Blog

たっぷりバジルのフリッタータ。簡単だけど、ちょっとしたコツが。

DSC_7257 夏になってバジルが出回る季節になると何度も繰返し作ってしまうフリッタータ。具はシンプルにバジルのみ、なのですがこれが本当にやみつきになる美味しさ。イタリアの玉子焼き、フリッタータは一年を通して色々な具で作っていますが「一番好きなフリッタータは?」と聞かれたら迷わず「バジル!」と答えます。シチリアのマンマに教えてもらったフリッタータはオリーブオイルをたっぷり使って揚げ物のようにジュワ~ッと焼くので、卵の端っこがカリッとサクッと揚がったようになるのと、表面のバジルも一緒に揚がってパリパリ香ばしくなるのがたまらないのです。 ここ2年くらいずっと、ウチでは羽生さんのフライパンのSサイズで作っているのでだいたい玉子は3~4個くらい。そこにバジルをこれでもか、というくらいたっぷり入れます。分量的にはこんな感じです。 DSC_7224 ではでは、簡単に作り方を。というかもとから簡単なんです。ただ、いくつか絶対に譲れないポイントがあって、ほんの少しのことなんですけれど大きく出来を左右してしまうのです。少なくともワタシは、このやり方に出会ってからは「フリッタータはこれに限る!」と決め込んでしまいました。以来10年以上貫いてきています。そのポイントとは…

1、卵液は最低限しか混ぜない。

2、たっぷりの油をしっかり熱して全量を一気に流し入れ、最後まで混ぜない。

3、蓋をして卵の焼けるお菓子のような香りがしてきてからひっくり返す。

以上です。たったこれだけ。これはバジルに限らず、どんな具のフリッタータでもだいたい一緒のルールでやっています。 卵液はシャカッシャカッと黄身がつぶれ、ざっくり混ざったくらいで十分。卵白と卵黄を均一にしようと何度もかき混ぜると仕上がりが固くなってしまいます。日本の玉子焼きや、オムレツのようにフライパンに入れてから菜箸で混ぜたりもしません。肝心なのは、とにかく良質のオリーブオイルをケチらないことと、しっかり熱してから卵液を入れること。そうすると卵液を入れた瞬間「ジョワワ~!!」っと土砂降りの様なものすごい音がしていきなり卵の縁がチリチリと焦げはじめます。フリッタータを作っていて「あ、今日のは上手くいくな」と確信できる時は、この音が気持ちよく響いた時なのです。時間が無くて油を熱し足りない時などに気弱なショワ~という音になってしまうと「ああ、失敗だあ」と落ち込んでしまいます。イタリア語でフリッタータ(frittata)とはフリットしたもの、つまり揚げた物という意味。このやり方を台所で実際に見せてくれたマンマも、その点を強調していました。オーブンなどで仕上げるレシピもありますが、ワタシにはやはりフライパンで揚げるように焼くのが本当のフリッタータです。3つ目のポイントは、最初に流し込んだ片面でほとんど火を通してしまうということで、これは油を吸った片面がしっかり焼けてカリッとしてくると吸った油を再び吐き出しはじめるんですね。そのタイミングでもう片面を焼きたいから。両面サクッと行かせたいじゃないですか。

簡単とはいえ、実際の作り方を。分量は、小さ目のフライパンでやりやすい量で、だいたい2~3人分です。一人でもペロッと食べられますが。

材料:玉子3個、牛乳大匙1、塩、コショウ少々(お好みでパルミジャーノチーズを大匙2ほど入れても、入れなくても)、バジルたっぷり
美味しいエキストラ・バージン・オリーブオイル大匙3(フライパンの底にしっかりゆきわたるくらい)

1、ボールに玉子を割り入れ、塩、コショウを適量入れてシャカシャカと軽くほぐす。

2、バジルは太い茎だけ残して葉っぱは丸ごと、卵液からはみ出るくらいたっぷり入れて軽く卵液を絡めます。

3、フライパンにオイルをいれ、揚げ物が出来るくらい十分熱してから一気に卵液を注ぎます。こんな風にバジルがむき出しですが心配無用。反対面を焼くときにバジルは勝手に卵液の中に納まってくれます。 DSC_7240 4、蓋をして火を弱め、卵が焼けるよい香りがして卵液が中心部以外固まってきていたらひっくり返す。大き目のフライパンで量を増やして作る場合など、上手に返せない時はお皿をかぶせて手で押さえたままひっくり返し、お皿からフライパンにすべり落とすとうまく行きます。

5、2~3分焼いたら出来上がり。もう一度ひっくり返してお皿に盛ると、バジルの色がキレイです。写真のように、フチがチリチリと薄い皮のように焼きあがれば成功。 DSC_7258 蓋をして焼くとフリッタータはふんわりふくらみます。それっ!と焼き立てを頬張るのが一番ですが、お弁当など時間を置いて食べる場合はいったんキッチンペーパーなどを敷いたお皿で休ませ、余分な油を吸い取っておくとしぼんでからも美味しく食べられます。

そして!ジョワワ~ッとフリッタータを焼くにはテフロンだとどうしても役不足です。油っぽく重たい仕上がりになってしまう。やっぱり鉄が一番です。目玉焼きだって同様、フチのチリリが美味しく出来ます。テフロンと違い長持ちしますし、使った後のお手入れが簡単なのも断然鉄です。まだフライパンが熱いうちに、ザアッと水道にあてながら手早くタワシやササラでこすって汚れを落とし、あとは火にかけて水分を飛ばしておくだけです。羽生さんのフライパンの場合だと、適度な凹凸でとても油なじみが良いので、特別手入れをしなくてもくっついたりサビたりせず気持ちよく使えています。

ふふふ。フリッタータがとびっきり美味しく焼ける羽生直記さんのフライパン、13日から23日まで実店舗でご予約会を行います。現在羽生さんはフライパンや両手パンに関しては予約制で制作しており、だいたい半年ほどの納期を見ていただいています。待ってでも手に入れたい、ずっと使えるフライパン。ぜひお手に取ってその手馴染みの良さや軽さも確かめていただけたらと思います。

*この記事は2017年7月に公開されたものを受注会開催にともないリライトしたものです。

 

愛らしい子象柄が登場。定番花唐草では霊芝バージョンも新鮮。沼田智也さんの新着作品から。

ろばの家では数少ない絵付け作品。茨城県高萩市ご出身、制作の拠点も高萩に置く沼田智也さんの手によるものです。

お店のあるつくば市から北に100㎞弱のところにある高萩市。毎回なにかしら新作の柄が登場するため、作品を見に高萩を訪ねるのが楽しみで仕方がないのです。その上沼田さんも自慢するように高萩は海も山も美しく(勝手に茨城の南仏と呼んでいます)、夏になると特に行きたくなる場所でもあります。

自粛期間も挟んでしまったこともあり、今回の訪問は前回からかなり間が空いてしまいました。実は上の子象模様も、昨年の秋頃から沼田さんのそば猪口や小皿に登場していたようなのですが、わたしたちにとっては初めての出会い。

なんとまあ、愛らしいこと愛らしいこと…。画像で伝わるでしょうか。子象たちみんな、ちゃんと目も描かれています。絵の具が濃くたまっていてみえにくい子もいますが、よくみるとちゃんと点、で描かれている。その目の雰囲気で表情が微妙に変わって見えます。

沼田さんは単に「象」と呼んでいましたが、一目見た瞬間からその愛らしい姿は「子象」にしか見えず、子象文様と呼ぶことにしました。だって、成象?大人の象の柄は、以前もっと写実的な絵柄で登場していましたし。

そしてなぜだかこの子象、哀愁漂うというか、ポツネンと寂しそうというか、いたいけな姿に思わず拾ってあげなくては…という気持ちにさせられます。多分、ひとりぽっちで描かれているからですね。子象って、母象とセットで見ることが多いですものね。

沼田さんの絵付けのそば猪口や小皿、柄違いで少しずつ集めているという方も多いと思います。

定番の花、蝶、鳥、という柄から始まり、鳥から派生した飛行機、そこから車、船、で陸海空シリーズ。わたしたちが益子の陶器市で陸海空シリーズに出会い、はじめて作品を扱わせていただいた時から、もう何年たってしまったのでしょう…。

沼田さんの筆のいたずらから生まれる新しい柄がシリーズ化され、さらに展開されてゆく様子や、その誕生秘話を聞かせていただくことは、わたしたちにとって最も楽しくて贅沢な時間でもあります。作っている本人から、それを直接聞くことができるなんて!そのワクワクを、沼田さんの作品を手にする方にもお伝えしたい、いつもそう思ってしまいます。

古典柄の雨傘がクラゲになり、クラゲが宇宙人になり、UFO柄まで飛び出したかと思うと新・ゴジラ柄が登場したり。HPでも誕生秘話をご紹介してきました。

さりげなく流行りものも取り入れてしまう遊び心と、古典柄になんらかヌマタ流の解釈、アレンジを加えて密かに「誰か気づくかな?」と何にも言わずに黙ってそうっと並べてみるいたずらっ子ぶり。沼田さん、だな~。

あ、沼田さん、せっかく自粛期間にこもりっきりで制作していたなら、どこかにマスク描いてみたらよかったのに!「よく見るとマスクしてる子象がいる!」なんていうの、面白かったのになあ。後世、「これは沼田智也のコロナ時代の作品ですね。絵付けの中にマスクが登場したのは2020年だけのはずです」なんて専門家にコメントされたかもしれないのに~(笑)。

でも本当に、沼田さんにとって描くもののモチーフはきっと、何でもよいのでしょうね。インスピレーションさえ受けられれば、どんなモチーフでも沼田調に変調できてしまう気がします。

沼田さんは下描きしたり、デッサンを紙に描いてから写して絵付けしたりせず、毎回すべて一発勝負。イメージが決まったら本番の作品に直接一気に描いてしまいます。描いているうちに違う柄に仕上がってしまうことさえあるとか。

今回お邪魔した時に、ろくろを挽いたり絵付けを施したりといった実際の制作にかかる時間よりも、作品を前に「さて、何を描こうか」とモチーフが決まるまでの時間が、もしかすると一番長いのかもしれません…とお話ししていました。

何か特定のイメージが降りてくる、その瞬間までの空白。

いったん降りてきてしまえば、あとはすべて筆の動くままに身体を任せるだけなのでしょうね。その空白の時間はきっと、とある重圧をともなうものであるはずです。描かれている絵柄の面白みや美しさの後ろに、そういった空白の時間の苦しみやバッチリ描き切れた時の喜びや、意図せず生まれた新しい柄に出会えた時のワクワク感など、沼田さんのさまざまな想いが隠れていると思うと、ただ華やかに感じる絵付けの作品を手にした時の見方が少し、変わるような気がしました。

さてさて、今回はあまりに子象が愛らしくて、子象の作品を見つけるたびに「あ、ここにもいた!」と選んでしまったのですが、皆さんに見ていただきたいのは子象文だけではないのです。

沼田さんの定番的な柄はいくつも種類があって、中には古典柄のものが手本となっているものも沢山あります。そして定番の柄にも無数にバリエーションがあり、だからこそ毎回同じ柄を選んでも飽きないのです。変化球が沢山ある、むしろ変化球の方が多い…。

沼田さん特有の淡い筆致が生きる花唐草。

でも今回わたしたち選んできた花唐草は、どちらかというと濃いめにハッキリ描かれたものも多くあります。下は古典柄の霊芝(レイシ)文と呼ばれる柄を沼田さん流にアレンジして花唐草模様に描いていますが、どこかアジアや異国を感じる雰囲気もあって、うつわとしてそこに盛るお料理もどちらにも転べそうな面白さがあります。同じ霊芝の柄でも、いろいろ表情が違うので雰囲気ががらりと変わります。


はじめからアンティークっぽいこなれた感じが出ているところは沼田さんの作品の魅力のひとつだと思うのですが、定番の花唐草も霊芝の花唐草も、もその魅力が全面に出ています。夏のテーブルに、このブルーが加わるだけでふっと涼し気な印象になりますよね。冷たいお料理、いろいろ浮かんできます。

ほかにも、女性か小学生くらいのお子様にもちょうどよい小ぶりの飯椀や小鉢でトンボや魚の模様など夏らしい絵付けがほどこされた作品や、繊細な赤絵の作品など、少しずつ進化する沼田ワールドを存分に楽しんでいただける作品をつくばに持ち帰りました。

往復2時間近くかけて高萩まで出かける甲斐がある!と嬉しくなってしまうようなサプライズ作品も。作っていることさえ知らなかった絵付けのタイル。ヨーロッパの骨董市でほこりをかぶっていそうな掘り出し物感満載のこの作品。ひたすら美しい!キッチンに何げなく置いて鍋敷きに使ったり、窓辺に立てかけて置いたり…。これは今後ぜひ色々なサイズで作っていただきたい。こういう思いもしない作品に出会えるのは、直接訪ねていけることの醍醐味ですよね。ああ、嬉しい。


まだまだ、ここではご紹介しきれない素敵な作品が沢山です。ぜひひとつひとつ、沼田さんの筆の動きを追ってみてください。

沼田智也さんの作品はこちらです。

 

水煮でも、フレッシュでもない反則技トマト。

こんなトマトは初めてでした。その潔いまでのシンプルさは、後ろから唐突に膝カックンされちゃったくらいの「なんだよコレ!」という拍子抜け感なんです。正直「ズルイ」としか思えない。イタリア、ズルい。イザベッラ、これ反則。「へっへっへ~~~」と腕を腰にあてて仁王立ち、ド派手なメガネをキラリと光らせ「Hai visto? それ見たことか!」とほくそ笑むイザベッラおばさんの姿が目に浮かびます。ピエモンテでワイナリーとアグリツーリズモ(農家のお宿)を営む四児(全員男の子!!)の母である彼女は、その人気の宿で消費しきれない無農薬のお野菜や果物を使ってジャムやピクルスなどのさまざまな保存食を作り、そこで販売しているのです。わたくしママろばもその昔、ワイナリー巡りでピエモンテを旅した時には必ず彼女の宿を予約するようにしていました。彼女の個性そのものといった感じの気取らないワインと軽快なトーク(ママろばも負けるほどの超お喋り&早口!)を夜更けまで楽しみ、遅めにいただく朝食のテーブルには自家製のジャムがずら~り。窓の外は一面のブドウ畑。ドイツやスイスからの観光客が毎年次の年の宿泊を予約をしてゆく、というのも頷けます。

元薬剤師ということもあり、ハーブの薬効にも詳しいイザベッラ。彼女と一緒に畑を散歩すると「あ、この酸っぱい葉っぱは美味しいのよ。」「この芥子の若芽はフリッタータにすると最高なの」と知らない植物をあれこれ教えてくれたものでした。野草をたっぷり入れた玄米のリゾットも美味しかったな~。イタリアだけに限らずヨーロッパで瓶詰の保存食を買うとジャムはひたすら甘く、塩味のものは塩がキツすぎ、煮すぎて食感がまったく残っていなかったり…という印象があったのですが、彼女の瓶詰はお料理と同様どこまでも軽い。中でもこのホールトマト、一般的にはトマトの水煮と訳されていますが、このトマトの場合には正確には水煮ではありません。初めてコレを食べた時その反則級の美味しさに「なにアレ?」と彼女にメッセージしてしまいました。

「ハッハッハ~~ン。秘密よ!」と答えたのは冗談だったらしくすぐに「トマトを半分に切ってパッパッと塩を振ってまたトマトを重ねるの。その繰り返し。あとは蓋をして、煮沸するだけ」「…それだけ?」「それだけ。」

「あ、あと…。」「…やっぱり!あと、何?」

「たまにバジルの葉っぱも放り込むわ」「うう…。本当にそれだけ?」「…ははん、どう?不味くはないでしょ?」

…とまあ、こんな感じなんです。反則、と思いませんか?それだけでこんなに美味しいなんて。日本のブランドトマトのように糖度が高いという美味しさではありません。あくまでトマトは普通の味です。トマトらしい酸味とほどよい甘み。では何がすごいかというとその食感とフレッシュな香り。皮まで美味しい。明らかに、生ではない。でも、全然煮た感じがしないんです。作り方を聞けば、”蒸した”が一番近いということになりますよね。ひと瓶は1㎏。ずっしり、かなり大きな瓶で片手では簡単に持てないほどです。この量であることにも意味があるレシピなのでしょう。トマト自身の厚みが重なって旨味が滲み出てきたような味わいなのです。同じやり方でも小さな瓶だとこうはならないはず。水を足さずに瓶に入れた状態で煮沸だけで加熱しているので、中の液体はトマトから染み出た水分です。その液体部分がまた美味しい。だから、料理にはこのお水も使います。…といっても、調理と呼ぶほどの技術は不要。まずはそのまま食べてみてください。トマトがメインのご馳走となりうる、そんな瓶詰なのです。

ほら、このずっしり感、見てください。ほんと、これだけでも美味しそうじゃありません?うっすら塩味がついているのでそのままで十分前菜になります。お好みでオリーブオイルを回しかけて。胡椒さえ邪魔になるかもしれない。せっかくだからトマトそのものの味をダイレクトに堪能してください。あとはもう、モッツァレラなんかあったらいつもとは違うカプレーゼが出来ますし、軽く焼いたパンを半切りのニンニクでガリガリッと香りづけしたところにのせれば上等のブルスケッタになります。

太陽をたっぷり浴びてまるまると太った、一番ハリのある時に収穫したサン・マルツァーノ。種が少なく身が分厚い品種で肉質が緻密です。断面図はこんな感じ。むっちりした食感が伝わるかしら?一枚で、相当食べごたえがあります。下の写真は一枚を半分に切ったモノです。適度に水分が抜けているので加熱しても味がボケません。グリルしたナスと重ねてチーズを振り、オーブンで焼いても軽~いパルミジャーナが出来ますよ。ピッツァに使ったりしたら、どうなるんだろう…ワオ!!

とにかくたっぷりぎっしり入っているので、そのまま食べたり、パスタにしたり、ひと瓶あれば相当楽しめます。冒頭の写真はアリアンナ・オッキピンティの古代小麦のペンネで超シンプルにペンネ・アル・ポモドーロ(トマトのペンネ)にしたものですが、ソースを作る必要はありません。茹でるパスタの量に合わせて(80gのパスタにトマト4枚くらいで十分)トマトを瓶から取り出し、フォークで軽く潰します。簡単に切れるので、半量はササッと半切りくらいに、半量はぐずぐずと潰して…と、トマトの形を残すのがおすすめ。鍋に潰したにんにくとオリーブオイルを熱してトマトを入れ、軽く温まったらスプーンで1~2杯瓶の中の液体を加え鍋を揺すり馴染ませます。煮詰める必要はありません。パスタ湯に塩をしてあれば、味付けはこのトマトだけでも十分。よく水を切ったパスタを和えたらトマトを絡めて、ざっくり混ぜ込んであげるだけでいいのです。大きなトマトのかたまりとパスタをフォークで一緒に差して頬張れば、あらら、フレッシュトマトでも、ピューレでもない軽~い食感が新鮮!思わずパクパク、ペロリです!夏トマトの旬もピークを過ぎ、フレッシュトマトで作るパスタともそろそろお別れ、という時期には嬉しい保存食ですね。保存食の意義はまさにこれ、ですもんね。美味しくて大量に獲れて、しかも最も安くなる旬の時期に沢山作り置きして、新鮮なものが手に入らない時期に食す。秋から冬にかけては、お豆や雑穀と煮込んでスープにしても美味しそう。

とまあ、本当にただのトマトがこんなに美味しいだなんて…と羨ましくなるイタリア。トマトの生産大国、と思いきや最近イタリアで話題騒然となっているスキャンダルが…。わたしもフェイスブックで知り合いのイタリア人が「まさか!」とシェアしていたページを驚愕の思いで見入ってしまったのですが、Made in Italyと明記されている安価なトマトの水煮缶や濃縮トマトのほとんどの製品が、中国産のトマトを輸入して最終工程だけ完了しイタリア産として出荷しているものだというレポートでした。実際に中国の生産現場での取材も収録されており、めまいがするような内容でした。申し訳ないですが、あれを見てしまうとちょっともう食べられないです。公開されて2週間で200万回以上再生。かなり話題になっていたようです。もちろん、そんなレベルのものと同列に語るものではないので無関係なのですが、とにかくもう、何を信じて良いのやら…?とその番組でも他に横行している食品業界のトリックを次々と暴いて嘆いていました。

ヴィナイオータさんの輸入する食品はどれも、本質的な部分を見据えた健全で真っ当すぎる味わいにプラスして、それを作る人の尋常ならぬ情熱がきちんと映し出されているものばかり。当然ぶっとんで美味しいわけですが、値段もぶっ飛んでしまうこともしばしば…(笑)。でも異なる食文化圏である日本まで、大量の化石燃料を消費してわざわざ海を越え運んで来るからには、それだけの価値があると自負して輸入しているのだといつも話しています。トリュフや、ポルチーニなどの高級食材だってイタリアの食文化であることには違いないのですが、それはとある一面でしかありません。なんでもないただのトマト、ただのナス、ズッキーニが、ちょっと気を遣ってまっとうな材料で丁寧に作れば、そしてそこに自然の恵みを余すところなく、より美味しく食べようという人間の工夫が加われば、何よりのご馳走となる。それを味わいからだけでも証明してくれるような、まったくの日常食としての瓶詰たちなのです。イタリアよりも甘いトマトが栽培されるようになった日本においても、なかなかこういったエッセンスを感じさせてくれる加工品には出会えません。

イタリアでもそろそろ夏野菜が終盤のころ。きっと今日もイザベッラは、畑で獲れた大量のお野菜を大きなお鍋で仕込んでいるのでしょう。例によって、ぺちゃくちゃノンストップでおしゃべりしながら。すっかり大きくなった4人の息子たちに手伝ってもらいつつも大忙しの彼女。大口の予約が入るとレストランもてんやわんや。イタリアから届いたままのペラーティの箱には、緩衝材がわりに小さなメモのような紙がぐちゃぐちゃに丸められて詰まっていました。よく見ると、それはレストランのオーダー票。きっと、詰めるものが足りなくてその辺にあった雑紙をなんでも使ってしまったのでしょう…。読んでみると「特大サラダ×1、アニョロッティ×2、カッフェ×2、2名現金…」などリアルな(笑)オーダーがびっしり。おびただしいオーダー票を見ているだけで、レストランの喧騒が聞こえてきそうです。さあ、彼女の逞しいマンマの腕で次から次へとつめられた飛びっきりのトマトを、ぜひ日常の食卓で味わってみてください。蓋を開けた途端、もしかするとイザベッラのけたたましい笑い声が飛び出してくるかもしれませんよ。
*この記事は2017年8月に掲載されたものです。

イザベッラのペラーティ(ホールトマト)はコチラです。

 

 

塩抜きせずそのまま使えるケイパーは、もっとも手軽な洋風だしです。

待望の新ヴィンテージが到着! 長らく輸入元のヴィナイオータさんでも完売していたので、昨年からわずかに残っていたものをケチケチ使ってきましたが、やっと心置きなく使えます。

調味料としても具材としてもハーブとしても活躍してくれる超便利食品なので、ただ刻んでポテトサラダに混ぜる、オムレツの具にするソースにする、など使い方は無限大です。

お味見していただくと「これはイケる!」と皆さんびっくりしてしまうのは上の画像のケイパーバター。なんのことはない、塩漬けケイパーをざくざく刻んで無塩バターに混ぜただけのものなのですが、これがもう、かなりかな~~~り、相当に、旨い。スライスしたバケットにちょいとバターナイフ(もちろん宮下敬史さんの、ね。掲載までしばらくお待ちください!)で塗って、パクパク。ちょっと味見のつもりが、気が付くとドムッシャドムッシャ、本気で食べ進んでしまいます。「く~~~、これは、白ワイン、欲しい!」…そう。ワインのおつまみに最高の組み合わせなのです。塩漬けになっているケイパーは発酵食品でもあり、油分と出会うとケイパーのこなれた塩味と磯の香りが、より複雑な旨味をかもしだします。今日お味見していただいた方の中でも数人「軽いブルーチーズみたい!」と驚いていました。

普通の塩漬けケイパーならば、数十分水に浸けて塩抜きしなければ食べられない程塩がキツイのですが、アリアンナのケイパーは確かにしっかりした塩味ですが最低限の塩しか使っていません。そのため一般の塩漬けケイパーが常温保存できるのに対し、アリアンナのものは要冷蔵なのです。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がまったく見当たりませんよね?塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。短時間でも水に浸けて塩抜きすると、どうしても香りが損なわれてしまうからです。しかも、モンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生種。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオの、岩原で自生しているものを摘んで使っているあたり、さすがアリアンナという感じです。アリアンナの火傷するほど熱いシチリア愛については一度ご紹介したのでそちらも読んでみてくださいね。パッケージの写真を見て頂けると、葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっているのがわかると思います。これも一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい…けどベリーの方はたまにしか入ってないんですよね~。つい見つけると料理に入れずポリポリ味見してしまいます(笑)。
ではこの、実はとっても使える調味料、塩漬けケイパーの簡単すぎるレシピと使用例を。

<<ケイパーバター>>
1、無塩バター一箱(225g)を室温に戻す。
2、ケイパーを計量カップ50㏄くらいの分量とり、粗くみじん切りにして1に混ぜ込み、冷蔵庫で保存する。2週間以上冷蔵保存する場合には小分けにラップして冷凍庫で。

<<ケイパーバターの使用例>>
1、トーストしたバケットやクラッカーに塗って。
2、ポトフに添えて。
3、粉吹きイモに熱いうちに混ぜ込み、ケイパーだけが具の大人のポテトサラダに。好みでマヨネーズをプラスしても。
4、カジキマグロや鶏肉のソテーの焼き上がりに、一人前大匙一杯のケイパーバターを溶かして肉汁に和え、ソースにしても。
5、茹で上げたいんげん、スナップえんどう、ソラマメ、など豆類や、人参や蓮根などの根菜に和えて。
6、アサリのスパゲッティやキャベツや菜花などオイルベースのパスタの仕上げ、コク出しに。

と、展開例が無限なのです。ケイパーを購入する方がよく「こんなに使い切れるかしら?」と首をかしげるのですが、こんな風に色々に展開できれば、案外すぐに使い切ってしまいますよ。

続いて、もっと簡単でもっとヘルシーなオリーブオイル和えも。

<<ケイパーオイル>>
1、ケイパーを粗くみじん切りにしてエクストラオリーブオイルと混ぜ、密封瓶に入れて冷蔵庫で保存する。

<<ケイパーオイルの使用例>>
1、生の大根、カブ、コールラビなどを5㎜の厚さにスライスし、ケイパーオイルを乗せて前菜に(画像上)。
2、ドレッシングのベースに。ワインヴィネガーや柑橘を加えればそのままサラダのドレッシングになります。
(ジャガイモ、いんげん類、ゆで卵に特によく合います。)
3、タルタルソースのベースに。玉ねぎ、ゆで卵、ピクルスなどを刻み、マヨネーズとケイパーオイルで和える。
4、トマトベース、オイルベースのパスタに加えて。アンチョビやオリーブとも相性ばつぐん。
5、トマトとさらし玉ねぎをヴィネガーで和え、ハードタイプのパンを加えてパンサラダ(パンツァネッラ)に(画像下)。

上の画像は、実はあのただのトマト、イザベッラのペラーティ(ホールトマト)とアリアンナの刻んだケイパーをオリーブオイルで和えただけのもの。そこへ、少し硬くなったパンを混ぜ込んだだけの超スピードメニューなのです。本式のトスカーナ風パンツァネッラはガッチガチに硬くなったパンを使うので、いったん水で戻してから軽く絞ったところへトマトや玉ねぎなどを加えて調理するのですが、もともとは貧しい農民食です。湿度の高い日本では、逆にそこまでガチガチに古くなったパンが家庭に常備されている(カビもせずに)ことはそうそうないので、一日たったパンやトーストしたパンを水に浸さず代用できます。イザベッラのペラーティはトマトから出た自然な水分がすでに十分美味しいので、その水分ごとパンに吸わせてしまいます。夏場は冷蔵庫で冷やしておくと、食欲のない時にもさっぱりと食べられますよ。火を使わないのも夏には嬉しいですよね。お子さんも好きな味なので夏休みなどにぜひ試してみてください。

<<ケイパー出汁>>

そして、ケイパーの意外な使い方。磯っぽい香りとこなれた塩味をお出汁に加えて、ケイパーの塩味だけで味付けするやり方です。これが、お料理好きの皆さんが目からウロコと喜んでくださる、新鮮な味わい。特にこの、ケイパーおでんはぜひ試して頂きたいスペシャルレシピです。

上記ふたつのレシピがケイパーを刻んで使うのに対し、お出汁にする場合は丸ごと使うのがポイントです。あまり長い時間液体に浸かっていると、刻んである場合には味が抜けてしまうからです。

<<ケイパーおでん(画像上)>>
1、濃いめにかつお出汁をとる。
2、煮崩れしにくい品種のじゃがいもの皮をむき、ジャガイモ一個に対してケイパー5個くらいの割合でお出しにケイパーを加え、弱火でコトコト煮る。
*ジャガイモのほか、大根やカブ、小玉ねぎ、カリフラワー、れんこん、湯むきトマト、ゆで玉子などを加えても美味しいです。

<<ケイパースープ(画像下)>>
1、玉ねぎ1個をケイパー大匙4杯程度と一緒にたっぷり目のオリーブオイルで蒸し煮にするように炒める。焦げ付かせないよう適宜少量ずつ水を足し、蓋をして炒めるのがコツ。
2、ジャガイモを食べやすい大きさに切り、1に加え、水も足しながら8分目まで火を通す。
3、トマトのざく切りを加え(イザベラのペラーティなら最高の味に。)、ジャガイモに火が完全に通るまで弱火で煮る。
4、塩味が足りなければさらに何粒かケイパーを加え、10分ほどさらに煮る。
5、食べる際に好みでバジルやイタリアンパセリを刻んで加え、オリーブオイルを回しかける。

<<ケイパーご飯>>
これはぜひとも一度試してみてください。ご試食でおにぎりにして出すと、皆さん「ええ??コレやってみよう~!」とケイパーを買って帰られますよ。
1、といだお米2合に対して大匙一杯のケイパーをそのまま混ぜ、通常通り炊飯する。だけ。

上記のほか、トマトベースのパスタに加えるのはもちろん、クリームや牛乳ベースのソースにだってアクセントとして使えます。そして、玉子との相性が抜群なので、スクランブルエッグに居れたり、マカロニサラダに茹で玉子とともに刻んで入れても。

こうしてざっくり説明しただけの使用例でも、ざっと15種類以上のレパートリーです。ケイパーは、洋風出汁にもなる便利食材。そして、何でもない素朴な味のお惣菜を、突然ワインと合うイタリア風の味に変身させてくれる、魔法の食材。しかも長期保存が可能で味も劣化しにくい塩漬け。

冷蔵庫に常備しない手はありません、よ!

アリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーはコチラ

*この記事は昨年の5月に公開したものをリライトしています。

 

FDさんの黒いステンレスツールはすべて画期的、革命的と呼びたい使いやすさ。


いかにストレスを減らすか。

これは、あらゆる家事をスムーズにかつ楽しくこなすための最大のポイントだと思います。

面倒なことは、誰だってやりたくない。でも、何を面倒と思うかは、ひとによって違います。わたしが面倒と思って敬遠する「靴洗い」とか「ボタンつけ」とかは、誰かにとっては楽しい作業かもしれないし、「泥染めになった方がステキ」とか「最後の一個がとれるまでつけない」と腹をくくっている、わたしより強者の主婦もいるかもしれない。

大根をおろす、という作業も敬遠しがちなことのひとつでした。たまにやったとしてもごく少量。なめこのお味噌汁とか、天ぷらのお出汁に入れるくらいの量です。なぜならば、腕が疲れてしまうから…。このオロシと出会うまでは、洗いやすいからという理由でセラミックのオロシを使っていたのですが、すぐにおろした大根が溢れそうになったり、水平にぐりぐり回すのがホネだったり、つい「もうこれくらいでいいや」と少量で切上げてしまうのがオチでした。

ところが、です。

このオロシを使ってみた時「今までの苦労は何だったんだ???」というくらい歴然とした差を感じてしまいました。道具ひとつで、ここまで違うものか、と。硬めの人参でも、すいすいでした。そして、その滑らかなオロシ心地より、もっと驚いたこと。それは「ジュースが少ない」ことでした。繊維を必要以上に潰していないのだと思います。だから、オロシそのものが瑞々しいのです。「味の濃いオロシ」と言うと不思議な感じがしますが、おろし汁に要素が流れ出ないから、オロシに味が閉じ込められている。今まで意識したことさえなかったけれど、これまでは絞りカスのように味気なくなったオロシを、その摺りオロシ汁で戻して食べてきたようなもんだったんだな、と妙に納得してしまいました。長いもなどは、べたつかずふわ~っと仕上がります。オロシ金にからみつかずスムーズに下に落ちるのでストレスなく量をすることができます。

がぜん、オロシの登場回数が増えます。揚げ物に大根おろしをたっぷりまぶしたりするのはすでに定番ですが、人参おろしにぎゅっとレモンをしぼったものを使っても、甘酢がわりになって新鮮です。皮目を焦がして焼いた鶏にたっぷりかけてもいいし、揚げナスにからめても、豚バラを焼いたの山盛り載せても美味しい。これからの季節は、ラディッシュを卸して辛味にするのもさっぱりします。やわらかくなってしまったトマトなども丸ごとおろしてオリーブオイルと蒸し鶏にからめると、トマトの酸味が気持ちよい和え物に。ちなみに、大根など少し辛みがあっても甘酢で和えてあげると、子供たちでもパクパク食べますよ。こんな風にあれこれやりたい料理まで浮かんできてしまうのは、ただただ、「オロシ」作業が苦にならなくなったからです。面倒くさいことの多くは、道具を変えたり置き場所を変えたりするだけでも簡単に解決できてしまうかもしれません。見た目がすっきりしているので壁にかけて置くことができるのでしまう場所にも困りません。

そして嬉しいことに、使用後の後片付けが本当に簡単。オロシだけでなくほかのツールもそうですが、ささっと水で洗い流すだけで食材のくずはきれいにとれてしまい水切れもいいので、からぶきしなくてもほとんど乾いています。使った後いつまでもしまえず出しっぱなし、ということもないのです。使うときも使った後も楽だから、手にする機会が増えるんですよね。

技術的な裏打ちは、メーカーさんにお任せした方がよいのでぜひ個別の説明を読んでください。例えばオロシの説明を読むと妙に納得です。「大根をおろすとき、無意識のうちに常に角の部分があたるよう常に持ち替えている、という経験はありませんか?」と書いてあり、「持ち替えてます、最初から最後まで!!!」とうなずいてしまいました。

このシリーズ、あまりにオロシが画期的な構造だったのでほかのものも試してみたところ、本当にすべてがいちいち秀逸なのです。かゆいところに手が届くというか…。目からウロコの使いやすさでした。以来6年間、ずっと愛用しています。もう、どれも手放せない存在です。


◎オロシ
上記のアイテムページに、メーカーさんの説明がありますのでぜひそちらも読んでみてください。
驚きのおろしやすさ!ありそうでなかったシンプルの中にあるおろしやすさの原理」

◎薬味オロシ
筋っぽいヒネショウガもするする滑らかにすりおろせます。ぐるりと取り囲んだしぼり汁の受け皿がミソ!

◎千切りピーラー
キャロットラペがあっという間に。適度な薄さでサラダにもしやすい千切りがみるみる山盛りに!
まな板に置いて横にすべらせるとよりスピーディーです。

◎万能トング
ボールの底にすべり落ちないストッパー付き。ドレッシングもすくえる優れもの。
取り分け以外に調理後のチキンなど熱いものを切る時にも小回りがきいて大活躍。

◎パスタトング
パスタがはさまらない絶妙の角度のギザギザ。スパゲッティでもつぶさず、切らずにつかめます。
パスタ専用にするなら断然パスタトングです。

 

 

 

 

 

冷蔵庫の隅っこでしわしわになりかけたキュウリを、無駄にしない。河井美歩さんのお野菜使い切り術。


つくばと神楽坂を拠点に、自然料理教室cocochi(ここち)を主催する料理家の河井美歩さん。今回『あんしんの食卓』展では、ご自身の著書「なんでも、漬けもの。」(主婦と生活社)に掲載しているレシピのご試食会や、わっぱお弁当のワークショップで、作り置きできるお料理の段取りをレクチャーしていただきました。
10品くらいをあっという間に作ってしまったWSはとっても楽しい雰囲気。きちんとお料理の前と後でポイントをおさらいしてくれるので、家ですぐに実践できます。神楽坂教室、つくば教室の予定が更新されるのですが、色々なテーマを単発で参加できるレッスンはとっても人気。ぜひサイトインスタでスケジュールをチェックしてみてください。

もちろん、美歩さんにもごはんアンケート、聞いてみましたよ。


河井美歩さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—納豆:だし醤油少々、卵黄、黒酢少々、青ネギ入り。 『贅沢納豆』と命名して週の半分は食べています。

Q2、ご出身は?
—徳島県徳島市

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—そば米汁(徳島): そば米が入った具沢山のすまし汁
金時豆入りちらし寿司(徳島):ちらし寿司に金時豆の甘煮が入っています。
お雑煮(徳島):いりこ出し+白菜+大根+人参+甘くない白みそ

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—いりこ出汁+麦味噌 /いりこ出汁+合わせ味噌
合わせ出汁+合わせ味噌 /合わせ出汁+麦味噌
昆布だし+赤味噌
※合わせ出汁はマエカワさんの天然出汁パックで(かつお、いわし、しいたけ、昆布)

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:きのこ
—2位:大根
—3位:ネギ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—好きです! 週5~6日は味噌汁。(家族が朝はごはん党なので)

Q7、ご自身の出身地、もしくは現在暮らしている地方特有のお味噌汁があればそれがどんなものか教えてください。
—魚のあらで取った出汁+白みそ+わかめたっぷり(徳島)

Q8、これまでの人生で見聞きした、もしくは食べた中で最も変わっている、斬新に思えた(組み合わせ)のお味噌汁の具を教えてください。
—納豆汁、野菜の重ね煮の味噌汁、豆乳味噌汁。母親の味ではなかったので、初めて食べたときには衝撃でした。どれも大好きで、時々家庭でも出ます。

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—もちろん漬けもの(笑)、冷蔵庫に1~2個ストックがあると重宝します。楽しむコツは2つ。
① 家庭の味なのでルールに縛られず、余り野菜を楽しく漬ける。
② 塩加減はサラダ感覚で沢山食べたい&翌日までに食べきるなら野菜に対して0.8~1%。
漬け物感覚&3日程度は日持ちさせたい時は2%の塩梅にしています。


さすが、美歩さん。やっぱり、漬けもの!ですよね。来年のごはん党のタイトルにしちゃおうかしら(笑)。

ほんのひと手間かけておくだけで、あっという間に食卓に並べられる作り置きのお惣菜。美歩さんの『なんでも、漬けもの。』は、いわゆる、腰を据えて用意するタイプのお漬けものの本ではないのです。

「漬けものとはいえ、本書では糠や粕、米麹などは使いません。
酢やしょうゆ、油などなど、家にあるいつもの調味料で、
しかも短時間のうちに作れるものばかりです。
とりあえず漬けておけば、味がしみておいしくなり、
保存性も高まって、いいことずくめ。
食材はなんでも漬けものにして、無駄なく使いきりましょう。」

と、扉にも書かれている通り、お野菜や少しだけ余ってしまった食材の、上手な使い切り、作り置きのアイデア集とでも説明すれば良いのでしょうか。本当に家にあるものだけで、すぐに試せるレシピが満載。お弁当の隙間を埋めるのにも便利で、そのままお酒のおつまみにもなります。

『あんしんの食卓』会期中、皆さんに毎日試して頂いて大人気だった「ビール漬け」など、調理時間は10分以下です。レシピではきゅうり、大根、人参の3種類のお野菜を漬けこんでいますが、生で食べられるお野菜なら何でも良いそう。会期中、セロリ、玉ねぎ、ピーマンなど残っているものを色々試しました。意外ですが、ビールのほろ苦さと合うのかピーマンも大好評でしたよ。
キュウリのビール漬け うつわ:内田好美さん

その他のお料理も、お野菜をザクザク切ってジップロックに調味料とともに放り込み、冷蔵庫に一晩いれておくだけ、和えてすぐ食べられるレシピも沢山あります。セロリのヨーグルト味噌漬け、ゴーヤのカレー漬けもご試食会で人気でした。他にも、キャベツの酢じょうゆ漬け、レタスのゴマ塩レモン漬け、しらすの酢漬け、ゆで玉子のナンプラー漬け、なんと、こんにゃくを生で揉んで醤油で漬けるだけのお惣菜まで!自分じゃ絶対たどりつけないけれど、手順はとても簡単なものばかりです。

ゴーヤのカレー漬け うつわ:内田好美さん
左:即席べったら漬け 右:ラーパーツァイ うつわ:内田好美さん
「なんでも、漬けもの より」

美歩さんは当店のお客さまで、自分用にも、撮影用にも、うつわを選びに立ち寄ってくださったり、調味料もいくつか愛用していただいています。お子さんが小学一年生でチビろばちゃんと一学年違い。子育て中のママという立場でもアレコレお喋りさせていただいたり、イタリアにも行かれることが多かったりと共通の話題が多く、お話はつきません。

このレシピ本出版も実は、息子さんが小さな頃から大好きだった「きゅうりの一本漬け」のレシピがきっかけとなったのだそう。

「子どもって、ポリポリ食べられるお漬物が大好きじゃないですか。でも、スーパーに売っているのは、添加物が沢山入っていて心配なものばかり。本当は、ただ塩水に漬けて置くだけでこんなに美味しいお漬物ができるのに。」

「よく冷蔵庫の野菜室の隅っこで、しなしなっとなった可哀そうなキュウリが一本だけ残ってたりしますよね?ああなっちゃう前に、一本だけでも漬けちゃえばいいんです。」
キュウリの一本漬けを漬けているところ(「なんでも、漬物」扉ページより)

ほんと、それ、わかります!しかも、美歩さんとも意気投合したのですが、男のひと(失礼!)がお料理をすると中途半端にお野菜を残して困る、ということありませんか?なぜピーマンを2個だけ残す?人参が半分だけ残ってるって、意味わかんないよね、と大笑い。もちろん、すべての男性がそうだとは思いませんが、思い当るふしが多すぎて(笑)。

先のビール漬けは、こういう時に本当に助かるレシピ。余った野菜を何でも放り込めちゃう。ほかにも簡単な保存法やアレンジ法、裏ワザなどが、ひとつひとつのレシピに注意書きのようにびっしり補足されているのです。このレシピ本を買ったら、ぜひその注意書きにも目を通して下さい。段取り上手のヒントがザクザク隠れていますよ。

中でもワタシがものすごくありがたかったアイデアは、生姜のスライスをお酒につけて瓶で保存する、というもの。目からウロコでした!

生姜って、扱いが悪いとすぐに腐ってしまうものの筆頭ではないですか?カラカラにしぼませてしまうか、茶色く腐らせてしまうかのどちらかで、上手に保存できずに困っていました。皮をむいて冷凍しておけばよいのですが、すりおろすのには良くても、スライスや千切りだとやはり食感が損なわれます。

ところが。日本酒に漬けておけばシャキシャキ感はそのまま、長期保存が可能。薬味として千切りして使いたい時、そのまますぐに出せるのです。煮物などに入れるのにも、早い早い。ついでに漬けておいたお酒もそのまま調理に使えて一石二鳥、無駄なしです。

ネットで何でも情報が手に入る今の時代、本当によいレシピ本というのは、自分が何に手間取っていたのかを気が付かせてくれるような本、なのかもしれません。

何か新しい技が身につくことも大切ですが「これまで手間取っていたことが楽になる」ということはとても嬉しいことですよね。そして人は、新しく知りたいこと、気になることは検索してみようとするものですが、出来ないこと、苦手なことは自分でそれを認識しない限り動き出すことができないものです。

わたしは『なんでも、漬けもの。』を読まなければ、自分がよく生姜をダメにしてしまうことを問題視しなかったかもしれないし、冷蔵庫にある野菜を最後まで使い切る努力ということも、頭ではわかっていながらおろそかにしていたかもしれません。昨今はやりの”時短だけに重きを置いた作り置きおかずの本”とは一線を画していると思えたのは、この本のそんな部分です。

大根の葉っぱも、美味しいわさび漬け風に。茎がスカスカになってしまう前に、セロリは漬けて。豚汁に使って余ったゴボウも、シワシワになる前にフライパンで即席の南蛮漬けに。冷蔵庫の食材を全部残さず、美味しいうちに使い切る。しかも、簡単に。

河井美歩さんの『なんでも、漬けもの』(主婦と生活社) ぜひ一度、読んでみてください!


cocochi by Miho Kawai  河井美歩:プロフィール

徳島県出身。大学から京都にて活動。
大手料理教室にて10年間、講師・人材育成・商品企画・開発等を担当。
2009年~フリーの料理家としてつくばと東京・神楽坂を拠点に ニューヨーク、熊本、名古屋など国内外で料理イベントを開催中。
海外の食文化を学びにフランス、イタリア、ベトナム… 時間を見つけては料理修行の旅に出ています。
著書に「秘密の型なしパイ」(主婦と生活社)、「はじめてのおいしいフォカッチャ」(主婦の友社)

 

一生使える漆の素晴らしさを現代のテーブルで。
ずう~~っと飽きのこない、小林慎二さんの漆。

『あんしんの食卓』の会期中、毎日お味噌汁をご用意しておりました。皆さん一口飲んで発する言葉は、「ホッとする~」でした。この感覚こそ日本人のDNA。もしかすると、白いご飯以上に日本人の郷愁に訴える味わいなのかもしれません。そして、日本の食卓にはずっと、漆のうつわやお箸が欠かせないものでした。

9000年という想像もつかないほど(何時代だろう?)遠い昔から、人類が「塗料」や「接着剤」として用いてきたという漆。今現在、これほど発達したと思われる技術をもってしても、漆を超えられる塗料は生まれていないのだといいます。いったい、漆のどこがそれほどまでに秀でているのでしょうか。堅牢性、耐久性、耐熱性、安全性。そして、他のどんな塗料にも生み出すことのできない、たとえようのない美しさと優しい手触り。本物の漆のお碗に口をつけたことのある人であれば、その吸い付くようなしっとりとした質感に、心地よさを感じないはずがありません。軽さや、持っても熱くない実利的な特徴よりも、その官能的な触感にまず、魅了されました。

太古の昔までさかのぼらなくとも、ほんの少し前まで漆は生活のあらゆるシーンで使われていました。建具や家具などは言うに及ばず、楽器や装身具、戦国時代の甲冑となると古い話ですが、漁で使われる浮きまで。なんと、つい何十年か前までは、缶詰の内部をコーティングしていた素材も漆だったそう!熱や湿気、酸、アルカリにも強い漆は腐敗防止や防虫の効果もあるため、食品に直接触れるうつわや家具に最適だったのですね。

そんなにも優れた漆が、ではなぜ急激にすたれてしまったかと言うと、ひとえに”高価”であることが最大の原因です。安価な合成塗料の台頭で、わたしたちの生活から次々と漆製品が姿を消していってしまいました。漆かき職人も減り続けており、現在では国産漆は国内需要の2%にも満たないのだそうです。…と、漆の未来を憂うお話を熱弁するほど、わたくしママろば、漆に詳しいわけでも漆を愛用しまくっているわけでもないので、エラそうなことは言えないのですが。

ただ、小林さんの漆のうつわの使い勝手の良さ、姿の良さをお伝えする前に、どれほどの勢いで漆が現代の食卓から姿を消してしまったのか、ちゃんとお伝えしておかなければと、ウィキペディアで調べて書いております。にわか知識ですみません(汗)

わたしたちが愛用しているのは、ろばの家の定番展でもおなじみの漆のコーヒーカップや汁椀、飯椀。そしてお箸。だから、お名前を覚えるのが苦手な方には「あの、コーヒーカップの人です。」とご紹介していました。使い込むほどに透明度を増し、内側からじんわり輝くような深い輝きを放つように変化してゆく漆のカップ。わたしたちもそうですが「あのコーヒーカップがマイファースト・漆です」という方がどれだけいらっしゃるか。それこそまさに、小林さんが願ったことでした。

「お椀やお重だとハードルが高くても、コーヒーカップであれば毎日使うものとして気軽に漆の良さに触れてもらえる」その狙いはドンピシャリでした。きっと、ママろばの熱弁に圧倒されてつい(笑)購入してしまったという人の中には、実際に使ってみてその口触りのよさ、保温性、軽さに驚き、「次はお椀も…」と漆に興味を持ってくださった方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。…いるといいな。

汁椀大(黒)

男女、老若関係なく、誰もが気に入って使えるようなユニセックスなデザイン。装飾を極限まで排し、ラインだけをより普遍的に、オーソドックスに、でも、すっきりと美しく整えてゆく。その、アノニマスな佇まいこそが、小林さんの求めるものだと理解しています。アノニマス=匿名性。汁椀は、看板にシルエットで描かれそうな、”THE ”お椀という形です。飯椀もしかり。コーヒーカップが、カップのアイコンとでもいうようなシルエットであるのと同様、それぞれのお椀が全て、アイコンのようなわかりやすい形です。例外というべきか、まゆ椀は現代的に高台がないデザインで、和洋問わずスープやヨーグルトなどにも使える、オールマイティーな形であるくらいでしょうか。
まゆ椀中(赤溜め)
まゆ椀小、中(赤)

「「この漆はだれだれの作品で…」と、ありがたがられるようなのじゃなくていいんです。誰のかわかんないような、サインもされてないような…。その程度の扱いでいいんです。ただ使いやすいなって思ってもらえたらもう十分すぎるくらいです。」

と謙遜している風でもなく率直に話す小林さん。食べることも、お酒もワインもお好きで(そのうえ私たちの敬愛する生産者のワインも話に出て来たので)、それだけでも初対面の時から「ああ、分かり合えそう」と勝手に親近感を感じてきた方でもあります。塗師というバリバリの子弟制度、いわば超伝統的な格式を重んじる古い世界でやってきた割りに、なんだかサバッとしていて面白い。実は、個人的にノリがとても好きな方なんです。そして、個人的に小林さんの漆の赤色が、とても好きです。ほかの方にはない、落ち着いた赤で男性にもぜひ使っていただきたい。

さてさて、お椀の名手小林さんはどんなお味噌汁がお好みなのでしょうか。気になる気になる。


小林慎二さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—鶏肉の南蛮酢け

Q2、ご出身は?
—東京都港区

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—輪島在住中のかぶらずし

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—鰹節に信州味噌

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:豆腐えのき
—2位:わかめ豆腐
—3位:玉ねぎ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—毎日

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—イタリアン 鶏肉ソテー
皮面を焼くとき軽く押さえて反りを防ぐ。下処理の脂身、筋を丁寧にとる


小林さん、以前にも増してシンプルなご回答、ありがとうございます(笑)。…Q7、Q8抜けてるし。…ま、いっか。一番聞きたかったお得意料理が聞けたから。いかにもワインに合いそうです。

そして、小林さんがベスト1に選んでいるお味噌汁の具、豆腐えのき!実はこの組み合わせ、ろばのウチでは一度も食卓にのぼったことがなかったのです。会期中「ホッとする、お味噌汁」特集で初日にご用意したお味噌汁が、実は豆腐えのきでした。これが、ものすごく美味しい!どちらも別々にはお味噌汁に使っていたのに、なぜか一緒に具にしたことがなく、新鮮でした。この組み合わせ、ウチで定番化しそうです。

やっぱりなんだか、面倒くさいの嫌いそうで、好きです(どんな表現…)。面倒なアンケートなどお願いしてしまってすいませんでした(汗)。でも、お料理はとても気を使って丁寧に作られるんですね。ワタシなど脂身そのまんまでソテーしちゃいますもの。

「こんなにも手間暇かけて、気の遠くなるような時間をかけて丁寧につくられた作品、心して大切にご紹介したいと思います」だなんて、くどくど言おうものなら「そんな大したもんじゃないんで」とサラッとかわされちゃいそうです。もちろん、気の遠くなるような過程を経て、時間をかけて丁寧に作っているのには違いないのですが、そこだけを仰々しく強調しないところとか、なんだかいいんです。でも、そこを使う方に対して強調するのはやはり、ちょっと違いますよね。実際に使う人にとって必要な情報ではない気がするし「ありがたがって使えよ」と押し付けてるみたい(笑)。

「こんなもんですよ~」と笑う小林さんの椀はけれども、素晴らしくお味噌汁が美しく見えますよ。下のお椀は端反り(はぞり)椀と名付けられている、縁が少し外側に反っている形のお椀。今回DMにも使わせて頂きました。毎回お鍋から汁を入れる度に、縁の余白が美しいなあと魅入ってしまいます。お正月のお雑煮の、素晴らしく立派に見えた様子!吸い口のへぎ柚子がまたカッコよくて…。惚れ惚れです。

でも、うやうやしく使う必要は全然ないのです。だいたい、買うと綺麗なお箱に収まっている。あれがいけないと思う(笑)。それ相応のお値段がするものですから、お箱に入って手元に届けばそれは嬉しいです。満足度、上がります。でも、実は最近友人のお宅で違う作家さんの漆器を、わざわざ箱から出してお味噌汁に使うところを目撃してしまったのです。それ、毎回面倒じゃないですか?でも、箱も立派で捨てられないし、食器棚に仕舞う時わざわざ箱に入れてしまうという方、結構いるのかな、と想像してしまいました。

どうも、まだまだこの漆に対する「うやうやしたがり」現象って、根強い気がするのです。ガラスの棚から、白い手袋をはめてそおっと取り出すお店側の責任もあるとは思うのですが…。ウチでは、竹のカゴに他の陶器の飯碗などと重ねてガチャガチャ置いてありますが、それによって傷がついた覚えはありません。漆は、丈夫なんです。チビろばちゃんなど、お箸が持てない時からスプーンで飯椀を使ってきたので、さすがに内側は擦り傷だらけです。でも、目立ちません。持ち上げて透かして見なければわからないような細かな傷、ついて当たり前という気がします。買ったままのピカピカの状態をキープしようというのが、そもそも理に反しているのです。

ご飯を入れるので当然カピカピに乾くと洗いにくいですよね?水に数時間つけておくのも全く問題ありません。むしろ、気を付けなければならないところは極度の乾燥です。長い間使わず乾燥しきった場所で保管すると漆のヒビ割れや剥げ落ちの原因になるようですが、それとて相当長い期間放置しないとそこまではいかないでしょう。毎日お味噌汁やご飯に使って、普通に陶器と同様スポンジで洗い、さっと拭いて乾かす。他のうつわと同じです。特に難しいことはありません。毎日食卓で使うことが、一番のお手入れ法なのです。

もっともっと気軽に漆を日常使いしてみて欲しい。そのためには自分が心から気に入ったものを選ぶことです。漆だから、ということばかり強調してしまいましたが単純にこのシンプルな、とても優秀な素材の、軽くて丈夫で触り心地のよいうつわに、注目してみて欲しいのです。使い方だって、ルールはありません。飯椀を汁椀に使ったってよいし、逆もまたしかりです。大きなすじ目椀を盛り鉢として使ったって恰好がいい。漆は臭いもうつりにくいので、割れないガラスだと考えてもらえばいい。コーヒーカップをヨーグルトやフルーツにも使えるように、うつわも色々なお料理や飲み物に使ってみてください。
スジメ椀(赤)

お弁当など、まさに漆の良いところを実感するためにあるような容れものです。食べものを長時間入れておいても、臭いが気にならない。よく、プラスチックの容器にいれたままの食材に変なにおいがついてしまう、あれがないのです。職場ですぐにお弁当箱を洗えず、自宅まで持ち帰らなければならない方など、その違いにびっくりしていただけるはずです。そして、残り物をつめただけのようなお惣菜でも漆のお弁当箱に収まると、なんと豪華に、高級に見えることか!お椀に装われたお味噌汁もそうですが、もう、目を見張るほどの変身ぶりです。お昼休みのせわしないお弁当タイムが、パカリと蓋を開けた途端に料亭のプチ懐石に…とまでは行かないでしょうが(笑)、確実にお惣菜を詰める時の士気が高まります。インスタ映えならぬお弁当映え。真上から映して投稿しましょう。お弁当男子も、カッコよく漆黒の額縁に収まったお弁当を投稿してもらいたいものです。
弁当箱わっぱ

先程も登場した、DMのお味噌汁に使った端反り椀は、実はウチのチビろば君の愛用品。4年以上使用した赤溜めを、漆の質感、色の変化を見て頂けるよう棚に並べていました。2週間以上彼から借りっぱなしだったわけですが、久しぶりに昨日自宅に持ち帰ったら「これ、これだよ、やっぱり。これで飲まないとお味噌汁って感じがしなくて」と喜んでいました。きっと彼が一人暮らしをするようになっても、これだけは一緒に持って出てゆくはずです。

使い始めは小学生でしたが、いつしか中学に上がり生意気な口をきくようになりました。はじめ黒に近い、濃い小豆色だったお椀の色は、今では奥に赤い色が透けるような、透明感のある赤紫色の輝きを帯びてきました。

端反り椀(左から赤、赤溜め、黒)

ずっと、気に入って使い続けられるもの。個性や奇をてらわないシンプルな形。スタイリッシュすぎることなくアノニマスな、一見どこにでもありそうなデザインのもの。でも、だからこそ質のよい、丁寧に塗り重ねられた慎み深い色が際立って美しく見えるのかもしれません。

万が一ヒビが入っても、小林さんのうつわは、ほとんどの場合修理が可能です。陶器と比べると価格的に贅沢なものに感じるかもしれませんが、繕えば、一生どころか子ども、孫の代まで使い継ぐことができる。まさに、一生(+アルファ)ものです。お客さまがコーヒーカップを落としてヒビが入ってしまい、お店に持ち込まれました。小林さんにお直しをお願いしていたものが戻ってきた時、どこが割れたのか全くわかならいほど綺麗に全体が塗りなおされ、見違えるような晴れ晴れしい姿となっていました。わたしも、いつかチビろばちゃんが自分の飯椀を子(つまりワタクシの孫か!?)に譲りたい、となった暁には塗り直しをお願いしたいと密かに考えています。

コーヒーカップをオーダーしてくださった方はすでにご存じかと思いますが、小林さんはお一人で制作されています。現在在庫のない”ご予約”と表記のあるものに関しては、目安として半年から1年後の納品でとお願いしております。ものにもよりますが、たいていは半年程度で仕上げてくださっているのですが、タイミングにより半年以上かかる場合もございます。1年はお待ちいただかずにお届けできる見込みですが、どうか待つ時間も楽しみのひとつととらえてお待ちいただけますと、届いた時の喜びもまた格別かと思います。

時間と忍耐、極度の集中力を要する手仕事ですので、どうかその点だけはご了承ください

ああ、どんどん長くなってしまう…。隠れた人気商品、お箸も先が細くてものすごく使いやすいですよ、とだけ付け加えていいですか?

パパろばも自分の愛用のお箸を使用見本として展示していたので、会期中ずっと「太いお箸、使いにくっ!」と怒っていました。一度この細さとシャープさに慣れると、太いお箸が不便で仕方がないようです。ただしこちらは、赤は在庫限りでご予約不可なのだそうです。出会いですので、ご縁があった時にぜひお求めになって下さい。

久々の超絶長ダベリ、失礼いたしました。一生、ともすると次の代でも付き合うお相手です。どうかじっくりお選びください。

◎『あんしんの食卓』小林慎二さんのページはコチラです。
飯椀大(黒)

 

乾物革命。戻さずにすぐに使える、むしろ戻さない方が美味しい乾物御三家。

ひじきや切干大根、乾燥豆。いつでも常備しておける便利な乾物ですが、最近は戻すのが面倒だからか敬遠されがちです。とかく今すぐ、即座に調理できるもの(もしくはすでに調理されているもの)ばかり重宝されてしまうのですね。

でも実は、戻さなくてもそのまま使える乾物もあるのです。

むしろ、戻さないで使うことにより味が浸みやすくなり、栄養分も食感も損なわずにすむ。「時短だけが目的じゃないのよ」と堂々と手抜きを正当化できる(笑)、ありがた~い乾物が存在したのです!

この山口県周防大島(すおうおおしま)産の寒ひじきは、さっと洗うだけですぐ味付け、そのまま加熱せずに食べられます。やわらかく味が浸みやすいので調理しやすく、食感もふわっと軽いのです。実はこのひじき、当店でも人気のおいしい卓上調味料「あたらしい日常料理ふじわら」の藤原さんにご紹介いただいたもの。春にクラフト展でお会いした際、ふじわらさんがブースで出していたカレーの付け合せとして添えていた「ひじきのマリネ」があまりにも美味しくて「奈緒さん、これ、むっちゃくちゃ美味しいんですけど」と尋ねたのがきっかけでした。いやもう、衝撃の軽さ。冒頭の画像はおそらく乾燥で3g分くらいのひじきですが、はっきり言ってこれを5杯くらいわっさわっさと余裕で食べられます。

この絶品ひじきのマリネ、作り方は驚くほど簡単。サッとぬるま湯で洗ったひじきをザルで水切りし、お醤油:オリーブオイル:酢を1:1:1で和えるだけ。「え?水で戻しただけ?湯通しもせずに?」「このひじきは柔らかいので、戻しただけですぐ味付けできるんです。」とブースにいたスタッフの方も教えてくださいました。実際に調理してみると、戻すというよりはぬるま湯(50℃もいいですよ)でサッと洗えばいきなり味付けしても美味しく食べられるのです。

何度か試すうち、水で完全に戻してしまった後よりもサッとぬるま湯で洗っただけで味付けをした方が、和えたそばから調味料が沁みこみ、ふわっとしてくるのがわかりました。戻したひじきって、なかなか味が入りにくいものですが、これだと下味もしっかりつくしシャキッと感も残るので一石二鳥*。

ヨードに富み、ビタミンA、鉄分、カルシウムがたっぷりのひじきは、子どもから大人まで積極的に摂りたい健康食品の代名詞のようなもの。でも、甘じょっぱい煮物に入っているひじきは量的にもわずかである上、味が濃いのでそうそう沢山は食べられません。これまでも炒め物やライスサラダなどでオリーブオイルに塩味ベースで調理したひじきは楽しんできましたが、ひじきが主役と呼べるようなお料理にまでは発展しませんでした。このマリネは多めに作って保存容器に入れておけば3~4日持つので、サラダに混ぜたり和え物に加えたり、ごはんや玉子焼きに混ぜたりと応用が効いて一気にひじきの登場回数が増えますよ。ぜひ、ふじわらさんのようにカレーの付け合せにもトライしてくださいね。ママろば、ただ今相当ハマっておりますので、今後少しずつひじきのおススメレシピをご紹介してゆきますね。ほら、こんなに細くてフワッと柔らかいのです。そのくせ、シャキッとした食感と香りがしっかり!

同様に、べにや長谷川商店さんの自然栽培の切干大根もこのままサキイカのようにモリモリ食べられるので、サラダやお味噌汁、和え物などにすぐ使えます。そしてべにやさんの最新ヒット商品、ミックス大豆を煎った「素焼きミックス大豆」にいたってはお塩さえいらない完成された味。とにかくお豆の甘味にびっくりです。家庭で乾煎りするのではなかなか出せないサックサク感は、おつまみ、おやつとしてこのまま食べても止まらない後を引く美味しさ。戻さずにサラダや炒め物に入れても、歯ごたえを残しつつドレッシングや調味料が浸みこむので、煮物だけではもったいないのです。ワタクシ、この素焼きミックス大豆、切干大根と驚き続け、そこへきてこの寒ひじき。これで乾物御三家が揃ったというわけです。

これは、まさに革命。これからは、もっともっと気軽にヘルシーで美味しい乾物料理を楽しめます。



太陽のチカラで旨味も栄養分も凝縮した乾物はスグレモノ。ただし意外と酸化しやすく、それが独特の乾物臭となる原因でもあるので新鮮なものを選んで冷凍保存がおすすめです。

*一時期、ひじきには無機ヒ素が含まれる、と話題になったことがあります。水(さらに水温が高い水の方が有効)で戻すとヒ素成分が水に流れ出すことが知られているほか、日本ではひじきを含みその他の海藻類を食べたことによる健康被害が報告例は過去にないそうですが、気になる方は内閣府食品安全協会のQ&A詳細をお読みください。

 

シンプルの極みパスタ『赤』はもちろん、パスタ・アル・ポモドーロ。

DSC_1410
イタリアを代表するパスタ料理をひとつだけ選べ、と道行くイタリア人に質問したとしたらまず99%が選ぶであろうお皿がコレではないだろうか。Pasta al Pomodoro-パスタ・アル・ポモドーロ、トマトソースのパスタです。いやいやアーリオ・オーリオだ、いやボロニェーゼだ、と回答者の出身地によって若干の異論は挙がるかもしれない。でも、もう一度こう聞いてみる。「イタリア人にとって代表的なパスタ料理とは何だと思うか」と。そこまで尋ねれば残り1%のひともパスタ・アル・ポモドーロと答え直すに違いない。そのくらい、イタリア人にとって基本の基本、これなくして365日の食卓は成り立たないというほど日常的に親しまれている国民的パスタなのです。

仮に今イタリア政府が「パスタ・アル・ポモドーロ禁止令」なるものを発令したら、まず間違いなく反乱が起こる。ここまである特定の一皿が強く国民全てに支持されている例は、世界中見回してみても簡単には見当たらないだろうと思います。これが日本だと何料理にあたるのだろうと考えると首をかしげてしまう。白米に納豆と言えば大阪市民が猛反論するだろうし、大根の味噌汁?サンマの塩焼き?和食の代表とはいえるかもしれないけれど「なくても一生困らない」という日本国民がいても不思議はない。ううん…おにぎり、かな。おにぎり嫌いな日本人っているかしら?…いうやもう、そういうレベルの話じゃないんですよね。どうかな、と疑問符がつく時点でパスタ・アル・ポモドーロと同じ土俵には上がれない、それくらい歴然と決着のついている問題なのです。

そして何よりパスタ・アル・ポモドーロを特別足らしめているのは「誰もがつくったことがある」というその事実。イタリアの成人、男女の別は問わない。学生でも老人でも、自分の食事を用意しなければならないシチュエーションを持ちうる人ならばおそらく一人の例外もなくパスタ・アル・ポモドーロを作れてしまうのです。ココが日本と違うところと思う。日本ではおにぎり一個握った経験がないという中年男性がどれほど多く存在することか!

しかし、それほどまでに誰でも作ることのできる、簡単で普遍的な料理であるにもかかわらず、その作り方、材料、配合はひとによって千差万別。王道のレシピはコレ!と決めるのには異論がありすぎて収拾がつかない。ええ?パスタをゆでて、トマトソースとからめるだけなんじゃないの?お好みでパルミジャーを削ったのかけてさ、と思うなかれ。トマトはフレッシュがいいのかはたまた加熱処理されたホールトマトか、ニンニクは入れていいのか、炒め玉ねぎを入れてもパスタ・アル・ポモドーロと呼べるのか、論争のネタに事欠かない。

そろそろ決着をつけねばならない、と思ったかどうかは知らないけれど、2014年1月に行われた国際イタリア料理デーに選ばれたテーマはパスタ・アル・ポモドーロ。全世界に分散する2200名を超えるイタリアンレストランのシェフなどからなる会員を持つItchefという団体が主催し、7回目の開催となった2014年の会場はニューヨークでした。ミラノ、ポンペイのイタリアの都市だけでなくニュージーランド、アラブ諸国、中国、南アフリカの各都市とビデオで同時中継しながら代表シェフが実際に調理して協議をすすめ、最終的にパスタ・アル・ポモドーロの条件としてまとめられた5つの基本ルールはが以下。

1、パスタ:80グラムを基本とする
2、茹で方:『1:1:1』のパスタ黄金律に倣い、100gのパスタに対して湯1リットル、塩は10g(海水程度の塩分を感じるべき)。
パスタが乾いてしまわないよう、水を切りすぎない。ゆで時間の最後の2分間はトマトソースの中で仕上げるというのは鉄則。
3、トマト:夏はフレッシュトマト、冬にはトマトの水煮を湯むきした瓶詰を使用。質の良い水煮は時にフレッシュトマトを上回る。ソースに適したトマトはサンマルツァーノ種、シチリアのチリエジーノ種(チェリートマト)、樹になったまま地上で半干しにされるシチリアのシッカーニョ ディ カルタニセッタ、ヴェスーヴィオのピエンノーロ種を最上とする。
4、オリーブオイル:トマトは酸度が高いためボディのしっかりしたオイルを選ぶ。プーリアのコラティーナ種やオリアローラ、シチリアならばノッチェラーラ、トスカーナならばキエーティのジェンティーレ種。とにかく、デリケートなオイルよりもきっぱり強めの個性を持つオイルの方が合う。
5、パルミジャーノ:入れても入れなくてもよいが、入れる場合はトマトソースの上からかけるのではなく、トマトソースと和える前にパスタの方にあらかじめ和えてからトマトソースとからめること。

出展:IDIC(国際イタリア料理デイ)の公式サイト(英語版)。イベントについてのさらに詳しい記事がご覧になれます。

サイトで公開されているレシピの多くは、トマトの酸味を和らげるために長時間炒め玉ねぎを加えて甘さを出してソースを作っていました。また、玉ねぎを加えていないものでもソースを30分から40分煮込んでコクを出しているようです。また、伝統的な家庭料理のレシピを見るとよく砂糖を少量加えるのがコツ、と書かれています。でも、もともとのホールトマトがそのまま食べられるほどバランスの良い酸味と甘みを持っていれば、そんな作業は不要と思います。はじめてそれを実感させられたのが、このラ・コッリーナのパッサータ(裏漉しという意味)でした。あまりに濃厚で瓶をさかさまにしても落ちてこない。裏漉しだけれど長時間に詰めたような濃度があり、味わいも深い。それなのに、まったく熱が入ったような雰囲気がなく、フレッシュ感を保っている。その矛盾しているような二つの特徴が、これまでにどのトマト缶、びん詰にも見当たらない衝撃的な味わいでした。そのままスプーンではぐはぐ食べても美味しい。上質なオリーブオイルを一滴垂らすと、それはもう立派なお料理でした。

濃厚なのにフレッシュなこの特別なトマトの裏ごしの個性を殺さないためにはどう調理すればよいか?初めて日本に入ってきた頃はさまざまな手法でパスタ・アル・ポモドーロを試してみるのがこのパッサータを輸入しているインポーター、ヴィナイオータさんの周辺で流行ったもので、わたしたちも自宅であーでもないこーでもないと試したものでした。今ではあまり考えずに作ってしまいますが、何年も前にそうしたすったもんだの結果一応ここに落ち着いた、というところの調理ポイントを以下に書いてみます。

前置きが恐ろしく長くなってしまいましたが、すべては皆さんにこのパッサータの威力を知って欲しいから。上の画像を見て頂くと伝わるでしょうか。スプーンに山盛りして傾けても、落ちてこないほどぽってり濃厚なのです。その最大の魅力を損なわないよう、以下の注意点に留意してまずはシンプルなパスタ・アル・ポモドーロを作ってみてください。その後、アレンジとして「ヴォンゴレ・ロッソ(アサリ入りトマトソース)」へと進んでもらうのが関係者満場一致のおすすめのコースです。イタリアの国民的レシピ、には名前を挙げないかもしれませんが「一番好きなパスタは?」と聞かれたら「ラ・コッリーナのパッサータでつくるヴォンゴレ・ロッソ!!!」とワタシは答えてしまいます。そのくらい、このパッサータと浅利でつくるSpagetthi al vongole rosso は、普遍的な美味しさを持つパスタ料理だと思います。

浅利といえばヴォンゴレ・ビアンコ、トマトソースの入らないバージョンの方が有名と思いますが、一度ロッソで食べてみてください。ろばのウチビろたちも大好物です。大人だって唐辛子(やまつさんの鷹の爪ならなお最高)を加えてちょっとだけピリッとさせたりなんかしちゃったらもうたまりません。いつ食べても美味しい飽きのこない定番メニューです。

 

<<シンプルの極みパスタ『赤』パスタ・アル・ポモドーロの基本レシピとポイント>>

1、パスタ80gに対してパッサータ100g程度(小さ目のレードル2杯)

2、パッサータに塩をしない場合、たっぷりの湯に強めの塩加減(1リットルに15gくらい)
3、パッサータは煮詰めない(軽く温める程度)

以上がポイントです。

手順としては、パスタを少し強めの塩をしたたっぷりの湯で茹でて、その間にソースを用意する。フライパンか鍋にオリーブオイル(パスタ80gに対して大匙2杯程度)お好みで潰したニンニクを加えて弱火で熱し、火を止めてパッサータを加え、オイルと一体化するまでよく混ぜる。パスタが煮上がったら(アルデンテのわずかに手前)1分ほど軽く弱火で熱しながらソースにパスタを絡めて仕上げる。

そして、パスタが皿に盛られた瞬間から食す。これが最も大切なルールです。イタリアに暮らしていた頃、昼食時にパスタを茹でる鍋の前に立つマンマがお皿に盛り付ける前からかなりの大声で「プロンタ ラ パスタ~~~!!(パスタが用意できたわよ~)」と叫ぶのを幾度となく見てきましたが、実際にお皿に盛られる頃にはその声にやや怒気が混じり、盛られて一分を越しても誰も食卓に着かない場合の怒り心頭ぶりときたら…。ちょっとした劇場といってもよいほど修羅場化していたのを「これがいわゆるイタリアマンマのDNAかあ」と面白がって見ていました。でも、いざ自分が人様の分までパスタを用意する機会を多く持つようになったときに、やはりものすごい形相で「パスタが冷めるってばあ!!!」とすごんでいたのですから、火傷をしてでも茹でたてを食せよというのはイタリアにおけるどんなマナーよりも強く教え込まれる教訓、鉄の掟だということでしょう。

…さあ、パスタが茹で上がりますよ。フォークのご用意はいいですか?

*こちらは、2015年12月に公開された記事を再編集しています。

 

サラダもマリネもこれ1本ですべて完結。飲めてしまうまろやかさの白バルサミコ。


ろばの家の定番調味料のなかでも間違いなくリピート率No.1. リピート頻度もNo.1でしょう。そのくらい皆さん「もう手放せない」と頼り切ってしまう便利さのワインヴィネガーです。イタリアの中部、伝統的なバルサミコ・ヴィネガーで有名なモデナ近郊の生産者Sante Bertoniサンテ・ベルトーニのものです。あの、トロリとしたアチェート・バルサミコは黒ブドウで作られていますが、こちらはその白ブドウ版。かつもっとフレッシュな状態のお酢だと思ってください。ゴクリと飲めてしまうほどまろやかでツンツンしない優しい酸味、100%有機ブドウ由来の自然な甘さ。お砂糖を使わずにマリネ液が出来るので、日本でも今やサラダの定番となっている”人参のラペ”も、塩とこのヴィネガーだけでササッと作れてしまいます。ドレッシングなど作る必要なし。千切り人参をボールに山盛り作ってお塩をパラパラと振りかけ、そここの白バルサミコを回しかけてざっくり混ぜれば完成です。これがまた、べらぼうに美味しい。ウチのチビろばたちはこのヴィネガーで和えるだけでかなり小さな頃から生野菜をバリバリ食べてくれたので相当助かりました。2歳くらいだと生野菜って、なかなか食べてくれないですからね。でもホント、大人ならひとりで人参2本分くらい軽く平らげられます。お好みでオリーブオイルを少々加える場合でも、ダイレクトにサラダにかけて混ぜ込むだけでよいのです。粒マスタードを少々加えればビストロで出てくるようなラペの味がお家で楽しめます。

ところで、冒頭の写真はワタクシママろばが家にひとを呼ぶときによく作るサラダ。実はただの千切りキャベツなんです。ホームパーティーで千切りキャベツなんて、出したことないでしょう?これが皆さん、ハマるんです。眼からウロコの美味しさなのです。ひとに食べさせると「レシピ教えて!」と言われるのですが、例によって千切りキャベツに塩をパラパラッと振って、この白バルサミコとガリガリ挽いたコショウをかけただけなので「ごめんなさい。」と申し訳なくなるのです。ただ、塩の花マリチャのブラックペッパー(ロッソ・スクーロかネロがおススメ)で武装しているので、ただこのお酢で和えただけというのは嘘になっちゃうかな。どちらも超絶に旨味が強いですからね。もちろん、お手持ちのお塩、コショウでも相当美味しくできるはずですよ。誰がやっても美味しくできてしまう、絶対ハズさない…そういう類のお手軽さがウリなのです。でもまさか、千切りキャベツがおもてなし料理になるなんて思わないでしょう?トンカツに添えるだけが彼の居場所じゃないのです。ポン酢で食べるよりも塩味を押さえることができるので相当な量のキャベツを食べられますよ。パスタの時や、焼肉、お鍋など何かお野菜でもう一品欲しい時に重宝します。

千切りキャベツ、人参、などひとつのお野菜単体でこの白バルサミコ酢を使うのならばさらし玉ねぎを塩と白バルサミコ酢でマリネしておくのもおススメです。この玉ねぎマリネ、ポテトサラダやマカロニサラダに混ぜたりハムやツナ、ゆで玉子などと一緒にサンドイッチの具にしたり、焼肉で巻いたり、魚介類のお刺身にオリーブオイルと和えてマリネにしたり、作り置きしておくとかな~り重宝します。薄切り玉ねぎを少し多めの塩でもみ、氷水に放してしばらくしてから絞ったものに白バルサミコ酢を和えてガラスの保存容器に入れておけば1週間ほど持ちます。夏場、ざく切りのトマトをこの玉ねぎで和えて出すと、チビろばたちは残った汁まで飲み干します。余ったご飯で出来るライスサラダも、ろばのウチでは定番でなんどもお店のご試食に出しています。

そして、一見上級者向きですが実は超簡単でものすご~く美味しくできるのが果物をこの白バルサミコ酢で和えたサラダ。いちじく、柿、りんご、夏みかんなど好みの果物をサラダに入れてみてください。あらかじめ果物をマリネしておくのがポイントです。はじめに果物を切って軽く塩をしてから白バルサミコ酢で和えておき、それをレタスやベビーリーフ、ルッコラなどのグリーンサラダにさっくり混ぜ込むのです。甘酸っぱい果物がアクセントになって、ルッコラやからし菜などほろ苦い葉野菜でもモリモリ食べれられる味になります。柿と春菊、りんごとほうれん草、いちじくとルッコラ、夏みかんとセロリなど、ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせが沢山。果物と野菜だけだと味がつながらないところを、白バルサミコがどちらもうまく絡むようにまとめてくれるのです。イチジクなど、果物として食べるよりサラダで食べる方が美味しさが引き立つ気がします。

でも、この白バルサミコ酢はサラダやマリネだけが得意なのではないのです。意外や意外、炒め物にも大活躍。コクのあるマリネといった感じでしょうか。お酢の効果で冷めても油っこくならないしお肉も柔らかいままなのでお弁当などにも重宝します。この白バルサミコで試してみていただきたいサラダ以外のレシピが…

1、いろいろキノコのマリネ

しいたけ、えのき、エリンギ、マッシュルームなどお好みのきのこを全て食べやすい大きさに揃えて切り、潰したニンニクを入れたオリーブオイルを熱して強火で炒め、最後に塩、コショウで味を整えたら火を止め、白バルサミコをたっぷり回しかけ軽く混ぜる。お好みで赤唐辛子を少し加えても。酸味が足りない時にはレモンを少し絞って。

2、豚肉、玉ねぎのマリネ

豚バラ肉(薄切りもも肉、切り落としなどでも)は薄めにスライスして、オリーブオイルで炒める。塩をしてからスライスした玉ねぎを加え、1~2分炒めたら白バルサミコ酢をお好みで加え、さらに1分程度加熱し火を止める。

3、鶏肉のソテー(かじきマグロでも)
鶏もも肉(かじきの切り身)は軽く塩をしてオリーブオイルで皮目から焼く。両面こんがり焼き色をつけてから薄切り玉ねぎをフライパンのわきに加え、さらに白バルサミコ酢と刻んだケイパーを加えて軽く混ぜ、蓋をして蒸し焼きにする。お肉に火が通ったらバターをひとかけら加えてフライパンを揺すり、煮詰まったお酢をとろりとしたソース状にしてお肉にかけていただく。

どれもこれも、美味しそうじゃないですか?全ての画像が無くてごめんなさいね。普段作った時に撮りためておかなきゃダメですね。とにかく酸味がまろやかなのでたっぷり使ってもツンツンしません。

でも、まずはお野菜単品をざくざく切って、そこに美味しいお塩とこの白バルサミコ酢をかけてさっくり混ぜただけの超シンプルサラダから、ぜひお試しください。もちろん、レタスだけでも見違えるほど美味しく仕上がります。もうドレッシングなんて買う必要がなくなりますよ。お酢なので開封後も常温保存可能です。これこそ、一家に一本。東が『しこの露』なら、西はこの白バルサミコ、サンテ・ベルトーニのアグロドルチェにお任せです。

【8月24日入荷分より185円値下げ】
サンテ・ベルトーニのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)はコチラです。

こちらの記事は、2018年9月の定番展の時に書いたものです。輸入元完売のため長らく欠品していましたがようやく入港との連絡がありましたので再びご紹介しています。