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冷蔵庫の隅っこでしわしわになりかけたキュウリを、無駄にしない。河井美歩さんのお野菜使い切り術。


つくばと神楽坂を拠点に、自然料理教室cocochi(ここち)を主催する料理家の河井美歩さん。今回『あんしんの食卓』展では、ご自身の著書「なんでも、漬けもの。」(主婦と生活社)に掲載しているレシピのご試食会や、わっぱお弁当のワークショップで、作り置きできるお料理の段取りをレクチャーしていただきました。
10品くらいをあっという間に作ってしまったWSはとっても楽しい雰囲気。きちんとお料理の前と後でポイントをおさらいしてくれるので、家ですぐに実践できます。神楽坂教室、つくば教室の予定が更新されるのですが、色々なテーマを単発で参加できるレッスンはとっても人気。ぜひサイトインスタでスケジュールをチェックしてみてください。

もちろん、美歩さんにもごはんアンケート、聞いてみましたよ。


河井美歩さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—納豆:だし醤油少々、卵黄、黒酢少々、青ネギ入り。 『贅沢納豆』と命名して週の半分は食べています。

Q2、ご出身は?
—徳島県徳島市

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—そば米汁(徳島): そば米が入った具沢山のすまし汁
金時豆入りちらし寿司(徳島):ちらし寿司に金時豆の甘煮が入っています。
お雑煮(徳島):いりこ出し+白菜+大根+人参+甘くない白みそ

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—いりこ出汁+麦味噌 /いりこ出汁+合わせ味噌
合わせ出汁+合わせ味噌 /合わせ出汁+麦味噌
昆布だし+赤味噌
※合わせ出汁はマエカワさんの天然出汁パックで(かつお、いわし、しいたけ、昆布)

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:きのこ
—2位:大根
—3位:ネギ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—好きです! 週5~6日は味噌汁。(家族が朝はごはん党なので)

Q7、ご自身の出身地、もしくは現在暮らしている地方特有のお味噌汁があればそれがどんなものか教えてください。
—魚のあらで取った出汁+白みそ+わかめたっぷり(徳島)

Q8、これまでの人生で見聞きした、もしくは食べた中で最も変わっている、斬新に思えた(組み合わせ)のお味噌汁の具を教えてください。
—納豆汁、野菜の重ね煮の味噌汁、豆乳味噌汁。母親の味ではなかったので、初めて食べたときには衝撃でした。どれも大好きで、時々家庭でも出ます。

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—もちろん漬けもの(笑)、冷蔵庫に1~2個ストックがあると重宝します。楽しむコツは2つ。
① 家庭の味なのでルールに縛られず、余り野菜を楽しく漬ける。
② 塩加減はサラダ感覚で沢山食べたい&翌日までに食べきるなら野菜に対して0.8~1%。
漬け物感覚&3日程度は日持ちさせたい時は2%の塩梅にしています。


さすが、美歩さん。やっぱり、漬けもの!ですよね。来年のごはん党のタイトルにしちゃおうかしら(笑)。

ほんのひと手間かけておくだけで、あっという間に食卓に並べられる作り置きのお惣菜。美歩さんの『なんでも、漬けもの。』は、いわゆる、腰を据えて用意するタイプのお漬けものの本ではないのです。

「漬けものとはいえ、本書では糠や粕、米麹などは使いません。
酢やしょうゆ、油などなど、家にあるいつもの調味料で、
しかも短時間のうちに作れるものばかりです。
とりあえず漬けておけば、味がしみておいしくなり、
保存性も高まって、いいことずくめ。
食材はなんでも漬けものにして、無駄なく使いきりましょう。」

と、扉にも書かれている通り、お野菜や少しだけ余ってしまった食材の、上手な使い切り、作り置きのアイデア集とでも説明すれば良いのでしょうか。本当に家にあるものだけで、すぐに試せるレシピが満載。お弁当の隙間を埋めるのにも便利で、そのままお酒のおつまみにもなります。

『あんしんの食卓』会期中、皆さんに毎日試して頂いて大人気だった「ビール漬け」など、調理時間は10分以下です。レシピではきゅうり、大根、人参の3種類のお野菜を漬けこんでいますが、生で食べられるお野菜なら何でも良いそう。会期中、セロリ、玉ねぎ、ピーマンなど残っているものを色々試しました。意外ですが、ビールのほろ苦さと合うのかピーマンも大好評でしたよ。
キュウリのビール漬け うつわ:内田好美さん

その他のお料理も、お野菜をザクザク切ってジップロックに調味料とともに放り込み、冷蔵庫に一晩いれておくだけ、和えてすぐ食べられるレシピも沢山あります。セロリのヨーグルト味噌漬け、ゴーヤのカレー漬けもご試食会で人気でした。他にも、キャベツの酢じょうゆ漬け、レタスのゴマ塩レモン漬け、しらすの酢漬け、ゆで玉子のナンプラー漬け、なんと、こんにゃくを生で揉んで醤油で漬けるだけのお惣菜まで!自分じゃ絶対たどりつけないけれど、手順はとても簡単なものばかりです。

ゴーヤのカレー漬け うつわ:内田好美さん
左:即席べったら漬け 右:ラーパーツァイ うつわ:内田好美さん
「なんでも、漬けもの より」

美歩さんは当店のお客さまで、自分用にも、撮影用にも、うつわを選びに立ち寄ってくださったり、調味料もいくつか愛用していただいています。お子さんが小学一年生でチビろばちゃんと一学年違い。子育て中のママという立場でもアレコレお喋りさせていただいたり、イタリアにも行かれることが多かったりと共通の話題が多く、お話はつきません。

このレシピ本出版も実は、息子さんが小さな頃から大好きだった「きゅうりの一本漬け」のレシピがきっかけとなったのだそう。

「子どもって、ポリポリ食べられるお漬物が大好きじゃないですか。でも、スーパーに売っているのは、添加物が沢山入っていて心配なものばかり。本当は、ただ塩水に漬けて置くだけでこんなに美味しいお漬物ができるのに。」

「よく冷蔵庫の野菜室の隅っこで、しなしなっとなった可哀そうなキュウリが一本だけ残ってたりしますよね?ああなっちゃう前に、一本だけでも漬けちゃえばいいんです。」
キュウリの一本漬けを漬けているところ(「なんでも、漬物」扉ページより)

ほんと、それ、わかります!しかも、美歩さんとも意気投合したのですが、男のひと(失礼!)がお料理をすると中途半端にお野菜を残して困る、ということありませんか?なぜピーマンを2個だけ残す?人参が半分だけ残ってるって、意味わかんないよね、と大笑い。もちろん、すべての男性がそうだとは思いませんが、思い当るふしが多すぎて(笑)。

先のビール漬けは、こういう時に本当に助かるレシピ。余った野菜を何でも放り込めちゃう。ほかにも簡単な保存法やアレンジ法、裏ワザなどが、ひとつひとつのレシピに注意書きのようにびっしり補足されているのです。このレシピ本を買ったら、ぜひその注意書きにも目を通して下さい。段取り上手のヒントがザクザク隠れていますよ。

中でもワタシがものすごくありがたかったアイデアは、生姜のスライスをお酒につけて瓶で保存する、というもの。目からウロコでした!

生姜って、扱いが悪いとすぐに腐ってしまうものの筆頭ではないですか?カラカラにしぼませてしまうか、茶色く腐らせてしまうかのどちらかで、上手に保存できずに困っていました。皮をむいて冷凍しておけばよいのですが、すりおろすのには良くても、スライスや千切りだとやはり食感が損なわれます。

ところが。日本酒に漬けておけばシャキシャキ感はそのまま、長期保存が可能。薬味として千切りして使いたい時、そのまますぐに出せるのです。煮物などに入れるのにも、早い早い。ついでに漬けておいたお酒もそのまま調理に使えて一石二鳥、無駄なしです。

ネットで何でも情報が手に入る今の時代、本当によいレシピ本というのは、自分が何に手間取っていたのかを気が付かせてくれるような本、なのかもしれません。

何か新しい技が身につくことも大切ですが「これまで手間取っていたことが楽になる」ということはとても嬉しいことですよね。そして人は、新しく知りたいこと、気になることは検索してみようとするものですが、出来ないこと、苦手なことは自分でそれを認識しない限り動き出すことができないものです。

わたしは『なんでも、漬けもの。』を読まなければ、自分がよく生姜をダメにしてしまうことを問題視しなかったかもしれないし、冷蔵庫にある野菜を最後まで使い切る努力ということも、頭ではわかっていながらおろそかにしていたかもしれません。昨今はやりの”時短だけに重きを置いた作り置きおかずの本”とは一線を画していると思えたのは、この本のそんな部分です。

大根の葉っぱも、美味しいわさび漬け風に。茎がスカスカになってしまう前に、セロリは漬けて。豚汁に使って余ったゴボウも、シワシワになる前にフライパンで即席の南蛮漬けに。冷蔵庫の食材を全部残さず、美味しいうちに使い切る。しかも、簡単に。

河井美歩さんの『なんでも、漬けもの』(主婦と生活社) ぜひ一度、読んでみてください!


cocochi by Miho Kawai  河井美歩:プロフィール

徳島県出身。大学から京都にて活動。
大手料理教室にて10年間、講師・人材育成・商品企画・開発等を担当。
2009年~フリーの料理家としてつくばと東京・神楽坂を拠点に ニューヨーク、熊本、名古屋など国内外で料理イベントを開催中。
海外の食文化を学びにフランス、イタリア、ベトナム… 時間を見つけては料理修行の旅に出ています。
著書に「秘密の型なしパイ」(主婦と生活社)、「はじめてのおいしいフォカッチャ」(主婦の友社)

 

一生使える漆の素晴らしさを現代のテーブルで。
ずう~~っと飽きのこない、小林慎二さんの漆。

『あんしんの食卓』の会期中、毎日お味噌汁をご用意しておりました。皆さん一口飲んで発する言葉は、「ホッとする~」でした。この感覚こそ日本人のDNA。もしかすると、白いご飯以上に日本人の郷愁に訴える味わいなのかもしれません。そして、日本の食卓にはずっと、漆のうつわやお箸が欠かせないものでした。

9000年という想像もつかないほど(何時代だろう?)遠い昔から、人類が「塗料」や「接着剤」として用いてきたという漆。今現在、これほど発達したと思われる技術をもってしても、漆を超えられる塗料は生まれていないのだといいます。いったい、漆のどこがそれほどまでに秀でているのでしょうか。堅牢性、耐久性、耐熱性、安全性。そして、他のどんな塗料にも生み出すことのできない、たとえようのない美しさと優しい手触り。本物の漆のお碗に口をつけたことのある人であれば、その吸い付くようなしっとりとした質感に、心地よさを感じないはずがありません。軽さや、持っても熱くない実利的な特徴よりも、その官能的な触感にまず、魅了されました。

太古の昔までさかのぼらなくとも、ほんの少し前まで漆は生活のあらゆるシーンで使われていました。建具や家具などは言うに及ばず、楽器や装身具、戦国時代の甲冑となると古い話ですが、漁で使われる浮きまで。なんと、つい何十年か前までは、缶詰の内部をコーティングしていた素材も漆だったそう!熱や湿気、酸、アルカリにも強い漆は腐敗防止や防虫の効果もあるため、食品に直接触れるうつわや家具に最適だったのですね。

そんなにも優れた漆が、ではなぜ急激にすたれてしまったかと言うと、ひとえに”高価”であることが最大の原因です。安価な合成塗料の台頭で、わたしたちの生活から次々と漆製品が姿を消していってしまいました。漆かき職人も減り続けており、現在では国産漆は国内需要の2%にも満たないのだそうです。…と、漆の未来を憂うお話を熱弁するほど、わたくしママろば、漆に詳しいわけでも漆を愛用しまくっているわけでもないので、エラそうなことは言えないのですが。

ただ、小林さんの漆のうつわの使い勝手の良さ、姿の良さをお伝えする前に、どれほどの勢いで漆が現代の食卓から姿を消してしまったのか、ちゃんとお伝えしておかなければと、ウィキペディアで調べて書いております。にわか知識ですみません(汗)

わたしたちが愛用しているのは、ろばの家の定番展でもおなじみの漆のコーヒーカップや汁椀、飯椀。そしてお箸。だから、お名前を覚えるのが苦手な方には「あの、コーヒーカップの人です。」とご紹介していました。使い込むほどに透明度を増し、内側からじんわり輝くような深い輝きを放つように変化してゆく漆のカップ。わたしたちもそうですが「あのコーヒーカップがマイファースト・漆です」という方がどれだけいらっしゃるか。それこそまさに、小林さんが願ったことでした。

「お椀やお重だとハードルが高くても、コーヒーカップであれば毎日使うものとして気軽に漆の良さに触れてもらえる」その狙いはドンピシャリでした。きっと、ママろばの熱弁に圧倒されてつい(笑)購入してしまったという人の中には、実際に使ってみてその口触りのよさ、保温性、軽さに驚き、「次はお椀も…」と漆に興味を持ってくださった方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。…いるといいな。

汁椀大(黒)

男女、老若関係なく、誰もが気に入って使えるようなユニセックスなデザイン。装飾を極限まで排し、ラインだけをより普遍的に、オーソドックスに、でも、すっきりと美しく整えてゆく。その、アノニマスな佇まいこそが、小林さんの求めるものだと理解しています。アノニマス=匿名性。汁椀は、看板にシルエットで描かれそうな、”THE ”お椀という形です。飯椀もしかり。コーヒーカップが、カップのアイコンとでもいうようなシルエットであるのと同様、それぞれのお椀が全て、アイコンのようなわかりやすい形です。例外というべきか、まゆ椀は現代的に高台がないデザインで、和洋問わずスープやヨーグルトなどにも使える、オールマイティーな形であるくらいでしょうか。
まゆ椀中(赤溜め)
まゆ椀小、中(赤)

「「この漆はだれだれの作品で…」と、ありがたがられるようなのじゃなくていいんです。誰のかわかんないような、サインもされてないような…。その程度の扱いでいいんです。ただ使いやすいなって思ってもらえたらもう十分すぎるくらいです。」

と謙遜している風でもなく率直に話す小林さん。食べることも、お酒もワインもお好きで(そのうえ私たちの敬愛する生産者のワインも話に出て来たので)、それだけでも初対面の時から「ああ、分かり合えそう」と勝手に親近感を感じてきた方でもあります。塗師というバリバリの子弟制度、いわば超伝統的な格式を重んじる古い世界でやってきた割りに、なんだかサバッとしていて面白い。実は、個人的にノリがとても好きな方なんです。そして、個人的に小林さんの漆の赤色が、とても好きです。ほかの方にはない、落ち着いた赤で男性にもぜひ使っていただきたい。

さてさて、お椀の名手小林さんはどんなお味噌汁がお好みなのでしょうか。気になる気になる。


小林慎二さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—鶏肉の南蛮酢け

Q2、ご出身は?
—東京都港区

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—輪島在住中のかぶらずし

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—鰹節に信州味噌

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:豆腐えのき
—2位:わかめ豆腐
—3位:玉ねぎ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—毎日

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—イタリアン 鶏肉ソテー
皮面を焼くとき軽く押さえて反りを防ぐ。下処理の脂身、筋を丁寧にとる


小林さん、以前にも増してシンプルなご回答、ありがとうございます(笑)。…Q7、Q8抜けてるし。…ま、いっか。一番聞きたかったお得意料理が聞けたから。いかにもワインに合いそうです。

そして、小林さんがベスト1に選んでいるお味噌汁の具、豆腐えのき!実はこの組み合わせ、ろばのウチでは一度も食卓にのぼったことがなかったのです。会期中「ホッとする、お味噌汁」特集で初日にご用意したお味噌汁が、実は豆腐えのきでした。これが、ものすごく美味しい!どちらも別々にはお味噌汁に使っていたのに、なぜか一緒に具にしたことがなく、新鮮でした。この組み合わせ、ウチで定番化しそうです。

やっぱりなんだか、面倒くさいの嫌いそうで、好きです(どんな表現…)。面倒なアンケートなどお願いしてしまってすいませんでした(汗)。でも、お料理はとても気を使って丁寧に作られるんですね。ワタシなど脂身そのまんまでソテーしちゃいますもの。

「こんなにも手間暇かけて、気の遠くなるような時間をかけて丁寧につくられた作品、心して大切にご紹介したいと思います」だなんて、くどくど言おうものなら「そんな大したもんじゃないんで」とサラッとかわされちゃいそうです。もちろん、気の遠くなるような過程を経て、時間をかけて丁寧に作っているのには違いないのですが、そこだけを仰々しく強調しないところとか、なんだかいいんです。でも、そこを使う方に対して強調するのはやはり、ちょっと違いますよね。実際に使う人にとって必要な情報ではない気がするし「ありがたがって使えよ」と押し付けてるみたい(笑)。

「こんなもんですよ~」と笑う小林さんの椀はけれども、素晴らしくお味噌汁が美しく見えますよ。下のお椀は端反り(はぞり)椀と名付けられている、縁が少し外側に反っている形のお椀。今回DMにも使わせて頂きました。毎回お鍋から汁を入れる度に、縁の余白が美しいなあと魅入ってしまいます。お正月のお雑煮の、素晴らしく立派に見えた様子!吸い口のへぎ柚子がまたカッコよくて…。惚れ惚れです。

でも、うやうやしく使う必要は全然ないのです。だいたい、買うと綺麗なお箱に収まっている。あれがいけないと思う(笑)。それ相応のお値段がするものですから、お箱に入って手元に届けばそれは嬉しいです。満足度、上がります。でも、実は最近友人のお宅で違う作家さんの漆器を、わざわざ箱から出してお味噌汁に使うところを目撃してしまったのです。それ、毎回面倒じゃないですか?でも、箱も立派で捨てられないし、食器棚に仕舞う時わざわざ箱に入れてしまうという方、結構いるのかな、と想像してしまいました。

どうも、まだまだこの漆に対する「うやうやしたがり」現象って、根強い気がするのです。ガラスの棚から、白い手袋をはめてそおっと取り出すお店側の責任もあるとは思うのですが…。ウチでは、竹のカゴに他の陶器の飯碗などと重ねてガチャガチャ置いてありますが、それによって傷がついた覚えはありません。漆は、丈夫なんです。チビろばちゃんなど、お箸が持てない時からスプーンで飯椀を使ってきたので、さすがに内側は擦り傷だらけです。でも、目立ちません。持ち上げて透かして見なければわからないような細かな傷、ついて当たり前という気がします。買ったままのピカピカの状態をキープしようというのが、そもそも理に反しているのです。

ご飯を入れるので当然カピカピに乾くと洗いにくいですよね?水に数時間つけておくのも全く問題ありません。むしろ、気を付けなければならないところは極度の乾燥です。長い間使わず乾燥しきった場所で保管すると漆のヒビ割れや剥げ落ちの原因になるようですが、それとて相当長い期間放置しないとそこまではいかないでしょう。毎日お味噌汁やご飯に使って、普通に陶器と同様スポンジで洗い、さっと拭いて乾かす。他のうつわと同じです。特に難しいことはありません。毎日食卓で使うことが、一番のお手入れ法なのです。

もっともっと気軽に漆を日常使いしてみて欲しい。そのためには自分が心から気に入ったものを選ぶことです。漆だから、ということばかり強調してしまいましたが単純にこのシンプルな、とても優秀な素材の、軽くて丈夫で触り心地のよいうつわに、注目してみて欲しいのです。使い方だって、ルールはありません。飯椀を汁椀に使ったってよいし、逆もまたしかりです。大きなすじ目椀を盛り鉢として使ったって恰好がいい。漆は臭いもうつりにくいので、割れないガラスだと考えてもらえばいい。コーヒーカップをヨーグルトやフルーツにも使えるように、うつわも色々なお料理や飲み物に使ってみてください。
スジメ椀(赤)

お弁当など、まさに漆の良いところを実感するためにあるような容れものです。食べものを長時間入れておいても、臭いが気にならない。よく、プラスチックの容器にいれたままの食材に変なにおいがついてしまう、あれがないのです。職場ですぐにお弁当箱を洗えず、自宅まで持ち帰らなければならない方など、その違いにびっくりしていただけるはずです。そして、残り物をつめただけのようなお惣菜でも漆のお弁当箱に収まると、なんと豪華に、高級に見えることか!お椀に装われたお味噌汁もそうですが、もう、目を見張るほどの変身ぶりです。お昼休みのせわしないお弁当タイムが、パカリと蓋を開けた途端に料亭のプチ懐石に…とまでは行かないでしょうが(笑)、確実にお惣菜を詰める時の士気が高まります。インスタ映えならぬお弁当映え。真上から映して投稿しましょう。お弁当男子も、カッコよく漆黒の額縁に収まったお弁当を投稿してもらいたいものです。
弁当箱わっぱ

先程も登場した、DMのお味噌汁に使った端反り椀は、実はウチのチビろば君の愛用品。4年以上使用した赤溜めを、漆の質感、色の変化を見て頂けるよう棚に並べていました。2週間以上彼から借りっぱなしだったわけですが、久しぶりに昨日自宅に持ち帰ったら「これ、これだよ、やっぱり。これで飲まないとお味噌汁って感じがしなくて」と喜んでいました。きっと彼が一人暮らしをするようになっても、これだけは一緒に持って出てゆくはずです。

使い始めは小学生でしたが、いつしか中学に上がり生意気な口をきくようになりました。はじめ黒に近い、濃い小豆色だったお椀の色は、今では奥に赤い色が透けるような、透明感のある赤紫色の輝きを帯びてきました。

端反り椀(左から赤、赤溜め、黒)

ずっと、気に入って使い続けられるもの。個性や奇をてらわないシンプルな形。スタイリッシュすぎることなくアノニマスな、一見どこにでもありそうなデザインのもの。でも、だからこそ質のよい、丁寧に塗り重ねられた慎み深い色が際立って美しく見えるのかもしれません。

万が一ヒビが入っても、小林さんのうつわは、ほとんどの場合修理が可能です。陶器と比べると価格的に贅沢なものに感じるかもしれませんが、繕えば、一生どころか子ども、孫の代まで使い継ぐことができる。まさに、一生(+アルファ)ものです。お客さまがコーヒーカップを落としてヒビが入ってしまい、お店に持ち込まれました。小林さんにお直しをお願いしていたものが戻ってきた時、どこが割れたのか全くわかならいほど綺麗に全体が塗りなおされ、見違えるような晴れ晴れしい姿となっていました。わたしも、いつかチビろばちゃんが自分の飯椀を子(つまりワタクシの孫か!?)に譲りたい、となった暁には塗り直しをお願いしたいと密かに考えています。

コーヒーカップをオーダーしてくださった方はすでにご存じかと思いますが、小林さんはお一人で制作されています。現在在庫のない”ご予約”と表記のあるものに関しては、目安として半年から1年後の納品でとお願いしております。ものにもよりますが、たいていは半年程度で仕上げてくださっているのですが、タイミングにより半年以上かかる場合もございます。1年はお待ちいただかずにお届けできる見込みですが、どうか待つ時間も楽しみのひとつととらえてお待ちいただけますと、届いた時の喜びもまた格別かと思います。

時間と忍耐、極度の集中力を要する手仕事ですので、どうかその点だけはご了承ください

ああ、どんどん長くなってしまう…。隠れた人気商品、お箸も先が細くてものすごく使いやすいですよ、とだけ付け加えていいですか?

パパろばも自分の愛用のお箸を使用見本として展示していたので、会期中ずっと「太いお箸、使いにくっ!」と怒っていました。一度この細さとシャープさに慣れると、太いお箸が不便で仕方がないようです。ただしこちらは、赤は在庫限りでご予約不可なのだそうです。出会いですので、ご縁があった時にぜひお求めになって下さい。

久々の超絶長ダベリ、失礼いたしました。一生、ともすると次の代でも付き合うお相手です。どうかじっくりお選びください。

◎『あんしんの食卓』小林慎二さんのページはコチラです。
飯椀大(黒)

 

乾物革命。戻さずにすぐに使える、むしろ戻さない方が美味しい乾物御三家。

ひじきや切干大根、乾燥豆。いつでも常備しておける便利な乾物ですが、最近は戻すのが面倒だからか敬遠されがちです。とかく今すぐ、即座に調理できるもの(もしくはすでに調理されているもの)ばかり重宝されてしまうのですね。

でも実は、戻さなくてもそのまま使える乾物もあるのです。

むしろ、戻さないで使うことにより味が浸みやすくなり、栄養分も食感も損なわずにすむ。「時短だけが目的じゃないのよ」と堂々と手抜きを正当化できる(笑)、ありがた~い乾物が存在したのです!

この山口県周防大島(すおうおおしま)産の寒ひじきは、さっと洗うだけですぐ味付け、そのまま加熱せずに食べられます。やわらかく味が浸みやすいので調理しやすく、食感もふわっと軽いのです。実はこのひじき、当店でも人気のおいしい卓上調味料「あたらしい日常料理ふじわら」の藤原さんにご紹介いただいたもの。春にクラフト展でお会いした際、ふじわらさんがブースで出していたカレーの付け合せとして添えていた「ひじきのマリネ」があまりにも美味しくて「奈緒さん、これ、むっちゃくちゃ美味しいんですけど」と尋ねたのがきっかけでした。いやもう、衝撃の軽さ。冒頭の画像はおそらく乾燥で3g分くらいのひじきですが、はっきり言ってこれを5杯くらいわっさわっさと余裕で食べられます。

この絶品ひじきのマリネ、作り方は驚くほど簡単。サッとぬるま湯で洗ったひじきをザルで水切りし、お醤油:オリーブオイル:酢を1:1:1で和えるだけ。「え?水で戻しただけ?湯通しもせずに?」「このひじきは柔らかいので、戻しただけですぐ味付けできるんです。」とブースにいたスタッフの方も教えてくださいました。実際に調理してみると、戻すというよりはぬるま湯(50℃もいいですよ)でサッと洗えばいきなり味付けしても美味しく食べられるのです。

何度か試すうち、水で完全に戻してしまった後よりもサッとぬるま湯で洗っただけで味付けをした方が、和えたそばから調味料が沁みこみ、ふわっとしてくるのがわかりました。戻したひじきって、なかなか味が入りにくいものですが、これだと下味もしっかりつくしシャキッと感も残るので一石二鳥*。

ヨードに富み、ビタミンA、鉄分、カルシウムがたっぷりのひじきは、子どもから大人まで積極的に摂りたい健康食品の代名詞のようなもの。でも、甘じょっぱい煮物に入っているひじきは量的にもわずかである上、味が濃いのでそうそう沢山は食べられません。これまでも炒め物やライスサラダなどでオリーブオイルに塩味ベースで調理したひじきは楽しんできましたが、ひじきが主役と呼べるようなお料理にまでは発展しませんでした。このマリネは多めに作って保存容器に入れておけば3~4日持つので、サラダに混ぜたり和え物に加えたり、ごはんや玉子焼きに混ぜたりと応用が効いて一気にひじきの登場回数が増えますよ。ぜひ、ふじわらさんのようにカレーの付け合せにもトライしてくださいね。ママろば、ただ今相当ハマっておりますので、今後少しずつひじきのおススメレシピをご紹介してゆきますね。ほら、こんなに細くてフワッと柔らかいのです。そのくせ、シャキッとした食感と香りがしっかり!

同様に、べにや長谷川商店さんの自然栽培の切干大根もこのままサキイカのようにモリモリ食べられるので、サラダやお味噌汁、和え物などにすぐ使えます。そしてべにやさんの最新ヒット商品、ミックス大豆を煎った「素焼きミックス大豆」にいたってはお塩さえいらない完成された味。とにかくお豆の甘味にびっくりです。家庭で乾煎りするのではなかなか出せないサックサク感は、おつまみ、おやつとしてこのまま食べても止まらない後を引く美味しさ。戻さずにサラダや炒め物に入れても、歯ごたえを残しつつドレッシングや調味料が浸みこむので、煮物だけではもったいないのです。ワタクシ、この素焼きミックス大豆、切干大根と驚き続け、そこへきてこの寒ひじき。これで乾物御三家が揃ったというわけです。

これは、まさに革命。これからは、もっともっと気軽にヘルシーで美味しい乾物料理を楽しめます。



太陽のチカラで旨味も栄養分も凝縮した乾物はスグレモノ。ただし意外と酸化しやすく、それが独特の乾物臭となる原因でもあるので新鮮なものを選んで冷凍保存がおすすめです。

*一時期、ひじきには無機ヒ素が含まれる、と話題になったことがあります。水(さらに水温が高い水の方が有効)で戻すとヒ素成分が水に流れ出すことが知られているほか、日本ではひじきを含みその他の海藻類を食べたことによる健康被害が報告例は過去にないそうですが、気になる方は内閣府食品安全協会のQ&A詳細をお読みください。

 

シンプルの極みパスタ『赤』はもちろん、パスタ・アル・ポモドーロ。

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イタリアを代表するパスタ料理をひとつだけ選べ、と道行くイタリア人に質問したとしたらまず99%が選ぶであろうお皿がコレではないだろうか。Pasta al Pomodoro-パスタ・アル・ポモドーロ、トマトソースのパスタです。いやいやアーリオ・オーリオだ、いやボロニェーゼだ、と回答者の出身地によって若干の異論は挙がるかもしれない。でも、もう一度こう聞いてみる。「イタリア人にとって代表的なパスタ料理とは何だと思うか」と。そこまで尋ねれば残り1%のひともパスタ・アル・ポモドーロと答え直すに違いない。そのくらい、イタリア人にとって基本の基本、これなくして365日の食卓は成り立たないというほど日常的に親しまれている国民的パスタなのです。

仮に今イタリア政府が「パスタ・アル・ポモドーロ禁止令」なるものを発令したら、まず間違いなく反乱が起こる。ここまである特定の一皿が強く国民全てに支持されている例は、世界中見回してみても簡単には見当たらないだろうと思います。これが日本だと何料理にあたるのだろうと考えると首をかしげてしまう。白米に納豆と言えば大阪市民が猛反論するだろうし、大根の味噌汁?サンマの塩焼き?和食の代表とはいえるかもしれないけれど「なくても一生困らない」という日本国民がいても不思議はない。ううん…おにぎり、かな。おにぎり嫌いな日本人っているかしら?…いうやもう、そういうレベルの話じゃないんですよね。どうかな、と疑問符がつく時点でパスタ・アル・ポモドーロと同じ土俵には上がれない、それくらい歴然と決着のついている問題なのです。

そして何よりパスタ・アル・ポモドーロを特別足らしめているのは「誰もがつくったことがある」というその事実。イタリアの成人、男女の別は問わない。学生でも老人でも、自分の食事を用意しなければならないシチュエーションを持ちうる人ならばおそらく一人の例外もなくパスタ・アル・ポモドーロを作れてしまうのです。ココが日本と違うところと思う。日本ではおにぎり一個握った経験がないという中年男性がどれほど多く存在することか!

しかし、それほどまでに誰でも作ることのできる、簡単で普遍的な料理であるにもかかわらず、その作り方、材料、配合はひとによって千差万別。王道のレシピはコレ!と決めるのには異論がありすぎて収拾がつかない。ええ?パスタをゆでて、トマトソースとからめるだけなんじゃないの?お好みでパルミジャーを削ったのかけてさ、と思うなかれ。トマトはフレッシュがいいのかはたまた加熱処理されたホールトマトか、ニンニクは入れていいのか、炒め玉ねぎを入れてもパスタ・アル・ポモドーロと呼べるのか、論争のネタに事欠かない。

そろそろ決着をつけねばならない、と思ったかどうかは知らないけれど、2014年1月に行われた国際イタリア料理デーに選ばれたテーマはパスタ・アル・ポモドーロ。全世界に分散する2200名を超えるイタリアンレストランのシェフなどからなる会員を持つItchefという団体が主催し、7回目の開催となった2014年の会場はニューヨークでした。ミラノ、ポンペイのイタリアの都市だけでなくニュージーランド、アラブ諸国、中国、南アフリカの各都市とビデオで同時中継しながら代表シェフが実際に調理して協議をすすめ、最終的にパスタ・アル・ポモドーロの条件としてまとめられた5つの基本ルールはが以下。

1、パスタ:80グラムを基本とする
2、茹で方:『1:1:1』のパスタ黄金律に倣い、100gのパスタに対して湯1リットル、塩は10g(海水程度の塩分を感じるべき)。
パスタが乾いてしまわないよう、水を切りすぎない。ゆで時間の最後の2分間はトマトソースの中で仕上げるというのは鉄則。
3、トマト:夏はフレッシュトマト、冬にはトマトの水煮を湯むきした瓶詰を使用。質の良い水煮は時にフレッシュトマトを上回る。ソースに適したトマトはサンマルツァーノ種、シチリアのチリエジーノ種(チェリートマト)、樹になったまま地上で半干しにされるシチリアのシッカーニョ ディ カルタニセッタ、ヴェスーヴィオのピエンノーロ種を最上とする。
4、オリーブオイル:トマトは酸度が高いためボディのしっかりしたオイルを選ぶ。プーリアのコラティーナ種やオリアローラ、シチリアならばノッチェラーラ、トスカーナならばキエーティのジェンティーレ種。とにかく、デリケートなオイルよりもきっぱり強めの個性を持つオイルの方が合う。
5、パルミジャーノ:入れても入れなくてもよいが、入れる場合はトマトソースの上からかけるのではなく、トマトソースと和える前にパスタの方にあらかじめ和えてからトマトソースとからめること。

出展:IDIC(国際イタリア料理デイ)の公式サイト(英語版)。イベントについてのさらに詳しい記事がご覧になれます。

サイトで公開されているレシピの多くは、トマトの酸味を和らげるために長時間炒め玉ねぎを加えて甘さを出してソースを作っていました。また、玉ねぎを加えていないものでもソースを30分から40分煮込んでコクを出しているようです。また、伝統的な家庭料理のレシピを見るとよく砂糖を少量加えるのがコツ、と書かれています。でも、もともとのホールトマトがそのまま食べられるほどバランスの良い酸味と甘みを持っていれば、そんな作業は不要と思います。はじめてそれを実感させられたのが、このラ・コッリーナのパッサータ(裏漉しという意味)でした。あまりに濃厚で瓶をさかさまにしても落ちてこない。裏漉しだけれど長時間に詰めたような濃度があり、味わいも深い。それなのに、まったく熱が入ったような雰囲気がなく、フレッシュ感を保っている。その矛盾しているような二つの特徴が、これまでにどのトマト缶、びん詰にも見当たらない衝撃的な味わいでした。そのままスプーンではぐはぐ食べても美味しい。上質なオリーブオイルを一滴垂らすと、それはもう立派なお料理でした。

濃厚なのにフレッシュなこの特別なトマトの裏ごしの個性を殺さないためにはどう調理すればよいか?初めて日本に入ってきた頃はさまざまな手法でパスタ・アル・ポモドーロを試してみるのがこのパッサータを輸入しているインポーター、ヴィナイオータさんの周辺で流行ったもので、わたしたちも自宅であーでもないこーでもないと試したものでした。今ではあまり考えずに作ってしまいますが、何年も前にそうしたすったもんだの結果一応ここに落ち着いた、というところの調理ポイントを以下に書いてみます。

前置きが恐ろしく長くなってしまいましたが、すべては皆さんにこのパッサータの威力を知って欲しいから。上の画像を見て頂くと伝わるでしょうか。スプーンに山盛りして傾けても、落ちてこないほどぽってり濃厚なのです。その最大の魅力を損なわないよう、以下の注意点に留意してまずはシンプルなパスタ・アル・ポモドーロを作ってみてください。その後、アレンジとして「ヴォンゴレ・ロッソ(アサリ入りトマトソース)」へと進んでもらうのが関係者満場一致のおすすめのコースです。イタリアの国民的レシピ、には名前を挙げないかもしれませんが「一番好きなパスタは?」と聞かれたら「ラ・コッリーナのパッサータでつくるヴォンゴレ・ロッソ!!!」とワタシは答えてしまいます。そのくらい、このパッサータと浅利でつくるSpagetthi al vongole rosso は、普遍的な美味しさを持つパスタ料理だと思います。

浅利といえばヴォンゴレ・ビアンコ、トマトソースの入らないバージョンの方が有名と思いますが、一度ロッソで食べてみてください。ろばのウチビろたちも大好物です。大人だって唐辛子(やまつさんの鷹の爪ならなお最高)を加えてちょっとだけピリッとさせたりなんかしちゃったらもうたまりません。いつ食べても美味しい飽きのこない定番メニューです。

 

<<シンプルの極みパスタ『赤』パスタ・アル・ポモドーロの基本レシピとポイント>>

1、パスタ80gに対してパッサータ100g程度(小さ目のレードル2杯)

2、パッサータに塩をしない場合、たっぷりの湯に強めの塩加減(1リットルに15gくらい)
3、パッサータは煮詰めない(軽く温める程度)

以上がポイントです。

手順としては、パスタを少し強めの塩をしたたっぷりの湯で茹でて、その間にソースを用意する。フライパンか鍋にオリーブオイル(パスタ80gに対して大匙2杯程度)お好みで潰したニンニクを加えて弱火で熱し、火を止めてパッサータを加え、オイルと一体化するまでよく混ぜる。パスタが煮上がったら(アルデンテのわずかに手前)1分ほど軽く弱火で熱しながらソースにパスタを絡めて仕上げる。

そして、パスタが皿に盛られた瞬間から食す。これが最も大切なルールです。イタリアに暮らしていた頃、昼食時にパスタを茹でる鍋の前に立つマンマがお皿に盛り付ける前からかなりの大声で「プロンタ ラ パスタ~~~!!(パスタが用意できたわよ~)」と叫ぶのを幾度となく見てきましたが、実際にお皿に盛られる頃にはその声にやや怒気が混じり、盛られて一分を越しても誰も食卓に着かない場合の怒り心頭ぶりときたら…。ちょっとした劇場といってもよいほど修羅場化していたのを「これがいわゆるイタリアマンマのDNAかあ」と面白がって見ていました。でも、いざ自分が人様の分までパスタを用意する機会を多く持つようになったときに、やはりものすごい形相で「パスタが冷めるってばあ!!!」とすごんでいたのですから、火傷をしてでも茹でたてを食せよというのはイタリアにおけるどんなマナーよりも強く教え込まれる教訓、鉄の掟だということでしょう。

…さあ、パスタが茹で上がりますよ。フォークのご用意はいいですか?

*こちらは、2015年12月に公開された記事を再編集しています。

 

サラダもマリネもこれ1本ですべて完結。飲めてしまうまろやかさの白バルサミコ。


ろばの家の定番調味料のなかでも間違いなくリピート率No.1. リピート頻度もNo.1でしょう。そのくらい皆さん「もう手放せない」と頼り切ってしまう便利さのワインヴィネガーです。イタリアの中部、伝統的なバルサミコ・ヴィネガーで有名なモデナ近郊の生産者Sante Bertoniサンテ・ベルトーニのものです。あの、トロリとしたアチェート・バルサミコは黒ブドウで作られていますが、こちらはその白ブドウ版。かつもっとフレッシュな状態のお酢だと思ってください。ゴクリと飲めてしまうほどまろやかでツンツンしない優しい酸味、100%有機ブドウ由来の自然な甘さ。お砂糖を使わずにマリネ液が出来るので、日本でも今やサラダの定番となっている”人参のラペ”も、塩とこのヴィネガーだけでササッと作れてしまいます。ドレッシングなど作る必要なし。千切り人参をボールに山盛り作ってお塩をパラパラと振りかけ、そここの白バルサミコを回しかけてざっくり混ぜれば完成です。これがまた、べらぼうに美味しい。ウチのチビろばたちはこのヴィネガーで和えるだけでかなり小さな頃から生野菜をバリバリ食べてくれたので相当助かりました。2歳くらいだと生野菜って、なかなか食べてくれないですからね。でもホント、大人ならひとりで人参2本分くらい軽く平らげられます。お好みでオリーブオイルを少々加える場合でも、ダイレクトにサラダにかけて混ぜ込むだけでよいのです。粒マスタードを少々加えればビストロで出てくるようなラペの味がお家で楽しめます。

ところで、冒頭の写真はワタクシママろばが家にひとを呼ぶときによく作るサラダ。実はただの千切りキャベツなんです。ホームパーティーで千切りキャベツなんて、出したことないでしょう?これが皆さん、ハマるんです。眼からウロコの美味しさなのです。ひとに食べさせると「レシピ教えて!」と言われるのですが、例によって千切りキャベツに塩をパラパラッと振って、この白バルサミコとガリガリ挽いたコショウをかけただけなので「ごめんなさい。」と申し訳なくなるのです。ただ、塩の花マリチャのブラックペッパー(ロッソ・スクーロかネロがおススメ)で武装しているので、ただこのお酢で和えただけというのは嘘になっちゃうかな。どちらも超絶に旨味が強いですからね。もちろん、お手持ちのお塩、コショウでも相当美味しくできるはずですよ。誰がやっても美味しくできてしまう、絶対ハズさない…そういう類のお手軽さがウリなのです。でもまさか、千切りキャベツがおもてなし料理になるなんて思わないでしょう?トンカツに添えるだけが彼の居場所じゃないのです。ポン酢で食べるよりも塩味を押さえることができるので相当な量のキャベツを食べられますよ。パスタの時や、焼肉、お鍋など何かお野菜でもう一品欲しい時に重宝します。

千切りキャベツ、人参、などひとつのお野菜単体でこの白バルサミコ酢を使うのならばさらし玉ねぎを塩と白バルサミコ酢でマリネしておくのもおススメです。この玉ねぎマリネ、ポテトサラダやマカロニサラダに混ぜたりハムやツナ、ゆで玉子などと一緒にサンドイッチの具にしたり、焼肉で巻いたり、魚介類のお刺身にオリーブオイルと和えてマリネにしたり、作り置きしておくとかな~り重宝します。薄切り玉ねぎを少し多めの塩でもみ、氷水に放してしばらくしてから絞ったものに白バルサミコ酢を和えてガラスの保存容器に入れておけば1週間ほど持ちます。夏場、ざく切りのトマトをこの玉ねぎで和えて出すと、チビろばたちは残った汁まで飲み干します。余ったご飯で出来るライスサラダも、ろばのウチでは定番でなんどもお店のご試食に出しています。

そして、一見上級者向きですが実は超簡単でものすご~く美味しくできるのが果物をこの白バルサミコ酢で和えたサラダ。いちじく、柿、りんご、夏みかんなど好みの果物をサラダに入れてみてください。あらかじめ果物をマリネしておくのがポイントです。はじめに果物を切って軽く塩をしてから白バルサミコ酢で和えておき、それをレタスやベビーリーフ、ルッコラなどのグリーンサラダにさっくり混ぜ込むのです。甘酸っぱい果物がアクセントになって、ルッコラやからし菜などほろ苦い葉野菜でもモリモリ食べれられる味になります。柿と春菊、りんごとほうれん草、いちじくとルッコラ、夏みかんとセロリなど、ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせが沢山。果物と野菜だけだと味がつながらないところを、白バルサミコがどちらもうまく絡むようにまとめてくれるのです。イチジクなど、果物として食べるよりサラダで食べる方が美味しさが引き立つ気がします。

でも、この白バルサミコ酢はサラダやマリネだけが得意なのではないのです。意外や意外、炒め物にも大活躍。コクのあるマリネといった感じでしょうか。お酢の効果で冷めても油っこくならないしお肉も柔らかいままなのでお弁当などにも重宝します。この白バルサミコで試してみていただきたいサラダ以外のレシピが…

1、いろいろキノコのマリネ

しいたけ、えのき、エリンギ、マッシュルームなどお好みのきのこを全て食べやすい大きさに揃えて切り、潰したニンニクを入れたオリーブオイルを熱して強火で炒め、最後に塩、コショウで味を整えたら火を止め、白バルサミコをたっぷり回しかけ軽く混ぜる。お好みで赤唐辛子を少し加えても。酸味が足りない時にはレモンを少し絞って。

2、豚肉、玉ねぎのマリネ

豚バラ肉(薄切りもも肉、切り落としなどでも)は薄めにスライスして、オリーブオイルで炒める。塩をしてからスライスした玉ねぎを加え、1~2分炒めたら白バルサミコ酢をお好みで加え、さらに1分程度加熱し火を止める。

3、鶏肉のソテー(かじきマグロでも)
鶏もも肉(かじきの切り身)は軽く塩をしてオリーブオイルで皮目から焼く。両面こんがり焼き色をつけてから薄切り玉ねぎをフライパンのわきに加え、さらに白バルサミコ酢と刻んだケイパーを加えて軽く混ぜ、蓋をして蒸し焼きにする。お肉に火が通ったらバターをひとかけら加えてフライパンを揺すり、煮詰まったお酢をとろりとしたソース状にしてお肉にかけていただく。

どれもこれも、美味しそうじゃないですか?全ての画像が無くてごめんなさいね。普段作った時に撮りためておかなきゃダメですね。とにかく酸味がまろやかなのでたっぷり使ってもツンツンしません。

でも、まずはお野菜単品をざくざく切って、そこに美味しいお塩とこの白バルサミコ酢をかけてさっくり混ぜただけの超シンプルサラダから、ぜひお試しください。もちろん、レタスだけでも見違えるほど美味しく仕上がります。もうドレッシングなんて買う必要がなくなりますよ。お酢なので開封後も常温保存可能です。これこそ、一家に一本。東が『しこの露』なら、西はこの白バルサミコ、サンテ・ベルトーニのアグロドルチェにお任せです。

【8月24日入荷分より185円値下げ】
サンテ・ベルトーニのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)はコチラです。

こちらの記事は、2018年9月の定番展の時に書いたものです。輸入元完売のため長らく欠品していましたがようやく入港との連絡がありましたので再びご紹介しています。

 

夏の間”ひたし豆”さえ常備しておけば!おかずもお酒のおつまみもアレンジ自在。


青大豆のひたし豆です。夏なので、生姜を効かせてスッキリ仕立てました。これが、これがですね。申し訳ないほど簡単なんです。一度に200gくらいずつ仕込んで冷蔵庫にスタンバイさせておけば、千切り人参とサラダにしたり、お豆腐と和えたり、ツナとトマトと紫蘇で食べたり、キュウリやキャベツの塩もみと酢の物風にしたり…とまあアレンジ無限なのですが、何よりもそのままコリコリ、モグモグ食べてしまうのがひたし豆の正しい(?)食べ方だとわたしは思います。お出汁ごとね~。これがホント、ビールにもお酒にもワインにも合うのよね~。おススメは青大豆や鞍掛豆!茶豆や紅大豆でも美味しくできます。この甘さ、お豆から出てるだけ?とびっくりしますよ。案外子どもも好きで、ウチのチビろばちゃんたちにも大好評です。

ひたし豆の作り方随分前に『べにや長谷川商店の豆料理』という本で知ったのですが、あまりに美味しくて簡単で何度も何度も繰返し作っていました。ろばの家でべにやさんのお豆を色々販売していてわかることは、お豆は好きだけど自分で戻すところから料理するのは面倒でハードルが高い、と感じている人が多いということです。そんな中ダントツの人気を誇っているのがミックス大豆。2~3分フライパンで空煎りしてお米をセットした炊飯器にジャッと入れ、普通に炊くだけで簡単に美味しい豆ご飯が出来るのです。色とりどりで見た目にも可愛らしいのですが「事前にお水に浸けておく必要がない」という一言で皆さん「やってみようかな」と思って下さるようなのです。一度試していただくと「炊いている時のあの香ばしいにおいがたまらない」「冷めても美味しい」「子どもがおかわりする」と沢山の方がリピートしてくださいます。お豆料理ってもっと大変だと思っていた、と言いながら。

お豆料理を避けてしまうという人は、レシピによくある「8時間たっぷりの水に浸け…」という一文のせいで「その時間にちゃんと調理体制に入れるのだろうか?」と不安で気持ちが折れてしまうのではないかと思うのですが、実はそんなに厳密じゃなくても大丈夫なのに…。冷蔵庫に入れておけば一日放っておいても平気です。さらに言えば、8時間と書いてあってもそれより短くたってたいていの場合問題なく茹で上がります。「冷蔵庫にお肉もお魚もない!明日買い物に行かなきゃ」というような夜にお豆を水で戻しておけば、それで翌日立派なメインのおかずができるんです。ゆで時間も、案外早い。このひたし豆など15分くらいです。慣れてしまうと、便利で手軽で美味しくて、しかもお肉やお魚よりも安い!ヘルシーで栄養価も高い!と、これほど優秀な食材は他にあるまいという素敵なお豆。でも、お豆料理は苦手、という方も多いんですよね。それはひとえに、長らく日本でお豆料理の主役の座を占めてきた、お砂糖たっぷりの甘煮のせいではなかろうか?とワタシは思っているのです。スイーツとしてではなく、食事としてお豆を食べるのに甘煮仕立てにすることが多いのは、おそらく日本だけの事なのではないでしょうか?つまり、諸外国では圧倒的に甘くない料理が主流なのです。お豆料理があまり好きでない人、特に男性に多いように感じるのですがその多くは「甘くて苦手」という印象を持っている。でも、チリコンカンやひよこ豆のカレーもダメ?と聞けばそちらは大丈夫だったりすることも多く、要は、豆が苦手なのではなく「甘い豆が苦手」ということのようです。そういう方にぜひとも試していただきたいのがこのひたし豆!まずはそのまま、コリコリどうぞ。お砂糖ではない、自然なお豆の甘さならきっと甘くて嫌い、とはならないはすです。

ここで、べにや長谷川商店さんの本にあったひたし豆のレシピをほんの少しだけアレンジしたものをご紹介します。お醤油の量が少な目なのは、梶田さんのお醤油を使っているからかも。旨味が強く、よくのびるのでレシピ通り入れるとワタシには味が濃すぎるように感じてしまうのです。あくまで目安なので味を見て調味料の量を調節してくださいね。液が冷めてゆく間に味が入るので浸し汁が熱いうちに調味料を加えるのがポイントです。

ひたし豆

材料 : 大豆系のお豆200g(大豆、青大豆、鞍掛豆など)
お醤油 大匙1
レモンの絞り汁または米酢 大匙1
お好みで薄切り生姜(繊維に添って切る) 5~6枚

1、お豆は一度ざっと洗ってからたっぷり、約4倍ほどのお水に浸しておく。
(時間がない場合は戻さずに炊飯器に4倍のお水とともに入れて炊飯スイッチを入れるだけで上手にふっくら炊けるという裏ワザもありますが炊飯器がかなり汚れます)

2、お豆がふっくら戻ったら火にかけ、沸騰したらふつふつするくらいの中火で15分~20分。歯ごたえを残して茹で上げます。

3、茹で汁を半分くらいに調節して熱いうちに調味料、生姜を入れて冷ます。冷めたら汁ごと冷蔵保存。夏場は3~4日で食べきる。

以上。残った茹で汁は、捨てずにたっぷりの摺りおろし生姜とお醤油を少し垂らすと、蕎麦湯のように滋養たっぷりのスープに。浸し地に茹で汁を使わず、熱いかつお出汁300ccに調味料を入れたものに茹でたての大豆を入れても同様にできます。もっとクリアで上品な味わいのひたし豆が出来ますが、お豆の茹で汁だけでダイレクトにお豆の旨味を感じられるひたし豆もワタシは好きです。同じやり方で米酢をワインヴィネガー、お醤油を塩に、生姜を薄切りにんにくに替えて、食べる時にオリーブオイルとコショウをかけるとまた違った雰囲気が楽しめますよ。

さて、手軽なお豆ご飯やこの浸し豆で塩味のお豆料理にハマったら、ぜひぜひ他のお豆料理に挑戦してみてください。先のレシピ本にも載っているメニューは本当にどれも驚くほど簡単で時間もかかりません。ちなみにママろばの超、超おススメメニューは、 ●青大豆の青のりがけ(P33) ●手亡ペースト(P38) ●ミックスビーンズのマリネ(P42) ●豆の天ぷら(P67) ●じゃがいもと白花豆のスープ(P76) などなど。他にもたっくさん美味しいレシピが載っているのですが、どれも一度作ってしまえば次から材料や手順をみなくても作れるようなシンプルなものばかり。「さて、あれを作るぞ!」という時にいちいち本を引っ張り出してきて(何ページだったかな?)材料を計らなければならない(えっと、醤油が大匙一杯に、お酢が…?)ようだと面倒で、結局つくらなくなってしまいます。ママろば、わが家の定番となるお料理が1冊に3つでも載っていればもうけもの、と割り切ってレシピ本を買うようにしています。これだけライフスタイルが多様化している中で、他人の紹介する料理が家族構成や家族の好みなど自分の境遇に何もかも合致するということなどそうそうない、ということなのでしょう。メニューが決まっているなら、検索すればすぐ調べられる時代ですしね。だからこそ、身体が覚え込んでしまうまで何度も作るような一品がいくつも載っている本に出会える喜びが貴重なことに感じられるのです。今はもうあまり手に取ることがなくても、これだけヒントを与えてれたのだから十分すぎるくらい元をとった、と思って感謝する。これはそんな本のうちの一冊です。海外編もあって、こちらも世界各国のシンプルで美味しいお豆料理とレシピが、その国の食文化や暮らしぶりとともに楽しめる読み応えのある本です。

そのべにや長谷川商店さんからお豆のサマーセールのご案内が届きました。お豆を煮るのって、暑いイメージがあるのでしょうか?敬遠しがちになってしまう…?いえいえ、皮をむく必要もなく、水に浸しておくだけでそのまま茹でれば出来上がり!のお豆は実は台所に立つ時間も、お鍋についている時間も短い超時短料理。夏だからこそ、お豆料理、なのです。とにもかくにも、浸し豆をお試しくださいませ

●夏の豆セール開催中!お豆全品10%オフ!
べにや長谷川商店さんのページはコチラです。

*こちらの記事は2017年7月に書かれたものを再編集しています。

 

 

 

 

uf-fuさんの紅茶は、その存在自体が詩的。水出しとアイスミルクティーをぜひ試して。

なんとも耽美なこの液体の正体は、実は紅茶です。Amber アンバーという名前のついたフレーバードティー。春摘みのファーストフラッシュのダージリンをベースに、ブルガリアンローズの製油、花びら、カモミールの花をブレンドして作られている、uf-fuさんでも人気の高いお茶です。これは水出し用に茶葉を抽出(コールドブリュー)している途中にあまりにも美しかったため白石さんのお皿に移して撮影した物です。抽出している風景はもう何と言うか、ポエムそのものです。トロンと上品な香りと自然な甘み、優しい旨味が口の中に広がる夢のように印象的なお茶が出来上がります。

紅茶という飲み物は、もう、その存在自体がPoetico=詩的で優雅なイメージがあるものですよね。そう、ポエティコとはイタリア語でPoetic、詩的という意味のことなのです。間もなくろばの家ではじまる企画展、モメント・ポエティコとはPoetic Moment、つまり直訳すると詩的瞬間という意味のタイトルなのです。何度もこのHPでもお話に登場しているuf-fuウーフの代表、大西さんのことを、わたくしママろばは密かに”ネーミングの神様”と崇めているのですが、抜群のワードセンスを持った人だと思います。uf-fuさんの紅茶を選ぶ際、ブレンドの名前を見ただけで「んもう、大西さんズルイ!」と憎たらしく思えてしまうほど、秀逸なのです。日本語、英語、フランス語、イタリア語をそのイメージに合わせて上手に使い分け、そのお茶に対してなかば運命的とさえ思えるようなピッタリのワードを引っ張り出してくる。その言葉のひとつひとつ全てが、詩的なのです。だいたい何が詩的って、彼の生き方そのものがすでにポエティックな印象を周囲に与えてしまう、特別なオーラを普段から持ち合わせている人物なのです。

例を挙げてみましょうか。まず、Soleil ソレイユ。フランス語で太陽を意味するこの言葉は、ルイボスティーにベルガモット製油をブレンドしたuf-fuさんオリジナルのハーブティーで、びっくりするほど美味しい。瑞々しく、水以上に喉を潤してくれます。ベルガモットという柑橘は、アールグレイに使われている香り、と言えば想像しやすいでしょうか?わたしもパパろばも大好きなお茶で、夜寝る前に飲むのに一番のお気に入りです。ホットで飲んでも、水出しでスキッと飲んでも両方それぞれに楽しめ、食事中も脂分を切ってくれる出番の多いお茶です。南アフリカで「奇跡のお茶」と呼ばれているルイボスティーが日本に輸入されるようになったのは30年ほど前で、正直、健康・美容に良いとしてダイエット目的で愛飲する人が多い「あんまり美味しくはないけど身体によさそう」なイメージしかありませんでした。それがこんなにも美味しく、純粋に嗜好品として味わいだけから支持できるものになりうるという事実に衝撃を受けました。ルイボスは南アフリカのセダルバーグ山脈でしか生息しない針葉樹で何百年も前から先住民族のコイ族、サン族で日常的に飲まれてきたお茶でした。体内の余分な活性酸素を除去してバランスを整えるアンチエイジング効果やむくみの改善、アトピーの改善、貧血予防、便秘・下痢解消、二日酔いを軽減するなど、効能を挙げればきりがなく、それゆえ奇跡のお茶と呼ばれているようです。

ただですね、身体によくなくたって、ただもうひたすらに美味しいお茶なのでお客さまには効能を説明することなくお勧めしております。その、南アフリカの砂漠のように乾燥した土地にしか生育しないルイボスのお茶にソレイユですよ?ちなみに、ルイボスティーに生姜をブレンドしたバージョンもあって、そちらはLuneリュンヌ=月という名前です。これが、SunとMoonだと、かなり印象が違ってしまいますよね。「太陽のお茶」「月のお茶」、あたりでもまあまあと言えなくもないですが、ソレイユとリュンヌという響きの前にはひれ伏すしかありません。

uf-fuさんのオリジナルブレンドに与えられた名前は他にも「んもうニクイ!」と膝を打ってしまったものが沢山あって、例えばkeemon Tresor キームン トレゾア という名前もそうです。これは中国紅茶の祁門(キームン)の特別なキュベで、大西さんの説明には「産地で出会った芳醇な香りと、余韻が長く続く味わいを持つ美しい茶葉。からだに巡る味わい。あまりにも好みのお茶でしたので、Tresor(トレゾア 宝物) と名付けました。」とあります。このお茶の素晴らしい余韻や唯一無二の高貴な味わいに関しては、別の記事でご紹介したので割愛しますが、気に入ったキュベにトレゾアだなんて、普通思い浮かばないですよね。フランス語が続いていますが、英語の方がストレートに伝わる響きを持っている場合には迷わず英語でネーミングしています。

上の画像はCitronシトロン。夏の水出しの定番です。レモンピールの入ったブレンドにシトロンという名前など当たり前(味は全然普通じゃないのです。恐ろしく瑞々しく、試飲で出すと皆さん買ってしまいます)にすぎますが、例えば標高の高い畑の、当方美人のように半発酵製法で作ったダージリンにつけた「Himalayan Beautyヒマラヤン ビューティー」という名前や「Jasmine Supreme ジャスミン シュプリーム」など、他にはあまり見ない名前です。「Darjeeling Pure Blend ダージリン ピュアブレンド」なんてのもありましたね。ピュアブレンド!ニクイを通り越して、いやらしい、とさえ思ってしまうほど購買意欲をそそられるネーミングです(笑)。

ネーミングって、究極の詩作だと思うのです。悪くすると手の内を見せてしまうというか、売る側の思惑をダイレクトに反映してしまうものですよね。詩作というものが、多分に職業的な作業であることを考えると、出来の良し悪しが如実に出てしまうものでもあるわけです。お店をやっていると、さまざまな立場の人間の実にさまざまなネーミングセンスをいやがおうにも見てしまうわけですが、大西さんのセンスにはいつも舌を巻くというか、製薬業界に見られるようなダジャレ的ネーミングに逃げてしまうママろばとしては羨ましくて仕方がないのです。よし、これからは紅茶王子じゃなくって、ポエット大西と呼ぼう!

…と、今ろばの家はとっても言葉というものにフォーカスしているのでネーミングの話題ばかりになってしまいましたが、何よりも彼を羨ましく思ってしまうのは、uf-fuさんの唯一無二といってよい紅茶のクオリティー、個性であることは言うまでもありません。そのネーミングのセンスでさえかすんでしまうほどの、本質的な美味しさを求める茶葉を選び抜く厳しい姿勢と自らの感性を研ぎ澄ます努力が、見事に紅茶という世界で実を結んでいるというその事実に、心からの賞賛を贈ることでちょっとおちゃらけてご紹介してしまったことを許してもらおうっと。なにせ、断然コーヒー党だったパパろばとママろば二人を、いきなりお茶党に改宗させてしまうくらいのインパクトを与えた人なのですから。たった一杯の水出しダージリンを飲ませてくれただけで、ね(確かダージリン キャッスルトンだったはず)。それに続くフレーバードティーの水出しでさらにノックアウトされたあの出会いは、何年前だったかしら。フレーバードティーなんて、一生飲まなくていいとさえ思っていたのに!

ああ、もう、ほんっと、神様はズルイ。大西さんのお茶は、全てが、あまりにも特別です。今回は彼の詩的センスにあやかり、また敬意を表して、『momento poetico モメント ポエティコ』の会期中(6月1日~16日)、大西さんの茶葉を使った水出しティーや、サロンで定番だというアイスミルクティーをご用意いたします。アマンドバニーユやペパーミントティのアイスミルクティー、皆さん試されたことはありますか?芦屋のティーサロンではスペシャリテとして長い間ベストセラーだそうで、極濃いめに出した紅茶を氷でしめて甘みを加え、少量の低温殺菌乳で割る、格別に濃厚な味わいです。エスプレッソで淹れるカフェラテと同じような芳香さで楽しめるミルクティーなのです。ほかにも桜野園さんのお茶やハーブティーなど、パパろばが気分で選ぶお茶を毎日色々用意して、皆さんに楽しんでいただく予定です。目にも口にも詩的な会となりますように。

ろばのウチで愛飲するuf-fuさんのお茶はコチラでご覧いただけます。

2019-05-29 | Posted in Blog, uf-fu ウーフ(紅茶)No Comments » 

 

パンのある食卓をもっともっとシアワセに。

やっとやっと、境道一さん、境知子さん、関口憲孝さんの作品を『Pane felice シアワセのパン』Onlineページに掲載いたしました。すでにご紹介している大江憲一さん、村上雄一さん、宮下敬史さんの作品も含め、11日までの限定公開となりますのでご注意くださいね。

実店舗での『Pane felice シアワセのパン』は長いGW連休の終わり、6日の休日が最終日でした。

パンのある食卓で活躍するうつわや食べ物をテーマとして展開してきたこの企画展、連日沢山の方にお越しいただき、慌ただしいながらも充実した2週間を過ごしました。そして改めて「パンってすごい!」と感心してしまいました。

「パーラー江古田さんのパン、一度食べてみたかったんです」と遠くからかけつけてくださった方、「ベッカライさんとのコラボパンってこれですか?」と毎日SNSをチェックしてくださっていた方、リボッリータにはやっぱりイタリアパンでないと…とPanezzaさんのパンを沢山買い込む方、本当に、良く皆さんこんなにご存じだなあ、何度もすごいなあ、と。パンって、かなりの訴求力を持つ食べものなんですね。

なぜこんなにもパンという食べ物が好まれるのか?腕を組んで考え込んでしまうほど、誰もが夢中になる様子を目の当たりにしました。そう、どうしてパンはこんなにも、多くのひと、幅広い年齢層に好まれるのか。子どもからお年寄りまで、まあお年寄りになると硬いパンは苦手とかいろいろ好みもあるかもしれませんが、とにかく老若男女、一億総パン好きと言っても過言でないほど、日本人はみんなパンが好き、そんな印象があります。街を歩いていて目にするパン屋さんの多さもそれを物語っています。ろばの家があるつくば市はパンの街、と行政的にもアピールしていて本当にパン屋さんが多い。国の研究機関が集中しているため外国人居住者が多い、というのもパン屋さんが古くから発展した理由のひとつ、と市が発行している案内誌で読んだことがあります。

当店の道を挟んで真向かいにあるBäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトさんには、開店前から行列ができます。県外からパンを買いに来る人も絶えません。聞くと、他に何軒もパン屋さんをはしごするのだそうで、その情熱たるやレンタサイクルで数時間の道のりをも物ともしない、やや尻込みしてしまうほどの気合です。パンという食べ物の何が、そこまで人を動かすのでしょう。それにはもちろん、沢山の理由があるのだと思います。まずもって簡単、超がつくほどファストフードです。ペリリと紙袋から出すだけで食べられる。一食それだけで済んでしまうことも多いですよね。その割にはリーズナブルであるということもきっと大きな理由です。星付きレストランを食べ歩くお金があったら、いったい何軒パン屋さんをはしごできることか!そして、驚くほどに多様なバリエーションがある。それも人気の理由だと思います。パーラー江古田の原田さんは一日にだいたい30種類のパンをお店に並べるそうですが、原田さんが修行したお店はそれが常時300種、バリエーションで言うと400種もあるそう!ひええ~~~、400種類のパン!手軽というならおむすびだって手軽ですが、おむすびで400種の具材を揃えるのは至難の業という気がします。そして、それだけ自由にバリエーションをつけられるということは、お店によって違う味、個性を出すことが可能だということですよね。だからこそ、パン屋めぐり、などという発想が生まれるのでしょう。

今回の企画展に出ていただいたパン職人さんのお店は3店ともハードパンが主軸で、いわゆるお惣菜パン、菓子パンの部類に入るモノにあまり力を入れていません。小麦と水、そして酵母と向き合っている職人さんたちです。わたくしママろばは、あんパンだって大好きだし、チョコレートデニッシュにだって目がないし、日本の菓子パン文化を否定する側ではありません。けれどもパンを食事の中でいただく時にはやはり、パンの本場、フランスのバケットやドイツのサワーパン、イタリアの田舎パンなど、出来るだけ現地の味に忠実に作られたものを好みます。ふわふわの食パンでトマト煮込みを食べたいとは思わないし、ロールパンをスープに浸すのは遠慮したい、それが本音です。意図したわけではなかったのですが、今回はPanezzaの角谷さんはイタリアで修業したままのやり方で薪窯のイタリアパンを焼くし、ベッカライの菅原さんが修行したのはドイツです。パーラー江古田の原田さんのパンは、国籍不明、いろいろな国の良いとこどりのような形ですが、むしろイタリアではお目にかかれないようなしっかりしたチャバタ、フランスでもここまで風味のあるものは少ないだろうというようなバケットなど、ふわふわパンとは真逆の立ち位置にいます。

単にパンの硬さが問題ではないので軟派、硬派、と呼び分けるといろいろと波風が立ちそうですが、まあ、あえて分類するなら硬派の部類に入る彼らのパンにも、こんなにもファンの方がいる。それは異国の食文化に敬意を払いつつ日本人の口に合うようにアレンジするのが上手な日本人の器用さが、結果として日本におけるパン文化の二極化を生み出した。高品質な原材料にこだわった本場顔負けのパンと、日本独自の多様な創作パンの二極。そうとらえて良いのだと思います。ヨーロッパの人に、日本では全国どこでも同じ銘柄、同じ味、同じ値段で売られるパンがドラッグストアでも買えるのだと教えるととても驚きます。スパゲティナポリタンが喫茶店メニューに載っているのと同時にイタリアンのリストランテではかなりマニアックなご当地パスタも食べられる。いかなる国のものであれ、異文化の外食産業すべてに当てはまる日本独自の発展の仕方なのでしょう。沢山選択肢があるという意味では健全に発展してきた証なのかなあ、とも思います。一方で、先日もSNS等で話題になっていましたが、デパートの催事場で出されたバケットが焦げすぎているとお客さまから苦情がありパンを全て引き下げた、という事件に代表されるような、文化の未成熟さを感じるのも事実です。もっともっと、Panezzaさんの薪窯で焼いた小麦と塩と水だけが原材料のイタリアパンのように、食事と合わせてこそ真価を発揮する、つまり真の意味で主食としてのパンの楽しみ方も浸透していったら素敵だなあと思わずにはいられません。

と、またまた前置きが長くなってしまいました。ママろばの日本におけるパン文化考察をご披露するのが今回の目的ではなかったのでした。ずいぶん時間を要してしまいましたが、やっとやっと遠方の方にも『Pane felice シアワセのパン』をのぞいていただく準備が整ったのため、再度シアワセな食卓シーンを再現しよう、そう思って書き始めたのでした。いうなれば、シアワセのパンの名場面集でございます。

あの、芳ばしい香り。焼きたてのパンのある食卓は、それだけでもシアワセ。そのシアワセの食卓を、さらに楽しく、ウキウキしたものにしてくれるうつわたち。しばしの間、ブーランジェリー・ドゥ・ロバアに変身していたろばの家にはお越しいただけなかった方も、その香りを少しでも感じていただけたら、ワタシたちもシアワセです。

『Pane felice シアワセのパン』Onlineページはコチラです。


トップ画像のトマトのブルスケッタが載っているお皿は境道一さんの作品。織部釉のこのグリーンは、道一さんのイメージカラーです。パンの色はもちろん、トマトや玉子などパンによく添えられる食材を鮮やかに引き立ててくれる美しい色。薪窯ならではの色調の幅広さが魅力で、上のように淡い若草色に発色するものもあれば、下のように青銅のように深い青緑色に発色する場合もある、カメレオンのように不思議な釉薬です。フラットなプレートにはチーズやサラミなど、パンのお供を盛り合わせても映えますね。

道一さんは黒も素敵です。たっぷり入るマグカップはスープにも。


お皿は境知子さん。道一さんの黒と合わせても違和感がありません。縁のしのぎがアクセントのこのお皿は白、黒色違いがあります。マットな感じが、トーストしたパンを載せても汗を吸収しカリッとクリスピーに保ってくれそう。それにしても、Panezzaさんのイタリアパンはトーストすると外側がカリッと、中はモチモチと弾力があり食感がとてもいい。焼かずに食べた時とものすごく印象が変わります。噛みしめる度に小麦の味が口いっぱいに広がります。

知子さんといえば、ポットやカップなどの茶器。たっぷり紅茶が入る優雅なポットや横から見た立ち姿が美しいマグカップたちもぜひご覧ください。


知子さんは白磁の素晴らしく美しい台皿も届けてくださいました。これが、ちょこっとバターやパテを添えたり、フルーツやサブレやマカロンなどのプティフールを盛りつけたりするとテーブルのよいアクセントになるのです。台皿は、もっともっと活用してほしい便利アイテム。一段ほかのお皿より高くなることで、パッと目を引くうえ皆が手を伸ばしやすくなりおもてなしに重宝します。

そして、ミスターニュアンスカラーといえば関口憲孝さん。今回は、スープやシチューによいお皿やヨーグルトやスープに使えるカップ類やマグを届けてくださいました。相変わらず優しいカラーが美しく、パンの地味なブラウンカラーを引き立ててくれます。下の画像は奥のうつわも関口さん。そして…これが噂のシアワセすぎる絶品パテ・ド・カンパーニュ。長崎のImpeccableアンペキャブルの大坪シェフ特製です。あの脂身の甘さ、熟成させた時のレバーのねっとり感…忘れられません。


会期中は、パンを使ったお料理もいくつかご紹介していました。夏になると必ず食べたくなるパンツァネッラは硬くなったパンを水にひたしてからトマトや玉ねぎなどと和えて冷やして食べるパンサラダ。食欲のない時、暑くて火を使いたくない時などに最高のひと皿で、画像はシチリア風にアレンジしたパンツァネッラ。生のトマトよりもトマトの旨味をフレッシュに楽しめるイザベラおばさんのペラーティと塩抜きせずに使える香り高いアリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーをオリーブオイルで和え、生のスライス玉ねぎを和えただけの簡単パンツァネッラです。関口さんのスープ皿にトマトの赤が鮮烈でした。
アリアンナのケイパーについては別の記事でレシピを載せていますjので、ぜひ参考になさってくださいね。ケイパーを入れると途端にパンに合うおかずができますよ。そしてそれはイコール、ワインにも合うお料理がすぐにできてしまうということ。パンの企画でしたが、パンの出番は朝食だけではありません。ワインを飲むときには、どうしてもお米でなくてパンが欲しくなってしまうもの。美味しいパンに良質なチーズ、身体に負担をかけない自然なワイン。まっとうに作られたオリーブオイルもかかせません。ろばの家のあるつくば市(さらに言えば天久保界隈)は、そのどれもがすぐに手に入る恵まれたロケーション。次回は『ろばの家、春のパンまつり』はやめにして、パンにワインにチーズ(…略してパンチーワイン!どうかしら?)にフォーカスした企画にしようかな。

次回の構想(妄想?)も見えてきたところで、Onlineでのご紹介は11日まで。あと4日間だけ、ろばの家春のパンまつりにお付き合いくださいね。

 

塩抜きせずそのまま使えるケイパーは、もっとも手軽な洋風だしです。

Pane felice シアワセのパン』では、パンをもっともっと楽しむヒント集、というお題通り、パンに合ううつわだけではなくジャムやハチミツ、オリーブオイルやコショウなどさまざまな食材もご試食していただきながら紹介しています。

甘くてただ舐めるだけでもシアワセなジャム類が好評なのは想像通りですが、お味見していただくと「これはイケる!」と皆さんびっくりしてしまうのは上の画像のケイパーバター。なんのことはない、塩漬けケイパーをざくざく刻んで無塩バターに混ぜただけのものなのですが、これがもう、かなりかな~~~り、相当に、旨い。スライスしたバケットにちょいとバターナイフ(もちろん宮下敬史さんの、ね)で塗って、パクパク。ちょっと味見のつもりが、気が付くとドムッシャドムッシャ、本気で食べ進んでしまいます。「く~~~、これは、白ワイン、欲しい!」…そう。ワインのおつまみに最高の組み合わせなのです。塩漬けになっているケイパーは発酵食品でもあり、油分と出会うとケイパーのこなれた塩味と磯の香りが、より複雑な旨味をかもしだします。今日お味見していただいた方の中でも数人「軽いブルーチーズみたい!」と驚いていました。

普通の塩漬けケイパーならば、数十分水に浸けて塩抜きしなければ食べられない程塩がキツイのですが、アリアンナのケイパーは確かにしっかりした塩味ですが最低限の塩しか使っていません。そのため一般の塩漬けケイパーが常温保存できるのに対し、アリアンナのものは要冷蔵なのです。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がまったく見当たりませんよね?塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。短時間でも水に浸けて塩抜きすると、どうしても香りが損なわれてしまうからです。しかも、モンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生種。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオの、岩原で自生しているものを摘んで使っているあたり、さすがアリアンナという感じです。アリアンナの火傷するほど熱いシチリア愛については一度ご紹介したのでそちらも読んでみてくださいね。パッケージの写真を見て頂けると、葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっているのがわかると思います。これも一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい…けどベリーの方はたまにしか入ってないんですよね~。つい見つけると料理に入れずポリポリ味見してしまいます(笑)。
ではこの、実はとっても使える調味料、塩漬けケイパーの簡単すぎるレシピと使用例を。

<<ケイパーバター>>
1、無塩バター一箱(225g)を室温に戻す。
2、ケイパーを計量カップ50㏄くらいの分量とり、粗くみじん切りにして1に混ぜ込み、冷蔵庫で保存する。2週間以上冷蔵保存する場合には小分けにラップして冷凍庫で。

<<ケイパーバターの使用例>>
1、トーストしたバケットやクラッカーに塗って。
2、ポトフに添えて。
3、粉吹きイモに熱いうちに混ぜ込み、ケイパーだけが具の大人のポテトサラダに。好みでマヨネーズをプラスしても。
4、カジキマグロや鶏肉のソテーの焼き上がりに、一人前大匙一杯のケイパーバターを溶かして肉汁に和え、ソースにしても。
5、茹で上げたいんげん、スナップえんどう、ソラマメ、など豆類や、人参や蓮根などの根菜に和えて。
6、アサリのスパゲッティやキャベツや菜花などオイルベースのパスタの仕上げ、コク出しに。

と、展開例が無限なのです。ケイパーを購入する方がよく「こんなに使い切れるかしら?」と首をかしげるのですが、こんな風に色々に展開できれば、案外すぐに使い切ってしまいますよ。

続いて、もっと簡単でもっとヘルシーなオリーブオイル和えも。

<<ケイパーオイル>>
1、ケイパーを粗くみじん切りにしてエクストラオリーブオイルと混ぜ、密封瓶に入れて冷蔵庫で保存する。

<<ケイパーオイルの使用例>>
1、生の大根、カブ、コールラビなどを5㎜の厚さにスライスし、ケイパーオイルを乗せて前菜に(画像上)。
2、ドレッシングのベースに。ワインヴィネガーや柑橘を加えればそのままサラダのドレッシングになります。
(ジャガイモ、いんげん類、ゆで卵に特によく合います。)
3、タルタルソースのベースに。玉ねぎ、ゆで卵、ピクルスなどを刻み、マヨネーズとケイパーオイルで和える。
4、トマトベース、オイルベースのパスタに加えて。アンチョビやオリーブとも相性ばつぐん。
5、トマトとさらし玉ねぎと和え、ハードタイプのパンを加え、パンサラダ(パンツァネッラ)に(画像下)。

上の画像は、実はあのただのトマト、イザベッラのペラーティ(ホールトマト)とアリアンナの刻んだケイパーをオリーブオイルで和えただけのもの。そこへ、少し硬くなったパンを混ぜ込んだだけの超スピードメニューなのです。本式のトスカーナ風パンツァネッラはガッチガチに硬くなったパンを使うので、いったん水で戻してから軽く絞ったところへトマトや玉ねぎなどを加えて調理するのですが、もともとは貧しい農民食です。湿度の高い日本では、逆にそこまでガチガチに古くなったパンが家庭に常備されている(カビもせずに)ことはそうそうないので、一日たったパンやトーストしたパンを水に浸さず代用できます。イザベッラのペラーティはトマトから出た自然な水分がすでに十分美味しいので、その水分ごとパンに吸わせてしまいます。夏場は冷蔵庫で冷やしておくと、食欲のない時にもさっぱりと食べられますよ。火を使わないのも夏には嬉しいですよね。お子さんも好きな味なので夏休みなどにぜひ試してみてください。

<<ケイパー出汁>>

そして、ケイパーの意外な使い方。磯っぽい香りとこなれた塩味をお出汁に加えて、ケイパーの塩味だけで味付けするやり方です。これが、お料理好きの皆さんが目からウロコと喜んでくださる、新鮮な味わい。特にこの、ケイパーおでんはぜひ試して頂きたいスペシャルレシピです。

上記ふたつのレシピがケイパーを刻んで使うのに対し、お出汁にする場合は丸ごと使うのがポイントです。あまり長い時間液体に浸かっていると、刻んである場合には味が抜けてしまうからです。

<<ケイパーおでん(画像上)>>
1、濃いめにかつお出汁をとる。
2、煮崩れしにくい品種のじゃがいもの皮をむき、ジャガイモ一個に対してケイパー5個くらいの割合でお出しにケイパーを加え、弱火でコトコト煮る。
*ジャガイモのほか、大根やカブ、小玉ねぎ、カリフラワー、れんこん、湯むきトマト、ゆで玉子などを加えても美味しいです。

<<ケイパースープ(画像下)>>
1、玉ねぎ1個をケイパー大匙4杯程度と一緒にたっぷり目のオリーブオイルで蒸し煮にするように炒める。焦げ付かせないよう適宜少量ずつ水を足し、蓋をして炒めるのがコツ。
2、ジャガイモを食べやすい大きさに切り、1に加え、水も足しながら8分目まで火を通す。
3、トマトのざく切りを加え(イザベラのペラーティなら最高の味に。)、ジャガイモに火が完全に通るまで弱火で煮る。
4、塩味が足りなければさらに何粒かケイパーを加え、10分ほどさらに煮る。
5、食べる際に好みでバジルやイタリアンパセリを刻んで加え、オリーブオイルを回しかける。

<<ケイパーご飯>>
これはぜひとも一度試してみてください。ご試食でおにぎりにして出すと、皆さん「ええ??コレやってみよう~!」とケイパーを買って帰られますよ。
1、といだお米2合に対して大匙一杯のケイパーをそのまま混ぜ、通常通り炊飯する。だけ。

上記のほか、トマトベースのパスタに加えるのはもちろん、クリームや牛乳ベースのソースにだってアクセントとして使えます。そして、玉子との相性が抜群なので、スクランブルエッグに居れたり、マカロニサラダに茹で玉子とともに刻んで入れても。

こうしてざっくり説明しただけの使用例でも、ざっと15種類以上のレパートリーです。ケイパーは、洋風出汁にもなる便利食材。そして、何でもない素朴な味のお惣菜を、突然ワインと合うイタリア風の味に変身させてくれる、魔法の食材。しかも長期保存が可能で味も劣化しにくい塩漬け。

冷蔵庫に常備しない手はありません、よ!

アリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーはコチラ

 

Pane felice シアワセのパン
~パンをもっと楽しむヒント集~

いよいよ始まりましたよ~。ろばの家、春のパンまつり!
シールを集めて、素敵なうつわをもらっちゃおう…じゃなくてっと…誰かに怒られちゃうかな(汗)。

冗談はさておき、春のパンまつりはすでに始まっております。

なんとなんと、な豪華メンバー。パンをもっと楽しむためのヒント集。

つくば市は、パンの町と謳っているようにパン屋さんの沢山ある街。
なかでも、当店のお向かいさん、Bäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトは数あるつくばのパン屋さんの中でも都内や近隣の県からもパン好きが行列に並ぶ、名店中の名店。ご近所さんの特権を行使して無理難題をふっかけ、毎日菅原さんを困らせてしまうママろば。まんまとろばの家の食材を手渡し「あとはお任せしました!」とスペシャルパンをオーダーしてしまいました!初日の日曜日にはいきなり、仙人スパイスさんの純胡椒を使ってペコリーノフレッシュを練り込んだスティックを焼いていただきましたよ~。カリリと焦げたチーズが芳ばしい軽いパンに、ピリリと爽やかな生グリーンペッパー。食べたひとは一人残らず、ビールやワインが欲しくなったに違いありません。

そして、久々に復活!贅沢焼きパニーノも用意しました。これはもう、ひとえにAncomar社の特別なアンチョビを味わって頂くためのシンプルサンド。そのアンチョビ、どんなお味かといいますと、超高級な熟成生ハムの持つ複雑な旨味、しっとりとした肉質、上品な塩味…なにからなにまで、単なる缶詰とは思えないクオリティー。実際に食べてみないことにはわからない、言葉では言い尽くすことのできない味わいです。会場では、そんな特別なアンチョビをストレートに感じて頂くために、ニュートラルな味のチャバタ(ベッカライさんのサンドの定番!)を使用。セミドライのトマトのオイル漬けだけをアンチョビと重ならないように配置して、グリルパンの上で木蓋で押さえながら焼きパニーニに仕上げるのです。外はカリッと、中はモチッと。齧るとわかる、アンチョビの旨味。違いの分かる、大人の味わいです。

会期中は、他にもいろいろなろばの家の食材コラボパンを、毎日焼いていただく予定です。完売必須。早いモノ勝ちです!

そんな幸運な立地とイタリアワインの仕事をしていた頃からのコネ(笑)をフルに生かして、隣町の八郷にある薪窯イタリアパンのPanezzaパネッツァさん、東京は練馬区の江古田にあるパーラー江古田さん、そして、長崎の名門フレンチ、Ampecableアンペキャブルさんまで巻き込み、これでもかとパンのある食卓を充実させてしまいます。

もちろん、パンそのものが美味しいだけでは満足できません。今回は、パンをもっと美味しく楽しむためのうつわがテーマ。一見パンが主役のこの企画、どっこい主役はうつわなのです。パンは、その引き立て役(笑)。焼き立てパンをパリッと保つ木のうつわはもちろん、パンとスープも盛れちゃうゆったりプレート、スープカップ、パンと一緒のテーブルで活躍するヨーグルトカップやサラダボールなど、パンのある食卓をさらに豊かに彩るうつわを揃えました。今後もまだまだ入荷しますよ~。

…Pane felice、シアワセのパン。

ほっかほかの焼き立てパンは、それだけでもシアワセの象徴。

こんがり焼けたトーストに溶け出すバター、オレンジ色のジャムをたっぷりつけて、ポットには香り高い紅茶。
とびっきりのパテにマスタードを添えて。世界一美味しいアンチョビはいかが?

さあ、パンをもっと楽しむためのヒント集、存分にご活用ください。


『Pane feliceシアワセのパン』
~パンをもっと楽しむためのヒント集~

会期:4月21日(日)~5月6日(月祝)12:00~18:00
会期中も月・火曜日はお休み(5/6・祝は営業)

パンのある食卓で活躍するうつわ:
大江憲一 、村上雄一 、宮下敬史(木工) 、境知子、境道一、関口憲孝、ほか(敬称略)

噛みしめるほどに美味しいパン:
Bäckerei Brotozeit 、Panezza 、パーラー江古田
パンに合うスペシャルなパテ:Impeccable

*パンやパテ、その他フードに関しては日替わり、数量限定のためご来店の前にSNSなどで最新情報をご確認ください。
別ページにパンカレンダーを用意しますので、そちらもチェックしてくださいね。


*Online Shopには準備ができたものから順に掲載させて頂きます。会期中追加で到着するうつわも多数ありますので、今後も随時チェックしてみてくださいね。

『Pane felice シアワセのパン Online』 のページはコチラです。