には無農薬、無施肥、いっさいの薬剤を使用しない自然農法で育てられています。とても味がしっかりしているのでシンプルに調理するだけでその深い味わいが引き立ちます。

de Fermoさんの紹介はヴィナイオータさんのHP新入荷記事をご覧になって下さいね。なんと総面積170ヘクタールの農場でワイン用ブドウ、オリーブ、野菜や穀類、牧草など全ての作物をビオディナミ農法で栽培しているのだそう。なかなかにすごいスケールでそれを全て手のかかるビオディナミ農法?と思ってしまいますが、弁護士であるデ・フェルモさんが奥さんの実家のこの広大な畑に通うことをきっかけに自分の人生を取り戻してゆく過程をきけば、当然の選択と思えなくもありません。

今日は、イタリアマンマ直伝のお豆の茹で方をベースに作る超簡単スープレシピをご紹介。シチリアで隣の家に暮らしていた主婦が教えてくれた、お鍋ひとつでできるスープですが「こんなんでいいの?」というくらい簡単で拍子抜けしたほどでした。ただし、シチリアのマンマは生姜などは使わず、香味野菜と一緒に皮付きのニンニクを入れて煮ていました。ひよこ豆に生姜を効かせるのはわたくしママろばの友人のレシピで、ややもするとやぼったく重たい味わいになりがちなひよこ豆のスープを、生姜がキリリと引き締めてくれて衝撃的に合う!と感動したのが15年以上前。以来ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせです。

手順5番の『煮汁を別によけておく』ことだけはものすごく重要なので絶対に忘れないでくださいね!同じやり方でグリーンピース(青えんどう豆)でもできます。煮汁の上品さ、旨味の深さは、グリーンピースとひよこ豆、双璧だと思う。



生姜風味のひよこ豆のスープ(8~10杯分)

材料: ひよこ豆250g(de Fermoだと半袋分)、香味野菜(玉ねぎ1個、にんじん1~2本)、あればセロリ(葉っぱ以外)1本、ローリエ1~2枚、フレッシュのローズマリー2枝、ショウガ大ひとかけ、塩適宜、E.X.V.オリーブオイル適宜
*2倍量の一袋分で作って、お豆が茹で上がったところで煮汁ごと半量冷凍しておくと便利です。

1、ひよこ豆はよく洗い、一晩6倍ほどのたっぷりの水に浸しておきます。

2、ひよこ豆の水を変えて厚手の鍋に6倍ほどのたっぷりの水とともに入れ、皮を剥いてくし形に切った玉ねぎ、よく洗った人参は縦に半分、セロリは半分に折って入れ、火にかけます。ハーブは煮すぎると苦みが出るため煮上がる直前に入れます。

3、お鍋を中火にかけて煮立ったら火を弱火にする。はじめのうち小まめに灰汁を取る必要はなく、一度ふわ~っと硬く白い泡がでてくるので、その都度泡を取除く。

4、蓋をしてお豆がゆっくりゆらゆらと揺れるくらいの火加減で30分~40分ほど茹でる。味見をして見てお豆が芯はないなというくらい柔らかくなったところで塩とハーブを加え、さらに10分ほど煮ます。

5、お豆が十文柔らかくなったところで火を止め、粗熱が取れたらお豆を3分の1ほど別によけます。よけた状態でお豆がひたひたになるくらいの煮汁に調節し、余った煮汁にハーブを入れた液を別にとっておきます。

6、ハンドミキサーやブレンダーでお豆と煮汁を香味野菜ごとピューレ状にします。そこへ少しずつよけておいた煮汁を加え「ちょっと薄いかな?」と思うくらいのゆるさに調節し、塩味が足りなければ塩を足しハーブとよけておいたホールのお豆を戻します。

7、生姜をすりおろしたものをたっぷり加えて混ぜ、ひと煮立ちしたら出来上がり。たっぷりのオリーブオイル、コショウ(もちろんMaricha!)を加えて食べます。


注意:ひよこ豆のスープは、このように一部をピューレ状にすると冷めた時にびっくりするほど茹で汁を吸ってしまい、もったり粉っぽくなります。温め直して食べる場合には必ずまた煮汁を足す必要が出てくるので捨てずにとっておいてください。また、余った茹で汁はホウレン草やジャガイモを入れてスープにしても美味しいですよ。

茹で上がり時間はお豆の乾燥度合いによっても変わるので硬さを見ながら。冷めると意外と硬くなるので注意。親指と薬指でつまんでも楽につぶせるくらいの硬さが目安です。

de Fermoさんの有機ひよこ豆はコチラ

 

出汁いらず。お助け調味料「しこの露」は無敵の旨味です。


『ろばの家の定番展』、はじまりました。同時開催『ろばの家の定番調味料』と題してろばのウチの食卓に欠かせない調味料や食材のご紹介もしております。ご試食を用意して実際にその味わいを試していただく、ただそれだけのことなのですが何が楽しいって、特集するにあたってさらに新しい定番レシピが生まれることなのです。毎日ご試食を用意していると普段食べているお決まりのメニューだけでは自分たちが物足りなくなり、つい新しい組み合わせを試してしまう。『豆まめしく』のお豆料理1000本ノックではないですが、今回も果敢に挑戦しております。ろばの家で扱う調味料の中ではルーキー的存在の魚醤ですが、まあ使うこと使うこと。便利この上ない。それでオープニングはこの魚醤を使ったお料理をいろいろお出ししていました。そのため定番展が始まる何週間か前からほとんど塩もお醤油も使っていないんじゃないか?というほど、味付けはこの「しこの露」一辺倒です。

しこの露とはなんじゃい?と聞かれれば、ラベルに書いてある通りカタクチイワシの魚醤なのです。原材料はカタクチイワシ、食塩、のみ。潔いです。

何を隠そう、何にも隠してないけどワタクシママろば、かなりの魚醤マニアなのです。なってしまったのです。魚醤愛用歴は10年程度とそれほど長くはないのでエラそうなことは言えませんが、とにかくあっちこっちの直売所、旅行先のお土産売り場などで知らない魚醤があればつい試してしまう。というのも、ろばの家がある茨城県つくば市には韓国料理の名店『白飯家』さんがあり、そこで販売していた自家製の魚醤があまりに美味しくてそればかり使っていたのです。とある時から販売されなくなってしまい途方に暮れてしまいました。それなくしてはできないレシピが沢山あったのです。ピーマン炒め、チジミのつけダレ、スンドゥブの下味つけ…。それからはもう魚醤難民と化してあちこちさまよい歩く日々が…。鮭の魚醤から、イカ、鮎、はたはた。さまざまな魚で作られたさまざまな地方の魚醤を高価なものも含めてあれこれ試しましたが、なかなか気に入るものに出会えず、また見つけたとしても高価すぎたりして気軽に使えるものがありませんでした。ナマ臭い、塩味が強すぎる、アクが強すぎ…。

そこへ救世主のように現れたのが『しこの露』だったのです。でかした~、パパろば!!去年の夏、男子3人で愛知に旅行に出かけて地元のスーパーで売られていたのをお土産に買ってきてくれたのです。安っぽい容器で全く高級感などないですが味は天下一品!そして安っぽいだけでなく本当に安い。最近気に入って使っていた鮎の魚醤が150mlで1000円近くしたので、これはもう快挙です。もちろん原材料の安さは大きいですが業務用1リットル1296円は国産品ではこれまで見たことのない価格帯でした。とにかくまろやかで塩も控え目、香りも穏やかです。1年半しっかり寝かせてある、と書いてあったのでそこがポイントなのでしょうか、やわらかいのです。ナンプラーやニョクマムは苦手、という人でもこれなら大丈夫なはず。魚醤と言うとついエスニックなお料理に使うイメージですが、どっこいこれがイタリアンや中華、カレーの下味つけにも最高なのです。魚介類はもちろんお肉と合わせてもコクが出るので、鶏でも豚でもしこの露をもみ込んでおくだけでなんとも複雑で深い味わいになります。鶏手羽の魚醤煮込みはろばのウチの定番でしたが、それをこのしこの露でやるともうわれながら「美味しすぎる!!」とうなってしまう出来に。

ただ、初めはぜひシンプルな炒め物に挑戦していただきたいです。皆さんに「絶対美味しいからぜひ試してみてください」とおススメしていたお料理があるのですが、翌日「あれ、すぐにやってみたんですけど家族にめちゃくちゃ好評で!!」とわざわざ伝えに戻って来てくださった方までいたのが…。

もやし炒め。

あ、お料理じゃない?すいません(汗)。でもこれは本当にこのしこの露の美味しさがストレートに伝わるメニューだと思います。にんにくを入れるとさらにお箸が進む味になりますが、しこの露だけで十分美味しい。お好みで仕上げに胡椒をパッパッと。こんなにシンプルで、こんなに手早くて、そしてこんなに安上がりで…4人で1kg袋くらいペロリと平らげてしまう美味しさですよ。

そう、手抜きなシンプルなお料理こそ、しこの露の旨味が効いてくれるのです。『ろばの家の定番調味料』のご試食で皆さんに出して好評だったメニューをご紹介してみましょう。どれもホントお料理、と呼べるほどのものでもないのですが…。というより、普段皆さんが作っている定番おかずのお塩やお醤油を、しこの露に変えてみてください、というだけの話です。すいません。

 

 


人気No.1メニュー:『冷や玄米の魚醤炒め』 …究極の貧乏シンプル具なしチャーハン。意外や意外、大好評でした!


材 料:冷やご飯(玄米がおすすめ)1合、オイル大匙2、しこの露大匙1.5~2、コショウ適宜

作り方:中華鍋をよく熱し、オイルを温め強火で一気に冷めたご飯を炒めます。パラリとなったらしこの露を回しかけ、ジャッジャッと味をなじませたら火を止め、お皿に盛ってコショウをふります。

*ご試食ではオイルは地あぶら、コショウはマリチャのネ・ビアンコ・ネ・ネーロを使用しています。はっきり言ってこの組み合わせは最強です(笑)。また、ご飯は玄米がよく合います。ただし圧力鍋などで炊いてもっちりした玄米ではなく普通に炊いたものの方が仕上がりが軽いです。

アレンジ:ご飯に生たまごをまぶしておいて同様に炒め、パラリとなったところで刻んだニラを加え軽く炒めあげるニラ玉チャーハンもおススメです。そのほか、何味のチャーハンでもしこの露を隠し味に使うだけでお店の味になります。


 

 


人気No.2メニュー:『ピーマンの魚醤炒め』 …こちらも沢山「美味しい!」をいただきました。

材 料:ピーマンひと袋、オイル大匙2、しこの露大匙1、
作り方 :1、 ピーマンは縦半分に切り、種をとって(新鮮なら種つきで)長さを半分か1/3くらいに切り水洗いする。
2、フライパンにオイルを熱し、水がついたままのピーマンを投げ入れ、ジャッジャと強火で炒める。途中焦げ付きそうになったら水を50ml程度足して水気がなくなるまで炒めお好みの柔らかさにする(足りなければもう一度水を足す)。
3、火を止める直前にしこの露を加え、汁気が飛ぶまで炒めあげる。

アレンジ1:ピーマンをしし唐、甘長唐辛子、ゴーヤなどに変えても美味しい。レタスもイケますよ。お好みで叩きつぶしたニンニクを最初に加えても。
アレンジ2:仕上がってすぐに黒すりゴマをたっぷりまぶすととても風味のよい胡麻和えができます。
アレンジ3:ピーマンをもやしに変えるのが、冒頭でおススメした最強のもやし炒め。もやしは一度50度の湯をくぐらせるとシャキッと仕上がります。水分は残ったまま炒めてO.K.


 


人気No.3メニュー:『魚醤だけ玉子焼き』 …なぜか”カニカマ”のような味になるのです。。。お弁当にも、海苔巻にも。


材   料:玉子3ケ、しこの露小さじ2、油適宜
作り方:卵を割りほぐし、しこの露を加えて油を引いたフライパンで玉子焼きを作る…だけ。

アレンジ:金糸卵を作る時もこの味付けで(冷やし中華や海苔巻の具に最高です)
アレンジ:お砂糖を加えた甘じょっぱい玉子焼きにする場合もしこの露とお砂糖で試してみてください。


 

ろばのウチの定番中の定番:『鶏の甘くない魚醤照り焼き』 焼き鳥屋さんの味になりますよ~。


材 料:鶏手羽元6本(手羽元なら8本)、しこの露大匙1~1.5、酒50ml、オイル適宜
作り方 :1、鶏肉は3時間以上しこの露をもみ込みビニール袋に入れてギュッと縛り、冷蔵庫で寝かせておきます。
2、厚手のお鍋にオイルを入れ、皮目を下に鶏肉を並べて中火にかけ、蓋をして両面を焼きつけます。
3、こんがり焼き色がついたらお酒を一気に入れ蓋をして蒸し煮にします。
4、鶏肉に火が通ったら蓋を取り、お肉を転がしながら肉汁をからめて飴色状に煮詰まるまで転がせば出来上がり。

*急ぐ場合はお肉にフォークで穴をあけ、味付けを濃いめにすれば15分程度もみ込んだだけでもできます。
アレンジ1:鶏もも肉、鶏ムネ肉でも同様にできます。
アレンジ2:豚バラ肉の厚切りも同様に美味しい照り焼きができます。それを炊きたてのご飯にキャベツの千切りをたっぷり載せた上からタレごとかけ、丼にするとかなりご飯を食べすぎてしまいます(笑)。
粗めに挽いた黒コショウをガリリとかけても、スッキリ味の朝倉山椒を振っても美味しいですよ。山椒バージョンはかなり大人の味になります。

 


番外編:これ以上手の抜きようがない『卵スープ』(画像なし)

材 料:玉子1ケ、水400cc、酒大匙2、しこの露大匙2~3、コショウ
作り方 :水に酒を入れて火にかけ、沸騰したまま3分ほどアルコールを飛ばす。弱火にしてグラグラしているところに溶き卵を筋状にゆっくり回しいれ、かき玉にする。仕上げにコショウを多めにふる。

これは絶対マリチャのネ・ビアンコ・ネ・ネーロを激押しします。さすがにお湯だけだと物足りないかな?と思っていたところに魚醤を濃いめに入れると「お、イケるじゃん?」となり、細かく挽いたコショウをたっぷり入れた瞬間「おお!!中華料理屋さんの卵スープだあ!」と感動してしまいました。

アレンジ1:ネギや刻み海苔、わかめを入れても美味しい。生姜の千切りを入れても。やまつ辻田さんの金炒りゴマをひねってふりかければもう何もいうことはありません。


 

 

いかがでしたか?これだけではないんですよ。サラダのドレッシングもとっても美味しくできるのです。レシピは次回のお楽しみに!そして、この魚醤は地あぶらだけでなく他にちょっとしたものをプラスしてあげるだけでかなり、さらにグレードアップします。そちらも次の特集で!

水産物加工業協同組合さんの『しこの露(大)』はコチラです。

ろばの家では少ない種類の調味料しか取り扱っていません。でもそれはすなわち自分たちが実際に使って心から納得のゆくものだけしか置いていないということなのです。つまり、考えてみたらろばの家にある食品全てが例外なく『定番』なのでした。
そんなおススメ調味料だけを集めたページを作りました。目をつぶってクリックしても、美味しいモノが届きますよ(笑)。
『ろばの家の定番調味料』のページはコチラです。

 

刺激されるのは、何よりもまず触感。こんなにも色っぽい焼き締めが存在するなんて。

「思いっきりなでなで、頬ずりしてやってください。」松本かおるさんがご自身で何年か使い込んだというサンプルのうつわ。添えられていたメモにそう書かれていたのでした。下の写真はその汲み出しですが内側がかなり味のある色に育っています。写真からはわかりにくいですが表面もところどころ艶々と光沢を帯びて、なんともなめらかですべすべした触り心地です。とても焼き締めという感じがしません。焼き締め。つまり無釉で焼かれた陶器で要するに粘土だけで出来ているということです。一般に荒々しいイメージのある陶器で手触りももっと粗いことが多い。でもかおるさんの焼き締めはまるで河原で見つけたまん丸の石、波に洗われたガラス石、上質な石鹸…。一番近いのは、子どもの頃母親が洋裁に使っていた三角チョークだと思うのですがわかるかしら?今ではペンタイプのチャコペンが主流だろうけれど、当時は水色やピンク色の薄っぺらい小石のようなもので布に印をつけていました。そのチャコの手触りと、かおるさんの使い込んだうつわの表面の感触がとても似ているのです。


なめし革が使えば使うほど光沢を帯びて色濃く育ってゆくように、かおるさんの焼き締めは手で持ったり洗ったり、使っていくうちにどんどん質感が変わってきます。ワタシがはじめて購入したフリーカップは3月から毎朝使って、もうすでになんともいえない鈍いツヤが出てきました。玉子の殻のようにマットな触感からより滑らかな肌へとテクスチャーを変え、乾いた見た目も濡れたようにしっとりとした質感へ。触れば触るほどなめらかに、気持ちのよいすべすべのお肌になってゆくのです。かおるさんではないですが、いつまでもナデナデしていたい。

そして驚くべきはその軽さです。焼き締めというとどうしてもどっしりと重く分厚い印象がありますが、かおるさんのうつわはかなり薄くシャープな印象です。それでも冷たい印象がないのは、暖かなオレンジ色が基調だからでしょうか。イタリアはトスカーナ地方、シエナやフィレンツェのテラコッタの屋根…「魔女の宅急便」でキキが箒にまたがって空を飛んでいくときに眼下に広がる、あの美しい赤茶色のモザイク模様。はじめて見た時その風景を思い出し心が躍りました。こういう焼き締めもあるんだ、と。そして手に持ってみた時の軽さと独特の質感に、すっかり感嘆してしまいました。なんて洗練されているのだろう。ナチュラルであることと、洗練されていることは、同居できるのだという発見に心から驚きました。

この、さまざまな色調のオレンジ。これらの色の違いが100%、土だけで出されているだなんて…。乾いたタイルのように白っぽいベージュからはじまって、明るいオレンジ、濃いオレンジ、赤茶、茶褐色、そして炭のように焼け焦げた黒褐色。それぞれの濃淡の中にも赤味、黄身、グレーがかっていたりと微妙なニュアンスの違いもあり…要するに無限なのです。さらには一枚のお皿の中にさえ異なる色味や濃淡のついた模様のような表情もあり、ずっと見ていても飽きません。こんな風にまったくのすっぴんでここまで違った表情を見せてくれるなら、確かに釉薬なんて必要ないんじゃないか?とまで思ってしまう。少なくともかおるさんの焼き締めを見る限り、色味がなくて物足りないだなんて思えないのです。


「わたしが使っているのは備前の土だけです。同じ備前という土地の粘土であっても採取される場所により成分が変わります。備前にいた頃はよくあちこち行って掘っていました。さまざまな色合いの粘土があって今は4種類の異なる粘土とそれらをブレンドしたものを使いわけています。さらに、焼く時の温度や酸化・還元の加減、何回焼くのかでも仕上がりの色は変わります。3回焼いているものもあるんですよ。炭や藁を使うこともあるので予期せぬ化学変化により、さらに複雑なうつわの表情を楽しむことができるんです。」その無限の可能性に、かおるさんはすっかり魅了されてしまった様子。もともと複数の飲食店を展開する会社の広報として働いていたせいか、食とうつわには常に関心を持ち続けてきたのだと話していました。

「わたしはスタートが遅かったから…」とおっとりとした口調で続けます。「食べることが大好きだったので、自分が使いたいうつわを作りたいと思って。それで憧れていた備前の陶芸家に師事するため、生まれ育った東京を離れ備前陶芸センターに入りました。思い切りはいい方なんです。フットワークが軽いのかも」と笑っていました。とっても華奢で可愛らしい女性なのに、話していると芯の強さのようなものも感じてしまう。迷いがないという感じでしょうか。「ずうっと焼き締めばかり作っていると、色物(釉薬をかけたもの)をやりたくなったりしませんか?」とたずねると「土だけでこんなにも表情が変わるのに、まだまだその魅力を引き出しきれていないという思いの方が強いんです。」と、どこまでも焼き締めに惚れ込んでいるのだということが伝わってきます。

まだ陶芸自体本格的にはじめて10年ちょっと。比較的早い段階から今のようなスタイルに落ち着いたのは、とにかく自分が使いたいうつわを目指してきたから。焼き締めは好きだけれど、自分で使うのならやはり軽くて扱いやすいものに手がのびます。お酒も好きで、ビールを美味しく飲めるうつわが作りたくなった。極薄のグラスで飲むような感覚を求めて自身の作品にも薄さを求めるように。ろくろで成形した後ろくろで削って厚みを調節し、さらに手持ちで削ってから手で撫でて磨きます。その後完全に乾いてからヤスリをかけ表面を滑らかに仕上げるのです。非常に行程の多い、時間のかかる方法ですが出来上がった姿には唯一無二の個性が生まれています。余計な装飾が一切ない究極にシンプルなデザインは、むしろ男性的でさえあります。ひたすら削ぎ落してゆく、という潔さがそう感じさせるのかも。

女性として、ちょっと羨ましすぎるほどの存在ですが、なんとも気さくな明るい性格で一度お会いしただけで意気投合。一緒に食卓を囲むのが、楽しいこと盛りあがること!そもそもろばの夫婦、食べる事・飲むことに感心がない人とはなかなか分かり合えないのです。ワタシはまだかおるさんがご自身の焼き締めでビールを飲むところを見たことがありませんが、きっと、ものすごく美味しそうに飲み干すんだろうな~。ちょっと小ぶりのビアグラスが似合う、白くほっそりした手指の持ち主。それこそ、ビールのCMに出てきそう。陶器で、しかも焼き締めでビールを飲んだ経験、ありますか?きめ細かい泡ばかりが持てはやされていますが、焼き締めは水気を含むと気化熱でヒンヤリ、ほんとうにキーンと奥までよく冷えているのが手に伝わってきます。サラダやお漬物、お浸しのようにテーブルでもひんやり冷たく保ちたいお料理にも最高です。

手つかず、無垢、といった印象も与える松本かおるさんの焼き締め。まっさらすぎて汚してしまうのでは?と使うのをひるんでしまいそうですが、油モノでも汁ものでも、それこそカレーでもどんどん使ってタワシでゴシゴシ洗い、使い込んであげる方が表面に味がでてくるうえ汚れがつきにくくもなります。土から生まれたばかりの無垢であどけない顔に、だんだんと色々な表情が加わり深みを増してゆく。その時その時の自分の心境まで浸み込んでしまいそうです。

今年の春工房を長野から石川県輪島に移し、新たな生活をはじめたかおるさん。今後は備前の土に輪島の山土を加えた作品にも挑戦してゆきたいと話していました。とても自然体で気取らない、かおるさんという女性の魅力がそのまま作品にも表れています。本当は、作品がうんぬんよりかおるさんという人の魅力をお伝えしたかった。でも、とても文章からだけで伝えきれる気がしません。そして何より、ワタシ自身がもっともっとかおるさんのことを知りたいと思ってしまっている。「え?ジビエカレー?美味しそう!行く行く~!!」っと22日のbeet eatさんの会(ご予約受付終了)にも参加予定です。直接会えばきっと誰もが大ファンになってしまうような、とっても魅力的な女性ですよ。参加ご予定の方、楽しみになさっていてくださいね。ワタクシママろばも、またかおるさんにお会いできるのが(飲めるのも…笑)楽しみで楽しみで仕方がないのです。

下がかおるさん。ママろばと一緒に記念撮影していただいたのですがあまりの顔の大きさの違いにおののき、思わずトリミングしてしまいました(笑)。その下はなんと!今回『Spicy Summer Curry&Beer』のために作ってくださったという三角のプレート。ナンをイメージして作ったのだとか。ナンにでも合いますよ(汗)。かおるさんの作品は、ぜひ色の違いを楽しんでいただきたいです。同じ形で色の違うもの、形も色もバラバラなもの。組み合わせも無限。土の色遊びという感じがまた、楽しいのです。

松本かおるさんのページはコチラです。



 

 

 

使い込むほどにしっとり、艶やかに。宮下敬史さんの木のうつわ。

工房で長年使い込んだ山桜のシンプルな鉢を見せていただいた時、そのゆっくりと年月をかけて染み出してきたような自然な艶に目が釘付けになってしまいました。

横須賀。大雨の月曜日。2度目にお邪魔する宮下敬史さんの工房は屋根を打つ雨の音に閉じ込められて、ただでさえ森に隔離されたような感じのする家が、いっそう孤立して見えました。船の底にいるみたい。はじめてお邪魔した時にも雨音が響いていたことを思い出しました。「すいません、雨男で」とすまなそうに笑う宮下さん。今回に限らず降られる確率が高いのだそうで「なんでですかね~」と首をかしげていました。

宮下さんとお会いするのは実はまだ4度目です。なのに、もうずっと昔から知っているような気がします。益子の近藤康弘さんにご紹介していただいた手創り市で初めてお会いして、パパろばと工房を訪ねたその大雨の日が2度目、昨年の『やっぱりごはん党』に出ていただいた際に納品がてら奥様と愛娘ちゃんを連れてつくばまで来てくださった時が3度目、そしてこの訪問。あれ?つくばでお会いした時は晴れていた気がするし(パパろばが娘ちゃんとボール遊びで盛り上がっていたから)、手創り市もとても寒い日だったけれど快晴だったし、そうそう雨男というわけではないのかも。もしかすると、横須賀という土地が雨がちなのでは…?港町、切り立った坂の多い独特の地形、海岸と山の近さ。湿った空気。

待ち合わせた横須賀中央駅のスタバから迎えに来てくれた車まで走る間ですでに服が濡れてしまい、その湿った服のまま3人で雨の音を聞いていると、なんだか雨宿りをしているような気分になってしまいました。そして世の中の雨宿りをするすべての人に共通する「何もすることがないからとりあえず話す」というルールを律儀に守っているみたいにワタシたち3人は取り留めのないことを話し続けました。正確にはわたくしママろばが八割方喋り倒していたのですが(笑)。仕事の話なんてほとんどしていません。お茶うけに出してくださった奥様手作りの焼き菓子がとても美味しくてそのベトナムのお菓子から旅行の話、子どもの話、知り合いの噂話…。そんな中でほんの少しだけ作品について話した時に飛びだしたのが、使い込んだプレーンなうつわ達の話題でした。

「特別な手入れなんて全然してないですよ。ただ、毎日ガンガン使ってました。パスタ食べたり、汁物盛ったり。油モノでも気にせず使ってるとその油がうつわに染みこむから、わざわざオイルを塗り込む必要がないんです。」

宮下さんは最近、昔よく作っていたようなあまり彫りをほどこしすぎていないシンプルなうつわを自分で再評価しているのだそう。「結局使いやすいんですよね。こんなんでいいんじゃないかな~と思えてきて」そう言いながら見せてくれたうつわはみな、いっさい装飾がなく厚みも適度にあるものばかり。「あんまりにも洗練され過ぎていてもかえって使いにくいんじゃないかと思って」と言われてから最近作ったという作品を見てみると、なるほど鉢の縁やお皿のエッジなど、どことなくこれまでに見てきたものにはなかった雰囲気がある。野暮ったくない程度に丈夫そうな仕上がりになっているのかも。このくらい微妙な縁の角度や薄さだけで、ここまで印象が変わるのだということに少し驚きました。そして漆仕上げのものは心なしかみな、使い込んで味が出てきたような絶妙な鈍い艶感がある。ちなみに上の画像は宮下さんが使い込んできたうつわではなく、今回新しく作られたもので栓の木を漆で仕上げています。

陶器以上に経年変化の激しい木のうつわ。けれど多くの場合その変化は色が褪せ白っちゃけて艶がなくなりただ古ぼけただけの、あまりポジティブな経年変化という印象がない。やはりちゃんとオイルで手入れしないとなあ、とそういううつわやツールを見るたびに思っていました。宮下さんが使い込んだうつわの艶は、オイルで手入れして新品のように保っているのとはまた違う、内側から放たれている艶でした。これ、カッコイイ。正直この状態で欲しい…なんてせっかちなことを言ってはダメですよね(笑)。

「うちももっとガンガン油モノ盛らなきゃダメだよ」と繰り返すママろば。パパろばもすっかりその質感やシンプルな形に心を奪われている様子。単純なワタシたちはすぐにでも試してみたくなるので、もうすでにどのうつわを自宅で使い込んでみようかとウズウズ。パスタにちょうど良いサイズにしようか、サラダボールにしようか…。結局今毎食ガンガン使い込んでいるのがこの下のリム皿。楢の拭き漆仕上げで、最初から唐揚げを山盛りにして、オリーブオイルとヴィネガーをたっぷりかけたサラダをわさわさと盛り付け…。「早く油吸え~」と言わんばかりの料理をヘビロテで盛っているのです。
写真は日曜日にパパろばに届けたお昼ご飯で卵入りビーフン。地あぶらとしこの露というゴールデンコンビで味付けしたなんちゃってエスニック風味です。「めっちゃ油っぽかった。すごい油使ったでしょ」と言われてしまいました。早く油を浸み込ませようと気が早っていたのかも…。でも味ははさておきこんな家庭料理さえカッコよく映っているのはこのリム皿のおかげです。サラダで濃い緑やトマトを盛った時にもバシッと決まりました。お料理の色をビビットに映えさせる背景色として最高なのです。そしてやはり、木のもつ温もりはまったく陶器のそれとは質の違うものです。木のうつわを好んで使う方は皆さんいいますが、軽くて、気兼ねなくラフに使えて、そしてなんにでも合う。木は一色にカウントされないニュートラルさがあり何でも受け入れます。懐の深さ、というのでしょうか。なぜだかホッとさせられてしまう安堵感があります。

同じ種類の材であっても個体ごとに個性が違う木という素材の面白さ。その個体の良さを最大限引き出そうと、真正面から向き合ってきた宮下さん。「漆仕上げものは年輪を隠してしまわないよう薄く残る程度に仕上げていると話していたのに、結構がっちり漆を重ねているものもあるんですね」と聞くと、最近は漆の扱いにも慣れてきて思う通りの質感を出せるようになってきたと話していました。木目の向きや断面の密度によって変わる色の濃淡など、偶発的な表情も魅力のひとつとなっています。「だからどんどん一点物ばかりになってきちゃって…」と困ったように話していました。もとの木が違うんだから、ひとつひとつ違う作品になるのは当たり前というような素材ありきの向き合い方から、さらに一歩踏み込んだ木との関係に思えました。美しく仕上げることより、その素材の持つ個性を見極めて長所を伸ばしてあげる。節や虫食い穴のように欠点となりそうな箇所でもチャームポイントだと褒めてあげる。まるで子育てのようにこちらの忍耐力まで問われてしまう向き合い方のようにも感じます。やはりそれは、月並みですがどれほど深く木という素材を愛しているかということに尽きると思うのです。

はじめて工房にうかがった時に書いた記事もぜひ読んでみてください。素材への思いは宮下さんが木の材を説明しだすとすぐに伝わります。身の上話が始まるのです。「この山桜、いいでしょう?これは本当に良い材でした。標高の高いところで伐ったものです」「こっちの楡は、神代楡といって文字通り神代から地中に埋まっていた材ですよ。密度が全然違います」…ワタシたちから見ればただ色が違うくらいの四角い塊をひとつひとつ手に取って、その材との出会いや性格を語ってくれます。最近長野まで出向いて丸太を一本ごとに買った、という宮下さん。もちろん角材として手に入れるより安上がりになるという利点はあるものの、何より決定的に違うのはその樹がいつ、どのような場所で伐られたものか素性がはっきりするということ。市場で仕入れてきた材は、その履歴までさかのぼることは難しい。樹は葉を落とし根を伸ばさない冬の休眠状態で伐られたものが最も理想的な材となるんです。そしてその後自然乾燥させたものなのかどうかという点もとても重要。木の種類や樹齢だけでなくそういった条件も最終的に作品の質に反映される、ということも初めてうかがった時よりさらに詳しく説明してくれました。

今使っている横須賀の工房は湿度が高くなる時期が多いため、厳密には理想的な環境と言えないのだそう。「長野あたりに移住を考えています」と宮下さん。生まれ育った横須賀を離れ、家族を連れて最も良い状態で樹を寝かせられる場所を探し、もっと広い工房で機材も充実させたい。急な坂の多い横須賀の町。大きな機材を運び込むのにも制限があり、限界を感じ始めているというのも大きな理由だそうで、もしかするとここ1、2年の内にも実現させたいとのことで、ああ、そうしたらこうして気軽に遊びに来れなくなっちゃうなあ、なんてくだらないことを考えてしまいました。

作品はそれだけでも多くのことを語ってくれます。でも、ワタシたちはやっぱり作品そのものだけでなく作家さんとの対話を求めているのだと最近よくパパろばと話します。その時間が貴重でならないのです。作品のことを語ってもらう必要さえありません。くだならい雑談、あわよくば酒を酌み交わし一緒の食卓を囲み…。そういった時間がワタシたちにもたらしてくれる充足感は、いくら仔細に作品を眺めていても見えてはこない何かを与えてくれます。そして願わくばワタシたちもその時間を通して得られた何かを、ろばの家に並ぶ作品たちに吹き込んで行けたらいいなと思うのですが…。ただママろばが長々と熱弁をふるうことによってではなくて、宮下さんの使い込まれた作品のように内側からじんわりと。自然に。

今回届いたうつわは特に、使い込んでその変化を見てみたいと思うようなものばかりです。自然と滲み出てくる艶や色の変化をお楽しみください。…ワタクシのように焦らずゆっくり、ね。

宮下敬史さんの新着のうつわはコチラです。


工房までのアプローチ(見えている屋根は宮下さんの工房ではありません。さらに奥にあります。)
工房へのアプローチがある坂道。写真で見るより急です。