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続編!4人それぞれのカレー事情Vol.2。カレーのお供に欠かせないのは?人生一番のカレーは?

いきなり来ましたね。カツカレー。カツカレーは日本の文化です。日本魂です。パパろば、大好物です。大江さんのアンケート回答の最後に「サービスエリアの普通のカツカレーって何であんなに美味く感じるんでしょうね?w」と書いてあって、パパろばが「わかる~~~。大江さんアツいな~」と叫んでいました。実際本当によくパパろばはカツカレーを頼みます。実はこの撮影の日、ママろば人生初のカツカレーを食しました(笑)。前回も書きましたが、それほどカレー好きではないと思っていたのです。だからサービスエリアでカレーを頼むなんてこと、あまりなかったのです。ほら、家でカツカレーってまずやらないじゃないですか。だからと言ってカレーの専門店だと逆にメニューにはないし。そりゃあ美味しかったですよ、もちろん。だってカレーにさらにカツなんですから。でもまあ、カロリーが怖すぎて多分2度と食べないと思います。カツカレーを頼む人にカロリーなんて野暮なこと言っちゃいけないことくらいわかってますけど、ね。

さてさて、話はそれていませんよ。真っ向正面から、カツカレーですからね!そのままぐぐい、と行きましょう。カレーアンケートの続きです!Vol.1に引き続き、回答は大江さん(大江憲一さん)、Keiさん(Keicondoさん)、長野さん(長野大輔さん)、かおるさん(松本かおるさん)、と普段ワタクシママろばが呼んでいる呼び方で統一しますね。

Q5、ご自宅でカレーを食べる時に他に食卓に並ぶものはどんなものですか?
keiさん:ラッキョウ。
大江さん:福神漬け、ラッキョウ。
長野さん:いつもサラダです。
かおるさん:サラダ、漬物、玉子やチーズもトッピングすることも。

Q6、カレーと一緒にサラダなど副菜を食べる場合、どんなサラダが登場しますか?
長野さん:畑で取れた季節の野菜です(画像は長野さんの錆釉リムボールに夏の定番トマレタキュウリサラダ!)
かおるさん:季節の旬のものサラダ。
keiさん:なんだっけ、ほら、あの、キャベツとかの…コールスローだ!あれあれ。
大江さん:ワンプレートに生野菜マヨ

「大江さん、アツい。」とまたひとしきりパパろばが感動。ちなみにパパろばもマヨネーズ大好きです。こう言うと「なんにでもかけるわけじゃないからまマヨラー扱いしないでくれ」と怒るんだろうなあ。ワタシから見るとかなりの十分マヨラーに見えるのですが…。「やっぱ大江さん、アツいな」と、こういう場面でマヨネーズ信仰を隠さないところに感心するくせに自分はマヨラー扱いされるの嫌がるんだから…もう、往生際が悪いなあ。唐揚げにマヨネーズとお醤油つけて食べるくせに。それにしても、なんかこのサラダの答え、みんな「らしく」ていいなあ~。かおるさんの「季節の旬のもの」なんていう答えがたまりません。長野さんも想像通り、ドンピシャリの答え。彼は半農半陶、と自称している通り自給自足を目指して畑でお米や野菜をつくり、土を掘り、薪を割り、窯を炊いて…と言葉にすると誌的ですが、実際には相当ハードであろう暮らしを自ら選んできているのです。でも、keiさんのコールスローは、なぜこうも「らしい!!」と思ってしまうんだろう?コールスローが象徴するものとは何なのか、しばし考え込んでしまいそうです(笑)。

Q7、カレーを食べる時に飲んでいるもの、飲みたいものはどんな飲み物ですか?

長野さん:お昼だと水。夜だとビールです。
かおるさん:ビール。ワインもいいですね。
Keiさん:牛乳
大江さん:食べ物に関係なくビールかレモンサワー

きた~、牛乳!!keiさんが大の牛乳好きなの忘れてました。それにしても大江さん…。来るよ来るよ、またパパろばが…。「アツい。大江さんレモンサワー。いいなあ、大江さん。いい!」さっきからアツい、しか言ってないよ、パパろば。個人的にはかおるさんの「ワインもいいですね」もツボですが。いいなあ、かおるさん。いい!色っぽい!

Q8、これまで食べた中で特に印象に残っている美味しいカレーはどんなものでしたか?
keiさん:インド料理店で食べた時はやっぱりすごい美味しいと思った。
大江さん:しんどい思いで登った山の山小屋で食べた普通のカレー。
長野さん:友人が作るグリーンカレーです。
かおるさん:最近タイへ行った時に食べたココナッツの効いたカレーが美味しかったです。

ココナツが効いたカレー…こんなのかな?スリランカ家庭料理のワークショップで習ったククルマスカリー。お皿は大江さんのスクエア。

Q9、お薦めのカレー屋さんがあれば教えてください。
keiさん:あの、水戸の有名なお店は美味しかった。スリランカの。名前忘れたけど。(ママろば注:コジコジさん、です。)
大江さん:愛知サンデースパイスのあいがけカツカレー。山口県KNOTの麦ちゃんの作るパキスタンカレー。
長野さん:ほとんど家のカレーしか食べたことがないです。高知にカレー屋があまりありません。
かおるさん:会社員時代はよくナイルのカレー食べに行きました。

「あいがけカツカレーだって!アツい!大江さん」 パ、パパろば…。

Q10、ご自分でカレーをつくることがありますか?どのような材料でどのように作るか簡単に教えてください。
大江さん:あり物材料にオリエンタルカレープラス辛味スパイスの普通のカレー
かおるさん:我が家は色々ミックスカレーです。カレー粉もスパイスもブレンドして決まりはなくいろんな調味料いれます。ケチャップ、ソース、はちみつ、りんごなどなど…。
長野さん:出汁は必ず上湯か白湯を使います。ルーにこだわりは無く少しカレー粉を加えたり、野菜は自分で作った旬のものを使います。出汁をこだわると驚くほどに美味くなります。
Keiさん:作んないな~。いや、昔は作ったか。普通のカレーですよ。玉ねぎ、人参、ホウレン草とか…。(…ホウレン草?)ボリビアに居た頃はあるもの何でもツッコんでたから。(ママろば注:keiさんは海外青年協力隊で2年間ボリビアに滞在していました)。あんま美味しくなかったな。
長野さんの灰釉カレー皿で、いかにも!なお野菜ゴロゴロカレー。

Q11、最後に、カレーにまつわる思い出があれば。
かおるさん:いろんな美味しいカレーがあるけれど、今まで一番食べてるのは母のカレーです。いつ食べても安定していて我が家の味だなと思います。
keiさん:そのボリビア時代によく作ってたのが羊のカレーで、とにかく肉が固いんだ。量り売りだから部位とかも選べないし筋とか入ってたんだろうなあ。臭くてさあ。その印象が強い。
長野さん:小学生のとき売っていたラモスカレーを沢山食べていました。本気でサッカーが上手くなれると信じていた記憶があります。大学生のころはお金が無く、こんにゃく、えのき、たまねぎ、肉無しカレーばかり作って食べてました。お洒落なカレーや海外のカレーなどはまだご縁の無いものです。

なるほど。日本のジビエ料理とはわけが違いますよね。今日のbeet eatさんのイノシシのビンダルーや蝦夷鹿のキーマなんか、豚肉より柔らかでふわっとしていて、そして臭みがまったくなく甘かった!そして軽い。もちろん日本のジビエが、ということではなくそれはbeet eatさんだから、ということなのですが。長野さんのいうオシャレカレーにあたるかどうかは別として、本日のジビエカレー3種盛りがあまりに長野さんの灰釉プレートに映えたので!長野さん、こういうカレーのことですか?せめて画像だけでも(笑)!

そしてもちろん、カレーにまつわるエトセトラ、最後の回答は…。
大江さん:サービスエリアの普通のカツカレーって何であんなに美味く感じるんでしょうね?w

パパろば、もっかいいっときますか。はい。

「アツい!!!」

暑い暑い夏にぴったりの、Spicy Summer Curry&Beer Online。ぜひともじっくり、汗をかくまでじっとりご覧くださいませ(笑)。制作でお忙しい中快くアンケートにご協力いただいた大江さん、keiさん、かおるさん、長野さん、本当にありがとうございました!

アンケートvol.1『発表!4人それぞれのカレー事情Vol.1。普段お家で食べてるカレーは?好みは甘口?辛口?』もご覧くださいね。

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せっかくですから、この上なく普通のサラダをイメージしてトマレタキュウリの定番サラダなどの画像も。そこでひとつ提案を。定番のフレンチドレッシング、塩を魚醤(臭みの全くないしこの露がおすすめです)に、レモンやヴィネガーをライムに替えるだけでかな~りエスニックな雰囲気の味になりますよ!オリーブオイルを地あぶらに変えればさらに無敵です!エスニックサラダの出来上がり~。

keicondoさんのページはコチラ

松本かおるさんのページはコチラ

大江憲一さんのページはコチラ

長野大輔さんのページはコチラ

 

発表!4人それぞれのカレー事情Vol.1。普段お家で食べてるカレーは?好みは甘口?辛口?


毎日毎日本当に、暑いですね。カレーの企画にはもってこいですが、こうまで暑いとキッチンに立つのさえ恐怖です。それこそカレーを一週間分くらい作りためて、毎日それだけ食べて過ごしたい…と言ったら「俺365日毎日カレーでもいいよ」とパパろばが本気で言っていました。カレー、本当に好きなんです。でも、カレーが嫌いな男性なんてこれまで出会ったことありません。みんな大好き、なんですよね。だからこそ皆さんそれぞれに色々なこだわりやらこだわりのなさやらが出てくるのでしょうね。ろばの家の『Spicy Summer Curry&Beer』企画に出ていただいた4名の作家さんも例にもれず、皆さんカレーはお好きなようです。実をいうとママろば、パパろばが好き過ぎるせいかそれほど自分はカレー好きではないのだなと信じていたのですが、先週のワークショップ以来すっかりスリランカカレー(下の画像)にハマってしまいました。これからしばらくマイブーム間違いなし。かなりの頻度で作ってしまいそう。ただ、フレッシュのカレーリーフが手に入るかどうかで仕上がりに違いが出そうだな~。そう、短時間で出来てしまうという手軽さも(が)嬉しかっのです。カレーと言えば玉ねぎをじっくり炒めて甘みを出しお肉が柔らかくなるまでゆっくり煮込み…というイメージがありましたが、さすが365日朝昼晩カレーを食べるスリランカ。電気が通っていない地域など冷蔵庫がないところもあるので基本朝昼晩毎回作って毎回食べきり、と聞いて納得。そりゃあ嫌でも手順がシンプルになりますよね。もちろんわたしは文明の利器、冷凍庫とジップロックをフル活用で作り置きしまくっちゃいますけど…。皆さんも機会があったら、南インドやスリランカのレシピを調べてみてくださいね。

さてさてまたしても脇道にそれてきちゃいましたから、ここでじゃじゃじゃん、と皆さんのカレーにまつわるエトセトラ、を発表してしまいましょう!Vol.1、Vol.2通して時々画像も交えますが、必ずしも回答にリンクするものではないのでご容赦を。あくまでイメージです。イメージではありますが、無性にカレーが食べたくなって困っちゃうかもしれませんのでご用心を。回答は、大江さん(大江憲一さん)、Keiさん(Keicondoさん)、長野さん(長野大輔さん)、かおるさん(松本かおるさん)、と普段ワタクシママろばが呼んでいる呼び方で統一しますが内容により回答の順序がかわりますのでご注意を。それから、思わず時々ママろばがツッコミを入れていますが客注と思ってお許しください。

Q1、カレーは好きですか?(→全員YES!!) どんなカレーが好きか具体的に教えてください。
大江さん:好きです。意外と何でもいけます。
長野さん:家で食べるカレーライスが好きです。
かおるさん:大好きです!スパイスの効いているカレー!
Keiさん:好きですね~。熟カレー。
ママろば:…熟カレー?商品名ですか?と聞いたら「いや、翌日食べるカレー」とkeiさん。なるほど。確かに作ってすぐより翌日以降の方が美味しいですよね~。

Q2、どのくらいの頻度でカレーを食べますか?
(月1回以下、月1回程度、月2~3回程度、週1回程度、週2回以上、毎日でも食べたい)
…ここは頻度が高い順に回答を。
keiさん週2~3回 > 大江さん:月2〜3回 > 長野さん:月1回程度です。= かおるさん:月一ぐらいでは食べてるかな。

願望レベルならパパろばの「毎日食べたい」はダントツ一位なのですが、傍で見ている限り現実には大江さんくらいの頻度でしか食べていないようで…ごめんね、パパろば。今後ママろばのスリランカカレーに期待してください!

Q3、カレーといえば何カレー?わが家の定番カレーといえば?どんな特徴のカレーなのか教えてください。
大江さん:子供が小さいので甘口カレーに後乗せでアリッサを入れて食べるのがマイブーム。
長野さん:我が家のカレーは市販のルーをベースに鶏がらで取った上湯と季節の野菜のカレーがほとんどです。
かおるさん:スパイスカレー。自分で調合したり、市販のカレー粉使ったりとその時々で楽しんでます。いま家にあるのはスパイス各種とモティバイ家秘伝のカレーパウダーと横濱舶来亭です。
keiさん:熟カレー。
ママろば:また熟カレーですか?いつ食べるかじゃなくてどんなカレーか教えて欲しいな~。
keiさん:ああ、そういうことね。おおっきな具がゴロゴロ入ったやつ。
ママろば:わかる~。ウチの実家もそうでした。やっぱり美味しいですよね。まさに上の写真のようなカレー!理想の家カレーですね。…と、なぜkeiさんばっかりこんな風にやりとり形式になっているかと言えば、彼だけアンケートを口頭で答えてくれたからなのです。近いですからね、笠間。あんなカッコイイ見かけですが実はなかなかにすっとぼけていて面白いんですよ、keiさん。

Q4、カレーの辛さはどのくらいがお好みですか?次の中からお選びください。
(甘口、中甘口、中辛口、辛口、激辛)
…ここはやはり、甘口派から順に回答して頂きましょう。

Keiさん:甘口 < 長野さん:中辛。タイカレーは激辛が好みです。 < 大江さん:辛口 < かおるさん:辛口、激辛も挑戦したい。

…やはり皆さん、お家で食べるカレーが大好きなんですね。子どもの頃食事がカレーだとテンション上がりましたもんね。専門店の本格的なカレーももちろん美味しいですが、家のカレーというのはまた別の次元の特別感を持っているような気がします。…それにしても、予想に反してkeiさんが甘口カレーとは!!なんとなく甘めのイメージのかおるさんが辛口、あわよくば激辛!!といった予想外な回答にもびっくりです。だから面白いんですけどね~。

さてさて、アンケートはまだまだ続きますがあまりに長くなってしまうので続きはvol.2で。

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刺激されるのは、何よりもまず触感。こんなにも色っぽい焼き締めが存在するなんて。

「思いっきりなでなで、頬ずりしてやってください。」松本かおるさんがご自身で何年か使い込んだというサンプルのうつわ。添えられていたメモにそう書かれていたのでした。下の写真はその汲み出しですが内側がかなり味のある色に育っています。写真からはわかりにくいですが表面もところどころ艶々と光沢を帯びて、なんともなめらかですべすべした触り心地です。とても焼き締めという感じがしません。焼き締め。つまり無釉で焼かれた陶器で要するに粘土だけで出来ているということです。一般に荒々しいイメージのある陶器で手触りももっと粗いことが多い。でもかおるさんの焼き締めはまるで河原で見つけたまん丸の石、波に洗われたガラス石、上質な石鹸…。一番近いのは、子どもの頃母親が洋裁に使っていた三角チョークだと思うのですがわかるかしら?今ではペンタイプのチャコペンが主流だろうけれど、当時は水色やピンク色の薄っぺらい小石のようなもので布に印をつけていました。そのチャコの手触りと、かおるさんの使い込んだうつわの表面の感触がとても似ているのです。


なめし革が使えば使うほど光沢を帯びて色濃く育ってゆくように、かおるさんの焼き締めは手で持ったり洗ったり、使っていくうちにどんどん質感が変わってきます。ワタシがはじめて購入したフリーカップは3月から毎朝使って、もうすでになんともいえない鈍いツヤが出てきました。玉子の殻のようにマットな触感からより滑らかな肌へとテクスチャーを変え、乾いた見た目も濡れたようにしっとりとした質感へ。触れば触るほどなめらかに、気持ちのよいすべすべのお肌になってゆくのです。かおるさんではないですが、いつまでもナデナデしていたい。

そして驚くべきはその軽さです。焼き締めというとどうしてもどっしりと重く分厚い印象がありますが、かおるさんのうつわはかなり薄くシャープな印象です。それでも冷たい印象がないのは、暖かなオレンジ色が基調だからでしょうか。イタリアはトスカーナ地方、シエナやフィレンツェのテラコッタの屋根…「魔女の宅急便」でキキが箒にまたがって空を飛んでいくときに眼下に広がる、あの美しい赤茶色のモザイク模様。はじめて見た時その風景を思い出し心が躍りました。こういう焼き締めもあるんだ、と。そして手に持ってみた時の軽さと独特の質感に、すっかり感嘆してしまいました。なんて洗練されているのだろう。ナチュラルであることと、洗練されていることは、同居できるのだという発見に心から驚きました。

この、さまざまな色調のオレンジ。これらの色の違いが100%、土だけで出されているだなんて…。乾いたタイルのように白っぽいベージュからはじまって、明るいオレンジ、濃いオレンジ、赤茶、茶褐色、そして炭のように焼け焦げた黒褐色。それぞれの濃淡の中にも赤味、黄身、グレーがかっていたりと微妙なニュアンスの違いもあり…要するに無限なのです。さらには一枚のお皿の中にさえ異なる色味や濃淡のついた模様のような表情もあり、ずっと見ていても飽きません。こんな風にまったくのすっぴんでここまで違った表情を見せてくれるなら、確かに釉薬なんて必要ないんじゃないか?とまで思ってしまう。少なくともかおるさんの焼き締めを見る限り、色味がなくて物足りないだなんて思えないのです。


「わたしが使っているのは備前の土だけです。同じ備前という土地の粘土であっても採取される場所により成分が変わります。備前にいた頃はよくあちこち行って掘っていました。さまざまな色合いの粘土があって今は4種類の異なる粘土とそれらをブレンドしたものを使いわけています。さらに、焼く時の温度や酸化・還元の加減、何回焼くのかでも仕上がりの色は変わります。3回焼いているものもあるんですよ。炭や藁を使うこともあるので予期せぬ化学変化により、さらに複雑なうつわの表情を楽しむことができるんです。」その無限の可能性に、かおるさんはすっかり魅了されてしまった様子。もともと複数の飲食店を展開する会社の広報として働いていたせいか、食とうつわには常に関心を持ち続けてきたのだと話していました。

「わたしはスタートが遅かったから…」とおっとりとした口調で続けます。「食べることが大好きだったので、自分が使いたいうつわを作りたいと思って。それで憧れていた備前の陶芸家に師事するため、生まれ育った東京を離れ備前陶芸センターに入りました。思い切りはいい方なんです。フットワークが軽いのかも」と笑っていました。とっても華奢で可愛らしい女性なのに、話していると芯の強さのようなものも感じてしまう。迷いがないという感じでしょうか。「ずうっと焼き締めばかり作っていると、色物(釉薬をかけたもの)をやりたくなったりしませんか?」とたずねると「土だけでこんなにも表情が変わるのに、まだまだその魅力を引き出しきれていないという思いの方が強いんです。」と、どこまでも焼き締めに惚れ込んでいるのだということが伝わってきます。

まだ陶芸自体本格的にはじめて10年ちょっと。比較的早い段階から今のようなスタイルに落ち着いたのは、とにかく自分が使いたいうつわを目指してきたから。焼き締めは好きだけれど、自分で使うのならやはり軽くて扱いやすいものに手がのびます。お酒も好きで、ビールを美味しく飲めるうつわが作りたくなった。極薄のグラスで飲むような感覚を求めて自身の作品にも薄さを求めるように。ろくろで成形した後ろくろで削って厚みを調節し、さらに手持ちで削ってから手で撫でて磨きます。その後完全に乾いてからヤスリをかけ表面を滑らかに仕上げるのです。非常に行程の多い、時間のかかる方法ですが出来上がった姿には唯一無二の個性が生まれています。余計な装飾が一切ない究極にシンプルなデザインは、むしろ男性的でさえあります。ひたすら削ぎ落してゆく、という潔さがそう感じさせるのかも。

女性として、ちょっと羨ましすぎるほどの存在ですが、なんとも気さくな明るい性格で一度お会いしただけで意気投合。一緒に食卓を囲むのが、楽しいこと盛りあがること!そもそもろばの夫婦、食べる事・飲むことに感心がない人とはなかなか分かり合えないのです。ワタシはまだかおるさんがご自身の焼き締めでビールを飲むところを見たことがありませんが、きっと、ものすごく美味しそうに飲み干すんだろうな~。ちょっと小ぶりのビアグラスが似合う、白くほっそりした手指の持ち主。それこそ、ビールのCMに出てきそう。陶器で、しかも焼き締めでビールを飲んだ経験、ありますか?きめ細かい泡ばかりが持てはやされていますが、焼き締めは水気を含むと気化熱でヒンヤリ、ほんとうにキーンと奥までよく冷えているのが手に伝わってきます。サラダやお漬物、お浸しのようにテーブルでもひんやり冷たく保ちたいお料理にも最高です。

手つかず、無垢、といった印象も与える松本かおるさんの焼き締め。まっさらすぎて汚してしまうのでは?と使うのをひるんでしまいそうですが、油モノでも汁ものでも、それこそカレーでもどんどん使ってタワシでゴシゴシ洗い、使い込んであげる方が表面に味がでてくるうえ汚れがつきにくくもなります。土から生まれたばかりの無垢であどけない顔に、だんだんと色々な表情が加わり深みを増してゆく。その時その時の自分の心境まで浸み込んでしまいそうです。

今年の春工房を長野から石川県輪島に移し、新たな生活をはじめたかおるさん。今後は備前の土に輪島の山土を加えた作品にも挑戦してゆきたいと話していました。とても自然体で気取らない、かおるさんという女性の魅力がそのまま作品にも表れています。本当は、作品がうんぬんよりかおるさんという人の魅力をお伝えしたかった。でも、とても文章からだけで伝えきれる気がしません。そして何より、ワタシ自身がもっともっとかおるさんのことを知りたいと思ってしまっている。「え?ジビエカレー?美味しそう!行く行く~!!」っと22日のbeet eatさんの会(ご予約受付終了)にも参加予定です。直接会えばきっと誰もが大ファンになってしまうような、とっても魅力的な女性ですよ。参加ご予定の方、楽しみになさっていてくださいね。ワタクシママろばも、またかおるさんにお会いできるのが(飲めるのも…笑)楽しみで楽しみで仕方がないのです。

下がかおるさん。ママろばと一緒に記念撮影していただいたのですがあまりの顔の大きさの違いにおののき、思わずトリミングしてしまいました(笑)。その下はなんと!今回『Spicy Summer Curry&Beer』のために作ってくださったという三角のプレート。ナンをイメージして作ったのだとか。ナンにでも合いますよ(汗)。かおるさんの作品は、ぜひ色の違いを楽しんでいただきたいです。同じ形で色の違うもの、形も色もバラバラなもの。組み合わせも無限。土の色遊びという感じがまた、楽しいのです。

松本かおるさんのページはコチラです。



 

 

カレーが主役のエスニックな食卓『Spicy Summer Curry&Beer』は7/12から7/29まで。


いよいよ夏も本気を出してきましたね。ジットリとうだるような暑さを吹き飛ばす『Spicy Summer Curry&Beer』~カレーが主役のエスニックな食卓~の展示が、いよいよ明日からはじまります。スパイスは日本語で香辛料、薬味などと書くことからも想像がつく通り、風味をよくするためだけでなくその殺菌力や消化・発汗促進、食欲促進などさまざまな薬効のため、そして暑い国々においては何より食品の保存性を高めるために古代から利用されてきたもの。暑くなると無性にカレーが食べたくなるのは理にかなっているのです。体力も免疫力も気力も落ち、食欲不振に陥ってしまいがちな夏を乗り切るためにはスパイスを効果的に使いこなしたいもの。そしてエスニックなお料理には、思いっきり個性的なうつわもが似合います。カレー皿やプレート、サラダボール、ビアタンブラーなどテーブルのアクセントにもなるうつわの中からお気に入りを見つけたら、もっと気分が盛り上がりそう。今回作品を届けてくださるのは岐阜県土岐市から大江憲一さん、茨城県笠間からKeicondoさん、高知県高知市から 長野大輔さん、 石川県の輪島から松本かおるさん。松本かおるさんはろばの家の企画展初登場です。それぞれにパーソナリティーがよくよく現れた魅力的な作品ばかりです。テーブルで皿数が少なくなりがちなエスニックメニューだからこそ、いつもとはちょっと違った雰囲気で食卓を演出してみてはいかがでしょう?明るい色合いのうつわや大きく迫力のあるプレートなど、テーブルにもピリリとひねりを効かせてスパイシーな夏を楽しみましょう。

とはいえ、スパイスにお話を戻せばカレーを作る時以外なかなか手に取る機会が少なく、小瓶で買っても棚の中でどんどん古くなり鄙びた香りになってしまうこともしばしば。クミンやコリアンダーなど比較的ポピュラーなものならまだしも、何年前からあるのだろう?と首をひねりたくなるスパイスも皆さんお持ちなのでは?七味や山椒などの日本のお薬味もそうですが、乾燥スパイスは鮮度が命。風味が新鮮なうちに使い切れるよう、もっと気軽にスパイスを使えるお料理のレパートリーを増やしたいですよね。今回はご縁があって素敵なゲストを迎えることができました。お一人目はスリランカからご自身で輸入する極上のシナモンを使った大人気のシナモンロール専門店「CEYLON」を営む森麻里子さん。世界有数の紅茶の産地でもあり、伝統的医学アーユルヴェーダの思想が根付くスリランカの地は、海に囲まれた肥沃な大地を讃える楽園のような島国。新鮮な魚介類やたっぷりのお野菜をスパイスやハーブでシンプルに調理するスリランカの家庭料理は身体にも優しく、日本料理とも通じる要素が多くあります。13日のワークショップ『スリランカの家庭料理を学んで装って食べちゃうSpicy Plateの会』(受付終了)では、森さんにスリランカの食文化に関するお話も聞きながら現地でライスとともに朝昼晩食べられている代表的なスパイス料理4品ほどを作り、調理のコツやスパイスの上手な使い方をレクチャーしていただきます。森さんは青年海外協力隊でパティシエ・講師としてスリランカで生活するうちにスパイスの奥深さと現地の豊かな暮らしに魅了され、帰国後CEYLONをオープン。現在も頻繁にスリランカを訪れながら、その独特で豊かな文化を紹介する活動を続けています。まだまだ日本では知られていないスリランカの魅力、たっぷりうかがってみたいですね。ちなみに下の美しすぎるスリランカの画像は全て、麻里子さんからお借りした物。ママろばはこの画像だけでももう、行ったこともないスリランカに魅せられてしまいました。

そしてお二人目は、知る人ぞ知る喜多見の名ジビエ料理店『beet eat』店主で狩猟家でもある竹林久仁子さん。実はわたくしママろば、出来すぎ君ことSabadiのシモーネと、同じくシチリアからArianna Occhipintiアリアンナ・オッキピンティという、当店でも扱うグロッサリーの先鋭生産者が来日したイベントでお店の存在を知りました。彼女が撃ったエゾシカのローストを食べた瞬間のシモーネとアリアンナの唖然とする顔が忘れられません。「こんな鹿は生まれて初めて!」とジビエ料理の本場ヨーロッパに暮らし、のみならず世界中の星付リストランテで食事をする機会も多い二人に、そこまでの衝撃を与えたことに素直に驚きました。けれど確かにその鹿を頬張れば、二人の驚きようは一発で理解できてしまう説得力でした。しかるべく扱われた野生のお肉というものは、こうまで優しい味わいなのかと。そして食べた後の軽さ。真に美味しいものは身体に負担をかけないということの証明でした。そしてそのことに気づいてしまうとどうしても、飼育された食肉の限界を見ずにはいられませんでした。狩猟家、などと書くとなんだかイカツイ印象ですが、竹林さんは小柄で笑顔の似合う、とっても気さくな方。当初ケータリングだけをお願いしようかと考えていたのですが、あまりにもお話が面白いのでいっそ料理だけでなく彼女のお人柄まで一緒に楽しめるような会にした方がよいのでは?と思い直しました。カウンターに5人も座ればいっぱい、というほど小さな空間『beet eat』。狭いカウンター越しに往ったり来たりしている久仁子さんの世界観をつくばで再現してしまおう、という企みです。彼女の見事なスパイス使いは圧巻!22日の『狩猟家がつくるジビエカレープレートとビールを楽しむ会』(受付終了)ではインドや周辺国など旅先で出会った味、狩猟を通して培われた独自の視点など興味深いお話を聞きながら、ジビエカレーやスパイス料理のプレートを一緒にいただきます。驚くほど後味が軽いオリジナルのお料理にクラフトビールや自然派ワインを合わせて、beet eatという小宇宙に身をゆだねてしまいましょう…ってなんだかご紹介の仕方が大がかりですね。インドがからむとどうしても宇宙という単語を持ちだしたくなってしまう…なぜだろう(笑)?

そして、お料理がテーマとなってはろばの家で食べものがからまないなどとは考えられません!お二人にお願いして、特別にカレー&スパイス料理をご用意することにしました。いずれも数量限定となっておりますので、どうしても食べてみたい!と言う方は事前のご予約をお勧めします。うつわもお料理も、欲張って。文字通り人生のスパイスとなるような、刺激的な出逢いの場をご提供できるとよいのですが。ご来店をお待ちいたしております。


CEYLONさん監修 スリランカカレーセット販売
7/14(土),15(日)12:00~ スリランカ弁当(1名様分1000円)販売。数量限定。
CEYLON森さんがレシピ監修。スリランカ家庭料理を盛り合わせた、現地風にランチシートで包んだランチパック形式のお弁当です。土日とも同じ内容となります(写真はイメージです。実際のお弁当とは内容が異なります)。

 

『beet eat』オリジナル・ジビエカレー弁当販売
7/20(金)・7/21(土)12:00~ ジビエカレー弁当(1名様分2000円)販売。数量限定。
beet eat竹林さんによるお弁当を販売します。ジビエカレーとスパイスの効いたお惣菜を盛り合わせたお弁当です。金土とも同じ内容となります(写真はイメージです。実際のお弁当とは内容が異なります)。
*DMでは19日(金)となっておりますが、20日(金)の間違いでした。


色彩の鮮やかさがあまりにも違う、スリランカの風景。楽園。本当にその言葉がしっくりときてしまいます。


 

使い込むほどにしっとり、艶やかに。宮下敬史さんの木のうつわ。

工房で長年使い込んだ山桜のシンプルな鉢を見せていただいた時、そのゆっくりと年月をかけて染み出してきたような自然な艶に目が釘付けになってしまいました。

横須賀。大雨の月曜日。2度目にお邪魔する宮下敬史さんの工房は屋根を打つ雨の音に閉じ込められて、ただでさえ森に隔離されたような感じのする家が、いっそう孤立して見えました。船の底にいるみたい。はじめてお邪魔した時にも雨音が響いていたことを思い出しました。「すいません、雨男で」とすまなそうに笑う宮下さん。今回に限らず降られる確率が高いのだそうで「なんでですかね~」と首をかしげていました。

宮下さんとお会いするのは実はまだ4度目です。なのに、もうずっと昔から知っているような気がします。益子の近藤康弘さんにご紹介していただいた手創り市で初めてお会いして、パパろばと工房を訪ねたその大雨の日が2度目、昨年の『やっぱりごはん党』に出ていただいた際に納品がてら奥様と愛娘ちゃんを連れてつくばまで来てくださった時が3度目、そしてこの訪問。あれ?つくばでお会いした時は晴れていた気がするし(パパろばが娘ちゃんとボール遊びで盛り上がっていたから)、手創り市もとても寒い日だったけれど快晴だったし、そうそう雨男というわけではないのかも。もしかすると、横須賀という土地が雨がちなのでは…?港町、切り立った坂の多い独特の地形、海岸と山の近さ。湿った空気。

待ち合わせた横須賀中央駅のスタバから迎えに来てくれた車まで走る間ですでに服が濡れてしまい、その湿った服のまま3人で雨の音を聞いていると、なんだか雨宿りをしているような気分になってしまいました。そして世の中の雨宿りをするすべての人に共通する「何もすることがないからとりあえず話す」というルールを律儀に守っているみたいにワタシたち3人は取り留めのないことを話し続けました。正確にはわたくしママろばが八割方喋り倒していたのですが(笑)。仕事の話なんてほとんどしていません。お茶うけに出してくださった奥様手作りの焼き菓子がとても美味しくてそのベトナムのお菓子から旅行の話、子どもの話、知り合いの噂話…。そんな中でほんの少しだけ作品について話した時に飛びだしたのが、使い込んだプレーンなうつわ達の話題でした。

「特別な手入れなんて全然してないですよ。ただ、毎日ガンガン使ってました。パスタ食べたり、汁物盛ったり。油モノでも気にせず使ってるとその油がうつわに染みこむから、わざわざオイルを塗り込む必要がないんです。」

宮下さんは最近、昔よく作っていたようなあまり彫りをほどこしすぎていないシンプルなうつわを自分で再評価しているのだそう。「結局使いやすいんですよね。こんなんでいいんじゃないかな~と思えてきて」そう言いながら見せてくれたうつわはみな、いっさい装飾がなく厚みも適度にあるものばかり。「あんまりにも洗練され過ぎていてもかえって使いにくいんじゃないかと思って」と言われてから最近作ったという作品を見てみると、なるほど鉢の縁やお皿のエッジなど、どことなくこれまでに見てきたものにはなかった雰囲気がある。野暮ったくない程度に丈夫そうな仕上がりになっているのかも。このくらい微妙な縁の角度や薄さだけで、ここまで印象が変わるのだということに少し驚きました。そして漆仕上げのものは心なしかみな、使い込んで味が出てきたような絶妙な鈍い艶感がある。ちなみに上の画像は宮下さんが使い込んできたうつわではなく、今回新しく作られたもので栓の木を漆で仕上げています。

陶器以上に経年変化の激しい木のうつわ。けれど多くの場合その変化は色が褪せ白っちゃけて艶がなくなりただ古ぼけただけの、あまりポジティブな経年変化という印象がない。やはりちゃんとオイルで手入れしないとなあ、とそういううつわやツールを見るたびに思っていました。宮下さんが使い込んだうつわの艶は、オイルで手入れして新品のように保っているのとはまた違う、内側から放たれている艶でした。これ、カッコイイ。正直この状態で欲しい…なんてせっかちなことを言ってはダメですよね(笑)。

「うちももっとガンガン油モノ盛らなきゃダメだよ」と繰り返すママろば。パパろばもすっかりその質感やシンプルな形に心を奪われている様子。単純なワタシたちはすぐにでも試してみたくなるので、もうすでにどのうつわを自宅で使い込んでみようかとウズウズ。パスタにちょうど良いサイズにしようか、サラダボールにしようか…。結局今毎食ガンガン使い込んでいるのがこの下のリム皿。楢の拭き漆仕上げで、最初から唐揚げを山盛りにして、オリーブオイルとヴィネガーをたっぷりかけたサラダをわさわさと盛り付け…。「早く油吸え~」と言わんばかりの料理をヘビロテで盛っているのです。
写真は日曜日にパパろばに届けたお昼ご飯で卵入りビーフン。地あぶらとしこの露というゴールデンコンビで味付けしたなんちゃってエスニック風味です。「めっちゃ油っぽかった。すごい油使ったでしょ」と言われてしまいました。早く油を浸み込ませようと気が早っていたのかも…。でも味ははさておきこんな家庭料理さえカッコよく映っているのはこのリム皿のおかげです。サラダで濃い緑やトマトを盛った時にもバシッと決まりました。お料理の色をビビットに映えさせる背景色として最高なのです。そしてやはり、木のもつ温もりはまったく陶器のそれとは質の違うものです。木のうつわを好んで使う方は皆さんいいますが、軽くて、気兼ねなくラフに使えて、そしてなんにでも合う。木は一色にカウントされないニュートラルさがあり何でも受け入れます。懐の深さ、というのでしょうか。なぜだかホッとさせられてしまう安堵感があります。

同じ種類の材であっても個体ごとに個性が違う木という素材の面白さ。その個体の良さを最大限引き出そうと、真正面から向き合ってきた宮下さん。「漆仕上げものは年輪を隠してしまわないよう薄く残る程度に仕上げていると話していたのに、結構がっちり漆を重ねているものもあるんですね」と聞くと、最近は漆の扱いにも慣れてきて思う通りの質感を出せるようになってきたと話していました。木目の向きや断面の密度によって変わる色の濃淡など、偶発的な表情も魅力のひとつとなっています。「だからどんどん一点物ばかりになってきちゃって…」と困ったように話していました。もとの木が違うんだから、ひとつひとつ違う作品になるのは当たり前というような素材ありきの向き合い方から、さらに一歩踏み込んだ木との関係に思えました。美しく仕上げることより、その素材の持つ個性を見極めて長所を伸ばしてあげる。節や虫食い穴のように欠点となりそうな箇所でもチャームポイントだと褒めてあげる。まるで子育てのようにこちらの忍耐力まで問われてしまう向き合い方のようにも感じます。やはりそれは、月並みですがどれほど深く木という素材を愛しているかということに尽きると思うのです。

はじめて工房にうかがった時に書いた記事もぜひ読んでみてください。素材への思いは宮下さんが木の材を説明しだすとすぐに伝わります。身の上話が始まるのです。「この山桜、いいでしょう?これは本当に良い材でした。標高の高いところで伐ったものです」「こっちの楡は、神代楡といって文字通り神代から地中に埋まっていた材ですよ。密度が全然違います」…ワタシたちから見ればただ色が違うくらいの四角い塊をひとつひとつ手に取って、その材との出会いや性格を語ってくれます。最近長野まで出向いて丸太を一本ごとに買った、という宮下さん。もちろん角材として手に入れるより安上がりになるという利点はあるものの、何より決定的に違うのはその樹がいつ、どのような場所で伐られたものか素性がはっきりするということ。市場で仕入れてきた材は、その履歴までさかのぼることは難しい。樹は葉を落とし根を伸ばさない冬の休眠状態で伐られたものが最も理想的な材となるんです。そしてその後自然乾燥させたものなのかどうかという点もとても重要。木の種類や樹齢だけでなくそういった条件も最終的に作品の質に反映される、ということも初めてうかがった時よりさらに詳しく説明してくれました。

今使っている横須賀の工房は湿度が高くなる時期が多いため、厳密には理想的な環境と言えないのだそう。「長野あたりに移住を考えています」と宮下さん。生まれ育った横須賀を離れ、家族を連れて最も良い状態で樹を寝かせられる場所を探し、もっと広い工房で機材も充実させたい。急な坂の多い横須賀の町。大きな機材を運び込むのにも制限があり、限界を感じ始めているというのも大きな理由だそうで、もしかするとここ1、2年の内にも実現させたいとのことで、ああ、そうしたらこうして気軽に遊びに来れなくなっちゃうなあ、なんてくだらないことを考えてしまいました。

作品はそれだけでも多くのことを語ってくれます。でも、ワタシたちはやっぱり作品そのものだけでなく作家さんとの対話を求めているのだと最近よくパパろばと話します。その時間が貴重でならないのです。作品のことを語ってもらう必要さえありません。くだならい雑談、あわよくば酒を酌み交わし一緒の食卓を囲み…。そういった時間がワタシたちにもたらしてくれる充足感は、いくら仔細に作品を眺めていても見えてはこない何かを与えてくれます。そして願わくばワタシたちもその時間を通して得られた何かを、ろばの家に並ぶ作品たちに吹き込んで行けたらいいなと思うのですが…。ただママろばが長々と熱弁をふるうことによってではなくて、宮下さんの使い込まれた作品のように内側からじんわりと。自然に。

今回届いたうつわは特に、使い込んでその変化を見てみたいと思うようなものばかりです。自然と滲み出てくる艶や色の変化をお楽しみください。…ワタクシのように焦らずゆっくり、ね。

宮下敬史さんの新着のうつわはコチラです。


工房までのアプローチ(見えている屋根は宮下さんの工房ではありません。さらに奥にあります。)
工房へのアプローチがある坂道。写真で見るより急です。

 

 

 

 

Mid Night Blue ミッドナイトブルー ~加藤仁志さんの”青の名前”~

「これ、黒ですか?ん?紺色なのかな?」そう言って手に取ったお皿を窓辺で見ている時などふとした加減でこの色があらわれると、息をのんで魅了されてしまいます。陽の光に反射した部分だけこんなに鮮やかなブルーが浮かび上がるのです。この画像、まったく色の加工も特殊な撮影もしていません。ただ、直射日光のもとで撮影しただけです。オープン以来扱わせて頂いている仁志さんのルリ釉シリーズ。今回のBlue展はこの色がきっかけで思いついたのです。…ミッドナイトブルー。その秘めごとじみた響きの名前は自然に浮かんできました。真夜中の青。限りなくブラックに近い闇のようなブルーが、一瞬見せてくれる別の顔。深い海の底や宇宙を連想させる、漢字だと青ではなくて碧、という字が使いたくなるようなブルーです。このハッとするような鮮やかな色は、けれど、太陽の光が差し込んだ時だけに見せてくれる特別な色。電灯の光ではダメなようです。黒い土にコバルト釉という真っ青に発色する釉薬をかけることでこの独特な色が出るのだそうです。はじめて加藤さんのルリ釉のうつわを見たのは17cmほどのプレートで、パッと見は黒いお皿だと思っていました。でもそれが実は黒ではなく、とても深い紺色なのだと気がついた瞬間にもうすっかりやられてしまいました。何の変哲もないオーソドックスなデザインに、でも色はちょっと他にないよというような組み合わせ、多分そういう意外性に弱いのです(笑)。形がシンプルだからこそなおのこと、特殊な色が引き立つのでしょうね。とても丁寧な作りで加藤さんのお皿や鉢はどれもラインが美しく、形も引き締まって見えるのは濃い色のせいだけではないということは青白磁の作品を見てもわかります。それでもこの特別な色を話題にしないわけにはいきませんでした。でも実際に使うのは家の中なのですからそうそうこのブルーの輝きに出会えるわけではないし、また実際料理を盛りつける時には真っ青でない方が食材が映えるでしょう。自己満足といえば自己満足。でも、上質な素材が使われたシンプルで長く着られる洋服のように、そっと心の中にしまっておきたい自分だけの満足感なのかもしれません。

そんなセクシーな色のうつわを作っている加藤仁志さんは岐阜県土岐市で作陶しています。ワタクシママろばはろばの家を始めるずっと以前にこのお皿に出会い、愛用歴もそろそろ10年くらいになります。お客さまが来た時にも便利と12枚ほど揃いで持っていたこの17cmプレートは今でも不動の万能皿として、取り皿用にはもちろんケーキ、パン、果物、と何にでも使っています。丈夫で形が普遍的で使えば使うほどそのシンプルな魅力と作りの良さに愛着が増すばかり。正直、使っていてミッドナイトブルーの秘密を意識することはありません。家にはブランチできるような広いテラスやベランダもないですし(笑)。使い込むと今よりもっと表面の艶が鈍り、マットな質感に落ち着いてゆきます。本当に素材のよいシンプルなデザインの洋服といった存在で、こういうもののことを”飽きがこない”と呼ぶのだろうなあとしみじみ思います。いつか自分でお店を始めた時にはパッと見の派手さではなく、こういう芯のある質の良さを伝えていきたいなあ、と思わせてくれた特別な存在でもあります。本当に根っから真面目で実直な方で、もう5年以上のお付き合いになるのにお電話いただくたびに「岐阜県土岐市の加藤仁志です。」と名乗るのです。おそらくは加藤と言うありふれた苗字で混同されないように名乗ってくれているのだとは思うのですが、もうワタシはお声だけでもわかっているのだと、いつか言ってみようと思いながらつい「茨城県つくば市のろばの家の福江ですが」とこちらも名乗ってしまい堂々巡り(笑)。では、そんな岐阜県土岐市の加藤仁志さんのブルーについてのあれこれ、うかがってみましょうか。


 

加藤仁志さんの青の名前

Q1、好きな色は何色ですか?理由があればそれも教えてください。
–白色。理由は特に無いです。

 Q2、よく身に着けている色があれば教えてください。また、好きな異性に身に着けていて欲しい色があれば教えてください(〇〇色が似合う人に憧れる、など)。
–仕事中に履く靴は、10年ほど前から、赤色の入ったランニングシューズ。

 Q3、青、と聞いて思い浮かぶのは何ですか?
–空と海。

Q4、ご自分の作品の青を画像を見せずにどんな色か説明するとしたらどんな青だと表現しますか?
–深い青色。

 Q5、Q4の作品の青はいつごろから作り始めた(使い始めた)のですか?またそのキッカケ、経緯を教えてください。
–10年ほど前から制作しています。学生(20年近く前)の時に買った釉薬がたまたま残っていて、普段使っていた土に使ってみたのがキッカケです。

Q6、よくブルーな気分、などと言いますね。一般に憂鬱な気分を差すようですが憂鬱な時の気分転換法を教えてください。
–子供と遊ぶ。

Q7、この世の中に『青』という言葉も『ブルー』という言葉も存在しないとします。あなたが色の名付け親です。あなたは、それを何色と呼ぶことにしますか?
–空色。(海色も良いかと思いましたが、住んでいる岐阜県には海が無いので…。)


そそそ想像通り、真面目で実直なご回答…。ミッドナイト!と勝手に盛り上がっているワタクシママろばみたいに変にロマンやストーリーを盛らないところも説得力がありますね。これ以上加藤仁志さんらしい回答はない、というくらい仁志さんらしいです。素っ気ない職人気質、にとられてしまいそうな回答ですがとっても温和でやわらかい方なんですよ。きっととっても優しいお父さんなのでしょうね。想像がつきます。声を荒げる事なんてあるのかしら。。。仁志さん、ありがとうございました!

加藤仁志さんのページはコチラです。



 

Indigo Blueインディゴブルー  ~中村恵子さんの”青の名前”~


「わたしのインディゴ史上、最高の出来かも…」と言いながら焼き上がったばかりのうつわがぎっしりと詰まったコンテナをかかえて来た中村恵子さん。最近益子市内で工房を引っ越したばかりだそうで、追加で納品してくださった今回はそこで初めての窯出し。同じ配合の釉薬をかけ、同じ温度で同じ時間焼いても毎回仕上がりの違う発色となることが多い陶器。ことにこのブルー系の釉薬は中村さんにとって窯から出す度に毎回色味や質感が違って現れる、手強い相手。テストピースで何度も試して同条件に揃えたつもりでも、やはり焼き上がった時には違った表情を見せるという。上の画像では随分鮮やかなブルーに見えますが、これはアスパラのグリーンが映えてその対比でより青く見えるのと、光の当たり方のせい。実際には、このオーバルのうつわもここまで青く見えるのは底の部分のごく一部。ヘリの流れている部分などは、あとで出てくるカフェオレボールに見られるような、ざっと擦れた色合いのインディゴブルーです。まるで洗いざらしたデニムのよう、と説明しているのですが本当にデニムの色落ちのように釉薬が薄くかかった部分は明るく抜け、重なった部分は深みを増して見えるという、とても不思議な釉調なのです。確かに何度か届いているインディゴシリーズの中でも、今回の色の出方は今までで一番複雑な色合いに思えます。店頭でも「わ、キレイな色!」と手に取る方が多く一枚一枚じっくり選んでいかれます。

そして次に口にするのは「それになんだかとってもお手頃なんですね」というセリフ。正直、販売しているワタシたちでさえ「安すぎるよなあ…」と思ってしまう価格で、ズバリご本人に聞いてみたことがありました。もう何年前か思い出せないのですが工房にお邪魔した時に、中村さんがその場でろくろを挽いて見せてくれたのです。「わたし、多分ひとより手が早いんです」…え?と目をこらしている間にスルリと形が出来上がってゆく。他の方のろくろ姿をあまり見たことがないのでわかりませんが、確かにこれは早いのだろうと思わされました。「それに、わたしはまだ値段を上げられるような身分じゃないし。」ケロリとそう答えるのです。純粋に材料費と制作にかかる時間だけからは割り出すことのできない焼き物のマーケットでは、価格など言い値といえば言い値。値づけは作家さんが自分でしなければならないのだから当たり前です。もちろん、それなりの正当な理由があって価格を高めに設定せざるを得ない場合も多いですし、安いから謙虚で高いと不当と判断することはできません。それでも、価格のつけ方にはとある姿勢や方針が反映されてしまうことは確かで、作品の質に納得感があればあるほど、相対的に評価は上がるのは仕方のないことです。そしてもちろん使う立場としては「これなら数を揃えられる」と手に取りやすくなるのは自明のこと。実際中村さんの工房にはオーダーが絶えません。陶器市などものすごい人気で、知名度が上がれば大抵は価格も上がってゆくものなのに、中村さんはずっと価格を据え置きにしています。

当の中村さんはというと割に淡々、ひょうひょうとしていて面白い人です。言葉数はそう多くないのに絶妙な間というかユーモアセンスを持っているとても魅力的な女性。なんかカッコイイよなあと思ってしまいます。運転が上手い、というのもその要素のひとつ。ろばの家の駐車場は停めにくいことで有名なのですが、いつもバックでズバッと的確に駐車します。偏見と知りつつ言わせてもらえば、運転の上手い女性は客観的な視点を持った(女性としては珍しい)理性的なタイプだと密かに思っています。理不尽なことで腹を立てたり不機嫌になったりしなさそう…。そしてそれも羨ましい。ちなみにわたくしママろばの運転は…今度パパろばにそっと聞いて見てください(笑)。

そんな中村さんのブルーは、きっと男性も惚れ込んでしまうようなカッコイイ色。緑が映えます。彼女のカレー好きをリスペクトしてカレー写真も最後に載せております。陶器市にお邪魔するといつもカレーを食べている瞬間を捕まえてしまうんですよね(笑)。実際カレーは好きだと話していました。カレーもいいですが、青についてもお話ししていただきましょう。


 

中村恵子さんの”青の名前”

Q1、好きな色は何色ですか?理由があればそれも教えてください。
–黄・緑・青。暖色系より爽やかな色のほうが好きです。

 Q2、よく身に着けている色があれば教えてください。また、好きな異性に身に着けていて欲しい色があれば教えてください(〇〇色が似合う人に憧れる、など)。
–季節によってなど色々ありますが、Q1に加えて黒・グレー。黒を着て雰囲気が変わる人は憧れます。

 Q3、青、と聞いて思い浮かぶのは何ですか?
–爽やか・冷たい など。

Q4、ご自分の作品の青を画像を見せずにどんな色か説明するとしたらどんな青だと表現しますか?
–インディゴ(藍)。

 Q5、Q4の作品の青はいつごろから作り始めた(使い始めた)のですか?またそのキッカケ、経緯を教えてください。
–5年くらい前から。 色の展開として白・黒・緑に加えるとしたら、青かなと。

Q6、よくブルーな気分、などと言いますね。一般に憂鬱な気分を差すようですが憂鬱な時の気分転換法を教えてください。
–強めのミントガムを噛みます。

Q7、この世の中に『青』という言葉も『ブルー』という言葉も存在しないとします。あなたが色の名付け親です。あなたは、それを何色と呼ぶことにしますか?
–単純に思いつきです。 深い意味はなく音の感じで・・・・・「さき」「さく」など。


さき色、さく色…なんだかとても素敵な響きですね。とっても中村さんらしい!濃いさき色、薄さき色とか、なんだか透明感があっていいですね。ワタシが色の神様だったら採用!ですよ。ありがとうございました、中村さん!中村さん史上最高の深さき色、とても素敵です。


中村さんのインディゴブルーのうつわはコチラです。

 

Antique Blueアンティークブルー  ~沼田智也さんの”青の名前”~

儚く消え入るような淡い呉須。沼田さんの絵付けの魅力はこのはかなさと絵付けのユニークさにあると思っています。こんなブルー、現代の作品ではあまり出せない色味な気がして勝手にアンティークブルーと名付けていました。今回のBlue展でそう呼び始めたのではなく、実はかなり前からそう呼んでいました。店内にある沼田さんの作品についている説明に”Antique Blue”と書いてあるのですが、実際には年代物の作品ではありませんのでご容赦ください(笑)。作家さんは現役…というかパパろばと同い年、いたって健康。それが証拠に現代にしかありえない意匠をそこここに紛れこませてくるのです。今年の新作はオバケでしたがそのオバケも発展してすでにムンクの叫び化してきている様子。「世界の名画シリーズ、できそうじゃないですか?」と冷やかして笑っていましたがこの先どんな楽しい絵柄が飛び出してくるのか、楽しみでなりません。いちヌマタファンとしては、ずっとずっと追っかけ続けたい目が離せない存在です。それにしても「青のイメージで!」とお願いしたのに赤絵…確かに蒼、と書いてありますが…。さすがヌマタさん。違った意味でも目が離せません(笑)。

では、そんな青の名手沼田智也さん。The Blueというタイトルで企画展やります!とお誘いしたら、『ブルーに生まれついて BORN TO BE BLUE』て、映画が大好きで、いつか「陶芸界の チェット・ベイカー」と呼ばれたいなと思ってます、とふたつ返事(にしては長い返答だけど)で引き受けてくださっただけあって、相変わらずNo music, no life!な回答が返ってきました。

 


沼田智也さんの青の名前

Q1、好きな色は何色ですか?理由があればそれも教えてください。
–蒼、好きです。

  黒も好きです。

  赤も好きです。

  全ての色が好きです。

  No Reason…

 

 Q2、よく身に着けている色があれば教えてください。また、好きな異性に身に着けていて欲しい色があれば教えてください(〇〇色が似合う人に憧れる、など)。
–気が付けば、黒、藍など濃いめの明度の低い服ばかり。根暗だからですかね。笑
好きな異性に身に着けていて欲しい色は特にありません。その人らしければステキだと思います。汗

 

 Q3、青、と聞いて思い浮かぶのは何ですか?
–Kind of Blue  Miles Davis

  Born to be Blue  Chet Baker

  Summer time Blues  Blue Cheer

  未来は俺等の手の中 Tha Blue Herb

 

Q4、ご自分の作品の青を画像を見せずにどんな色か説明するとしたらどんな青だと表現しますか?
–淡い青ですかね。

  存在感の希薄な青。

  曖昧で不明瞭な青。

 

 Q5、Q4の作品の青はいつごろから作り始めた(使い始めた)のですか?またそのキッカケ、経緯を教えてください。
–染付は陶芸学校での授業が最初でした。違和感が多くて初めはすごく嫌でしたが、要望を受け制作を続けるうちに面白さや自分らしさを感じるようになっていった、というカンジです。

 

Q6、よくブルーな気分、などと言いますね。一般に憂鬱な気分を差すようですが憂鬱な時の気分転換法を教えてください。
–スポーツ!ゴールにシュートをぶち込む快感は至上の悦びです。意外と熱いストライカー気質なんです。

 

Q7、この世の中に『青』という言葉も『ブルー』という言葉も存在しないとします。あなたが色の名付け親です。あなたは、それを何色と呼ぶことにしますか?
–水色か空色ですかね?自然にあるものを名前にすると思います。

 


 

ありがとうございました!…でも、全然存在感希薄じゃないと思うんですけど、沼田さんのブルー。

沼田智也さんのアンティークブルーはコチラです。



 

Cobalt Blueコバルト・ブルー ~前田育子さんの”青の名前”~

これぞ瑠璃色!と言っておきながらコバルトブルーと名付けてしまった前田育子さんの鮮やかなブルー。色名を調べると瑠璃色とコバルトブルーは別物で、瑠璃色がその名の通り半貴石のラピスラズリ(=瑠璃)に由来すると書いてあるのを見つけたのです。これからご紹介する前田さんのアンケート回答を見てあっ!と思いました。これは瑠璃色、と呼んだ方がよかったかなと。でも、瑠璃色の英訳にあたるウルトラマリンブルーという響きが、どうにも好きになれないし作品を見てもどうもしっくりきません。いずれにせよ作家さんが自らの作品をそう呼んでいるわけではなく、わたくしママろばが勝手に命名しているだけなのだから最後までコバルト・ブルーで押し切ってしまおうと思います(笑)。

ろばの家では『層』シリーズでおなじみの前田育子さん。白磁と焼き締めをミルフィーユのように薄く何層にも重ねた断面を見せている作品はとてもユニークで、定番となっているナイフレストやお箸置きをはじめあれこれ集めているという方も多いようです。そんな前田さんに今回敢えてブルーの作品だけをお願いしたのは、昨年試験的に作ったというルリ釉の作品がとても素敵だったから。そしてそのお願いは大正解でした。届いた作品はどれも初めて見る形ばかりでしたが、ひとつひとつ個性あふれていて前田さんらしさがにじみ出ています。特に今回メインで届いた花器など、育ちゃんにしか作れないよ~というような独特の間を持つ形ばかりです。形が面白くて、色も痛快で…とここまで書いていたらやはりウルトラマリンブルー、の方がよかったもと思えてきました。。。むむむ。Wikipediaにもやや紫味を帯びた鮮やかな青と載っているし…。いやいや、迷いは禁物。前田さんのコバルトブルーの作品、ぜひじっくりとご覧ください!

ブレまくっているママろばの話はさておき、育子さんのブルーについてうかがいましょう。う~ん、フェルメールブルー…もよかったかな~(笑)。

 


~前田育子さんの青の名前~

Q1、好きな色は何色ですか?理由があればそれも教えてください。
–白 、ブルーグレー

Q2、よく身に着けている色があれば教えてください。
–白

Q3、青、と聞いて思い浮かぶのは何ですか?
–海、 空、 若い頃好んで身につけた色

Q4、ご自分の作品の青を画像を見せずにどんな色か説明するとしたらどんな青だと表現しますか?
–濃い 、深い青

Q5、Q4の作品の青はいつごろから作り始めた(使い始めた)のですか?またそのキッカケ、経緯を教えてください。
–何でしょうね…藍色に馴染んでると思うので、それを焼き物で表現できる魅力。布にはない光沢。土を覆う深さ。

Q6、よくブルーな気分、などと言いますね。一般に憂鬱な気分を差すようですが憂鬱な時の気分転換法を教えてください。
–散歩、映画を観る

Q7、この世の中に『青』という言葉も『ブルー』という言葉も存在しないとします。あなたが色の名付け親です。あなたは、それを何色と呼ぶことにしますか?
–フェルメール

 


前田育子さんは、生まれ育った北海道白老町発信の海を守るプロジェクトTairyo-Hugという大漁旗をリメイクするブランドも運営されています。当店でも豆財布が入ってくるとすぐに少なくなってしまうのですが、今回はTairyo-Hugnoの作品も出展してくださいました。そちらも随時ご紹介してゆきますのでお楽しみに。前田育子さん、ありがとうございました!

前田育子さんのページはコチラ




 

 

空、海、地球、宇宙、夜空、深い闇の色…名もない青。Blueブルーの名前。

Indigo Blue、Mid Night Blue、Antique Blue、そしてCobalt Blue。今回Blue展に参加してくださった、4人の陶作家さんの作品をディスプレイしているうち、その個性の違う青たちを自然とそう呼び分けていました。中村恵子さんのインディゴブルーはデニムのように洗いこんで擦れた青が重なって生まれた色。「限りなくブラックに近い真夜中のブルー」と、昔流行った小説のタイトルをもじって呼び続けているのは加藤仁志さんのミッドナイトブルー。前田育子さんの突き抜けるようなコバルト・ブルーは、これぞ瑠璃!というべき鮮やかで濁りのない南の島のような青。アンティークブルーという呼び名こそ沼田さんの古伊万里のような淡い染付を見て浮かんできた造語ですが、それぞれの青の名前は一般にも認知されている名称で絵の具の色などに使われています。こうして考えてみると青を表す名前は相当あって、もしかすると青ほど沢山の名前を持つ色はないかもしれません。

先述の小説、村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』を初めて読んだ時の衝撃。当時美大の受験生であった自分が日々作りためていたアクリル絵の具の混ぜ色に使う「アクアブルー」やら「ウルトラマリン」やら、日常生活では使わないような青の名前が沢山小説中に出てきたのを書き留めながら読んでいたことを思い出します。当時はかなり話題作と騒がれていたのに今となってはストーリーさえ思い出せません(村上さんごめんなさい)。それなのに、日々使わない色の名前だけは忘れないでいるのですから何が記憶に残るのかわからないものですね。はじめてブルーブラックという言葉を知ったのは確か中学生の時だったと思います。モンブランが出している万年筆用のインクの名称で、手紙を書くのにそのインクしか使わないと話す教師になりたての兄がカッコよく思えて、すぐに画材店に走ったのを覚えています。以来万年筆を使う時はブルーブラック一辺倒(笑)。そうやってわたくしママろばの中には少しずつ、青の名前の語彙が増えていったのです。

Blue=青という日本語の英訳であるはずなのに青と呼ぶのとはまた違った印象になるのも不思議で、好んでブルーという言葉を使っていました。アンニュイやクールという言葉とは程遠いガハハな性格である自分にとって、憧れのイメージだったのかもしれません。ブルーという言葉の響きが好きで、色そのものより響きに憧れて身に着けるものをブルーだけと決めて過ごしていた時代さえありました。「わたしブルーのシャツしか着ないの」という自分に酔いしれてブルー系のシャツだけを毎日着まわしていました。ブルーなら柄物も抱負で沢山選択肢があるので全く困らないですもんね。これが「あたし黄土色しか着ないのよ」とかだと結構困ったはずです。何年かつづけた挙句自分にそんな狭い縛りを課すこと自体がふとアホらしくなって、反動のようにピンクやオレンジなどヴィヴィッドな暖色の服を買いあさったり…。若いころ自らに決めるルールというのはホントひとりよがりで恥ずかしいものですね。まあ、そんな幼い自分もかわいいじゃないかと思える歳になりましたけれど。

あなたは、どんな色が好きですか?無限にあるブルーの中からただひとつのブルーを選ぶとき、あなたがそのブルーに与える名前は、なにブルーなのでしょう。

食卓で使ううつわには選ばれることが少なく感じてしまうブルーですが、ここに集まっているブルーたちはお野菜の緑も卵の黄色もトマトの赤も、そしてパスタやリゾットの白も、驚くほど鮮やかに引き立ててくれるテーブル馴染みのよい色ばかり。実際使ってみると、黒より映えて使いやすいと思えるほどです。そんなブルーのうつわたちを届けてくださった4人の作家さんに、ブルーについて、色について、簡単なコメントをいただきました。うつわを手に取りながらそのブルーがどんな人の手によって生まれてきたのか思いをめぐらせてみてください。

KOMOさんのLinnell Blue

前田育子さんのCobalt Blue

沼田智也さんのAntique Blue

中村恵子さんのIndigo Blue

加藤仁志さんのMidnight Blue

La RenonculeさんのNatural Blue

 

 

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