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シモヤユミコさんの白い?うつわが届きました。

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笠間で作陶する、シモヤユミコさん。しばらく休業されていたので、ろばの家でも長い間シモヤさんの作品が無い状態で、多くの方からお問い合わせやご予約をいただいていました。

お店で色々な作家さんのうつわを並べていると、その個性の違いにつくづく驚かされるのですが、様々な土や釉薬の種類、焼成技術、その無数の組み合わせがあって、その上で出来上がった作品のフォルムや質感も無数にあり、最終的にその個性を決定する要素はさまざまあると思います。でも、こうして実際に作品を手に取り、棚に並べる作業に集中していると、シモヤさんの作品のパーソナリティの決め手となる要素は、個人的には質感じゃないかな~と感じてしまいます。

なでなで…すべすべ。とにかくずっとなでまわしてしまう気持ち良さ。見た目は温かそうな質感なのに、実際触るとちょっとヒンヤリ感じます。水を打ったあとの道路のような涼しさで、冷たい、というのとはちょっと違うのですが、言葉ではうまく伝えられそうにありません。

以前、はじめてシモヤさんの作品をろばの家で紹介させていただいたときに〝波に洗われたテトラポットのような肌質”と表現した覚えがあります。実際に濡れているわけはないのですが、すべすべした河原の石に、水がしみ込んでいるように見えるのです。ポツン、ポツンとまばらに飛ぶ黒いホールや、白(実際には明るい灰色なのですが)にポッと蛍の灯のように時折浮かぶ黄色い斑点。まさにテトラポットのようですが、コンクリート製というよりは自然の河原の丸い石の方が、実際触った時のきめ細かな質感に近い気がします。同じデザインのものでも本当に表情がひとつひとつ違い、一番のお気に入りを選ぶのがまた楽しいのです。

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パパろばと一緒に、工房で作品を見せて頂いたときにも、頼んでいたものがお店に届いたときでも、お互いに「わたしはコレ」「え~俺は断然こっちだな~」とそれぞれマイベストを決めて、それが売れたら売れたで「ほら、やっぱりアレから一番先に売れた」と自慢してみたり「あ~一番のお気に入りだったのに…。」と嘆いてみたりと、まあ勝手に騒いでいるわけです。「コレだな~」と一方が言うと「だよね!」と合致してしまうこともしばしばで、そんな時には二人して一番目立つところにその作品を祀り上げては、「やっぱキレイだよね~」といつまでも遠目から作品を眺めてうんうん頷きあったりもしています。…っていうか、仕事しなよ、と言われてしまいそうですが(笑)。

もし、お店でシモヤさんの作品を手に取られた時、わたくしママろばか、パパろば(もしくは二人同時)かが、ぎくっとしながらも必死にポーカーフェイスを気取っていたら、それはどちらかの(もしくは二人の)マイベストなのかもしれませんよ…なんて。もちろん遠慮なくお好きなものを選んでくださいね(笑)。自分たちの好きなものだけを選んでお店に並べる、と聞くと大変シアワセな仕事のようですが、そして実際シアワセだよなあと思ってはいるのですが、自分でも欲しいものを並べていると、まあ毎日いろいろな葛藤があります。「売れてほしい、でも、売れると寂しい」「自分用に買いたい、でも買ってしまうとお客様の分がなくなってしまう」など、悩ましい毎日を過ごしております。まあ、この世の中で起きている様々な痛ましい事件や現象を考えれば、あまりにも幸せなというか、ノーテンキな悩みですが。

今回の入荷では、ポットや飯椀などの鎬が、ことさら美しく感じられました。

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そして、お待たせいたしました。沢山の方からご予約や、入荷したら教えてほしい!とお願いされていた波面取りの小さなボールも入荷してきました。お店に作品がなかったのにどうして皆さんそれを望まれたのかというと、当店で温かいカフェラテをオーダーしていただくと、シモヤさんのそのボールで出すことが多かったからなんですね。はじめは、カフェラテを取っ手のないボールで出すということにとても抵抗があったのですが、実際それで飲んでみると取っ手がなくても面取りの凹凸が手によくなじみ、とても持ちやすいのです。お茶と相性がよいことは容易に想像がついたのですが、こうしてカフェラテを入れてもしっくりくるのには驚きました。「はい、こちらがカフェラテになります」とテーブルに置いたとたん歓声があがり、「写真撮ってもいいですか?」と聞かれることもしばしば。さらに、一口飲むと「口当たりがいい」と、実際飲んだ方からの評判もとても良かった。このサイズだと小鉢にもいいですね、ともよく言われました。いろんな使い方が容易に想像できる、というのはよいうつわを選ぶ大切な条件だと思っています。

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個人的には、しっとりとした質感が伝わりやすい、プレーンな削りの入っていないものが好きなのですが、こうしてズラリと並べてみると波面取りやしのぎ、さざ波なども美しくて甲乙つけがたく、これは選ぶの大変だろうなあ~と人事ながら心配しています。ボールはプレーンが好き、飯椀は鎬がいい、そばちょこにはさざ波が映えるよね、など削りの入り方と形の相性についてもパパろばと意見が分かれたり、合致したりとさまざまで、おそらくその好みはお客様によっても違うのだから、それを色々作り分けるシモヤさんってやっぱりスゴイなあ、といつも最後には作家さんの手仕事に感嘆してしまうのです。だって、それだけ違いがあるのに、どれもひとつひとつシモヤさんらしい作品に仕上がっているのですから。ひと削りひと削り、しっかりシモヤユミコさんのDNAが彫り込まれているのかと思うと、どの模様もより一層、生き生きと感じられてくるのです。

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シモヤさんは、自分の作品はあくまで手作業の範疇にあるもので、ひとつひとつ仕上がりも、質感も違うため基本的にインターネットでの販売は難しいものとして対面販売を希望されています。ぜひ、実際に店頭で実物をひとつひとつ触ってみて、ご自分の手にもっともなじむものを選んでいただければ、と思います。パパろば、ママろばがその後ろでビクビクしていても、どうかお気になさらずに!

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【イベントと営業時間変更お知らせ】

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あーづーいー…お店の前にいる雀さんは暑くないのだろうか…いつもと変わらず元気です( ゚Д゚)

それはいいとしてイベントと営業時間変更のお知らせです。
ママろばが不在のため【8月5日(水)~7日(金)】の3日間は下記営業時間になります。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。ご来店をご予定されている方はご注意ください。
OPEN10:00-CLOSE17:00
(お飲み物のラストオーダーは16:00)

そして、8日(土)はろばの家の夏祭りを開催します!

(つくばで一番小さいかも…)
こちらはOPEN11:00~17:00までです!!

この日はほぼ月イチとなった、お向かいのベッカライさんでフィンラガンの松島さんの切り立て生ハムに美味しいビール!笑び餅のかえる工房さんはかき氷や、笑び餅以外の和菓子も持ってきてくれるそうです。ろばの家も、ろばバザーというちょっとしたセールを開催する予定です。

皆さんのお越しをお待ちしております~!!!

 

2015-08-04 | Posted in Eventi 行事No Comments » 

 

ろばレポNo.6 前田さんの【層】高台皿

hp-refranc2つくばのワインバー Refrancのオーナー赤居さんには、前田さんの【層】シリーズを気に入って頂いています。この間久々にお店に伺って、そういえば前田さんのお皿どんな風に使ってるんですか~?なんて、お話をしていたら『こんな使い方でごめんね~』と赤居さん。何かと思ってオブジェみたいなところを見てみると、びっくり!そのオブジェの台になってました。

このオブジェ、キャンドルの蝋でできたものでかなりの迫力です( ゚Д゚)30cm以上はある大作。大きすぎて画像に収まらないのでせめて前田さんのお皿のところを…不思議なほど一体化してます。全然違和感ない。むしろかっこいいくらいです。ぜひ、赤居さんの癒しのトークを聞きながらこの大作を見に行ってみてください。Refrancさん、とってもゆっくりできる空間です。赤居さん有難うございます~!!

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2015-07-17 | Posted in BlogNo Comments » 

 

【営業時間変更のお知らせ】

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営業時間変更のお知らせです。

ママろばが不在のため7月8日(水)~10日(金)の3日間は下記営業時間になります。

ご来店をご予定されている方はご注意ください。

OPEN10:00-CLOSE17:00
(お飲み物のラストオーダーは16:00)

ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。

何卒、よろしくお願い致します。

2015-07-06 | Posted in BlogNo Comments » 

 

ろばレポNo.5 羽生さんのフライパンでフリッタータ

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ろばのウチでも愛用している、羽生さんのフライパン。中でもフリッタータは外側がパリッと、中がふ~っくら。やはりテフロンのものとは別物。この小さいフライパン、大きさといい深さといい、まさにフリッタータのためにあるのでは、と思ってしまうほど…今日もチビろば達との争奪戦になったのは言うまでもありません…

もちろんお肉や野菜も焼けますが、小さめなので一人暮らしの方など、少食の方におすすめです~。

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2015-07-06 | Posted in BlogNo Comments » 

 

自然に錆びてゆく鉄の美しさをありのままに。

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狭山湖畔のアイアン工房、スタヂオサニーに羽生直記さんを訪ねて

「いつかどうせ錆びてしまうのに、どうしてわざわざピカピカにするのかわからないんです。」

…はじめからずっと、こういった錆びた作品を作ってきたのですか?というわたしの質問に、羽生さんはそう答えてくれました。羽生直記さんは、鉄を素材に作品を作っています。朽ちたようなほころびや錆が無機質な鉄にニュアンスを与えていて、同じデザインのものでもそれぞれ全く違った表情を見せてくれます。

工房にしているガレージの入り口の外には、ありとあらゆる形の鉄材が置かれていました。鉄板、パイプといった資材らしきものから、廃材のようなもの、椅子の足や棚の骨組み、壊れたオブジェ、もしくは壊れたようなオブジェ。置き場に屋根はなく、雨ざらしです。そこに、成形し仕上げを待つだけだという色々な形のランプシェードが無造作に並べられていました。すでに赤茶けた錆にびっしりと覆われているもの、部分的に薄くにじんできたものなど、錆の進行具合はマチマチです。

錆の出方は千差万別ですが、効果を狙って錆びの進行具合をはかるというのではなく自然任せ。「作業を順に進めていって仕上げるタイミングが来るまで勝手に錆びさせておく、といった感じです。基本、放置です。」と羽生さん。
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「中、見てみます?ほんと汚くて、ただの工場みたいですけど」とトタン屋根の大きな建物の中へ案内してくれました。すぐ隣は自動車の修理工場と製材所かな?とにかく民家は離れていて、裏手に林が続いています。その林の先はすぐに狭山湖です。所沢というとものすごく暑い地域というイメージですが、それでも比較的涼しい風を得られる環境なのだそうです。全く偶然に「貸工場」という貼り紙を見つけたというこのガレージ。他に2人の作家さんと共同で借りているとのことですが、物件を探す時に3人で決めた条件と言うのが、「24時間音を出しても苦情のこない場所」というもの。これがなかなか見つからず、困り果てていたころやっと出会えたのだそう。ガレージのすぐ脇を用水路が引かれていて、ザリガニでもいるのか黄色い揃いの帽子を被ったこどもたちが木の枝で釣りごっこを楽しんでいました。「幼稚園のお散歩コースになっているみたいで。一度前の持ち主が置いて行ったロボットに手紙が挟まれていたこともありました。」

入口の壁に大きなペガサスのレリーフが掲げられています。壁のダクトには目鼻口に手までついています。こどもたちにとっては、ものすごく不思議な、魅力的な場所に違いありません。ロボット工場、ペガサスの家、なんと呼ばれているのかな~と、ちょっと余計な想像もしてしまいます。「でも鉄材が沢山あるので、危ないから絶対に近寄らないようにだけはお願いしているんです。」と、意外なほど真面目な表情で話していました。後でわかったのですが、鉄という「凶暴な素材」を扱う上で、安全であること、にはとても気を遣っているようでした。

中に入ると、そこは子供たちにとってだけでなく、わたしたち大人にとっても全く未知の世界でした。
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パパろばもママろばも、鉄の工房にお邪魔するのは初めてです。大きなガレージの壁いっぱいにペンチや金槌などの工具が掛けられていて、車の修理工場のよう。大きな油圧式のプレスや円盤歯の電動ノコギリなどに混じって、もちつきの臼のように太い丸太の幹に鉄の首が2本、鶏の頭のような恰好で埋められている道具がありました。鉄の太い棒はあて金といって、鉄板を成形するのにつかう、たたき台だそうです。伝統的に、重たいケヤキの木が使われるのだとか。
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鉄の作家さんと聞くと、わたしたちのイメージでは鉄を熱してはカンカン叩く、いわゆる鍛冶屋さんのような鍛金(たんきん)の仕事を思い描きますが、ヨーロッパでよくみかける、くねくねと曲がった鉄の装飾 を羽生さんはあまり好まないのだそうです。
「もちろん、必要があればやりますが、飾りのために叩いて叩いて、それで値段が上がる様な余計なことはあまりしたくないんです。」必要のないことはしない。それだと、どうしても我が出てしまう…と付け加えましたが、なるほど。言われてみると羽生さんの作品、装飾と呼べるものは一切ついていない。ただ、部品ひとつひとつの形が美しいだけ。「まあ、そう言ってても出ちゃうんですけどね」と、なんだか独り言のように呟いていました。

「羽生さん、この機械なんですか?」「これはどうやってつなげるんですか?」矢継ぎ早に質問するわたしたちに「えーと、なんといったらイイのかな?」と言葉を探しながら、できるだけ分かり易く説明してくれます。相手があんまり素人だと、専門用語を使うたびにその用語も説明しなければならないので面倒だと思うのですが、用語の解説まで含めて、とても辛抱強く教えてくれました。次から次へと飛び出す質問に、実際に機械を操作したり、成形前と後の姿を比べて見せてくれたり、制作の流れを一通り説明しながら答えてくれました。わたしたちの興味は鉄だけでなく、羽生さんという人そのものに向かって根ほり葉ほり、個人的な領域にまで踏み込むので話は右往左往。時間がいくらあっても足りません。食事もあるだろうから1時には切上げようね、と話していたのに工房を出た時には4時を過ぎていました。つくばから電車を3本乗り継いで、狭山ヶ丘に到着したのは10時過ぎ。6時間ほどぶっ通しで立ったまま話しをしていたことになります。いつも、話に夢中になりすぎて時間を忘れてしまう。

2年前に思い切って購入したというプレス機は、細かい部品の型などを抜くことができるようになり、そのおかげで飛躍的に加工のスピードが上がったそうです。「けっこうすごい音がするんですよ。」と小さなドーナツ型の鉄材を拾い上げて、金属の型をあててプレスにかけると「ブシューッ」と鈍い音が響き、ソケットの差込口のパーツの形が出来ています。確かに民家が近くにあったら夜に作業をすることはできません。
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ランプシェードの傘部分は薄くてプレス機で型抜くことはでいないので、円盤状の鉄板を溶接して大まかなドームを作ってから先述のたたき台で継ぎ目をならし、成形していきます。手に直径24㎝くらいのシェードを持っていたので「それでどのくらいの時間がかかるのですか?」と聞くと、流れ作業で複数同時に進めていくのでひとつひとつがどのくらい時間がかかるかはわからないけれど、としばらくう~~んと考えて、3時間、いやそれ以上かかっているのかな~。まあこれだと1日に2個くらいでしょうかね?僕は飽きっぽいんで。と笑っていました。表面が錆びたままの自然な色合いですが、最終的には蜜蝋などで錆止めを施してから電球のソケットとコードが組まれます。ガサガサと赤茶けた錆が粉拭いているような鉄が、蝋を摺り込まれるとぐっと黒く、マットで落ち着いた質感に生まれ変わるのが不思議です。
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錆止めを蜜蝋にしているのは、手に触れても安全な、天然の素材だから。他にも手段はありますが、合成薬剤は含まれる成分が不明瞭なものもあり信用できない。シンナーの臭いも嫌いなので基本的にペイントはしないし、什器などで木材を使う場合でも無垢のまま素材の色を生かすか、色をつける場合には木酢液などを使い、合成樹脂ではなく天然のくるみオイルで仕上げています。生活道具を作っているので誰が…例えば子供が触っても安全なものを、ということはとても気をつけているのだそう。鉄を錆びさせるのによく使われる腐食剤も使わないし、同様の効果を得られる塩水も、自然に出た錆と比べて後の劣化が早いので使用しません。時間はかかっても、外に放置すれば自然に錆はつくのですから。

仕上げの錆止めは蜜蝋のほかイボタロウという、ふすまや建具のすべりをよくするために使われている蝋を使う場合もあるそうで、蜜蝋と比べて若干仕上がりがさらさらになるのだそうです。「イボ太郎?」はじめてきくそのインパクトある言葉に、過剰に反応するわたしたち。「いぼ・たろうではなくて、いぼた・ろう、です。イボタムシという、カイガラムシの一種からとれる高級な天然蝋なんです。」わたしたちがあんまり騒ぐので、あとで実物を見せてくれました。外で錆がついていたランプシェードを選んだ際に「蝋加工はすぐできますよ」といって「蜜蝋、イボタ蝋、どちらにしますか?」と聞かれたので、せっかくだからとイボタを選んだのです。ストーブの上でシェードを熱し、そこに固形の蝋を摺りつけて融かし布で刷りこむ作業ですが、実際その場でひとつ仕上げてくれました。革の手袋をはめていますが「熱くないんですか?」とパパろばが聞くと「熱いです」と羽生さん。「熱くて放り投げちゃう時もあります。何をしても壊れないところが、鉄のいいところです。」と笑っていました。
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…でも、どうして、鉄だったんですか?
「僕の通っていた大学は、願書を出す時点で素材を選ばなきゃならなかったんです。金属、ガラス、布、陶器とか、17、8の高校生が、決めなきゃならない。さすがに制度が変わって、今は入学してから選べるようになったみたいです。もちろん、何をやりたいかなんてわかんないですよね。車に興味があったけど、それでプロダクトデザインというのもしっくりこなかった。子供のころから何かを作るのが好きだったので工芸。で、車は何で出来てるかというと鉄だし金属かな、と。そんな程度です….。でも結果、僕には性に合っていたのでしょうね。当時同じ科にいた人で今でも金属と関わっている人はほとんどいません。やっぱり、鉄はいいですよ。何でも創れちゃう。ドでかいものの骨にもなれるし。強い粘土で形作っている感覚です。扱いは簡単じゃないけれど…。」多分、本当に鉄、という素材に入れ込んでいるんだなあ、と思わせる説得力のある表現でした。…強い粘土。

「やっと最近、思い描いた通りのカタチを作れるようになってきたんです。」頭の中では出来ているのに、現実の作品はその完成図とは全く違う、ツライ期間が長く続いたそう。

はじめから鉄の生活道具を作っていた訳ではなく、卒業してからしばらくオブジェなどによるアート表現を追求してきたという羽生さん。通っていた大学はファインアート志向が強く、生活道具などの商業的なモノづくりを低く見ているようなところがあった。陶専攻の学生が食器をつくろうものなら「オマエなにお茶碗なんて作ってんの?いつでもできるじゃん、的な…。」と説明してくれました。「彫刻家を目指していたのでどうやって自分の表現、オブジェで食べていけるかばかり考えてました。とにかく作ることが楽しくて。3mのオブジェを作ったこともあります。でも、置き場がないのでスクラップにしちゃいました。」

誰かのブログか何かで読んだ記事を思い出して、「確か、汐留のフジテレビのビルの、巨大なジブリのからくり時計、羽生さんも参加されてたんですよね?」と尋ねると、「日本テレビです。あれはただただ苦痛でした。」「え?そうなんですか?子供をアンパンマンテラスだったかに連れて行った時に見ましたよ。相当大きいですよね?」「教授に頼まれたバイトで、一年間毎日通ってひたすら銅のパーツを溶接してました。おかげで溶接の技術はかなり上がったけど。」と笑います。

特に転向しよう、と決めて作り始めたわけでなく、4、5年前ちょっとやってみようかな、というくらいだった生活道具。でも実際に作ってみて感じたことは、芸術作品を作るのと変わらないということ。優劣があるわけじゃない。やっていることそのもの自体は全く同じ。コンセプトもしっかりあるし。そして何より、道具はひととダイレクトにつながることが出来る。「それ、どうですか?」と聞いて「いや、全然使いにくい」というように。

「それまでは、ひたすらゴミを作っては捨てているようなものでした。作るっている行為が好きなのに、作ったものが人に無視し続けられること、人とつながれないことに耐えられなかった。」そう語る羽生さんの口調はそれでも穏やかで、とてもリラックスした様子。とにかく作ることが好き、という羽生さんはきっとそれと同じくらい人が好きなのではないか、と話を聞いていて感じました。人との接点が直接モノづくりのパワーの源になっている。4月に月みどりのクラフトで初めてお会いした時も、決して自分からペラペラしゃべるわけではないのに壁を感じさせない、開かれた雰囲気が印象的でした。自分の作品に興味を示してくれている人に対するストレートな喜びが伝わってくるような、丁寧で温かな接し方です。

窓際に、オブジェのような人形が3体、埃をかぶって並んでいました。「オイルランプの3兄弟です。」と作業台の上に移して見せてくれました。クラフト展で入選した作品だったのですが、最近はもっぱら、シェードや台所道具など暮らしに寄り添ったものを中心に制作しています。

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道具は、ダイレクトに人とつながれることができる。

道具を作り始めたころからすぐに取りかかった、フライパン。ずっと、作りたかったもののひとつだそう。「やっぱり、世の中でいいと言われている鉄のフライパンを試して、研究したりしたのですか?」と聞くと「いや、まったく試してないです。」と笑って答えました。「世の中、道具ってもうだいたい事足りてますよね。必要なモノは出そろっているというか…。そこで勝負をしても仕方がない。比べても落ち込むだけ。だったら、自分にしかできないモノを作っていくしかない」
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羽生さんのフライパンを手にして驚いたことは、その持ち易さ。鉄の持ち手のものも、木の柄のものも、どちらもとても手になじみがよく、重さの感じ方を軽減させてくれます。そして驚いたことには、木の部分も全て自分で作っているのです。他人に頼むと高くなるのでしょうがなく始めたんです、と言うのですが、とてもとても美しいのです。大理石のようにすべすべに磨き上げられていて、桜材の持ち手などはいつまでも撫でまわしていたくなるほど。手触り…。やはり毎日手にとるものは、感触も大切ですよね。鉄という素材はほんのちょっと雑な処理をすれば怪我にもつながってしまいます。「もう、ほっぺたをすりつけてもどこにもひっかからないっていうくらいのところまで、細部の仕上げには気を使っています」という羽生さん。「だって、道具に怪我させられるのって、イラッとするじゃないですか。市販の中華鍋とかで、結構危ないのあるんですよ。」と教えてくれました。

「くっつかないんですか?」と聞くと自分で使っているフライパンを見せてくれて「これは全然大丈夫です。」と。型で作られたものではなく、手で打って仕上げているから微妙な凹凸があって、それでくっつかないのかなあ…とわたしがブツブツ言っていると「そのせいかどうかはわかりませんが、最初にしっかり油慣らしをしたせいか、僕が日常で使っている分にはくっつく、という感じはないですね。」一人暮らしの羽生さん。これで目玉焼きを焼いたり、オムレツを作ったり…。「これでトースト焼くと美味しいんですよ~。」と見せてくれたのは四角いパン。玉子焼き用かと思ったら。…やはり使い心地を聞かれるので、自分でも使い込んで経年変化を見ているそう。わたしたちも、同じくらい小さなフライパンを自宅用に購入。わたくしママろば得意のフリッタータ(イタリアの玉子焼きです)を、これで焼いたら外側がカリッといきそう。。。ファミリー向けに、もっと大きなフライパンも作って欲しいのですが、この小さなフライパンと同じ2.6ミリの厚みの鉄を使うと、まず片手では持てないような重みになってしまうため、どの程度の薄さにするのか、重さを軽減させるような形状の持ち手など、常に試作を積み重ねているのだそうです。

パパろばにとっては初対面となった、今回の工房訪問。羽生さんが「狙っているわけじゃない」という錆の雰囲気と同じで、ずっと以前からそこにあったかのように空間にとけこむ作品たち。本人の風貌も作品にたがわずラフな感じがオシャレで、はっきり言ってカッコイイです。帰り際「確かうちのパパと同い年なんですよね?」と聞くとやはり79年生まれ。パパろばが「えええええ???」と驚いていました。年下だと思っていた様子…。わたしが「シングルだからじゃない?ほら、子供いるわけじゃないし」となぐさめると「それに痩せてるし…」と、ちょっと自分のお腹をなげくパパろば。ダイエットへの決意をさらに固くして帰りの電車に乗りました。
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はじめて会った時から印象に残っていた、抑揚の少ないゆったりと穏やかな話し方。今回話していてさらに、彼の作品の持つ温かい雰囲気の出発点がわかってきた気がしました。人と、つながっていたい。冷たい金属としての鉄ではなく、温かみを感じられるような、強くて優しい鉄。彼にしか作れない、錆び色の傘に反射するやわらかな灯り。その灯りの下で繰り広げられる、食卓に集う人々のにぎわいを想像したりして。そうして羽生さんは熱い作業場で、ひとり鉄を打ち続けているのかも…。ろばの家に加わった4つのシェードを見上げながら、マッチ売りの少女チックな気分にひたってしまうママろばでした。(2015年4月)
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Vinaiotaさんの蔵開きパーティー。

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6月20日(土)、つくば市のワインインポーターヴィナイオータさん主催のイベント、蔵開きに参加させていただきました。一般のワイン愛好家が普段なかなか見ることのできない、ワインの保管倉庫や発送の場を見学して、輸入されたワインがどのように大切に扱われ人の手に届けられるのか、という現場を体感しヴィナイオータってどんなところなのかをのぞき見できちゃうというイベント。もちろん、美味しいワインとお料理も欠かせません。フェイスブックで募集した途端に定員に達してしまったという人気ぶりだったようで、当店は見学後にda Dadaダ・ダダさんにて行われたパーティーに参加。

つくばの名店が勢ぞろい。Amiciアミーチの太田シェフとLa Stallaラ・スタッラの佐藤シェフが、da Dadaの西田シェフと共演して出されたお料理に、Panezzaパネッツァの角谷さんのパン、VIA THE BIOヴィア・ザ・ヴィオ綿引さんのチーズ、もちろん、ヴィナイオータのワインがそこに並ばないはずはなく、もう、ものすっごくシアワセな土曜日の夕べとなったのでした。
そんな中に、つくばにはこんなお店もあるんですよ~ということで、ろばの家スペースも作っていただき、ママろばが参加してきました。やっぱりここは、ワインやお料理が好きな人に喜んでいただこう、とペルスヴァルのナイフやFDさんの調理道具、ワイングラスのある食卓にすうっと馴染むような作家さんの器などを選んでちょこちょこ持っていきました。
ワインのイベントなのに、なぜだか途中で千切りピーラーの実演なんかも始めたりして、ちょっと不思議な光景でしたが、興味を持ってくださったかたも結構いらして、楽しくおしゃべりさせていただきました。
都内から参加された方も多く、「今度また、改めてつくばに遊びに来たい!」と言っていただいてとっても光栄でした。また、つくば近郊にお住いの方にもお会いできる機会となり、嬉しい限りでした。またひとつ、素敵な出会い。ヴィナイオータさん、参加の皆さん、本当にありがとうございました。

2015-06-23 | Posted in Eventi 行事No Comments » 

 

新しさと古さが入り混じったような、独特の世界観を。

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愛知県常滑市で作陶をはじめて、まだ間もない30歳の作り手さんです。

その瑞々しい感性が、何よりも彼を輝かせていることが、クラフトフェアのブースひとつをとってもひしひしと伝わってきます。作品の点数は少なくても、その並べ方、什器、ディスプレイ、そして本人の佇まいまでを含めて、表現したい世界がとてもハッキリしているのです。

「古いものが好き。」

「このような作風に行きついたのには、何かきっかけか理由があったのですか?」という問いに、ディスプレイに置いてあったテープカッターと茶入れの缶を手に取って説明してくれました。とても古いもののようですが特別なデザインのものではなく、昔はどこの家にでもあった実用的で頑丈な作りのモノです。使い込まれて傷だらけになり、元の青いペイントが擦れて青銅のような色合いに見えている重たい鉄のテープカッター、煤けた色合いに変化した錫缶の茶入れ… 

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でもそれらが共通して持っているザラリとした質感は、まさに彼の作品が持っている雰囲気と同じ温かみのを帯びています。作品を並べているアイアンの棚枠も、錆びてエッジがガタガタになっています。

「とにかく昔から家に残っていた古いものが大好きで、こういったものをよく触っていました。人の手によって表情を変えてゆくようなモノの質感に、とても魅かれるのです。」

作品は、成形した段階で化粧土をかけてからヤスリで処理をしたり、厚めにかけたところのひび割れをそのまま生かした状態のまま一度焼き、その後常滑の急須に昔から使用されてきた伝統的な透明釉を薄くかけて本焼きしているため、見た目は無釉のようですがひび割れに水がしみこまないように仕上げています。錆びて塗装が剥げ落ち、毛羽立っているように見えますが、実際に触れてみると表面はきちんと落ち着いています。oozawasan-4

 

「作っているのはあくまで道具。使い勝手が悪ければいくらカッコよくても意味がない」ときっぱり。

「僕の作品を見て、ああ、これにはあの料理を盛りたいな、とかこんな風に花を飾ろうかな、と使い手が想像をふくらませてくれるような、一緒に価値を見つけ出していけるような、そんな道具を作りたい。」

新しさと古さが入り混じったような、大澤さん独特の世界観。これからが楽しみですね。

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大澤さんのうつわはこちらです

 

恵山(小林耶摩人さん&西村峰子さん)

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今年、2015年春から活動をスタートしたばかりの、出来立てほやほやの『恵山』。
笠間で修業した小林耶摩人さんと西村峰子さんの二人で開いた窯です。同じ屋号で、二人別々に個人作品を制作して活動しています。春の陶器市、笠間の陶炎祭の新人ブース『笠間のたまご』での出展がデビュー戦となった小林さんと、同時期に開催されていた『新進作家陶芸展』に出展した西村さん。
 
ろばの家にふたりが立ち寄ってくれたのはデビュー前のことで、その時偶然小林さんが作品を持っていたことから、パパろばが「お!」と注目。活動開始を楽しみに待っていたのです。それが、今年の1月の終わりのこと。夜だったのでわたしママろばはお会いできず、パパろばが写真を送ってきてくれたのを「わ、いい雰囲気だね!」と興味を持つと「そうだよね?いい感じだよね!!」と得意気にうなづいていました。
 
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その時、ふたりはつくばにある『da Dada ダ・ダダ』というワインショップに来ていて、そこで陶芸をやっていることをシェフに話したところ、仲の良いろばの家の話になり…といういきさつでした。da Dadaでは、笠間の作家である額賀章夫さんの様々なうつわをレストランで使用しているので、額賀さんからda Dadaのことを聞いてつくばまで来ていたのです。というのも、小林さんは当時額賀さんのところで研修中。約2年間の弟子入り生活を終えようとしている頃でした。額賀さんとda Dadaのつながり、da Dadaとろばの家のつながりが、今の恵山とろばの家とのつながりに。そういえば、今ろばの家で扱っている折笠秀樹さんも、ろばの家のオープン前に額賀さんを訪ねた際に名前を教えてくださったのがきっかけだったし、後でわかったことですがシモヤユミコさんも額賀さんのお弟子さんで、小林さんの姉弟子になる関係。西村さんは窯業指導所で働いていたことがあり、その時に生徒として来ていたシモヤさんと仲が良く、お手伝いに行ったこともあると聞いて「つながってるな~」としみじみ。なんとなく、ご縁を感じてしまいます。

“茨城県笠間市にて、2人で活動している陶芸工房です。普段使いの器を中心に作陶しています。”
とブログの紹介文にはそっけなく書かれて(笑)いますが、そのそっけなさ、さりげなさが作品にも滲み出ています。
二人の作品は、まったく個性が違うのにどこか共通点を感じさせる、シンプルだけどほっとできる身近さが魅力。意識してか否か、やりすぎ感と無縁でいたいというスタンスが根底にありそう。小林さんの、シャープでモダンなデザインに落ち着いたニュアンスのある色合いの組み合わせ。西村さんの丸く愛嬌のあるフォルムにごくごくプレーンな色展開。そのバランス感覚が、背伸びをしない、適度に居心地のいいリラックスした雰囲気を作品に漂わせています。オシャレすぎて手が出ない、というところまではいかない、いかせないさりげないセンスが恵山の持ち味、と勝手に一人ごちていました。
 
それは、実際二人の工房を訪ねるとすぐに納得。ふだんの二人の暮らしぶりが、すでにさりげないセンスに満ち溢れていました。古い家を自分たちで補修して住まい兼工房、オフィスに利用しているのですが、古道具屋で安く買ったというような木の家具やなんでもない棚も、なんとな~く素敵に二人の作品の雰囲気に合うような感じに配置されている。古い小さなちゃぶ台に小林さんの灰釉のそばちょこを並べ、西村さんのポットから紅茶を注いてくれる、その図がとってもまとまっていて自然です。自分たちの器を色んな料理に試して使い勝手を確認している、と話していましたが、きっとこんな風に絵になる実験風景なのでしょう。インテリアなども大好きで、という二人のセンスは方角が一緒。とっても楽しそうです。
 
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  「工房名は『恵山(ケイザン)』と言います。粘土と言う山からの恵で仕事が出来ることに感謝し名付けました。」と教えてくれた、名前の由来。そこからも、謙虚な二人の姿勢がのぞけます。お互い助け合いながら、もっともっと上手になりたい!と意欲的に制作を続けていく二人の作品。仲の良い二人が生み出す、それぞれの持ち味を生かしたうつわたち。「お客様が来た時に…」などと気負わず、毎日すぐ身近で接していたいものばかりです。

さて、そのお二人。それぞれのプロフィールをご紹介すると…。

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小林耶摩人さんは1983年笠間生まれ。父親も陶芸家で、小さなころから仕事をする父を見てきてはいるものの、特別な仕事とは思ってこなかったそう。毎日お父さんが家にいるのも当たり前だと思っていたし、美術の先生だという母親も長い休みには家にいたので、大学生になるまで大人も1か月以上の夏休みがあるものと信じていたという驚きのエピソードも聞かせてくれました。家業を継ぐように願われたこともなく、東京で大学を卒業した後5年ほど務めた出版社をやめ、窯業指導所に入ることを決意して笠間に戻った時には驚かれたそうです。ただ、勤め人を辞めてクリエイティブな仕事でやっていこうと決め、陶芸を選んだ背景には、やはり幼少期の影響があったのでは?という質問には「それはあるでしょうね」と答えていました。あまり雄弁に語るタイプではなく、尋ねれば遠慮がちにポツポツ話してくれるシャイな印象があり、なんだか無理やりインタビューしている感じになっていないか、冷や冷やしながらお話を聞き出していました。窯業指導所で学んだ後2年間額賀章夫氏に師事して経験を積み、その後西村さんと一緒に独立したのが今年の春、です。
 
 一方、西村峰子さんは1979年生まれで水戸の出身。小さなころからイラストや手芸などモノづくりが大好きで、専門学校のポップアート科に学びました。卒業してすぐオケクラフトで有名な置戸町に移住し、木工を体験しながらクラフト作家さんたちと交流したことはとても刺激になったと話します。社会人になって自分でご飯の支度をするようになり、急にうつわへの興味が高まった。「こういうのにお料理を盛ってみたいな~」と、あれこれうつわを集めているうち友人と陶器市をめぐるようになって、さらにのめりこんでいきます。「あんまり収集癖とかない方だと思っていたんですけど、陶器だけはあたしどうしちゃったんだろう?ってくらい買い集めてました。あんなにハマったのは陶器だけかも」と。笠間の窯業指導所で臨時職員を募集しているのを知り、仕事を辞めて指導所に勤務します。
 
実はここで、運命の出会いが!?
西村さんが指導所に務めている間に、小林さんが入学してくるのです。「願書出しに来たの覚えてるよ~」と西村さんが言うと小林さんも「俺も出したときにこういう人いたっていうの覚えてるんだよね」と。この出会いがなかったら、今の恵山はなかったかも…そして、二人はまったく今とは違った作品をそれぞれに作っていたのかも。出会いって本当に不思議です。
 西村さんは職員として働きながらも興味のあることはどんどん聞きに行き、自分が入学してからも2年のところのろくろ科を一年でやめ、すぐに釉薬科に進みます。どうしても教えてほしい先生が辞めてしまうかもと聞いていたので、はじめから1年で終わらせようと、自分なりに必死で技術を覚えるよう努力したのだそうです。そして、その時から「卒業するまでに急須をひとつ満足に引けるようになりたい」と、難しい成形技術の集結とも言える注器をひとつの目安に頑張ってきたのだそうで、卒業作品展にも土瓶やポットを出品していました。そこでわたしたちも彼女の作品を初めて目にしたのですが、その完成度に驚き、興奮したのを覚えてます。
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「丸い形が好きなんです。」という彼女の言葉通り、ポットも土瓶も汲み出しも、丸く愛らしい形がキレイな西村さんの作品。「ポットの様に、少しずつパーツを足していって、だんだん形になるというのが楽しくて」と、西村さん。ただの丸い胴体に、部品が付いていく度に愛情が増していく。「注ぎ口が付くとがぜん可愛くなるんです!さらに持ち手が付いたりするといとおしくって」と嬉しそうに話してくれました。
 
とっても明るい西村さんはアウトドア派でカヤックなんかもやっていたほどの行動派。読書が好きな小林さんとは対照的、と西村さん。もっとも、制作に追われて今はカヤックも本もお預け状態。作家活動を始めたばかりの二人ですが、笠間のデビューを皮切りに、5月は千葉で『にわのわ』に、6月入って栃木『クラモノ』に参加したかと思えば、6、7月でまだあと3つもイベントに出展予定。茨城、東京、北海道まで!「自分たちから動かなきゃ!」とどんどん積極的に地方に出ていくことにしたのだそう。旅するような気分も味わえて楽しいし、ととっても意欲的。小林さんもそんな西村さんに最初は引っ張られるようにしながらも、直接お客さんと会話ができる機会を楽しめるようにまでなってきた様子。
 
「二人の作品は一緒にあっても違和感ないですね、とよく言われました」。全く作風は違うのに、相性が良いのですね。西村さんはポット類や汲み出し、マグカップなどお茶周りのアイテムを中心に作っていて、お皿や鉢などは小林さんにお任せ、と笑っていました。二人のアイテムがかぶっていないのもいいのかも、とも。「でも耶摩人の急須も見てみたいな~。絶対わたしの形とは違うんだろうなあ~」と話しているのを見ると、将来ふたりの共同作品が出てきたりするかも、なんて想像して楽しみになります。
 
『恵山』の今後の出展予定はこちらのページでご覧になれます。機会があったらぜひお二人に会いに行ってみてください。
 
OnlineShop 『恵山』のページはコチラ
byママろば

 

『毎日使ってもらいたい』、加藤仁志さんの色褪せることの無いうつわ。

 

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家業が製陶業を営んでおり、子供のころから父が作陶している姿を見て、自然な成り行きで陶芸の道に進んだ加藤さん。

『毎日使ってもらいたい』との思いから、シンプルなデザインのものを心掛けている加藤さんの器はどれも本当にシンプルだ。その中で、手づくりの温かみや、土の持つ味わいといったものを感じてもらえるような器を作っていきたい。そんな加藤さんの器との出会いはかれこれ78年前くらいなので、結構長く付き合っている。ろばのウチでもほぼ毎日、朝食の時に何かしらの形で登場する。お客さんが来たときにも登場する頻度は高い。自分でもよく飽きないなと思うほど飽きない。ルリ釉の色彩がもつ外観的な魅力に気づいたのは本当に最近で、それまでは黒と見間違うほどの濃紺だと思っていた。この色調のさりげなさも飽きさせない要素なのかもしれませんね。必要以上にガシガシはしませんが、日常使いで気負いなく使えるというのも嬉しいことです。

以前は、鎬の入っていないシンプルなラインが好きだったのですが、最近では鎬の入っているうつわも、洋食器のような雰囲気があり気に入っております。鎬の部分にのっているルリ釉の強弱のコントラストも好きだったりします。自然光で照らし出された器の色彩の鮮やかなことといったら・・・夜の星空や鮮やかな深海を連想してしまう程の美しさで、どんどん引き込まれます。。。

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自分で土を掘って作陶している加藤さん。どうしてと言う問いにこう答えてくれました。

『土を掘ってくるのは、もちろん自分がほしい土味などを得るためでもありますが、掘ってきた土を乾かし、木づちで細かく砕き、ふるいにかけ、再び水を加えて使える土とする。この作業をすることで、土をあつかう仕事の原点を思い出させてくれる気がするので、これは続けていきたいと思っています。』

実直に土と、作品と向き合っている加藤さんの器は、普遍的な良さと言えばいいのでしょうか長い間使っておりますが、色褪せることのない素敵なうつわです。

加藤さんのうつわはこちらです

 

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