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実はかなり自信があります。お海苔にわかめ、ひじきに煮干し。ろばの家の海産物自慢。

これ、ろばのウチでは数年前から定番となっている「ちかえりチャンプルー」。はっきり言いましてめっちゃくちゃ美味しいです。はじめて家庭菜園でゴーヤを植えた昨年などひと夏に何十回やったんだろう?というほど食べました。もう、わっさわっさ丼ぶりいっぱい食べられてしまう。正直、豚肉でつくるゴーヤーチャンプルーよりも好きなんじゃないかと思う。ちかえりって何?という人もいるかな?

これです、これ。銀白色のピッカピカ。み~んなピーン!と背筋が伸びていかにも生きが良さそうでしょう?

ちかえりとは全長約3㎝くらいの小ぶりのいりこのことです。当店で扱ういりこはすべて山口県周防大島近海のもの。いずれもカタクチイワシの煮干しですが、この地方ではちりめんといりこの中間くらいの4㎝ほどのいりこを「かえり」と呼び、それよりさらに小さいものをちかえりと呼ぶのだそうです。そもそもいりこと煮干しは同義のことばで、関東では煮干し、関西ではいりこと呼ばれています。地方によっても呼び名や分類が変わりますが大きさによって、小羽(こば4〜5cm)、小中羽(こちゅうば5〜6cm)、中小羽(ちゅうこば6〜7cm)、中羽(ちゅうば7〜9cm)、中荒(ちゅうあら9〜10cm)、大羽(おおば10cm以上)と細かく分類されています。

要するに、カタクチイワシの稚魚の煮干しであるちりめんよりは大きく、お出汁に最適とされる中羽の半分くらいのサイズのものが「ちかえり」。ちりめんよりも育っているので骨も成長してカルシウムが豊富。小さいうちは上品であっさりしたお味ですが成長とともに若干のほろ苦さもでてきて旨味も濃厚になってゆきます。ちかえりは苦すぎず旨味が強く、幅広いお料理に使えます。

まず第一に試していただきたいのが乾煎り。フライパンで3~4分、色づかない程度にカリっと炒るだけだけです。電子レンジでもできますよ。これがもう、やめられない止まらない。サックサクポリポリ、ビールのおつまみに最高なんです。悲しいかな、ワインとは宿命的に合わないですが…。

そして、ぜひいつものおかずのお肉をこのちかえりに置き換えてお料理してみて欲しいのです。当店のいりこはすべて山口県周防大島の田中海産さんのものですが、田中さんに「地元ならではのいりこ料理って何ですか?」と聞いてみたところ「ちかえりやかえりでよく肉じゃがを作りますねえ。お出汁もでて美味しいんですよ」と教えてくださいました。作り方はいつもの肉じゃがとまったく同じ。玉ねぎとジャガイモを(できればたっぷり目の地あぶらで)炒めてちかえりを加えてよく炒め、お酒を加えてひと煮たちしたら少量のお水とみりん、少ししてからお醤油を加えてジャガイモに火が通るまで蒸し煮にするだけ。汁気がなくなるまで煮切ってもお出汁を残してお出しごと一緒に食べるのでも。このちかえりじゃがのアレンジにおすすめなのが仕上げにふじわらさんのおいしい唐辛子をひと匙。韓国風のちかえりじゃが、ビールのおつまみにもなりますよ。

冒頭画像のちかえりチャンプルーは、ぜひともマスターしていただきたい簡単料理。冷蔵庫にお肉がなくたって、このちかえりさえ常備しておけば季節のお野菜に合わせてチャチャっと15分くらいで出来上がりです。まだまだ名残のゴーヤが出回っている時期。今シーズン最後のゴーヤで試すもよし、ピーマンでもよし(ピーマンの場合はあらかじめ半切りにしたピーマンを両面こんがり焼きつけておくと美味しくできます)、冬は小松菜やホウレンソウ、青梗菜などの青菜と合わせても美味しくできます。揚げは厚揚げや水切りしたお豆腐に変えても、ないときはお野菜だけでも十分。キャベツや玉ねぎ、にんじん、もやし加えても美味しくできます。


『ちかえりチャンプルー』 4人前

<<材料>>
ちかえり:ひとつかみ~ふたつかみ
ゴーヤ:大2~3本(種とワタをとり、5㎜に輪切り)
油揚げ:2枚(厚揚げなら1丁。新鮮ならばそのまま。一日以上たっていれば湯通しする)一口大にカット
玉子 2個(ボールに溶いて軽く塩、コショウをしておく)
にんにく1かけ、鷹の爪(輪切り唐辛子)お好みで
地あぶら 適宜、しこの露(魚醤)大匙1、日本酒大匙2、塩、白コショウ

<<作り方>>
1、フライパンをよく熱し多めの油を入れて溶き卵を流しいれる。ジュワ~ッと縁がチリチリ膨らむくらいの火加減で、一拍おいてから菜箸でおおまかに混ぜ、半生のふわふわ玉子焼きをつくり、お皿に開けておく。

2、1のフライパンにそのまま多めに油を足して弱火にかける。潰してざっくり刻んだニンニクの香りが出てきたらかえりを入れて焦がさないよう炒める。ちかえりに色が付く手前で切った揚げを加えさらに香ばしく炒める。粗焦げしないよう注意。

3、2にゴーヤを加え強火にして炒める。シャッキリ感が残っている程度に火が通ったら日本酒としこの露を加え、日本酒が蒸発したところで1の卵を戻し木べらでさっくりと卵を崩しながら全体を混ぜる。混ぜすぎないよう注意。


卵がふんわり、ゴーヤがシャッキリとジューシーに、ちかえりがカリっと仕上がれば最高です!ご飯に乗っけても美味しいですよ。

ちかえりはあの「乾物革命」でおなじみ寒ひじきの田中海産さんのもの。ほかにも焼ばらのり、カットわかめ、秋いりこがありどれもこれもこれまで体験したことがないほど美味しいものでした。田中海産さんのおかげでろばのウチのおかずの幅が広がったので、これから少しずつ新定番メニューをご紹介してゆきますね。

◇◇田中海産「ちかえり」のページはこちら

 

 

サラダもマリネもこれ1本ですべて完結。飲めてしまうまろやかさの白バルサミコ。

ろばの家の定番調味料のなかでも間違いなくリピート率No.1. リピート頻度もNo.1でしょう。そのくらい皆さん「もう手放せない」と頼り切ってしまう便利さのワインヴィネガーです。前回入荷分から内容は変わらずボトルの形状とラベルをリニューアルしています。下の画像の細長いボトルだと見覚えがありませんか?3ヶ月間欠品していただけでお問い合わせが殺到。わが家もそうですが、このお酢なしには一日もままらならいという状態が全然大げさじゃないんです。

イタリアの中部、伝統的なバルサミコ・ヴィネガーで有名なモデナ近郊の生産者Sante Bertoniサンテ・ベルトーニのものです。あの、トロリとしたアチェート・バルサミコは黒ブドウで作られていますが、こちらはその白ブドウ版。かつもっとフレッシュな状態のお酢だと思ってください。ゴクリと飲めてしまうほどまろやかでツンツンしない優しい酸味、100%有機ブドウ由来の自然な甘さ。ワインを作る元のぶどうジュースを若干煮詰めて糖度を高めてからお酢にしているのです。お砂糖を使わずにマリネ液が出来るので、日本でも今やサラダの定番となっている”人参のラペ”も、塩とこのヴィネガーだけでササッと作れてしまいます。ドレッシングなど作る必要なし。千切り人参をボールに山盛り作ってお塩をパラパラと振りかけ、そこへこの白バルサミコを回しかけてざっくり混ぜれば完成です。これがまた、べらぼうに美味しい。ウチのチビろばたちはこのヴィネガーで和えるだけでかなり小さな頃から生野菜をバリバリ食べてくれていたので相当助かりました。2歳くらいだと生野菜って、なかなか食べてくれないですからね。でもホント、大人ならひとりで人参2本分くらい軽く平らげられます。お好みでオリーブオイルを少々加える場合でも、ダイレクトにサラダにかけて混ぜ込むだけでよいのです。粒マスタードを少々加えればビストロで出てくるようなラペの味がお家で楽しめます。

ところで、下の写真はワタクシママろばが家にひとを呼ぶときによく作るサラダ。実はただの千切りキャベツなんです。ホームパーティーで千切りキャベツなんて、出したことないでしょう?これが皆さん、ハマるんです。眼からウロコの美味しさなのです。ひとに食べさせると「レシピ教えて!」と言われるのですが、例によって千切りキャベツに塩をパラパラッと振って、この白バルサミコとガリガリ挽いたコショウをかけただけなので「ごめんなさい。」と申し訳なくなるのです。ただ、塩の花マリチャのブラックペッパー(ロッソ・スクーロかネロがおススメ)で武装しているので、ただこのお酢で和えただけというのは嘘になっちゃうかな。どちらも超絶に旨味が強いですからね。もちろん、お手持ちのお塩、コショウでも相当美味しくできるはずですよ。誰がやっても美味しくできてしまう、絶対ハズさない…そういう類のお手軽さがウリなのです。でもまさか、千切りキャベツがおもてなし料理になるなんて思わないでしょう?トンカツに添えるだけが彼の居場所じゃないのです。ポン酢で食べるよりも塩味を押さえることができるので相当な量のキャベツを食べられますよ。パスタの時や、焼肉、お鍋など何かお野菜でもう一品欲しい時に重宝します。

千切りキャベツ、人参、などひとつのお野菜単体でこの白バルサミコ酢を使うのならばさらし玉ねぎを塩と白バルサミコ酢でマリネしておくのもおススメです。この玉ねぎマリネ、ポテトサラダやマカロニサラダに混ぜたりハムやツナ、ゆで玉子などと一緒にサンドイッチの具にしたり、焼肉で巻いたり、魚介類のお刺身にオリーブオイルと和えてマリネにしたり、作り置きしておくとかな~り重宝します。薄切り玉ねぎを少し多めの塩でもみ、氷水に放してしばらくしてから絞ったものに白バルサミコ酢を和えてガラスの保存容器に入れておけば1週間ほど持ちます。夏場、ざく切りのトマトをこの玉ねぎで和えて出すと、チビろばたちは残った汁まで飲み干します。余ったご飯で出来るライスサラダも、ろばのウチでは定番でなんどもお店のご試食に出しています。

そして、一見上級者向きですが実は超簡単でものすご~く美味しくできるのが果物をこの白バルサミコ酢で和えたサラダ。いちじく、柿、りんご、夏みかんなど好みの果物をサラダに入れてみてください。あらかじめ果物をマリネしておくのがポイントです。はじめに果物を切って軽く塩をしてから白バルサミコ酢で和えておき、それをレタスやベビーリーフ、ルッコラなどのグリーンサラダにさっくり混ぜ込むのです。甘酸っぱい果物がアクセントになって、ルッコラやからし菜などほろ苦い葉野菜でもモリモリ食べれられる味になります。柿と春菊、りんごとほうれん草、いちじくとルッコラ、夏みかんとセロリなど、ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせが沢山。果物と野菜だけだと味がつながらないところを、白バルサミコがどちらもうまく絡むようにまとめてくれるのです。イチジクなど、果物として食べるよりサラダで食べる方が美味しさが引き立つ気がします。

でも、この白バルサミコ酢はサラダやマリネだけが得意なのではないのです。意外や意外、炒め物にも大活躍。コクのあるマリネといった感じでしょうか。お酢の効果で冷めても油っこくならないしお肉も柔らかいままなのでお弁当などにも重宝します。この白バルサミコで試してみていただきたいサラダ以外のレシピが沢山。最近お客様が教えてくださったゆで玉子のピクルスがすっごく美味しかったのでレシピに加えさせていただきました!


【New!】ゆで玉子とケイパーのピクルス
材料:ゆで玉子(沸騰してから10分の固ゆで) 好きなだけ
アリアンナオッキピンティの塩漬けケイパー ゆで玉子1個につき10粒程度*
*アリアンナのものでないときは量を半分に
サンテベルトーニのアグロドルチェ 必要なだけ

1,ゆで卵を用意。長期保存したい方はしっかり固ゆでに。
2,ゆで卵は殻をむいて煮沸した保存瓶に入れる
3,ケイパーを間にパラパラと散らし全部浸る量のアグロドルチェを注
4,冷蔵庫で翌日から美味しく食べられます。冷蔵保存で2週間~3週間持ちます。
【ポイント1】漬けるときに隙間にざく切りにした赤玉ねぎを詰め込むとお酢の量を少なく抑えられるうえ一緒に玉ねぎのピクルスもできます。玉子ピクルスはそのままお弁当にも大活躍。全部の具材をざく切りにして、お酢ごと茹でたてのジャガイモと和えてもサッパリしたポテトサラダに。
【アレンジ1】玉ねぎ、ケイパーごとゆで卵をみじん切りにしてマヨネーズ、少量のヨーグルトと和えると極上のタルタルソースができます。
【アレンジ2】残ったヴィネガーは適度に塩分とうまみが出ているのでサラダに使えます。


◇◇いろいろキノコのマリネ

しいたけ、えのき、エリンギ、マッシュルームなどお好みのきのこを全て食べやすい大きさに揃えて切り、潰したニンニクを入れたオリーブオイルを熱して強火で炒め、最後に塩、コショウで味を整えたら火を止め、白バルサミコをたっぷり回しかけ軽く混ぜる。お好みで赤唐辛子を少し加えても。酸味が足りない時にはレモンを少し絞って。


◇◇豚肉、玉ねぎのマリネ

豚バラ肉(薄切りもも肉、切り落としなどでも)は薄めにスライスして、オリーブオイルで炒める。塩をしてからスライスした玉ねぎを加え、1~2分炒めたら白バルサミコ酢をお好みで加え、さらに1分程度加熱し火を止める。


◇◇鶏肉のソテー(かじきマグロでも)
鶏もも肉(かじきの切り身)は軽く塩をしてオリーブオイルで皮目から焼く。両面こんがり焼き色をつけてから薄切り玉ねぎをフライパンのわきに加え、さらに白バルサミコ酢と刻んだケイパーを加えて軽く混ぜ、蓋をして蒸し焼きにする。お肉に火が通ったらバターをひとかけら加えてフライパンを揺すり、煮詰まったお酢をとろりとしたソース状にしてお肉にかけていただく。


どれもこれも、美味しそうじゃないですか?全ての画像が無くてごめんなさいね。普段作った時に撮りためておかなきゃダメですね。とにかく酸味がまろやかなのでたっぷり使ってもツンツンしません。

でも、まずはお野菜単品をざくざく切って、そこに美味しいお塩とこの白バルサミコ酢をかけてさっくり混ぜただけの超シンプルサラダから、ぜひお試しください。もちろん、レタスだけでも見違えるほど美味しく仕上がります。もうドレッシングなんて買う必要がなくなりますよ。お酢なので開封後も常温保存可能です。これこそ、一家に一本。東が『しこの露』なら、西はこの白バルサミコ、サンテ・ベルトーニのアグロドルチェにお任せです。

【2021年5月入荷分より新ラベルにリニューアル。容量・お味は変わりません】
サンテ・ベルトーニのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)はコチラです。

こちらの記事は、2018年9月の定番展の時に書いたものをリライトしています。輸入元完売のため長らく欠品していましたがようやく入港との連絡がありましたので再びご紹介しています。

 

Zucchine al vecchio contadino ズッキーニの農夫風煮込み。イタリアで最も感動したズッキーニ料理。

イタリアで食べたズッキーニ料理の中で最も感動したのがこれ。多分ズッキーニの一番美味しい食べ方なんじゃないかと思う。ズッキーニといえばグリルにするのがイタリアでも一般的だし一番いい食べ方だと信じていたけれど、シチリアのおじいちゃんがブドウ畑の休憩小屋で作ってくれたこの煮込みは衝撃的に美味しかった。

赤唐辛子の利かせ方が絶妙で田舎パンを浸して何杯もおかわりしてしまいました。その時はペコリーノ・シチリアーノ(羊乳のチーズ)でしたがパルミジャーノで代用。チーズ味がズッキーニより前に出ないよう量を抑えること、たっぷり使うオリーブオイルは良いものを使うこと以外にはさしてポイントはなく、ただ蓋をして弱中火で30分煮込むだけの簡単料理。

ズッキーニをかなり沢山使うので(ガッカリするほど嵩が減ります)、ひとり3~4本は軽く消費できますよ。届いたばかりの中村恵子さんのインディゴ釉のうつわに映えて夏っぽい!冷やして食べても美味しいです。

では、早速レシピを。…レシピと呼べないくらいの簡単料理ですが、何度でも繰り返し作りたくなる夏の定番料理になってくれると思います。


Zucchine al vecchio contadino  農家のおじいちゃん風ズッキーニの煮込み* (*イタリアにはこの名前のレシピは存在しません)

ingredienti 材料 5~6人分
:ズッキーニ 中くらいのもの6~8本(1㎏~1.5㎏)、E.V.オリーブオイル大匙4、にんにく2かけ、塩大匙1、パルミジャーノチーズ30~50g(粉におろす)、輪切り赤唐辛子 お好みで

Preparazione 手順:
1,ズッキーニは洗ってひと口大の乱切りにする。

2,鍋にオリーブオイルと潰したニンニクを入れ弱火にかける。香りが出たらズッキーニを入れて全体に油をいきわたらせる。

3.蓋をして弱めの中火にかけて、10分おきくらいに下からよく混ぜながら30分程度煮込む。ズッキーニから水分が出るので焦げ付きません。ズッキーニの品種や鮮度などにより水分が少なく焦げ付きそうな場合は少しずつ水を足し焦げないように保つ。

4.ズッキーニに火が通り縁がトロトロとしてきたらチーズと赤唐辛子を加え、塩加減を確かめて足りなければ塩を足す(分量外)。蓋をして軽くひと煮立ちすれば出来上がり。熱々のところをパンを浸しながらスープのように食べても、冷やしてお惣菜にしても。

アレンジ:このままパスタソースにしても美味しいですし、海の幸と合うのでアサリのワイン蒸しやイカのサッと煮を加えてもとっても美味しい…のですがまずは純粋にこのズッキーニのクリーミーさを楽しんでみてください。

今回はいろいろな品種を混ぜて作りました。全部で1.3k。火の通り具合はバラバラでトロットロに煮崩れたところとホロっと身が残る感じと差があっても面白いので切り方も適当でOK。この料理、瑞々しく仕上げたいのでいつもは笹川流れの塩の花で作っていますが、今回は昆布塩を使用。ズッキーニって磯の香りがするので昆布は絶対に合う!と思って。美味しいお塩なら何でもいいですよ。

そういえば、ニンニクの下処理をする際によく「皮がむきにくい」と苦戦している方を見かけるのですが、イタリアの厨房ではみんなバン!と包丁で皮ごと潰してから皮を剥きます。早いですよ。

はじめはこんな感じですが10分ほどでこう↓なります。グツグツ、常に沸いているくらいの中火でOK。弱火でコトコト、というほどでもないのですぐに火が通ります。


30分ほど煮込むとこのくらいトロトロになりますのでおろしたチーズと輪切り唐辛子を投入します。

ちなみに今回はパルミジャーノ・レッジャーノを使用していますが、イタリアで食べた時にはペコリーノ・シチリアーノ(シチリアの羊乳のチーズ)でした。熟成しすぎていない美味しいものが見つかればぜひペコリーノでやってみてください。よりミルキーに仕上がります。チーズをおろす時に使うのはFDさんのオロシ。手早くサクサクおろせてふんわりした粉チーズができます。こびりつきにくい仕様でお湯で流しながらタワシで軽くこするだけできれいに洗えてしまうスグレモノです。
これで約30g。ズッキーニを楽しみたいのでチーズはあくまでコク出し程度。
そして、この料理の決め手でもあるのが実は赤唐辛子!ウチではやまつ辻田さんの国内産輪切り唐辛子を使っているのですが風味の良さはちょっと別格です。ここのものは何でも別格ですが。なんというか、やまつさんの鷹の爪に出会うまでは唐辛子だけでこうまで味に違いが出ると知りませんでした。そのくらい違います。マリチャのコショウに出会った時と同じくらいショックでした。そもそも鷹の爪というのが赤唐辛子の総称ではなく品種名だということを知ったのもやまつさんと出会ってから。本当の鷹の爪は小ぶりで房なりせず、一本の枝に赤い実がひとつっきりしかつかないのです。やまつさんでは創業以来100年以上種を取り継いでいる純血種の鷹の爪を使用。キッパリとした辛味と果実のような香りは他に類を見ません(詳しくはやまつさんの「あれもこれも鷹の爪にあらず」を参照)。噛んでしまった時でも辛いには辛いのですがとにかく後に残らずスキッと切れる辛さが心地よい!そして旨味さえ感じる深い味。エスニック料理などに使っても違いは歴然なのでぜひ一度お試しあれ。もちろんホールの鷹の爪をご自分で輪切りにしても同じ味わいです。面倒でなければ、ね。

塩でもオリーブオイルでも、良いものをお使いください。お料理が格段に美味しくなります。ここでのレシピの分量は上記の調味料を使っているため、量産品だとお伝えしたい味にはなりません。笹川流れのような甘みや旨味の強い塩に慣れていると、同じ感覚で量産品を使った時に塩味ばかりがキツく感じて失敗してしまいます。

同様に絶対に譲れないのがオリーブオイルの品質。オリーブって本当に栽培・収穫において人件費や管理費がとてつもなくかかるし、下手をするとワインよりもコストが嵩むのでは?というハイリスクな農産物なんです。シチリア島でオリーブの収穫をお手伝いして「これは高くても当たり前だわ」と想像以上の大変さに驚きました。やはりそれ相応のお値段を払わなければよいものには出会えません。一定以上の価格帯であれば必ずしも味わいが価格に比例するわけではないのですが、ある程度は仕方がないものと理解して欲しいです。ゴマ油などと一緒ですね。

シンプルなお料理なだけに、調味料とオイル選びは大切。ぜひ良質のものを使ってお試しいただきたいレシピです。

 

お豆料理のバイブル。美味しくてヘルシーでその上簡単。365日地豆の料理を発信し続ける伊藤美由紀さん。

地豆は、絶滅危惧食品なんです。もうあと数年でなくなってしまうかもしれない品種もあります。

…そう警告を発するのは、札幌を拠点にコピーライターとして活動する伊藤美由紀さん。この『地豆の料理~食卓に並べやすい日本の在来豆アイデアレシピ100~』というレシピブックの著者です。プロフィールには「豆の大産地である北海道在住。豆と豆料理の愛好家。北海道遠軽町の雑穀商「べにや長谷川商店」との出会いから在来豆の魅力に開眼。以来、作ってきた豆料理の数は500以上。家庭菜園では在来豆を育て成長過程を愛でる、食べる、加工するを実践。豆のある暮らしを楽しんでいる。豆の魅力を伝えたいと願う豆の写真家でもある。」とあります。

2016年の国際豆年に合わせて出版されたというこの美しい本。実は全くの偶然からつくば市の図書館で、豆レシピを探していて発見しました。まずはその写真の美しさに目を奪われました。でもレシピに出てくるのは聞いたことのあるお豆ばかり。これって、べにや長谷川商店さんのお豆を使っているのでは?案の定、本の最後に「在来種の豆を買えるお店」という欄があってべにや長谷川商店の名前がある。そしてその後に続くのは…村上農場さん!!やだあ。もしかして、村上さんのお知り合いかも?北海道の上士幌で、とびっきり美味しいジャガイモを作る農家さんです。スーパーで売られているジャガイモと同じ名前で呼んで良いものか?と戸惑うほど味わいが傑出したおイモやとうもろこし、お豆をつくる村上農場さん。実はママろば、ワインの仕事時代にお世話になった方なのです。早速連絡してみると…やはり伊藤さんとは古くからのお知り合いでした。

せっかく地豆の企画をするならとご紹介をお願いして2018年にはじめて『豆まめしく』と題し豆料理をテーマにしたうつわとお料理の企画展で書籍を販売させていただく運びとなったのです。そして信じられないご縁というか「滅多に東京出張なんて入らないんだけど、急に決まったからこれはつくばに行けということだな、と思って」と伊藤さん。なんと企画展がはじまる1週間前にろばの家に遊びに来てくださいました。「本の中の写真は8割方自分で撮ったかな~。ほら、料理している手元とかはさすがに自分じゃ撮れないからプロにお願いしました」伊藤さんからきいてびっくり。これ、趣味のレベルじゃないでしょう…。べにやさんから出ているポストカードのお豆写真も伊藤さんの作品。展示会場にもディスプレイしていましたが、宝石のように色とりどりで美しい地豆たちへの愛がダイレクトに伝わってきます。

伊藤さんの本に出てくるお豆レシピは、これまで信じていた手順と微妙に違うものもあります。え?戻したお豆を素茹でせずに直接お肉と煮込んじゃっていいの?いんげん豆も水に浸さず調理できるの?何だか目からウロコのレシピが次から次へと飛び出してきます。そして素材の組み合わせ!絶対に自分では思いつかなかったような意外な取り合わせ…でも美味しそう!やってみたい!見るとレシピの行数がどれもこれも少ない。恐ろしく簡単そうで、これなら自分にもできそうです。それでいて、メインのおかずになるような立派なレシピが沢山載っています。

「在来種である地豆は、改良種と違って育てるのに本当に手がかかるから、農家の人はどんどん作るのをやめてしまう。特に高齢者が多いので、長くツルを伸ばして高いところで棹に結ばなければならい地豆を育てるのはキツイ作業なんです。手を挙げっぱなして血が下がり、麻痺してしまうこともあるんですよ。」伊藤さんは、わたしたちが地豆を消費しないと本当にもうあと数年で栽培が途絶えてしまい、この世から姿を消してしまう品種があるのだと教えてくださいました。「だからいかに手間を省いて簡単に、かつ美味しく作れるか。そこに最も注力しました。」わたしが伊藤さんが紹介しているレシピは例えば郷土料理などの伝統的な手法なのかと質問したとき、そう答えました。あれこれ試行錯誤して編みだされたレシピなのです。

伊藤さんはもともと個人的にお豆が好きでよく調理していたのに地豆の存在は知らないでいたところ、新聞で長谷川清美さんの記事を見つけて興味を持ち、早速知らない名前のお豆を3㎏ずつ10種類ほど取り寄せてみたのだそう。「箱を開けた時、まずそのビジュアルにやられました」こんなにも美しく、こんなにも色々な形、色のお豆があるなんて…」でも一番驚いたのは味の違いです。どれもこれもこれまで調理していたお豆より味が濃い!びっくりしました。でも、30㎏って結構消費するのが大変でしょう?世界中のお豆レシピを片っ端から試してブログにアップしていたところ、とある編集者の目に止まり声をかけられて…というのがこの本出版のきっかけだったのだそう。

はじめはべにやさんのお豆を調理しては「こんなの作りましたよ~」と写真付きでレシピを送ってあげたりする程度だったのがポストカードに採用され、さらには書籍出版の運びとなり…。なるほど、べにや長谷川商店の『豆料理』の裏表紙には、レシピ協力:伊藤美由紀とちゃんと書いてありました。

伊藤さんはgreenshellbeanというネームでインスタにも地豆料理を投稿されていて、毎日美味しそうなお豆料理えおアップされていますので、ぜひフォローしてみてください。お料理のセンスだけでなくスタイリングのすばらしさにも参ってしまいます。あれ?このうつわ…加地学さん?と思ったらやはり!#加地学 うつわ とあります。兄貴~~~!!ひとしきり伊藤さんと「カッコイイよね~~~。本人もカッコイイけど、生き方がね~~~!」と盛り上がりました。いえいえ、美由紀さん。美由紀さんの地豆にかけた人生も、相当にカッコいいですよ。

ママろば、伊藤さんにお会いした直後から企画展に向けてお豆料理1000本ノック。会うなり質問攻めにしてお豆料理のアドバイスをいただいたものでした。それから3年、わたしだけでなくパパろばも最近では毎日のようにお豆を戻してお店で試食に出したり、だいぶんお豆キャリアがついてきましたよ。皆さんもぜひこの本をきっかけに、地豆の楽しさに気付いていただければこれほど嬉しいことはありません。

おりしも、ママろばは目下高血圧の治療のため「玄米菜食」を勧められ極力お肉や動物性油脂を避け、お豆や海藻類をメインの食事を主体にするよう指導され食生活を見直している最中。お豆料理は健康なだけでなく、一週間にたった一食でもお肉の代わりにお豆を取り入れるだけで世界中のさまざまな問題(家畜の飼料、そこから派生するエネルギー消費などなど)を解決できる助けとなるという試算があちこちの研究機関から発表されています。

そう、冗談ではなくお豆は世界を救うのです。まずは自分自身の健康のため。家族のため、世界のため。美味しく楽しく美しいお豆料理、始めてみませんか?
*この記事は2018年3月にOnline ShopのNewsページに掲載された記事を今回の書籍再入荷に合わせてリライトしたものです。

 

 

塩抜きせずそのまま使えるケイパーは、もっとも手軽な洋風だしです。

待望の新ヴィンテージが到着! 来週14日より発送開始です。春に一度輸入元のヴィナイオータさんでも完売していたのでウチでもケチケチ使ってきましたが、やっと心置きなく使えます。ろばの家がご紹介しているイタリア食材の中ではSante Bertoniのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)に次いでお問い合わせが殺到する人気の食材。唯一無二のケイパーですからね。一度使うと違いは歴然。皆さんのお宅でも必需品として定着してきたようで嬉しい限りです。

調味料としても具材としてもハーブとしても活躍してくれる万能選手なのでただ刻んでポテトサラダに混ぜる、オムレツの具にする、ソースにする、など使い方は無限大です。下の画像はろばのウチの定番ポテサラ。具は潔くケイパーのみ。変化球でゆで卵を刻んで混ぜたバージョンは子供たちに大人気。画像は熱いうちにオリーブオイルとアグロドルチェ、レモン少々、塩で味付けした粉吹きイモを混ぜただけのシンプルサラダでそれも美味しいのですが、おとなしくマヨネーズで和えてケイパー、でもGoodですよ。チビろばちゃんも、オリーブは苦手というのにケイパーは大好物。掘り出して食べます(笑)。

店頭で試食していただくと「これはイケる!」と皆さんびっくりしてしまうのは冒頭の画像のケイパーバター。なんのことはない、塩漬けケイパーをざくざく刻んで無塩バターに混ぜただけのものなのですが、これがもう、かなりかな~~~り、相当に、旨い。ちょっと味見のつもりが、気が付くとドムッシャドムッシャ、本気で食べ進んでしまいます。

く~~~、これは白ワインが欲しい!ワインのおつまみに最高の組み合わせなのです。塩漬けになっているケイパーは発酵食品でもあり、油分と出会うとケイパーのこなれた塩味と磯の香りが、より複雑な旨味をかもしだします。お味見していただいた方の中には「ブルーチーズみたい!」と驚いた方も。

普通の塩漬けケイパーならば数十分水に浸けて塩抜きしなければ食べられない程塩がキツイのですが、アリアンナのケイパーは最低限の塩しか使っていません。そのため一般の塩漬けケイパーが常温保存できるのに対し、アリアンナのものは要冷蔵なのです。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がまったく見当たりませんよね? 塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。短時間でも水に浸けて塩抜きすると、どうしても香りが損なわれてしまうからです。しかも、モンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生種。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオの、岩原で自生している品種を選ぶあたり、さすがアリアンナという感じです。

アリアンナの火傷するほど熱いシチリア愛については一度ご紹介したのでそちらも読んでみてくださいね。パッケージの写真を見て頂けると、葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっているのがわかると思います。ケイパー自体はつぼみですからね。つぼみ以外も一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい。ただしベリーの方はたまにしか入ってないので見つけるとつい料理に入れずポリポリ味見してしまいます(笑)。

ではこの、実はとっても使える調味料、塩漬けケイパーの簡単すぎるレシピと使用例を。

<<ケイパーバター>>
1、無塩バター一箱(225g)を室温に戻す。
2、ケイパーを計量カップ50㏄くらいの分量とり、粗くみじん切りにして1に混ぜ込み、冷蔵庫で保存する。2週間以上冷蔵保存する場合には小分けにラップして冷凍庫で。

<<ケイパーバターの使用例>>
1、トーストしたバケットやクラッカーに塗って。
2、ポトフに添えて。
3、粉吹きイモに熱いうちに混ぜ込み、ケイパーだけが具の大人のポテトサラダに。好みでマヨネーズをプラスしても。
4、カジキマグロや鶏肉のソテーの焼き上がりに、一人前大匙一杯のケイパーバターを溶かして肉汁に和え、ソースにしても。
5、茹で上げたいんげん、スナップえんどう、ソラマメ、など豆類や、人参や蓮根などの根菜に和えて。
6、アサリのスパゲッティやキャベツや菜花などオイルベースのパスタの仕上げ、コク出しに。

と、展開例が無限なのです。ケイパーを購入する方がよく「こんなに使い切れるかしら?」と首をかしげるのですが、こんな風に色々に展開できれば、案外すぐに使い切ってしまいますよ。

続いて、もっと簡単でもっとヘルシーなオリーブオイル和えも。

<<ケイパーオイル>>
1、ケイパーを粗くみじん切りにしてエクストラオリーブオイルと混ぜ、密封瓶に入れて冷蔵庫で保存する。

<<ケイパーオイルの使用例>>
1、生の大根、カブ、コールラビなどを5㎜の厚さにスライスし、ケイパーオイルを乗せて前菜に(画像上)。
2、ドレッシングのベースに。ワインヴィネガーや柑橘を加えればそのままサラダのドレッシングになります。
(ジャガイモ、いんげん類、ゆで卵に特によく合います。)
3、タルタルソースのベースに。玉ねぎ、ゆで卵、ピクルスなどを刻み、マヨネーズとケイパーオイルで和える。
4、トマトベース、オイルベースのパスタに加えて。アンチョビやオリーブとも相性ばつぐん。
5、トマトとさらし玉ねぎをヴィネガーで和え、ハードタイプのパンを加えてパンサラダ(パンツァネッラ)に(画像下)。

上の画像は、実はあのただのトマト、イザベッラのペラーティ*(ホールトマト)とアリアンナの刻んだケイパーをオリーブオイルで和えただけのもの。そこへ、少し硬くなったパンを混ぜ込んだだけの超スピードメニューなのです。本式のトスカーナ風パンツァネッラはガッチガチに硬くなったパンを使うので、いったん水で戻してから軽く絞ったところへトマトや玉ねぎなどを加えて調理するのですが、もともとは貧しい農民食です。湿度の高い日本では、逆にそこまでガチガチに古くなったパンが家庭に常備されている(カビもせずに)ことはそうそうないので、一日たったパンやトーストしたパンを水に浸さず代用できます。イザベッラのペラーティはトマトから出た自然な水分がすでに十分美味しいので、その水分ごとパンに吸わせてしまいます。夏場は冷蔵庫で冷やしておくと、食欲のない時にもさっぱりと食べられますよ。火を使わないのも夏には嬉しいですよね。お子さんも好きな味なので夏休みなどにぜひ試してみてください。
*ペラーティは現在欠品中です。

 

<<ケイパー出汁>>
そして、ケイパーの意外な使い方。磯っぽい香りとこなれた塩味をお出汁に加えて、ケイパーの塩味だけで味付けするやり方です。これが、お料理好きの皆さんが目からウロコと喜んでくださる新鮮な味わい。特にこの、ケイパーおでんはぜひ試して頂きたいスペシャルレシピです。

上記ふたつのレシピがケイパーを刻んで使うのに対し、お出汁にする場合は丸ごと使うのがポイントです。長い時間液体に浸かっていると刻んである場合には味が抜けてしまうからです。

<<ケイパーおでん(画像上)>>
1、濃いめにかつお出汁をとる。
2、煮崩れしにくい品種のじゃがいもの皮をむき、ジャガイモ一個に対してケイパー5個くらいの割合でお出しにケイパーを加え、弱火でコトコト煮る。
*ジャガイモのほか、大根やカブ、小玉ねぎ、カリフラワー、れんこん、湯むきトマト、ゆで玉子などを加えても美味しいです。

<<ケイパースープ(画像下)>>
1、玉ねぎ1個をケイパー大匙4杯程度と一緒にたっぷり目のオリーブオイルで蒸し煮にするように炒める。焦げ付かせないよう適宜少量ずつ水を足し、蓋をして炒めるのがコツ。
2、ジャガイモを食べやすい大きさに切り、1に加え、水も足しながら8分目まで火を通す。
3、トマトのざく切りを加え(イザベラのペラーティなら最高の味に。)、ジャガイモに火が完全に通るまで弱火で煮る。
4、塩味が足りなければさらに何粒かケイパーを加え、10分ほどさらに煮る。
5、食べる際に好みでバジルやイタリアンパセリを刻んで加え、オリーブオイルを回しかける。

<<ケイパーご飯>>
これはぜひとも一度試してみてください。ご試食でおにぎりにして出すと、皆さん「ええ??コレやってみよう~!」とケイパーを買って帰られますよ。
1、といだお米2合に対して大匙一杯のケイパーをそのまま混ぜ、通常通り炊飯する…だけ!

上記のほか、トマトベースのパスタに加えるのはもちろん、クリームや牛乳ベースのソースにだってアクセントとして使えます。そして、玉子との相性が抜群なので、スクランブルエッグに居れたり、マカロニサラダに茹で玉子とともに刻んで入れても。もちろんタルタルソースには欠かせません。

こうしてざっくり説明しただけの使用例でも、ざっと15種類以上のレパートリーです。ケイパーは、洋風出汁にもなる便利食材。そして、何でもない素朴な味のお惣菜を、突然ワインと合うイタリア風の味に変身させてくれる、魔法の食材。しかも長期保存が可能で味も劣化しにくい塩漬け。

冷蔵庫に常備しない手はありません!

アリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーはコチラ

*この記事は2019年5月に公開したものを新ヴィンテージ入荷に合わせてリライトしています。

<<秘蔵レシピ>>*2020年12月に追加。
上記のレシピのほかに、実はまだとっておきのレシピが2つあるのです。

ひとつは簡単サルサヴェルデ。ケイパーとイタリアンパセリを同量ずつひたすらみじん切りにして良質のオリーブオイルで伸ばすだけ。謝りたくなるほど簡単ですがイタリア風肉おでんのボッリートに添えたり魚介系のパスタの味付けに使ったり、そのままパンにつけたりポテサラに混ぜ込んだり、深い旨味と爽やかさで脂っこいお料理にアクセントと軽さを与えてくれます。

そしてもうひとつ、ママろばの20年来のスペシャリテが。ワイン好きの方に差し上げると必ずレシピを聞かれる自慢のパテです。ケイパーレバーパテ。これ、本当に美味しい。鶏レバーがあまり好きではなかったウチのチビろばたちも、これだとパンにつけてバクバク食べてくれます。ブレンダーさえあれば案外簡単で所要時間も30分程度です。

こちらのレシピはまた次回に公開します!
当店のオンラインショップで会員登録の上、メールマガジン購読希望にチェックを入れていただきますと不定期でメルマガが届きます。近々メルマガでもケイパーレバーパテのシピをご紹介する予定ですので、ぜひオンラインショップより登録してくださいね。他にも沢山おすすめレシピを更新してゆきます。

 

 

 

 

たっぷりバジルのフリッタータ。簡単だけど、ちょっとしたコツが。

DSC_7257 夏になってバジルが出回る季節になると何度も繰返し作ってしまうフリッタータ。具はシンプルにバジルのみ、なのですがこれが本当にやみつきになる美味しさ。イタリアの玉子焼き、フリッタータは一年を通して色々な具で作っていますが「一番好きなフリッタータは?」と聞かれたら迷わず「バジル!」と答えます。シチリアのマンマに教えてもらったフリッタータはオリーブオイルをたっぷり使って揚げ物のようにジュワ~ッと焼くので、卵の端っこがカリッとサクッと揚がったようになるのと、表面のバジルも一緒に揚がってパリパリ香ばしくなるのがたまらないのです。 ここ2年くらいずっと、ウチでは羽生さんのフライパンのSサイズで作っているのでだいたい玉子は3~4個くらい。そこにバジルをこれでもか、というくらいたっぷり入れます。分量的にはこんな感じです。 DSC_7224 ではでは、簡単に作り方を。というかもとから簡単なんです。ただ、いくつか絶対に譲れないポイントがあって、ほんの少しのことなんですけれど大きく出来を左右してしまうのです。少なくともワタシは、このやり方に出会ってからは「フリッタータはこれに限る!」と決め込んでしまいました。以来10年以上貫いてきています。そのポイントとは…

1、卵液は最低限しか混ぜない。

2、たっぷりの油をしっかり熱して全量を一気に流し入れ、最後まで混ぜない。

3、蓋をして卵の焼けるお菓子のような香りがしてきてからひっくり返す。

以上です。たったこれだけ。これはバジルに限らず、どんな具のフリッタータでもだいたい一緒のルールでやっています。 卵液はシャカッシャカッと黄身がつぶれ、ざっくり混ざったくらいで十分。卵白と卵黄を均一にしようと何度もかき混ぜると仕上がりが固くなってしまいます。日本の玉子焼きや、オムレツのようにフライパンに入れてから菜箸で混ぜたりもしません。肝心なのは、とにかく良質のオリーブオイルをケチらないことと、しっかり熱してから卵液を入れること。そうすると卵液を入れた瞬間「ジョワワ~!!」っと土砂降りの様なものすごい音がしていきなり卵の縁がチリチリと焦げはじめます。フリッタータを作っていて「あ、今日のは上手くいくな」と確信できる時は、この音が気持ちよく響いた時なのです。時間が無くて油を熱し足りない時などに気弱なショワ~という音になってしまうと「ああ、失敗だあ」と落ち込んでしまいます。イタリア語でフリッタータ(frittata)とはフリットしたもの、つまり揚げた物という意味。このやり方を台所で実際に見せてくれたマンマも、その点を強調していました。オーブンなどで仕上げるレシピもありますが、ワタシにはやはりフライパンで揚げるように焼くのが本当のフリッタータです。3つ目のポイントは、最初に流し込んだ片面でほとんど火を通してしまうということで、これは油を吸った片面がしっかり焼けてカリッとしてくると吸った油を再び吐き出しはじめるんですね。そのタイミングでもう片面を焼きたいから。両面サクッと行かせたいじゃないですか。

簡単とはいえ、実際の作り方を。分量は、小さ目のフライパンでやりやすい量で、だいたい2~3人分です。一人でもペロッと食べられますが。

材料:玉子3個、牛乳大匙1、塩、コショウ少々(お好みでパルミジャーノチーズを大匙2ほど入れても、入れなくても)、バジルたっぷり
美味しいエキストラ・バージン・オリーブオイル大匙3(フライパンの底にしっかりゆきわたるくらい)

1、ボールに玉子を割り入れ、塩、コショウを適量入れてシャカシャカと軽くほぐす。

2、バジルは太い茎だけ残して葉っぱは丸ごと、卵液からはみ出るくらいたっぷり入れて軽く卵液を絡めます。

3、フライパンにオイルをいれ、揚げ物が出来るくらい十分熱してから一気に卵液を注ぎます。こんな風にバジルがむき出しですが心配無用。反対面を焼くときにバジルは勝手に卵液の中に納まってくれます。 DSC_7240 4、蓋をして火を弱め、卵が焼けるよい香りがして卵液が中心部以外固まってきていたらひっくり返す。大き目のフライパンで量を増やして作る場合など、上手に返せない時はお皿をかぶせて手で押さえたままひっくり返し、お皿からフライパンにすべり落とすとうまく行きます。

5、2~3分焼いたら出来上がり。もう一度ひっくり返してお皿に盛ると、バジルの色がキレイです。写真のように、フチがチリチリと薄い皮のように焼きあがれば成功。 DSC_7258 蓋をして焼くとフリッタータはふんわりふくらみます。それっ!と焼き立てを頬張るのが一番ですが、お弁当など時間を置いて食べる場合はいったんキッチンペーパーなどを敷いたお皿で休ませ、余分な油を吸い取っておくとしぼんでからも美味しく食べられます。

そして!ジョワワ~ッとフリッタータを焼くにはテフロンだとどうしても役不足です。油っぽく重たい仕上がりになってしまう。やっぱり鉄が一番です。目玉焼きだって同様、フチのチリリが美味しく出来ます。テフロンと違い長持ちしますし、使った後のお手入れが簡単なのも断然鉄です。まだフライパンが熱いうちに、ザアッと水道にあてながら手早くタワシやササラでこすって汚れを落とし、あとは火にかけて水分を飛ばしておくだけです。羽生さんのフライパンの場合だと、適度な凹凸でとても油なじみが良いので、特別手入れをしなくてもくっついたりサビたりせず気持ちよく使えています。

ふふふ。フリッタータがとびっきり美味しく焼ける羽生直記さんのフライパン、13日から23日まで実店舗でご予約会を行います。現在羽生さんはフライパンや両手パンに関しては予約制で制作しており、だいたい半年ほどの納期を見ていただいています。待ってでも手に入れたい、ずっと使えるフライパン。ぜひお手に取ってその手馴染みの良さや軽さも確かめていただけたらと思います。

*この記事は2017年7月に公開されたものを受注会開催にともないリライトしたものです。

 

愛らしい子象柄が登場。定番花唐草では霊芝バージョンも新鮮。沼田智也さんの新着作品から。

ろばの家では数少ない絵付け作品。茨城県高萩市ご出身、制作の拠点も高萩に置く沼田智也さんの手によるものです。

お店のあるつくば市から北に100㎞弱のところにある高萩市。毎回なにかしら新作の柄が登場するため、作品を見に高萩を訪ねるのが楽しみで仕方がないのです。その上沼田さんも自慢するように高萩は海も山も美しく(勝手に茨城の南仏と呼んでいます)、夏になると特に行きたくなる場所でもあります。

自粛期間も挟んでしまったこともあり、今回の訪問は前回からかなり間が空いてしまいました。実は上の子象模様も、昨年の秋頃から沼田さんのそば猪口や小皿に登場していたようなのですが、わたしたちにとっては初めての出会い。

なんとまあ、愛らしいこと愛らしいこと…。画像で伝わるでしょうか。子象たちみんな、ちゃんと目も描かれています。絵の具が濃くたまっていてみえにくい子もいますが、よくみるとちゃんと点、で描かれている。その目の雰囲気で表情が微妙に変わって見えます。

沼田さんは単に「象」と呼んでいましたが、一目見た瞬間からその愛らしい姿は「子象」にしか見えず、子象文様と呼ぶことにしました。だって、成象?大人の象の柄は、以前もっと写実的な絵柄で登場していましたし。

そしてなぜだかこの子象、哀愁漂うというか、ポツネンと寂しそうというか、いたいけな姿に思わず拾ってあげなくては…という気持ちにさせられます。多分、ひとりぽっちで描かれているからですね。子象って、母象とセットで見ることが多いですものね。

沼田さんの絵付けのそば猪口や小皿、柄違いで少しずつ集めているという方も多いと思います。

定番の花、蝶、鳥、という柄から始まり、鳥から派生した飛行機、そこから車、船、で陸海空シリーズ。わたしたちが益子の陶器市で陸海空シリーズに出会い、はじめて作品を扱わせていただいた時から、もう何年たってしまったのでしょう…。

沼田さんの筆のいたずらから生まれる新しい柄がシリーズ化され、さらに展開されてゆく様子や、その誕生秘話を聞かせていただくことは、わたしたちにとって最も楽しくて贅沢な時間でもあります。作っている本人から、それを直接聞くことができるなんて!そのワクワクを、沼田さんの作品を手にする方にもお伝えしたい、いつもそう思ってしまいます。

古典柄の雨傘がクラゲになり、クラゲが宇宙人になり、UFO柄まで飛び出したかと思うと新・ゴジラ柄が登場したり。HPでも誕生秘話をご紹介してきました。

さりげなく流行りものも取り入れてしまう遊び心と、古典柄になんらかヌマタ流の解釈、アレンジを加えて密かに「誰か気づくかな?」と何にも言わずに黙ってそうっと並べてみるいたずらっ子ぶり。沼田さん、だな~。

あ、沼田さん、せっかく自粛期間にこもりっきりで制作していたなら、どこかにマスク描いてみたらよかったのに!「よく見るとマスクしてる子象がいる!」なんていうの、面白かったのになあ。後世、「これは沼田智也のコロナ時代の作品ですね。絵付けの中にマスクが登場したのは2020年だけのはずです」なんて専門家にコメントされたかもしれないのに~(笑)。

でも本当に、沼田さんにとって描くもののモチーフはきっと、何でもよいのでしょうね。インスピレーションさえ受けられれば、どんなモチーフでも沼田調に変調できてしまう気がします。

沼田さんは下描きしたり、デッサンを紙に描いてから写して絵付けしたりせず、毎回すべて一発勝負。イメージが決まったら本番の作品に直接一気に描いてしまいます。描いているうちに違う柄に仕上がってしまうことさえあるとか。

今回お邪魔した時に、ろくろを挽いたり絵付けを施したりといった実際の制作にかかる時間よりも、作品を前に「さて、何を描こうか」とモチーフが決まるまでの時間が、もしかすると一番長いのかもしれません…とお話ししていました。

何か特定のイメージが降りてくる、その瞬間までの空白。

いったん降りてきてしまえば、あとはすべて筆の動くままに身体を任せるだけなのでしょうね。その空白の時間はきっと、とある重圧をともなうものであるはずです。描かれている絵柄の面白みや美しさの後ろに、そういった空白の時間の苦しみやバッチリ描き切れた時の喜びや、意図せず生まれた新しい柄に出会えた時のワクワク感など、沼田さんのさまざまな想いが隠れていると思うと、ただ華やかに感じる絵付けの作品を手にした時の見方が少し、変わるような気がしました。

さてさて、今回はあまりに子象が愛らしくて、子象の作品を見つけるたびに「あ、ここにもいた!」と選んでしまったのですが、皆さんに見ていただきたいのは子象文だけではないのです。

沼田さんの定番的な柄はいくつも種類があって、中には古典柄のものが手本となっているものも沢山あります。そして定番の柄にも無数にバリエーションがあり、だからこそ毎回同じ柄を選んでも飽きないのです。変化球が沢山ある、むしろ変化球の方が多い…。

沼田さん特有の淡い筆致が生きる花唐草。

でも今回わたしたち選んできた花唐草は、どちらかというと濃いめにハッキリ描かれたものも多くあります。下は古典柄の霊芝(レイシ)文と呼ばれる柄を沼田さん流にアレンジして花唐草模様に描いていますが、どこかアジアや異国を感じる雰囲気もあって、うつわとしてそこに盛るお料理もどちらにも転べそうな面白さがあります。同じ霊芝の柄でも、いろいろ表情が違うので雰囲気ががらりと変わります。


はじめからアンティークっぽいこなれた感じが出ているところは沼田さんの作品の魅力のひとつだと思うのですが、定番の花唐草も霊芝の花唐草も、もその魅力が全面に出ています。夏のテーブルに、このブルーが加わるだけでふっと涼し気な印象になりますよね。冷たいお料理、いろいろ浮かんできます。

ほかにも、女性か小学生くらいのお子様にもちょうどよい小ぶりの飯椀や小鉢でトンボや魚の模様など夏らしい絵付けがほどこされた作品や、繊細な赤絵の作品など、少しずつ進化する沼田ワールドを存分に楽しんでいただける作品をつくばに持ち帰りました。

往復2時間近くかけて高萩まで出かける甲斐がある!と嬉しくなってしまうようなサプライズ作品も。作っていることさえ知らなかった絵付けのタイル。ヨーロッパの骨董市でほこりをかぶっていそうな掘り出し物感満載のこの作品。ひたすら美しい!キッチンに何げなく置いて鍋敷きに使ったり、窓辺に立てかけて置いたり…。これは今後ぜひ色々なサイズで作っていただきたい。こういう思いもしない作品に出会えるのは、直接訪ねていけることの醍醐味ですよね。ああ、嬉しい。


まだまだ、ここではご紹介しきれない素敵な作品が沢山です。ぜひひとつひとつ、沼田さんの筆の動きを追ってみてください。

沼田智也さんの作品はこちらです。

 

水煮でも、フレッシュでもない反則技トマト。

こんなトマトは初めてでした。その潔いまでのシンプルさは、後ろから唐突に膝カックンされちゃったくらいの「なんだよコレ!」という拍子抜け感なんです。正直「ズルイ」としか思えない。イタリア、ズルい。イザベッラ、これ反則。「へっへっへ~~~」と腕を腰にあてて仁王立ち、ド派手なメガネをキラリと光らせ「Hai visto? それ見たことか!」とほくそ笑むイザベッラおばさんの姿が目に浮かびます。ピエモンテでワイナリーとアグリツーリズモ(農家のお宿)を営む四児(全員男の子!!)の母である彼女は、その人気の宿で消費しきれない無農薬のお野菜や果物を使ってジャムやピクルスなどのさまざまな保存食を作り、そこで販売しているのです。わたくしママろばもその昔、ワイナリー巡りでピエモンテを旅した時には必ず彼女の宿を予約するようにしていました。彼女の個性そのものといった感じの気取らないワインと軽快なトーク(ママろばも負けるほどの超お喋り&早口!)を夜更けまで楽しみ、遅めにいただく朝食のテーブルには自家製のジャムがずら~り。窓の外は一面のブドウ畑。ドイツやスイスからの観光客が毎年次の年の宿泊を予約をしてゆく、というのも頷けます。

元薬剤師ということもあり、ハーブの薬効にも詳しいイザベッラ。彼女と一緒に畑を散歩すると「あ、この酸っぱい葉っぱは美味しいのよ。」「この芥子の若芽はフリッタータにすると最高なの」と知らない植物をあれこれ教えてくれたものでした。野草をたっぷり入れた玄米のリゾットも美味しかったな~。イタリアだけに限らずヨーロッパで瓶詰の保存食を買うとジャムはひたすら甘く、塩味のものは塩がキツすぎ、煮すぎて食感がまったく残っていなかったり…という印象があったのですが、彼女の瓶詰はお料理と同様どこまでも軽い。中でもこのホールトマト、一般的にはトマトの水煮と訳されていますが、このトマトの場合には正確には水煮ではありません。初めてコレを食べた時その反則級の美味しさに「なにアレ?」と彼女にメッセージしてしまいました。

「ハッハッハ~~ン。秘密よ!」と答えたのは冗談だったらしくすぐに「トマトを半分に切ってパッパッと塩を振ってまたトマトを重ねるの。その繰り返し。あとは蓋をして、煮沸するだけ」「…それだけ?」「それだけ。」

「あ、あと…。」「…やっぱり!あと、何?」

「たまにバジルの葉っぱも放り込むわ」「うう…。本当にそれだけ?」「…ははん、どう?不味くはないでしょ?」

…とまあ、こんな感じなんです。反則、と思いませんか?それだけでこんなに美味しいなんて。日本のブランドトマトのように糖度が高いという美味しさではありません。あくまでトマトは普通の味です。トマトらしい酸味とほどよい甘み。では何がすごいかというとその食感とフレッシュな香り。皮まで美味しい。明らかに、生ではない。でも、全然煮た感じがしないんです。作り方を聞けば、”蒸した”が一番近いということになりますよね。ひと瓶は1㎏。ずっしり、かなり大きな瓶で片手では簡単に持てないほどです。この量であることにも意味があるレシピなのでしょう。トマト自身の厚みが重なって旨味が滲み出てきたような味わいなのです。同じやり方でも小さな瓶だとこうはならないはず。水を足さずに瓶に入れた状態で煮沸だけで加熱しているので、中の液体はトマトから染み出た水分です。その液体部分がまた美味しい。だから、料理にはこのお水も使います。…といっても、調理と呼ぶほどの技術は不要。まずはそのまま食べてみてください。トマトがメインのご馳走となりうる、そんな瓶詰なのです。

ほら、このずっしり感、見てください。ほんと、これだけでも美味しそうじゃありません?うっすら塩味がついているのでそのままで十分前菜になります。お好みでオリーブオイルを回しかけて。胡椒さえ邪魔になるかもしれない。せっかくだからトマトそのものの味をダイレクトに堪能してください。あとはもう、モッツァレラなんかあったらいつもとは違うカプレーゼが出来ますし、軽く焼いたパンを半切りのニンニクでガリガリッと香りづけしたところにのせれば上等のブルスケッタになります。

太陽をたっぷり浴びてまるまると太った、一番ハリのある時に収穫したサン・マルツァーノ。種が少なく身が分厚い品種で肉質が緻密です。断面図はこんな感じ。むっちりした食感が伝わるかしら?一枚で、相当食べごたえがあります。下の写真は一枚を半分に切ったモノです。適度に水分が抜けているので加熱しても味がボケません。グリルしたナスと重ねてチーズを振り、オーブンで焼いても軽~いパルミジャーナが出来ますよ。ピッツァに使ったりしたら、どうなるんだろう…ワオ!!

とにかくたっぷりぎっしり入っているので、そのまま食べたり、パスタにしたり、ひと瓶あれば相当楽しめます。冒頭の写真はアリアンナ・オッキピンティの古代小麦のペンネで超シンプルにペンネ・アル・ポモドーロ(トマトのペンネ)にしたものですが、ソースを作る必要はありません。茹でるパスタの量に合わせて(80gのパスタにトマト4枚くらいで十分)トマトを瓶から取り出し、フォークで軽く潰します。簡単に切れるので、半量はササッと半切りくらいに、半量はぐずぐずと潰して…と、トマトの形を残すのがおすすめ。鍋に潰したにんにくとオリーブオイルを熱してトマトを入れ、軽く温まったらスプーンで1~2杯瓶の中の液体を加え鍋を揺すり馴染ませます。煮詰める必要はありません。パスタ湯に塩をしてあれば、味付けはこのトマトだけでも十分。よく水を切ったパスタを和えたらトマトを絡めて、ざっくり混ぜ込んであげるだけでいいのです。大きなトマトのかたまりとパスタをフォークで一緒に差して頬張れば、あらら、フレッシュトマトでも、ピューレでもない軽~い食感が新鮮!思わずパクパク、ペロリです!夏トマトの旬もピークを過ぎ、フレッシュトマトで作るパスタともそろそろお別れ、という時期には嬉しい保存食ですね。保存食の意義はまさにこれ、ですもんね。美味しくて大量に獲れて、しかも最も安くなる旬の時期に沢山作り置きして、新鮮なものが手に入らない時期に食す。秋から冬にかけては、お豆や雑穀と煮込んでスープにしても美味しそう。

とまあ、本当にただのトマトがこんなに美味しいだなんて…と羨ましくなるイタリア。トマトの生産大国、と思いきや最近イタリアで話題騒然となっているスキャンダルが…。わたしもフェイスブックで知り合いのイタリア人が「まさか!」とシェアしていたページを驚愕の思いで見入ってしまったのですが、Made in Italyと明記されている安価なトマトの水煮缶や濃縮トマトのほとんどの製品が、中国産のトマトを輸入して最終工程だけ完了しイタリア産として出荷しているものだというレポートでした。実際に中国の生産現場での取材も収録されており、めまいがするような内容でした。申し訳ないですが、あれを見てしまうとちょっともう食べられないです。公開されて2週間で200万回以上再生。かなり話題になっていたようです。もちろん、そんなレベルのものと同列に語るものではないので無関係なのですが、とにかくもう、何を信じて良いのやら…?とその番組でも他に横行している食品業界のトリックを次々と暴いて嘆いていました。

ヴィナイオータさんの輸入する食品はどれも、本質的な部分を見据えた健全で真っ当すぎる味わいにプラスして、それを作る人の尋常ならぬ情熱がきちんと映し出されているものばかり。当然ぶっとんで美味しいわけですが、値段もぶっ飛んでしまうこともしばしば…(笑)。でも異なる食文化圏である日本まで、大量の化石燃料を消費してわざわざ海を越え運んで来るからには、それだけの価値があると自負して輸入しているのだといつも話しています。トリュフや、ポルチーニなどの高級食材だってイタリアの食文化であることには違いないのですが、それはとある一面でしかありません。なんでもないただのトマト、ただのナス、ズッキーニが、ちょっと気を遣ってまっとうな材料で丁寧に作れば、そしてそこに自然の恵みを余すところなく、より美味しく食べようという人間の工夫が加われば、何よりのご馳走となる。それを味わいからだけでも証明してくれるような、まったくの日常食としての瓶詰たちなのです。イタリアよりも甘いトマトが栽培されるようになった日本においても、なかなかこういったエッセンスを感じさせてくれる加工品には出会えません。

イタリアでもそろそろ夏野菜が終盤のころ。きっと今日もイザベッラは、畑で獲れた大量のお野菜を大きなお鍋で仕込んでいるのでしょう。例によって、ぺちゃくちゃノンストップでおしゃべりしながら。すっかり大きくなった4人の息子たちに手伝ってもらいつつも大忙しの彼女。大口の予約が入るとレストランもてんやわんや。イタリアから届いたままのペラーティの箱には、緩衝材がわりに小さなメモのような紙がぐちゃぐちゃに丸められて詰まっていました。よく見ると、それはレストランのオーダー票。きっと、詰めるものが足りなくてその辺にあった雑紙をなんでも使ってしまったのでしょう…。読んでみると「特大サラダ×1、アニョロッティ×2、カッフェ×2、2名現金…」などリアルな(笑)オーダーがびっしり。おびただしいオーダー票を見ているだけで、レストランの喧騒が聞こえてきそうです。さあ、彼女の逞しいマンマの腕で次から次へとつめられた飛びっきりのトマトを、ぜひ日常の食卓で味わってみてください。蓋を開けた途端、もしかするとイザベッラのけたたましい笑い声が飛び出してくるかもしれませんよ。
*この記事は2017年8月に掲載されたものです。

イザベッラのペラーティ(ホールトマト)はコチラです。

 

 

FDさんの黒いステンレスツールはすべて画期的、革命的と呼びたい使いやすさ。


いかにストレスを減らすか。

これは、あらゆる家事をスムーズにかつ楽しくこなすための最大のポイントだと思います。

面倒なことは、誰だってやりたくない。でも、何を面倒と思うかは、ひとによって違います。わたしが面倒と思って敬遠する「靴洗い」とか「ボタンつけ」とかは、誰かにとっては楽しい作業かもしれないし、「泥染めになった方がステキ」とか「最後の一個がとれるまでつけない」と腹をくくっている、わたしより強者の主婦もいるかもしれない。

大根をおろす、という作業も敬遠しがちなことのひとつでした。たまにやったとしてもごく少量。なめこのお味噌汁とか、天ぷらのお出汁に入れるくらいの量です。なぜならば、腕が疲れてしまうから…。このオロシと出会うまでは、洗いやすいからという理由でセラミックのオロシを使っていたのですが、すぐにおろした大根が溢れそうになったり、水平にぐりぐり回すのがホネだったり、つい「もうこれくらいでいいや」と少量で切上げてしまうのがオチでした。

ところが、です。

このオロシを使ってみた時「今までの苦労は何だったんだ???」というくらい歴然とした差を感じてしまいました。道具ひとつで、ここまで違うものか、と。硬めの人参でも、すいすいでした。そして、その滑らかなオロシ心地より、もっと驚いたこと。それは「ジュースが少ない」ことでした。繊維を必要以上に潰していないのだと思います。だから、オロシそのものが瑞々しいのです。「味の濃いオロシ」と言うと不思議な感じがしますが、おろし汁に要素が流れ出ないから、オロシに味が閉じ込められている。今まで意識したことさえなかったけれど、これまでは絞りカスのように味気なくなったオロシを、その摺りオロシ汁で戻して食べてきたようなもんだったんだな、と妙に納得してしまいました。長いもなどは、べたつかずふわ~っと仕上がります。オロシ金にからみつかずスムーズに下に落ちるのでストレスなく量をすることができます。

がぜん、オロシの登場回数が増えます。揚げ物に大根おろしをたっぷりまぶしたりするのはすでに定番ですが、人参おろしにぎゅっとレモンをしぼったものを使っても、甘酢がわりになって新鮮です。皮目を焦がして焼いた鶏にたっぷりかけてもいいし、揚げナスにからめても、豚バラを焼いたの山盛り載せても美味しい。これからの季節は、ラディッシュを卸して辛味にするのもさっぱりします。やわらかくなってしまったトマトなども丸ごとおろしてオリーブオイルと蒸し鶏にからめると、トマトの酸味が気持ちよい和え物に。ちなみに、大根など少し辛みがあっても甘酢で和えてあげると、子供たちでもパクパク食べますよ。こんな風にあれこれやりたい料理まで浮かんできてしまうのは、ただただ、「オロシ」作業が苦にならなくなったからです。面倒くさいことの多くは、道具を変えたり置き場所を変えたりするだけでも簡単に解決できてしまうかもしれません。見た目がすっきりしているので壁にかけて置くことができるのでしまう場所にも困りません。

そして嬉しいことに、使用後の後片付けが本当に簡単。オロシだけでなくほかのツールもそうですが、ささっと水で洗い流すだけで食材のくずはきれいにとれてしまい水切れもいいので、からぶきしなくてもほとんど乾いています。使った後いつまでもしまえず出しっぱなし、ということもないのです。使うときも使った後も楽だから、手にする機会が増えるんですよね。

技術的な裏打ちは、メーカーさんにお任せした方がよいのでぜひ個別の説明を読んでください。例えばオロシの説明を読むと妙に納得です。「大根をおろすとき、無意識のうちに常に角の部分があたるよう常に持ち替えている、という経験はありませんか?」と書いてあり、「持ち替えてます、最初から最後まで!!!」とうなずいてしまいました。

このシリーズ、あまりにオロシが画期的な構造だったのでほかのものも試してみたところ、本当にすべてがいちいち秀逸なのです。かゆいところに手が届くというか…。目からウロコの使いやすさでした。以来6年間、ずっと愛用しています。もう、どれも手放せない存在です。


◎オロシ
上記のアイテムページに、メーカーさんの説明がありますのでぜひそちらも読んでみてください。
驚きのおろしやすさ!ありそうでなかったシンプルの中にあるおろしやすさの原理」

◎薬味オロシ
筋っぽいヒネショウガもするする滑らかにすりおろせます。ぐるりと取り囲んだしぼり汁の受け皿がミソ!

◎千切りピーラー
キャロットラペがあっという間に。適度な薄さでサラダにもしやすい千切りがみるみる山盛りに!
まな板に置いて横にすべらせるとよりスピーディーです。

◎万能トング
ボールの底にすべり落ちないストッパー付き。ドレッシングもすくえる優れもの。
取り分け以外に調理後のチキンなど熱いものを切る時にも小回りがきいて大活躍。

◎パスタトング
パスタがはさまらない絶妙の角度のギザギザ。スパゲッティでもつぶさず、切らずにつかめます。
パスタ専用にするなら断然パスタトングです。

 

 

 

 

 

冷蔵庫の隅っこでしわしわになりかけたキュウリを、無駄にしない。河井美歩さんのお野菜使い切り術。


つくばと神楽坂を拠点に、自然料理教室cocochi(ここち)を主催する料理家の河井美歩さん。今回『あんしんの食卓』展では、ご自身の著書「なんでも、漬けもの。」(主婦と生活社)に掲載しているレシピのご試食会や、わっぱお弁当のワークショップで、作り置きできるお料理の段取りをレクチャーしていただきました。
10品くらいをあっという間に作ってしまったWSはとっても楽しい雰囲気。きちんとお料理の前と後でポイントをおさらいしてくれるので、家ですぐに実践できます。神楽坂教室、つくば教室の予定が更新されるのですが、色々なテーマを単発で参加できるレッスンはとっても人気。ぜひサイトインスタでスケジュールをチェックしてみてください。

もちろん、美歩さんにもごはんアンケート、聞いてみましたよ。


河井美歩さんの好きなごはん、お味噌汁

Q1、パンと食べるものではなくお米と一緒に食卓に並ぶもののなかで、「これには目がない」というほど好きな献立はなんですか?
—納豆:だし醤油少々、卵黄、黒酢少々、青ネギ入り。 『贅沢納豆』と命名して週の半分は食べています。

Q2、ご出身は?
—徳島県徳島市

Q3、ご出身地もしくは現在暮らしている地方の郷土料理、名物料理、ご当地食で好きなものとその特徴を教えてください。
—そば米汁(徳島): そば米が入った具沢山のすまし汁
金時豆入りちらし寿司(徳島):ちらし寿司に金時豆の甘煮が入っています。
お雑煮(徳島):いりこ出し+白菜+大根+人参+甘くない白みそ

Q4、ご家庭のお味噌汁は、何出汁+何味噌が基本ですか?
—いりこ出汁+麦味噌 /いりこ出汁+合わせ味噌
合わせ出汁+合わせ味噌 /合わせ出汁+麦味噌
昆布だし+赤味噌
※合わせ出汁はマエカワさんの天然出汁パックで(かつお、いわし、しいたけ、昆布)

Q5、お味噌汁の具で好きなものを好きな順にあげてください。
—1位:きのこ
—2位:大根
—3位:ネギ

Q6、お味噌汁はお好きですか?また週に何回程度お味噌汁を食べますか?
—好きです! 週5~6日は味噌汁。(家族が朝はごはん党なので)

Q7、ご自身の出身地、もしくは現在暮らしている地方特有のお味噌汁があればそれがどんなものか教えてください。
—魚のあらで取った出汁+白みそ+わかめたっぷり(徳島)

Q8、これまでの人生で見聞きした、もしくは食べた中で最も変わっている、斬新に思えた(組み合わせ)のお味噌汁の具を教えてください。
—納豆汁、野菜の重ね煮の味噌汁、豆乳味噌汁。母親の味ではなかったので、初めて食べたときには衝撃でした。どれも大好きで、時々家庭でも出ます。

Q9、今回のごはん党のテーマは、「ごはんは、段取りがすべて」です。自分で作るお料理で「得意料理」と呼べるものを教えてください。また、そのお料理のコツ・ポイント・こだわりを教えてください。
—もちろん漬けもの(笑)、冷蔵庫に1~2個ストックがあると重宝します。楽しむコツは2つ。
① 家庭の味なのでルールに縛られず、余り野菜を楽しく漬ける。
② 塩加減はサラダ感覚で沢山食べたい&翌日までに食べきるなら野菜に対して0.8~1%。
漬け物感覚&3日程度は日持ちさせたい時は2%の塩梅にしています。


さすが、美歩さん。やっぱり、漬けもの!ですよね。来年のごはん党のタイトルにしちゃおうかしら(笑)。

ほんのひと手間かけておくだけで、あっという間に食卓に並べられる作り置きのお惣菜。美歩さんの『なんでも、漬けもの。』は、いわゆる、腰を据えて用意するタイプのお漬けものの本ではないのです。

「漬けものとはいえ、本書では糠や粕、米麹などは使いません。
酢やしょうゆ、油などなど、家にあるいつもの調味料で、
しかも短時間のうちに作れるものばかりです。
とりあえず漬けておけば、味がしみておいしくなり、
保存性も高まって、いいことずくめ。
食材はなんでも漬けものにして、無駄なく使いきりましょう。」

と、扉にも書かれている通り、お野菜や少しだけ余ってしまった食材の、上手な使い切り、作り置きのアイデア集とでも説明すれば良いのでしょうか。本当に家にあるものだけで、すぐに試せるレシピが満載。お弁当の隙間を埋めるのにも便利で、そのままお酒のおつまみにもなります。

『あんしんの食卓』会期中、皆さんに毎日試して頂いて大人気だった「ビール漬け」など、調理時間は10分以下です。レシピではきゅうり、大根、人参の3種類のお野菜を漬けこんでいますが、生で食べられるお野菜なら何でも良いそう。会期中、セロリ、玉ねぎ、ピーマンなど残っているものを色々試しました。意外ですが、ビールのほろ苦さと合うのかピーマンも大好評でしたよ。
キュウリのビール漬け うつわ:内田好美さん

その他のお料理も、お野菜をザクザク切ってジップロックに調味料とともに放り込み、冷蔵庫に一晩いれておくだけ、和えてすぐ食べられるレシピも沢山あります。セロリのヨーグルト味噌漬け、ゴーヤのカレー漬けもご試食会で人気でした。他にも、キャベツの酢じょうゆ漬け、レタスのゴマ塩レモン漬け、しらすの酢漬け、ゆで玉子のナンプラー漬け、なんと、こんにゃくを生で揉んで醤油で漬けるだけのお惣菜まで!自分じゃ絶対たどりつけないけれど、手順はとても簡単なものばかりです。

ゴーヤのカレー漬け うつわ:内田好美さん
左:即席べったら漬け 右:ラーパーツァイ うつわ:内田好美さん
「なんでも、漬けもの より」

美歩さんは当店のお客さまで、自分用にも、撮影用にも、うつわを選びに立ち寄ってくださったり、調味料もいくつか愛用していただいています。お子さんが小学一年生でチビろばちゃんと一学年違い。子育て中のママという立場でもアレコレお喋りさせていただいたり、イタリアにも行かれることが多かったりと共通の話題が多く、お話はつきません。

このレシピ本出版も実は、息子さんが小さな頃から大好きだった「きゅうりの一本漬け」のレシピがきっかけとなったのだそう。

「子どもって、ポリポリ食べられるお漬物が大好きじゃないですか。でも、スーパーに売っているのは、添加物が沢山入っていて心配なものばかり。本当は、ただ塩水に漬けて置くだけでこんなに美味しいお漬物ができるのに。」

「よく冷蔵庫の野菜室の隅っこで、しなしなっとなった可哀そうなキュウリが一本だけ残ってたりしますよね?ああなっちゃう前に、一本だけでも漬けちゃえばいいんです。」
キュウリの一本漬けを漬けているところ(「なんでも、漬物」扉ページより)

ほんと、それ、わかります!しかも、美歩さんとも意気投合したのですが、男のひと(失礼!)がお料理をすると中途半端にお野菜を残して困る、ということありませんか?なぜピーマンを2個だけ残す?人参が半分だけ残ってるって、意味わかんないよね、と大笑い。もちろん、すべての男性がそうだとは思いませんが、思い当るふしが多すぎて(笑)。

先のビール漬けは、こういう時に本当に助かるレシピ。余った野菜を何でも放り込めちゃう。ほかにも簡単な保存法やアレンジ法、裏ワザなどが、ひとつひとつのレシピに注意書きのようにびっしり補足されているのです。このレシピ本を買ったら、ぜひその注意書きにも目を通して下さい。段取り上手のヒントがザクザク隠れていますよ。

中でもワタシがものすごくありがたかったアイデアは、生姜のスライスをお酒につけて瓶で保存する、というもの。目からウロコでした!

生姜って、扱いが悪いとすぐに腐ってしまうものの筆頭ではないですか?カラカラにしぼませてしまうか、茶色く腐らせてしまうかのどちらかで、上手に保存できずに困っていました。皮をむいて冷凍しておけばよいのですが、すりおろすのには良くても、スライスや千切りだとやはり食感が損なわれます。

ところが。日本酒に漬けておけばシャキシャキ感はそのまま、長期保存が可能。薬味として千切りして使いたい時、そのまますぐに出せるのです。煮物などに入れるのにも、早い早い。ついでに漬けておいたお酒もそのまま調理に使えて一石二鳥、無駄なしです。

ネットで何でも情報が手に入る今の時代、本当によいレシピ本というのは、自分が何に手間取っていたのかを気が付かせてくれるような本、なのかもしれません。

何か新しい技が身につくことも大切ですが「これまで手間取っていたことが楽になる」ということはとても嬉しいことですよね。そして人は、新しく知りたいこと、気になることは検索してみようとするものですが、出来ないこと、苦手なことは自分でそれを認識しない限り動き出すことができないものです。

わたしは『なんでも、漬けもの。』を読まなければ、自分がよく生姜をダメにしてしまうことを問題視しなかったかもしれないし、冷蔵庫にある野菜を最後まで使い切る努力ということも、頭ではわかっていながらおろそかにしていたかもしれません。昨今はやりの”時短だけに重きを置いた作り置きおかずの本”とは一線を画していると思えたのは、この本のそんな部分です。

大根の葉っぱも、美味しいわさび漬け風に。茎がスカスカになってしまう前に、セロリは漬けて。豚汁に使って余ったゴボウも、シワシワになる前にフライパンで即席の南蛮漬けに。冷蔵庫の食材を全部残さず、美味しいうちに使い切る。しかも、簡単に。

河井美歩さんの『なんでも、漬けもの』(主婦と生活社) ぜひ一度、読んでみてください!


cocochi by Miho Kawai  河井美歩:プロフィール

徳島県出身。大学から京都にて活動。
大手料理教室にて10年間、講師・人材育成・商品企画・開発等を担当。
2009年~フリーの料理家としてつくばと東京・神楽坂を拠点に ニューヨーク、熊本、名古屋など国内外で料理イベントを開催中。
海外の食文化を学びにフランス、イタリア、ベトナム… 時間を見つけては料理修行の旅に出ています。
著書に「秘密の型なしパイ」(主婦と生活社)、「はじめてのおいしいフォカッチャ」(主婦の友社)