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uf-fuさんの紅茶は、その存在自体が詩的。水出しとアイスミルクティーをぜひ試して。

なんとも耽美なこの液体の正体は、実は紅茶です。Amber アンバーという名前のついたフレーバードティー。春摘みのファーストフラッシュのダージリンをベースに、ブルガリアンローズの製油、花びら、カモミールの花をブレンドして作られている、uf-fuさんでも人気の高いお茶です。これは水出し用に茶葉を抽出(コールドブリュー)している途中にあまりにも美しかったため白石さんのお皿に移して撮影した物です。抽出している風景はもう何と言うか、ポエムそのものです。トロンと上品な香りと自然な甘み、優しい旨味が口の中に広がる夢のように印象的なお茶が出来上がります。

紅茶という飲み物は、もう、その存在自体がPoetico=詩的で優雅なイメージがあるものですよね。そう、ポエティコとはイタリア語でPoetic、詩的という意味のことなのです。間もなくろばの家ではじまる企画展、モメント・ポエティコとはPoetic Moment、つまり直訳すると詩的瞬間という意味のタイトルなのです。何度もこのHPでもお話に登場しているuf-fuウーフの代表、大西さんのことを、わたくしママろばは密かに”ネーミングの神様”と崇めているのですが、抜群のワードセンスを持った人だと思います。uf-fuさんの紅茶を選ぶ際、ブレンドの名前を見ただけで「んもう、大西さんズルイ!」と憎たらしく思えてしまうほど、秀逸なのです。日本語、英語、フランス語、イタリア語をそのイメージに合わせて上手に使い分け、そのお茶に対してなかば運命的とさえ思えるようなピッタリのワードを引っ張り出してくる。その言葉のひとつひとつ全てが、詩的なのです。だいたい何が詩的って、彼の生き方そのものがすでにポエティックな印象を周囲に与えてしまう、特別なオーラを普段から持ち合わせている人物なのです。

例を挙げてみましょうか。まず、Soleil ソレイユ。フランス語で太陽を意味するこの言葉は、ルイボスティーにベルガモット製油をブレンドしたuf-fuさんオリジナルのハーブティーで、びっくりするほど美味しい。瑞々しく、水以上に喉を潤してくれます。ベルガモットという柑橘は、アールグレイに使われている香り、と言えば想像しやすいでしょうか?わたしもパパろばも大好きなお茶で、夜寝る前に飲むのに一番のお気に入りです。ホットで飲んでも、水出しでスキッと飲んでも両方それぞれに楽しめ、食事中も脂分を切ってくれる出番の多いお茶です。南アフリカで「奇跡のお茶」と呼ばれているルイボスティーが日本に輸入されるようになったのは30年ほど前で、正直、健康・美容に良いとしてダイエット目的で愛飲する人が多い「あんまり美味しくはないけど身体によさそう」なイメージしかありませんでした。それがこんなにも美味しく、純粋に嗜好品として味わいだけから支持できるものになりうるという事実に衝撃を受けました。ルイボスは南アフリカのセダルバーグ山脈でしか生息しない針葉樹で何百年も前から先住民族のコイ族、サン族で日常的に飲まれてきたお茶でした。体内の余分な活性酸素を除去してバランスを整えるアンチエイジング効果やむくみの改善、アトピーの改善、貧血予防、便秘・下痢解消、二日酔いを軽減するなど、効能を挙げればきりがなく、それゆえ奇跡のお茶と呼ばれているようです。

ただですね、身体によくなくたって、ただもうひたすらに美味しいお茶なのでお客さまには効能を説明することなくお勧めしております。その、南アフリカの砂漠のように乾燥した土地にしか生育しないルイボスのお茶にソレイユですよ?ちなみに、ルイボスティーに生姜をブレンドしたバージョンもあって、そちらはLuneリュンヌ=月という名前です。これが、SunとMoonだと、かなり印象が違ってしまいますよね。「太陽のお茶」「月のお茶」、あたりでもまあまあと言えなくもないですが、ソレイユとリュンヌという響きの前にはひれ伏すしかありません。

uf-fuさんのオリジナルブレンドに与えられた名前は他にも「んもうニクイ!」と膝を打ってしまったものが沢山あって、例えばkeemon Tresor キームン トレゾア という名前もそうです。これは中国紅茶の祁門(キームン)の特別なキュベで、大西さんの説明には「産地で出会った芳醇な香りと、余韻が長く続く味わいを持つ美しい茶葉。からだに巡る味わい。あまりにも好みのお茶でしたので、Tresor(トレゾア 宝物) と名付けました。」とあります。このお茶の素晴らしい余韻や唯一無二の高貴な味わいに関しては、別の記事でご紹介したので割愛しますが、気に入ったキュベにトレゾアだなんて、普通思い浮かばないですよね。フランス語が続いていますが、英語の方がストレートに伝わる響きを持っている場合には迷わず英語でネーミングしています。

上の画像はCitronシトロン。夏の水出しの定番です。レモンピールの入ったブレンドにシトロンという名前など当たり前(味は全然普通じゃないのです。恐ろしく瑞々しく、試飲で出すと皆さん買ってしまいます)にすぎますが、例えば標高の高い畑の、当方美人のように半発酵製法で作ったダージリンにつけた「Himalayan Beautyヒマラヤン ビューティー」という名前や「Jasmine Supreme ジャスミン シュプリーム」など、他にはあまり見ない名前です。「Darjeeling Pure Blend ダージリン ピュアブレンド」なんてのもありましたね。ピュアブレンド!ニクイを通り越して、いやらしい、とさえ思ってしまうほど購買意欲をそそられるネーミングです(笑)。

ネーミングって、究極の詩作だと思うのです。悪くすると手の内を見せてしまうというか、売る側の思惑をダイレクトに反映してしまうものですよね。詩作というものが、多分に職業的な作業であることを考えると、出来の良し悪しが如実に出てしまうものでもあるわけです。お店をやっていると、さまざまな立場の人間の実にさまざまなネーミングセンスをいやがおうにも見てしまうわけですが、大西さんのセンスにはいつも舌を巻くというか、製薬業界に見られるようなダジャレ的ネーミングに逃げてしまうママろばとしては羨ましくて仕方がないのです。よし、これからは紅茶王子じゃなくって、ポエット大西と呼ぼう!

…と、今ろばの家はとっても言葉というものにフォーカスしているのでネーミングの話題ばかりになってしまいましたが、何よりも彼を羨ましく思ってしまうのは、uf-fuさんの唯一無二といってよい紅茶のクオリティー、個性であることは言うまでもありません。そのネーミングのセンスでさえかすんでしまうほどの、本質的な美味しさを求める茶葉を選び抜く厳しい姿勢と自らの感性を研ぎ澄ます努力が、見事に紅茶という世界で実を結んでいるというその事実に、心からの賞賛を贈ることでちょっとおちゃらけてご紹介してしまったことを許してもらおうっと。なにせ、断然コーヒー党だったパパろばとママろば二人を、いきなりお茶党に改宗させてしまうくらいのインパクトを与えた人なのですから。たった一杯の水出しダージリンを飲ませてくれただけで、ね(確かダージリン キャッスルトンだったはず)。それに続くフレーバードティーの水出しでさらにノックアウトされたあの出会いは、何年前だったかしら。フレーバードティーなんて、一生飲まなくていいとさえ思っていたのに!

ああ、もう、ほんっと、神様はズルイ。大西さんのお茶は、全てが、あまりにも特別です。今回は彼の詩的センスにあやかり、また敬意を表して、『momento poetico モメント ポエティコ』の会期中(6月1日~16日)、大西さんの茶葉を使った水出しティーや、サロンで定番だというアイスミルクティーをご用意いたします。アマンドバニーユやペパーミントティのアイスミルクティー、皆さん試されたことはありますか?芦屋のティーサロンではスペシャリテとして長い間ベストセラーだそうで、極濃いめに出した紅茶を氷でしめて甘みを加え、少量の低温殺菌乳で割る、格別に濃厚な味わいです。エスプレッソで淹れるカフェラテと同じような芳香さで楽しめるミルクティーなのです。ほかにも桜野園さんのお茶やハーブティーなど、パパろばが気分で選ぶお茶を毎日色々用意して、皆さんに楽しんでいただく予定です。目にも口にも詩的な会となりますように。

ろばのウチで愛飲するuf-fuさんのお茶はコチラでご覧いただけます。

2019-05-29 | Posted in Blog, uf-fu ウーフ(紅茶)No Comments » 

 

パンのある食卓をもっともっとシアワセに。

やっとやっと、境道一さん、境知子さん、関口憲孝さんの作品を『Pane felice シアワセのパン』Onlineページに掲載いたしました。すでにご紹介している大江憲一さん、村上雄一さん、宮下敬史さんの作品も含め、11日までの限定公開となりますのでご注意くださいね。

実店舗での『Pane felice シアワセのパン』は長いGW連休の終わり、6日の休日が最終日でした。

パンのある食卓で活躍するうつわや食べ物をテーマとして展開してきたこの企画展、連日沢山の方にお越しいただき、慌ただしいながらも充実した2週間を過ごしました。そして改めて「パンってすごい!」と感心してしまいました。

「パーラー江古田さんのパン、一度食べてみたかったんです」と遠くからかけつけてくださった方、「ベッカライさんとのコラボパンってこれですか?」と毎日SNSをチェックしてくださっていた方、リボッリータにはやっぱりイタリアパンでないと…とPanezzaさんのパンを沢山買い込む方、本当に、良く皆さんこんなにご存じだなあ、何度もすごいなあ、と。パンって、かなりの訴求力を持つ食べものなんですね。

なぜこんなにもパンという食べ物が好まれるのか?腕を組んで考え込んでしまうほど、誰もが夢中になる様子を目の当たりにしました。そう、どうしてパンはこんなにも、多くのひと、幅広い年齢層に好まれるのか。子どもからお年寄りまで、まあお年寄りになると硬いパンは苦手とかいろいろ好みもあるかもしれませんが、とにかく老若男女、一億総パン好きと言っても過言でないほど、日本人はみんなパンが好き、そんな印象があります。街を歩いていて目にするパン屋さんの多さもそれを物語っています。ろばの家があるつくば市はパンの街、と行政的にもアピールしていて本当にパン屋さんが多い。国の研究機関が集中しているため外国人居住者が多い、というのもパン屋さんが古くから発展した理由のひとつ、と市が発行している案内誌で読んだことがあります。

当店の道を挟んで真向かいにあるBäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトさんには、開店前から行列ができます。県外からパンを買いに来る人も絶えません。聞くと、他に何軒もパン屋さんをはしごするのだそうで、その情熱たるやレンタサイクルで数時間の道のりをも物ともしない、やや尻込みしてしまうほどの気合です。パンという食べ物の何が、そこまで人を動かすのでしょう。それにはもちろん、沢山の理由があるのだと思います。まずもって簡単、超がつくほどファストフードです。ペリリと紙袋から出すだけで食べられる。一食それだけで済んでしまうことも多いですよね。その割にはリーズナブルであるということもきっと大きな理由です。星付きレストランを食べ歩くお金があったら、いったい何軒パン屋さんをはしごできることか!そして、驚くほどに多様なバリエーションがある。それも人気の理由だと思います。パーラー江古田の原田さんは一日にだいたい30種類のパンをお店に並べるそうですが、原田さんが修行したお店はそれが常時300種、バリエーションで言うと400種もあるそう!ひええ~~~、400種類のパン!手軽というならおむすびだって手軽ですが、おむすびで400種の具材を揃えるのは至難の業という気がします。そして、それだけ自由にバリエーションをつけられるということは、お店によって違う味、個性を出すことが可能だということですよね。だからこそ、パン屋めぐり、などという発想が生まれるのでしょう。

今回の企画展に出ていただいたパン職人さんのお店は3店ともハードパンが主軸で、いわゆるお惣菜パン、菓子パンの部類に入るモノにあまり力を入れていません。小麦と水、そして酵母と向き合っている職人さんたちです。わたくしママろばは、あんパンだって大好きだし、チョコレートデニッシュにだって目がないし、日本の菓子パン文化を否定する側ではありません。けれどもパンを食事の中でいただく時にはやはり、パンの本場、フランスのバケットやドイツのサワーパン、イタリアの田舎パンなど、出来るだけ現地の味に忠実に作られたものを好みます。ふわふわの食パンでトマト煮込みを食べたいとは思わないし、ロールパンをスープに浸すのは遠慮したい、それが本音です。意図したわけではなかったのですが、今回はPanezzaの角谷さんはイタリアで修業したままのやり方で薪窯のイタリアパンを焼くし、ベッカライの菅原さんが修行したのはドイツです。パーラー江古田の原田さんのパンは、国籍不明、いろいろな国の良いとこどりのような形ですが、むしろイタリアではお目にかかれないようなしっかりしたチャバタ、フランスでもここまで風味のあるものは少ないだろうというようなバケットなど、ふわふわパンとは真逆の立ち位置にいます。

単にパンの硬さが問題ではないので軟派、硬派、と呼び分けるといろいろと波風が立ちそうですが、まあ、あえて分類するなら硬派の部類に入る彼らのパンにも、こんなにもファンの方がいる。それは異国の食文化に敬意を払いつつ日本人の口に合うようにアレンジするのが上手な日本人の器用さが、結果として日本におけるパン文化の二極化を生み出した。高品質な原材料にこだわった本場顔負けのパンと、日本独自の多様な創作パンの二極。そうとらえて良いのだと思います。ヨーロッパの人に、日本では全国どこでも同じ銘柄、同じ味、同じ値段で売られるパンがドラッグストアでも買えるのだと教えるととても驚きます。スパゲティナポリタンが喫茶店メニューに載っているのと同時にイタリアンのリストランテではかなりマニアックなご当地パスタも食べられる。いかなる国のものであれ、異文化の外食産業すべてに当てはまる日本独自の発展の仕方なのでしょう。沢山選択肢があるという意味では健全に発展してきた証なのかなあ、とも思います。一方で、先日もSNS等で話題になっていましたが、デパートの催事場で出されたバケットが焦げすぎているとお客さまから苦情がありパンを全て引き下げた、という事件に代表されるような、文化の未成熟さを感じるのも事実です。もっともっと、Panezzaさんの薪窯で焼いた小麦と塩と水だけが原材料のイタリアパンのように、食事と合わせてこそ真価を発揮する、つまり真の意味で主食としてのパンの楽しみ方も浸透していったら素敵だなあと思わずにはいられません。

と、またまた前置きが長くなってしまいました。ママろばの日本におけるパン文化考察をご披露するのが今回の目的ではなかったのでした。ずいぶん時間を要してしまいましたが、やっとやっと遠方の方にも『Pane felice シアワセのパン』をのぞいていただく準備が整ったのため、再度シアワセな食卓シーンを再現しよう、そう思って書き始めたのでした。いうなれば、シアワセのパンの名場面集でございます。

あの、芳ばしい香り。焼きたてのパンのある食卓は、それだけでもシアワセ。そのシアワセの食卓を、さらに楽しく、ウキウキしたものにしてくれるうつわたち。しばしの間、ブーランジェリー・ドゥ・ロバアに変身していたろばの家にはお越しいただけなかった方も、その香りを少しでも感じていただけたら、ワタシたちもシアワセです。

『Pane felice シアワセのパン』Onlineページはコチラです。


トップ画像のトマトのブルスケッタが載っているお皿は境道一さんの作品。織部釉のこのグリーンは、道一さんのイメージカラーです。パンの色はもちろん、トマトや玉子などパンによく添えられる食材を鮮やかに引き立ててくれる美しい色。薪窯ならではの色調の幅広さが魅力で、上のように淡い若草色に発色するものもあれば、下のように青銅のように深い青緑色に発色する場合もある、カメレオンのように不思議な釉薬です。フラットなプレートにはチーズやサラミなど、パンのお供を盛り合わせても映えますね。

道一さんは黒も素敵です。たっぷり入るマグカップはスープにも。


お皿は境知子さん。道一さんの黒と合わせても違和感がありません。縁のしのぎがアクセントのこのお皿は白、黒色違いがあります。マットな感じが、トーストしたパンを載せても汗を吸収しカリッとクリスピーに保ってくれそう。それにしても、Panezzaさんのイタリアパンはトーストすると外側がカリッと、中はモチモチと弾力があり食感がとてもいい。焼かずに食べた時とものすごく印象が変わります。噛みしめる度に小麦の味が口いっぱいに広がります。

知子さんといえば、ポットやカップなどの茶器。たっぷり紅茶が入る優雅なポットや横から見た立ち姿が美しいマグカップたちもぜひご覧ください。


知子さんは白磁の素晴らしく美しい台皿も届けてくださいました。これが、ちょこっとバターやパテを添えたり、フルーツやサブレやマカロンなどのプティフールを盛りつけたりするとテーブルのよいアクセントになるのです。台皿は、もっともっと活用してほしい便利アイテム。一段ほかのお皿より高くなることで、パッと目を引くうえ皆が手を伸ばしやすくなりおもてなしに重宝します。

そして、ミスターニュアンスカラーといえば関口憲孝さん。今回は、スープやシチューによいお皿やヨーグルトやスープに使えるカップ類やマグを届けてくださいました。相変わらず優しいカラーが美しく、パンの地味なブラウンカラーを引き立ててくれます。下の画像は奥のうつわも関口さん。そして…これが噂のシアワセすぎる絶品パテ・ド・カンパーニュ。長崎のImpeccableアンペキャブルの大坪シェフ特製です。あの脂身の甘さ、熟成させた時のレバーのねっとり感…忘れられません。


会期中は、パンを使ったお料理もいくつかご紹介していました。夏になると必ず食べたくなるパンツァネッラは硬くなったパンを水にひたしてからトマトや玉ねぎなどと和えて冷やして食べるパンサラダ。食欲のない時、暑くて火を使いたくない時などに最高のひと皿で、画像はシチリア風にアレンジしたパンツァネッラ。生のトマトよりもトマトの旨味をフレッシュに楽しめるイザベラおばさんのペラーティと塩抜きせずに使える香り高いアリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーをオリーブオイルで和え、生のスライス玉ねぎを和えただけの簡単パンツァネッラです。関口さんのスープ皿にトマトの赤が鮮烈でした。
アリアンナのケイパーについては別の記事でレシピを載せていますjので、ぜひ参考になさってくださいね。ケイパーを入れると途端にパンに合うおかずができますよ。そしてそれはイコール、ワインにも合うお料理がすぐにできてしまうということ。パンの企画でしたが、パンの出番は朝食だけではありません。ワインを飲むときには、どうしてもお米でなくてパンが欲しくなってしまうもの。美味しいパンに良質なチーズ、身体に負担をかけない自然なワイン。まっとうに作られたオリーブオイルもかかせません。ろばの家のあるつくば市(さらに言えば天久保界隈)は、そのどれもがすぐに手に入る恵まれたロケーション。次回は『ろばの家、春のパンまつり』はやめにして、パンにワインにチーズ(…略してパンチーワイン!どうかしら?)にフォーカスした企画にしようかな。

次回の構想(妄想?)も見えてきたところで、Onlineでのご紹介は11日まで。あと4日間だけ、ろばの家春のパンまつりにお付き合いくださいね。

 

塩抜きせずそのまま使えるケイパーは、もっとも手軽な洋風だしです。

Pane felice シアワセのパン』では、パンをもっともっと楽しむヒント集、というお題通り、パンに合ううつわだけではなくジャムやハチミツ、オリーブオイルやコショウなどさまざまな食材もご試食していただきながら紹介しています。

甘くてただ舐めるだけでもシアワセなジャム類が好評なのは想像通りですが、お味見していただくと「これはイケる!」と皆さんびっくりしてしまうのは上の画像のケイパーバター。なんのことはない、塩漬けケイパーをざくざく刻んで無塩バターに混ぜただけのものなのですが、これがもう、かなりかな~~~り、相当に、旨い。スライスしたバケットにちょいとバターナイフ(もちろん宮下敬史さんの、ね)で塗って、パクパク。ちょっと味見のつもりが、気が付くとドムッシャドムッシャ、本気で食べ進んでしまいます。「く~~~、これは、白ワイン、欲しい!」…そう。ワインのおつまみに最高の組み合わせなのです。塩漬けになっているケイパーは発酵食品でもあり、油分と出会うとケイパーのこなれた塩味と磯の香りが、より複雑な旨味をかもしだします。今日お味見していただいた方の中でも数人「軽いブルーチーズみたい!」と驚いていました。

普通の塩漬けケイパーならば、数十分水に浸けて塩抜きしなければ食べられない程塩がキツイのですが、アリアンナのケイパーは確かにしっかりした塩味ですが最低限の塩しか使っていません。そのため一般の塩漬けケイパーが常温保存できるのに対し、アリアンナのものは要冷蔵なのです。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がまったく見当たりませんよね?塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。短時間でも水に浸けて塩抜きすると、どうしても香りが損なわれてしまうからです。しかも、モンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生種。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオの、岩原で自生しているものを摘んで使っているあたり、さすがアリアンナという感じです。アリアンナの火傷するほど熱いシチリア愛については一度ご紹介したのでそちらも読んでみてくださいね。パッケージの写真を見て頂けると、葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっているのがわかると思います。これも一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい…けどベリーの方はたまにしか入ってないんですよね~。つい見つけると料理に入れずポリポリ味見してしまいます(笑)。
ではこの、実はとっても使える調味料、塩漬けケイパーの簡単すぎるレシピと使用例を。

<<ケイパーバター>>
1、無塩バター一箱(225g)を室温に戻す。
2、ケイパーを計量カップ50㏄くらいの分量とり、粗くみじん切りにして1に混ぜ込み、冷蔵庫で保存する。2週間以上冷蔵保存する場合には小分けにラップして冷凍庫で。

<<ケイパーバターの使用例>>
1、トーストしたバケットやクラッカーに塗って。
2、ポトフに添えて。
3、粉吹きイモに熱いうちに混ぜ込み、ケイパーだけが具の大人のポテトサラダに。好みでマヨネーズをプラスしても。
4、カジキマグロや鶏肉のソテーの焼き上がりに、一人前大匙一杯のケイパーバターを溶かして肉汁に和え、ソースにしても。
5、茹で上げたいんげん、スナップえんどう、ソラマメ、など豆類や、人参や蓮根などの根菜に和えて。
6、アサリのスパゲッティやキャベツや菜花などオイルベースのパスタの仕上げ、コク出しに。

と、展開例が無限なのです。ケイパーを購入する方がよく「こんなに使い切れるかしら?」と首をかしげるのですが、こんな風に色々に展開できれば、案外すぐに使い切ってしまいますよ。

続いて、もっと簡単でもっとヘルシーなオリーブオイル和えも。

<<ケイパーオイル>>
1、ケイパーを粗くみじん切りにしてエクストラオリーブオイルと混ぜ、密封瓶に入れて冷蔵庫で保存する。

<<ケイパーオイルの使用例>>
1、生の大根、カブ、コールラビなどを5㎜の厚さにスライスし、ケイパーオイルを乗せて前菜に(画像上)。
2、ドレッシングのベースに。ワインヴィネガーや柑橘を加えればそのままサラダのドレッシングになります。
(ジャガイモ、いんげん類、ゆで卵に特によく合います。)
3、タルタルソースのベースに。玉ねぎ、ゆで卵、ピクルスなどを刻み、マヨネーズとケイパーオイルで和える。
4、トマトベース、オイルベースのパスタに加えて。アンチョビやオリーブとも相性ばつぐん。
5、トマトとさらし玉ねぎと和え、ハードタイプのパンを加え、パンサラダ(パンツァネッラ)に(画像下)。

上の画像は、実はあのただのトマト、イザベッラのペラーティ(ホールトマト)とアリアンナの刻んだケイパーをオリーブオイルで和えただけのもの。そこへ、少し硬くなったパンを混ぜ込んだだけの超スピードメニューなのです。本式のトスカーナ風パンツァネッラはガッチガチに硬くなったパンを使うので、いったん水で戻してから軽く絞ったところへトマトや玉ねぎなどを加えて調理するのですが、もともとは貧しい農民食です。湿度の高い日本では、逆にそこまでガチガチに古くなったパンが家庭に常備されている(カビもせずに)ことはそうそうないので、一日たったパンやトーストしたパンを水に浸さず代用できます。イザベッラのペラーティはトマトから出た自然な水分がすでに十分美味しいので、その水分ごとパンに吸わせてしまいます。夏場は冷蔵庫で冷やしておくと、食欲のない時にもさっぱりと食べられますよ。火を使わないのも夏には嬉しいですよね。お子さんも好きな味なので夏休みなどにぜひ試してみてください。

<<ケイパー出汁>>

そして、ケイパーの意外な使い方。磯っぽい香りとこなれた塩味をお出汁に加えて、ケイパーの塩味だけで味付けするやり方です。これが、お料理好きの皆さんが目からウロコと喜んでくださる、新鮮な味わい。特にこの、ケイパーおでんはぜひ試して頂きたいスペシャルレシピです。

上記ふたつのレシピがケイパーを刻んで使うのに対し、お出汁にする場合は丸ごと使うのがポイントです。あまり長い時間液体に浸かっていると、刻んである場合には味が抜けてしまうからです。

<<ケイパーおでん(画像上)>>
1、濃いめにかつお出汁をとる。
2、煮崩れしにくい品種のじゃがいもの皮をむき、ジャガイモ一個に対してケイパー5個くらいの割合でお出しにケイパーを加え、弱火でコトコト煮る。
*ジャガイモのほか、大根やカブ、小玉ねぎ、カリフラワー、れんこん、湯むきトマト、ゆで玉子などを加えても美味しいです。

<<ケイパースープ(画像下)>>
1、玉ねぎ1個をケイパー大匙4杯程度と一緒にたっぷり目のオリーブオイルで蒸し煮にするように炒める。焦げ付かせないよう適宜少量ずつ水を足し、蓋をして炒めるのがコツ。
2、ジャガイモを食べやすい大きさに切り、1に加え、水も足しながら8分目まで火を通す。
3、トマトのざく切りを加え(イザベラのペラーティなら最高の味に。)、ジャガイモに火が完全に通るまで弱火で煮る。
4、塩味が足りなければさらに何粒かケイパーを加え、10分ほどさらに煮る。
5、食べる際に好みでバジルやイタリアンパセリを刻んで加え、オリーブオイルを回しかける。

<<ケイパーご飯>>
これはぜひとも一度試してみてください。ご試食でおにぎりにして出すと、皆さん「ええ??コレやってみよう~!」とケイパーを買って帰られますよ。
1、といだお米2合に対して大匙一杯のケイパーをそのまま混ぜ、通常通り炊飯する。だけ。

上記のほか、トマトベースのパスタに加えるのはもちろん、クリームや牛乳ベースのソースにだってアクセントとして使えます。そして、玉子との相性が抜群なので、スクランブルエッグに居れたり、マカロニサラダに茹で玉子とともに刻んで入れても。

こうしてざっくり説明しただけの使用例でも、ざっと15種類以上のレパートリーです。ケイパーは、洋風出汁にもなる便利食材。そして、何でもない素朴な味のお惣菜を、突然ワインと合うイタリア風の味に変身させてくれる、魔法の食材。しかも長期保存が可能で味も劣化しにくい塩漬け。

冷蔵庫に常備しない手はありません、よ!

アリアンナ・オッキピンティの野生のケイパーはコチラ

 

Pane felice シアワセのパン
~パンをもっと楽しむヒント集~

いよいよ始まりましたよ~。ろばの家、春のパンまつり!
シールを集めて、素敵なうつわをもらっちゃおう…じゃなくてっと…誰かに怒られちゃうかな(汗)。

冗談はさておき、春のパンまつりはすでに始まっております。

なんとなんと、な豪華メンバー。パンをもっと楽しむためのヒント集。

つくば市は、パンの町と謳っているようにパン屋さんの沢山ある街。
なかでも、当店のお向かいさん、Bäckerei Brotzeitベッカライ・ブロートツァイトは数あるつくばのパン屋さんの中でも都内や近隣の県からもパン好きが行列に並ぶ、名店中の名店。ご近所さんの特権を行使して無理難題をふっかけ、毎日菅原さんを困らせてしまうママろば。まんまとろばの家の食材を手渡し「あとはお任せしました!」とスペシャルパンをオーダーしてしまいました!初日の日曜日にはいきなり、仙人スパイスさんの純胡椒を使ってペコリーノフレッシュを練り込んだスティックを焼いていただきましたよ~。カリリと焦げたチーズが芳ばしい軽いパンに、ピリリと爽やかな生グリーンペッパー。食べたひとは一人残らず、ビールやワインが欲しくなったに違いありません。

そして、久々に復活!贅沢焼きパニーノも用意しました。これはもう、ひとえにAncomar社の特別なアンチョビを味わって頂くためのシンプルサンド。そのアンチョビ、どんなお味かといいますと、超高級な熟成生ハムの持つ複雑な旨味、しっとりとした肉質、上品な塩味…なにからなにまで、単なる缶詰とは思えないクオリティー。実際に食べてみないことにはわからない、言葉では言い尽くすことのできない味わいです。会場では、そんな特別なアンチョビをストレートに感じて頂くために、ニュートラルな味のチャバタ(ベッカライさんのサンドの定番!)を使用。セミドライのトマトのオイル漬けだけをアンチョビと重ならないように配置して、グリルパンの上で木蓋で押さえながら焼きパニーニに仕上げるのです。外はカリッと、中はモチッと。齧るとわかる、アンチョビの旨味。違いの分かる、大人の味わいです。

会期中は、他にもいろいろなろばの家の食材コラボパンを、毎日焼いていただく予定です。完売必須。早いモノ勝ちです!

そんな幸運な立地とイタリアワインの仕事をしていた頃からのコネ(笑)をフルに生かして、隣町の八郷にある薪窯イタリアパンのPanezzaパネッツァさん、東京は練馬区の江古田にあるパーラー江古田さん、そして、長崎の名門フレンチ、Ampecableアンペキャブルさんまで巻き込み、これでもかとパンのある食卓を充実させてしまいます。

もちろん、パンそのものが美味しいだけでは満足できません。今回は、パンをもっと美味しく楽しむためのうつわがテーマ。一見パンが主役のこの企画、どっこい主役はうつわなのです。パンは、その引き立て役(笑)。焼き立てパンをパリッと保つ木のうつわはもちろん、パンとスープも盛れちゃうゆったりプレート、スープカップ、パンと一緒のテーブルで活躍するヨーグルトカップやサラダボールなど、パンのある食卓をさらに豊かに彩るうつわを揃えました。今後もまだまだ入荷しますよ~。

…Pane felice、シアワセのパン。

ほっかほかの焼き立てパンは、それだけでもシアワセの象徴。

こんがり焼けたトーストに溶け出すバター、オレンジ色のジャムをたっぷりつけて、ポットには香り高い紅茶。
とびっきりのパテにマスタードを添えて。世界一美味しいアンチョビはいかが?

さあ、パンをもっと楽しむためのヒント集、存分にご活用ください。


『Pane feliceシアワセのパン』
~パンをもっと楽しむためのヒント集~

会期:4月21日(日)~5月6日(月祝)12:00~18:00
会期中も月・火曜日はお休み(5/6・祝は営業)

パンのある食卓で活躍するうつわ:
大江憲一 、村上雄一 、宮下敬史(木工) 、境知子、境道一、関口憲孝、ほか(敬称略)

噛みしめるほどに美味しいパン:
Bäckerei Brotozeit 、Panezza 、パーラー江古田
パンに合うスペシャルなパテ:Impeccable

*パンやパテ、その他フードに関しては日替わり、数量限定のためご来店の前にSNSなどで最新情報をご確認ください。
別ページにパンカレンダーを用意しますので、そちらもチェックしてくださいね。


*Online Shopには準備ができたものから順に掲載させて頂きます。会期中追加で到着するうつわも多数ありますので、今後も随時チェックしてみてくださいね。

『Pane felice シアワセのパン Online』 のページはコチラです。

 

 

 

 

 

 

これこそ高田谷さん作品の醍醐味、と小躍りしてしまう。”らしさ”を堪能できる喜び。

愛知県常滑で黙々と土をこねる高田谷将宏さん。わたくしママろば、実は一度もお会いしたことがないのですが、四年前パパろばが常滑の工房を訪ねてお会いした時の「おっきくて自分からはしゃべらない人だった」という話が頭にこびりつき、高田谷さんと聞くと枕詞のように「黙々と…」という形容がつきまとってしまうのです。単に初対面だったからだけなのかもしれないのですが…。

その乏しい情報源であるパパろばの主観以外、高田谷さんの人物像を想像する手がかりは作品しかなかったわけですが、その作品が届く度にグイッと手に感じる土の密度や勢いのある釉の流れ、やや大ぶりにすぎる酒杯や飯椀のスケールなどから勝手に「男っぽい」だの「お酒が強そう」だのと少しずつイメージを膨らませてきました。2年前の『やっぱり、ごはん党』ではお米レンジャーが妙なテンションで「男は黙って!」と高田谷さんをご紹介しておりました(汗)。その後はもう、大きなお茶碗にかけられた手の厚みまで感じられるほどに肉付けされ、豪快なイメージが固まってしまったのですが、それらすべては土が焼かれてできただけの作品が与えているのだと考えてみると、ずいぶん乱暴な話ですね(笑)。

実際、高田谷さんをよく知っている木工の宮下さんをはじめ交流のある作家さん、ギャラリーの方などから噂話を聞く機会が増えてゆくにつれ、その寡黙なイメージと言うのは実は根拠のないものだとわかってきました。極めつけは昨年の『豆まめしく』に出ていただいた時で、豆料理に関するアンケートを電話で行った時の記事がもう、最高なんです。面白すぎる…高田谷さん。意識したわけではなかったのに、なんだか今回もお豆料理を盛り付けたくなるタイミングで入荷してしまいましたね。よりにもよって、『豆上手』の終盤に到着するなんて…。

それにしても、いくら自らの手で作られたものであるからといって、作者がどんな人間であるかまで見知らぬ人に勝手に想像されちゃうだなんてはなはだ迷惑な話ですよね。大きなお世話、というか。でも、それこそがモノを作りだすことのできる人の特権でもあり、醍醐味なのではないかと羨ましくも思います。

食卓を囲むその時間をより豊かに、より楽しく変えてくれるようなうつわを作る、そんな素晴らしい仕事ができるだけでなく、なんらかの”らしさ”に価値を見出してもらえるだなんて。遠く離れた見知らぬ町に住む誰かが例えば「高田谷さんらしい」と感じて単なるモノであるはずの作品に愛着を見出し、大切に扱ってくれる。たった一枚のお皿やお茶碗を通して、その人の世界とつながることができる…。そのイメージがたとえどんなに本人の実像とかけ離れていようと、作品に狙うイメージとズレていようと、そんなこと問題にならないくらいに素敵なことのようにわたしには思えます。

だからこそどんなに美しい、一分のスキもない完璧なフォルムを持つモノであってもそこにその人”らしさ”が感じられないものには魅かれないのかもしれません。美しさだけを追求していった先にあるところでは、血の通った世界とのつながりが希薄に感じられるような気がするのです。

パパろばが頼んで送ってもらった高田谷さんの作品を初めて見たとき、正直言って自分の好みとは違った作風のものも混じっていて「パパろばこういうのが好きなのか~」と驚いたことを覚えています。でも、そこには何か明らかに他の人にはない勢いというか、力というか、その時にはまだそれが「高田谷さんらしさ」なのだとはわからなかった、”何か”があったのだと思います。「でも、この縁のあたりの雰囲気は好きだな~」とお皿の一部を指したりなんかしていて、あまり全体像で見ていなかったのでしょう。

一枚いちまいの個体差がとても大きいことや、同じ釉薬でも窯によって仕上がりの色が異なっていたり、飯椀や汲み出しでも形がひとつひとつかなり違ったりする特徴も、高田谷さんざっくりしてるな~、おおらかだなあ程度に見ていました。ただ、納品がある度にパパろばがいろいろと質問をしたり、感想を述べたりするのをものすごく真摯に、前向きに受け止めて取り組んでくださっているという話も聞いていたので、ある種の好感を持ってその個体差を受け止めることができました。

作品を送って頂くたびに説得力を増してゆくその「何か」を単に技術力、精度が上がってきたのかと勘違いしてしまいそうでした。けれど、きっとそうではなかったんだなあと、今回届いた作品を見て深く思い知らされてしまいました。

きっとずっと、高田谷さんは一貫して高田谷さんらしかったのです。

今届いたそれぞれの作品を見ると、そう思わずにはいられません。ずっと前に見てそれに気付けなかった作品と、ここにある作品との間に、そう大きな差があるわけではないのです。それなのに、今ここにある作品には有無を言わせぬ説得力まで感じてしまう。細かい点ばかり気にして、そこに貫かれている彼のもっとも彼らしい点、そこを見ていなかったのだとハッとさせられました。一枚一枚を均一に、同じような仕上がりにしようと気にしていたら、恐らく出せなかったであろう自然な力の方向や、土の個性などをダイレクトに感じとることができます。

今回、これまで見たことのなかった真っ黒な、一見漆仕上げのようにも見える黒い釉薬の作品も数点入ってきました。漆黒の黒さをくっきりと出すために、いったん白化粧をかけてから黒い釉薬をかけているそうで、時折作品にヨレのようにズレて下の白地が見えているものがあります。失敗したかのようにも見えなくもないその破綻が、ひたすらに黒い、墨のように黒い作品にほころびを与え、とても魅力的に見せている。クールな印象の人が、笑った時だけ見せる八重歯やえくぼのように。

二度と同じものには出会えないかもしれない、その一期一会感を大切に、自分だけに語りかけてくる一枚を選ぶ。そんな接し方の方が彼の”らしさ”には合っているように思えます。同じ企画のものを揃えようとか、ひとつ欠けてもまた同じものを買い足せばいいといった接し方は、残念ながら向かないなあというのが正直な感想です。自分だけはオマエの良さをわかっているのだよ、うんうん、というような偏った愛着を持てる相手もなかなか良いですよね。なんだか本当に人間の話みたいですけど。

見るたびにカッコよさを増している三島手や刷毛目の作品は、あえて洋風に使うことも提案してきました。パスタやサラダ、そういった日常的な、でも和食とは呼べないお料理と出会うと、グッと新鮮味を増します。そして今回わたくしママろばもパパろばも、一発で惚れ込んでしまった古陶のような渋い佇まいの白磁。これこそが、高田谷さんの魅力なんだよなと、二人して小躍りしながら作品を紐解きました。

皆さんも、皆さんなりの高田谷さん”らしさ”を見い出していただけると嬉しいです。



高田谷さんの新着の作品はコチラです。どうぞ、じっくりと、彼の無骨な語りかけに耳を傾けるようにご覧になってみてください。

 

2019年3月、ろばの家は5周年を迎えます。

なんとなんと、月日のたつのは早いことでしょう。
本当に、あっという間の5年間。

その5年という、長いんだか短いんだかよくわからないような微妙な単位の月日が流れる間に、沢山の経験をさせていただきました。

沢山の失敗、沢山の後悔…。

パパろばと二人、あーでもないこーでもないとうんうん悩みながら、どうしたらもっとお店をよくできるか、お客さまにもっと喜んでいただけるか、常に真剣に考え、手探りでここまできました。そのために激しく言い合いになったり、数日に及ぶ喧嘩にまで発展したり…。いやあまあ、この5年の間に、どれだけ一言も口をきかないような険悪な日々をやり過ごしてきたことか…(笑)。

そんな険悪な日々をどうにかこうにかやり過ごしてきたのは、それをはるかに上回る、楽しい経験があるから、に間違いありません。

沢山の喜び、沢山の感動。
それをもたらしてくれた、沢山の出会い。

時に自分たちの人生観までをも変えてしまうほどの、心に響く何かを宿した作品や、それを生み出す手の持ち主との対話。美味しさの向こう側にある、真摯な思いと誠実な仕事。そのような人たちと同時代に生き、何かを共有し、それを伝える役割につかせていただける、とてつもない幸運。わたしたち二人を信用して大切な作品を預けてくださる、作り手さんたちには感謝するだけではなく、これからはどうしたらその期待に応えてゆけるか、もう一歩踏み込んで考えてゆかなければならない時期にもきていると思います。

まだまだ、しっかりとその役割を果たせているとはとても言えません。でも、自分たちの意識をそうした出会いや感動の探究へと向かわせてくれるのは、ほかでもない、ろばの家を支持して下さっている皆さんなのです。

皆さんがワタシたちを応援してくださらなかったら、パパろばと二人でどんなに頑張って協力しようとも、ここまで来ることはできませんでした。これだけの出会いに恵まれることも、なかったのです。

こんな風にまたあっという間にこれから先また5年と言う月日が流れ、10周年を迎える日も来るのでしょうか。今はまだ、とても想像ができませんが、ただがむしゃらに突っ走ってきたこれまでの5年間とは、違った濃度で一年一年、一日いちにちを大切に過ごしてゆきたいと強く思います。

でも、これだけは確かです。その日が来ようと来まいと、ワタシたちはここまで支えてくださった皆さんへの感謝の気持ちは、決して忘れないということです。

本当に本当に、ありがとうございます。どんなに感謝の言葉を尽くしても、全てを言い表すことはできません。

どうか、これからのろばの家も、よろしくお願い致します。これからも、素敵な出会いを皆さんと共有してゆけるようパパろばと二人で(仲良く)協力してゆきたいと思います。

3月、本格的な春の到来とともに、新しい生活のスタートを予感を抱えて過ごすワクワクな一カ月。その3月いっぱい、5周年の感謝をこめていつも応援してくださっている皆さんに少しでも還元できるよう、さまざまな企画を考えています。

まずは、月並みですが感謝セールを開催いたします。
ほかにもいろいろと5th Anniversary Fairの内容を考えておりますので、3月はまるまる、ろばの家のために空けておいてくださいね(笑)。目が離せませんよ~。

2019年2月24日

ろばの家 ママろば筆

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というわけで、こちらのクーポン、なんと6800円以上の
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それでは、よいものに出会えますように~。
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2019-03-03 | Posted in BlogNo Comments » 

 

生姜を効かせたイタリア産ひよこ豆のとっても簡単なスープ。

イタリアはアブルッツォ州から、とっても美味しいひよこ豆が届きました。ヴィナイオータさんが取り扱うことになった新しいワイン生産者de Fermoデ・フェルモさんが作っている有機Ceciチェーチ(ひよこ豆)です。有機栽培、と書かれていますが実際には無農薬、無施肥、いっさいの薬剤を使用しない自然農法で育てられています。とても味がしっかりしているのでシンプルに調理するだけでその深い味わいが引き立ちます。

de Fermoさんの紹介はヴィナイオータさんのHP新入荷記事をご覧になって下さいね。なんと総面積170ヘクタールの農場でワイン用ブドウ、オリーブ、野菜や穀類、牧草など全ての作物をビオディナミ農法で栽培しているのだそう。なかなかにすごいスケールでそれを全て手のかかるビオディナミ農法?と思ってしまいますが、弁護士であるデ・フェルモさんが奥さんの実家のこの広大な畑に通うことをきっかけに自分の人生を取り戻してゆく過程をきけば、当然の選択と思えなくもありません。

今日は、イタリアマンマ直伝のお豆の茹で方をベースに作る超簡単スープレシピをご紹介。シチリアで隣の家に暮らしていた主婦が教えてくれた、お鍋ひとつでできるスープですが「こんなんでいいの?」というくらい簡単で拍子抜けしたほどでした。ただし、シチリアのマンマは生姜などは使わず、香味野菜と一緒に皮付きのニンニクを入れて煮ていました。ひよこ豆に生姜を効かせるのはわたくしママろばの友人のレシピで、ややもするとやぼったく重たい味わいになりがちなひよこ豆のスープを、生姜がキリリと引き締めてくれて衝撃的に合う!と感動したのが15年以上前。以来ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせです。

手順5番の『煮汁を別によけておく』ことだけはものすごく重要なので絶対に忘れないでくださいね!同じやり方でグリーンピース(青えんどう豆)でもできます。煮汁の上品さ、旨味の深さは、グリーンピースとひよこ豆、双璧だと思う。



生姜風味のひよこ豆のスープ(8~10杯分)

材料: ひよこ豆250g(de Fermoだと半袋分)、香味野菜(玉ねぎ1個、にんじん1~2本)、あればセロリ(葉っぱ以外)1本、ローリエ1~2枚、フレッシュのローズマリー2枝、ショウガ大ひとかけ、塩適宜、E.X.V.オリーブオイル適宜
*2倍量の一袋分で作って、お豆が茹で上がったところで煮汁ごと半量冷凍しておくと便利です。

1、ひよこ豆はよく洗い、一晩6倍ほどのたっぷりの水に浸しておきます。

2、ひよこ豆の水を変えて厚手の鍋に6倍ほどのたっぷりの水とともに入れ、皮を剥いてくし形に切った玉ねぎ、よく洗った人参は縦に半分、セロリは半分に折って入れ、火にかけます。ハーブは煮すぎると苦みが出るため煮上がる直前に入れます。

3、お鍋を中火にかけて煮立ったら火を弱火にする。はじめのうち小まめに灰汁を取る必要はなく、一度ふわ~っと硬く白い泡がでてくるので、その都度泡を取除く。

4、蓋をしてお豆がゆっくりゆらゆらと揺れるくらいの火加減で30分~40分ほど茹でる。味見をして見てお豆が芯はないなというくらい柔らかくなったところで塩とハーブを加え、さらに10分ほど煮ます。

5、お豆が十文柔らかくなったところで火を止め、粗熱が取れたらお豆を3分の1ほど別によけます。よけた状態でお豆がひたひたになるくらいの煮汁に調節し、余った煮汁にハーブを入れた液を別にとっておきます。

6、ハンドミキサーやブレンダーでお豆と煮汁を香味野菜ごとピューレ状にします。そこへ少しずつよけておいた煮汁を加え「ちょっと薄いかな?」と思うくらいのゆるさに調節し、塩味が足りなければ塩を足しハーブとよけておいたホールのお豆を戻します。

7、生姜をすりおろしたものをたっぷり加えて混ぜ、ひと煮立ちしたら出来上がり。たっぷりのオリーブオイル、コショウ(もちろんMaricha!)を加えて食べます。


注意:ひよこ豆のスープは、このように一部をピューレ状にすると冷めた時にびっくりするほど茹で汁を吸ってしまい、もったり粉っぽくなります。温め直して食べる場合には必ずまた煮汁を足す必要が出てくるので捨てずにとっておいてください。また、余った茹で汁はホウレン草やジャガイモを入れてスープにしても美味しいですよ。

茹で上がり時間はお豆の乾燥度合いによっても変わるので硬さを見ながら。冷めると意外と硬くなるので注意。親指と薬指でつまんでも楽につぶせるくらいの硬さが目安です。

de Fermoさんの有機ひよこ豆はコチラ

 

サラダもマリネもこれ1本ですべて完結。飲めてしまうまろやかさの白バルサミコ。


ろばの家の定番調味料のなかでも間違いなくリピート率No.1. リピート頻度もNo.1でしょう。そのくらい皆さん「もう手放せない」と頼り切ってしまう便利さのワインヴィネガーです。イタリアの中部、伝統的なバルサミコ・ヴィネガーで有名なモデナ近郊の生産者Sante Bertoniサンテ・ベルトーニのものです。あの、トロリとしたアチェート・バルサミコは黒ブドウで作られていますが、こちらはその白ブドウ版。かつもっとフレッシュな状態のお酢だと思ってください。ゴクリと飲めてしまうほどまろやかでツンツンしない優しい酸味、100%有機ブドウ由来の自然な甘さ。お砂糖を使わずにマリネ液が出来るので、日本でも今やサラダの定番となっている”人参のラペ”も、塩とこのヴィネガーだけでササッと作れてしまいます。ドレッシングなど作る必要なし。千切り人参をボールに山盛り作ってお塩をパラパラと振りかけ、そここの白バルサミコを回しかけてざっくり混ぜれば完成です。これがまた、べらぼうに美味しい。ウチのチビろばたちはこのヴィネガーで和えるだけでかなり小さな頃から生野菜をバリバリ食べてくれたので相当助かりました。2歳くらいだと生野菜って、なかなか食べてくれないですからね。でもホント、大人ならひとりで人参2本分くらい軽く平らげられます。お好みでオリーブオイルを少々加える場合でも、ダイレクトにサラダにかけて混ぜ込むだけでよいのです。粒マスタードを少々加えればビストロで出てくるようなラペの味がお家で楽しめます。

ところで、冒頭の写真はワタクシママろばが家にひとを呼ぶときによく作るサラダ。実はただの千切りキャベツなんです。ホームパーティーで千切りキャベツなんて、出したことないでしょう?これが皆さん、ハマるんです。眼からウロコの美味しさなのです。ひとに食べさせると「レシピ教えて!」と言われるのですが、例によって千切りキャベツに塩をパラパラッと振って、この白バルサミコとガリガリ挽いたコショウをかけただけなので「ごめんなさい。」と申し訳なくなるのです。ただ、塩の花マリチャのブラックペッパー(ロッソ・スクーロかネロがおススメ)で武装しているので、ただこのお酢で和えただけというのは嘘になっちゃうかな。どちらも超絶に旨味が強いですからね。もちろん、お手持ちのお塩、コショウでも相当美味しくできるはずですよ。誰がやっても美味しくできてしまう、絶対ハズさない…そういう類のお手軽さがウリなのです。でもまさか、千切りキャベツがおもてなし料理になるなんて思わないでしょう?トンカツに添えるだけが彼の居場所じゃないのです。ポン酢で食べるよりも塩味を押さえることができるので相当な量のキャベツを食べられますよ。パスタの時や、焼肉、お鍋など何かお野菜でもう一品欲しい時に重宝します。

千切りキャベツ、人参、などひとつのお野菜単体でこの白バルサミコ酢を使うのならばさらし玉ねぎを塩と白バルサミコ酢でマリネしておくのもおススメです。この玉ねぎマリネ、ポテトサラダやマカロニサラダに混ぜたりハムやツナ、ゆで玉子などと一緒にサンドイッチの具にしたり、焼肉で巻いたり、魚介類のお刺身にオリーブオイルと和えてマリネにしたり、作り置きしておくとかな~り重宝します。薄切り玉ねぎを少し多めの塩でもみ、氷水に放してしばらくしてから絞ったものに白バルサミコ酢を和えてガラスの保存容器に入れておけば1週間ほど持ちます。夏場、ざく切りのトマトをこの玉ねぎで和えて出すと、チビろばたちは残った汁まで飲み干します。余ったご飯で出来るライスサラダも、ろばのウチでは定番でなんどもお店のご試食に出しています。

そして、一見上級者向きですが実は超簡単でものすご~く美味しくできるのが果物をこの白バルサミコ酢で和えたサラダ。いちじく、柿、りんご、夏みかんなど好みの果物をサラダに入れてみてください。あらかじめ果物をマリネしておくのがポイントです。はじめに果物を切って軽く塩をしてから白バルサミコ酢で和えておき、それをレタスやベビーリーフ、ルッコラなどのグリーンサラダにさっくり混ぜ込むのです。甘酸っぱい果物がアクセントになって、ルッコラやからし菜などほろ苦い葉野菜でもモリモリ食べれられる味になります。柿と春菊、りんごとほうれん草、いちじくとルッコラ、夏みかんとセロリなど、ろばのウチではすっかり定番化している組み合わせが沢山。果物と野菜だけだと味がつながらないところを、白バルサミコがどちらもうまく絡むようにまとめてくれるのです。イチジクなど、果物として食べるよりサラダで食べる方が美味しさが引き立つ気がします。

でも、この白バルサミコ酢はサラダやマリネだけが得意なのではないのです。意外や意外、炒め物にも大活躍。コクのあるマリネといった感じでしょうか。お酢の効果で冷めても油っこくならないしお肉も柔らかいままなのでお弁当などにも重宝します。この白バルサミコで試してみていただきたいサラダ以外のレシピが…

1、いろいろキノコのマリネ

しいたけ、えのき、エリンギ、マッシュルームなどお好みのきのこを全て食べやすい大きさに揃えて切り、潰したニンニクを入れたオリーブオイルを熱して強火で炒め、最後に塩、コショウで味を整えたら火を止め、白バルサミコをたっぷり回しかけ軽く混ぜる。お好みで赤唐辛子を少し加えても。酸味が足りない時にはレモンを少し絞って。

2、豚肉、玉ねぎのマリネ

豚バラ肉(薄切りもも肉、切り落としなどでも)は薄めにスライスして、オリーブオイルで炒める。塩をしてからスライスした玉ねぎを加え、1~2分炒めたら白バルサミコ酢をお好みで加え、さらに1分程度加熱し火を止める。

3、鶏肉のソテー(かじきマグロでも)
鶏もも肉(かじきの切り身)は軽く塩をしてオリーブオイルで皮目から焼く。両面こんがり焼き色をつけてから薄切り玉ねぎをフライパンのわきに加え、さらに白バルサミコ酢と刻んだケイパーを加えて軽く混ぜ、蓋をして蒸し焼きにする。お肉に火が通ったらバターをひとかけら加えてフライパンを揺すり、煮詰まったお酢をとろりとしたソース状にしてお肉にかけていただく。

どれもこれも、美味しそうじゃないですか?全ての画像が無くてごめんなさいね。普段作った時に撮りためておかなきゃダメですね。とにかく酸味がまろやかなのでたっぷり使ってもツンツンしません。

でも、まずはお野菜単品をざくざく切って、そこに美味しいお塩とこの白バルサミコ酢をかけてさっくり混ぜただけの超シンプルサラダから、ぜひお試しください。もちろん、レタスだけでも見違えるほど美味しく仕上がります。もうドレッシングなんて買う必要がなくなりますよ。お酢なので開封後も常温保存可能です。これこそ、一家に一本。東が『しこの露』なら、西はこの白バルサミコ、サンテ・ベルトーニのアグロドルチェにお任せです。

サンテ・ベルトーニのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)はコチラです。

 

出汁いらず。お助け調味料「しこの露」は無敵の旨味です。


『ろばの家の定番展』、はじまりました。同時開催『ろばの家の定番調味料』と題してろばのウチの食卓に欠かせない調味料や食材のご紹介もしております。ご試食を用意して実際にその味わいを試していただく、ただそれだけのことなのですが何が楽しいって、特集するにあたってさらに新しい定番レシピが生まれることなのです。毎日ご試食を用意していると普段食べているお決まりのメニューだけでは自分たちが物足りなくなり、つい新しい組み合わせを試してしまう。『豆まめしく』のお豆料理1000本ノックではないですが、今回も果敢に挑戦しております。ろばの家で扱う調味料の中ではルーキー的存在の魚醤ですが、まあ使うこと使うこと。便利この上ない。それでオープニングはこの魚醤を使ったお料理をいろいろお出ししていました。そのため定番展が始まる何週間か前からほとんど塩もお醤油も使っていないんじゃないか?というほど、味付けはこの「しこの露」一辺倒です。

しこの露とはなんじゃい?と聞かれれば、ラベルに書いてある通りカタクチイワシの魚醤なのです。原材料はカタクチイワシ、食塩、のみ。潔いです。

何を隠そう、何にも隠してないけどワタクシママろば、かなりの魚醤マニアなのです。なってしまったのです。魚醤愛用歴は10年程度とそれほど長くはないのでエラそうなことは言えませんが、とにかくあっちこっちの直売所、旅行先のお土産売り場などで知らない魚醤があればつい試してしまう。というのも、ろばの家がある茨城県つくば市には韓国料理の名店『白飯家』さんがあり、そこで販売していた自家製の魚醤があまりに美味しくてそればかり使っていたのです。とある時から販売されなくなってしまい途方に暮れてしまいました。それなくしてはできないレシピが沢山あったのです。ピーマン炒め、チジミのつけダレ、スンドゥブの下味つけ…。それからはもう魚醤難民と化してあちこちさまよい歩く日々が…。鮭の魚醤から、イカ、鮎、はたはた。さまざまな魚で作られたさまざまな地方の魚醤を高価なものも含めてあれこれ試しましたが、なかなか気に入るものに出会えず、また見つけたとしても高価すぎたりして気軽に使えるものがありませんでした。ナマ臭い、塩味が強すぎる、アクが強すぎ…。

そこへ救世主のように現れたのが『しこの露』だったのです。でかした~、パパろば!!去年の夏、男子3人で愛知に旅行に出かけて地元のスーパーで売られていたのをお土産に買ってきてくれたのです。安っぽい容器で全く高級感などないですが味は天下一品!そして安っぽいだけでなく本当に安い。最近気に入って使っていた鮎の魚醤が150mlで1000円近くしたので、これはもう快挙です。もちろん原材料の安さは大きいですが業務用1リットル1296円は国産品ではこれまで見たことのない価格帯でした。とにかくまろやかで塩も控え目、香りも穏やかです。1年半しっかり寝かせてある、と書いてあったのでそこがポイントなのでしょうか、やわらかいのです。ナンプラーやニョクマムは苦手、という人でもこれなら大丈夫なはず。魚醤と言うとついエスニックなお料理に使うイメージですが、どっこいこれがイタリアンや中華、カレーの下味つけにも最高なのです。魚介類はもちろんお肉と合わせてもコクが出るので、鶏でも豚でもしこの露をもみ込んでおくだけでなんとも複雑で深い味わいになります。鶏手羽の魚醤煮込みはろばのウチの定番でしたが、それをこのしこの露でやるともうわれながら「美味しすぎる!!」とうなってしまう出来に。

ただ、初めはぜひシンプルな炒め物に挑戦していただきたいです。皆さんに「絶対美味しいからぜひ試してみてください」とおススメしていたお料理があるのですが、翌日「あれ、すぐにやってみたんですけど家族にめちゃくちゃ好評で!!」とわざわざ伝えに戻って来てくださった方までいたのが…。

もやし炒め。

あ、お料理じゃない?すいません(汗)。でもこれは本当にこのしこの露の美味しさがストレートに伝わるメニューだと思います。にんにくを入れるとさらにお箸が進む味になりますが、しこの露だけで十分美味しい。お好みで仕上げに胡椒をパッパッと。こんなにシンプルで、こんなに手早くて、そしてこんなに安上がりで…4人で1kg袋くらいペロリと平らげてしまう美味しさですよ。

そう、手抜きなシンプルなお料理こそ、しこの露の旨味が効いてくれるのです。『ろばの家の定番調味料』のご試食で皆さんに出して好評だったメニューをご紹介してみましょう。どれもホントお料理、と呼べるほどのものでもないのですが…。というより、普段皆さんが作っている定番おかずのお塩やお醤油を、しこの露に変えてみてください、というだけの話です。すいません。

 

 


人気No.1メニュー:『冷や玄米の魚醤炒め』 …究極の貧乏シンプル具なしチャーハン。意外や意外、大好評でした!


材 料:冷やご飯(玄米がおすすめ)1合、オイル大匙2、しこの露大匙1.5~2、コショウ適宜

作り方:中華鍋をよく熱し、オイルを温め強火で一気に冷めたご飯を炒めます。パラリとなったらしこの露を回しかけ、ジャッジャッと味をなじませたら火を止め、お皿に盛ってコショウをふります。

*ご試食ではオイルは地あぶら、コショウはマリチャのネ・ビアンコ・ネ・ネーロを使用しています。はっきり言ってこの組み合わせは最強です(笑)。また、ご飯は玄米がよく合います。ただし圧力鍋などで炊いてもっちりした玄米ではなく普通に炊いたものの方が仕上がりが軽いです。

アレンジ:ご飯に生たまごをまぶしておいて同様に炒め、パラリとなったところで刻んだニラを加え軽く炒めあげるニラ玉チャーハンもおススメです。そのほか、何味のチャーハンでもしこの露を隠し味に使うだけでお店の味になります。


 

 


人気No.2メニュー:『ピーマンの魚醤炒め』 …こちらも沢山「美味しい!」をいただきました。

材 料:ピーマンひと袋、オイル大匙2、しこの露大匙1、
作り方 :1、 ピーマンは縦半分に切り、種をとって(新鮮なら種つきで)長さを半分か1/3くらいに切り水洗いする。
2、フライパンにオイルを熱し、水がついたままのピーマンを投げ入れ、ジャッジャと強火で炒める。途中焦げ付きそうになったら水を50ml程度足して水気がなくなるまで炒めお好みの柔らかさにする(足りなければもう一度水を足す)。
3、火を止める直前にしこの露を加え、汁気が飛ぶまで炒めあげる。

アレンジ1:ピーマンをしし唐、甘長唐辛子、ゴーヤなどに変えても美味しい。レタスもイケますよ。お好みで叩きつぶしたニンニクを最初に加えても。
アレンジ2:仕上がってすぐに黒すりゴマをたっぷりまぶすととても風味のよい胡麻和えができます。
アレンジ3:ピーマンをもやしに変えるのが、冒頭でおススメした最強のもやし炒め。もやしは一度50度の湯をくぐらせるとシャキッと仕上がります。水分は残ったまま炒めてO.K.


 


人気No.3メニュー:『魚醤だけ玉子焼き』 …なぜか”カニカマ”のような味になるのです。。。お弁当にも、海苔巻にも。


材   料:玉子3ケ、しこの露小さじ2、油適宜
作り方:卵を割りほぐし、しこの露を加えて油を引いたフライパンで玉子焼きを作る…だけ。

アレンジ:金糸卵を作る時もこの味付けで(冷やし中華や海苔巻の具に最高です)
アレンジ:お砂糖を加えた甘じょっぱい玉子焼きにする場合もしこの露とお砂糖で試してみてください。


 

ろばのウチの定番中の定番:『鶏の甘くない魚醤照り焼き』 焼き鳥屋さんの味になりますよ~。


材 料:鶏手羽元6本(手羽元なら8本)、しこの露大匙1~1.5、酒50ml、オイル適宜
作り方 :1、鶏肉は3時間以上しこの露をもみ込みビニール袋に入れてギュッと縛り、冷蔵庫で寝かせておきます。
2、厚手のお鍋にオイルを入れ、皮目を下に鶏肉を並べて中火にかけ、蓋をして両面を焼きつけます。
3、こんがり焼き色がついたらお酒を一気に入れ蓋をして蒸し煮にします。
4、鶏肉に火が通ったら蓋を取り、お肉を転がしながら肉汁をからめて飴色状に煮詰まるまで転がせば出来上がり。

*急ぐ場合はお肉にフォークで穴をあけ、味付けを濃いめにすれば15分程度もみ込んだだけでもできます。
アレンジ1:鶏もも肉、鶏ムネ肉でも同様にできます。
アレンジ2:豚バラ肉の厚切りも同様に美味しい照り焼きができます。それを炊きたてのご飯にキャベツの千切りをたっぷり載せた上からタレごとかけ、丼にするとかなりご飯を食べすぎてしまいます(笑)。
粗めに挽いた黒コショウをガリリとかけても、スッキリ味の朝倉山椒を振っても美味しいですよ。山椒バージョンはかなり大人の味になります。

 


番外編:これ以上手の抜きようがない『卵スープ』(画像なし)

材 料:玉子1ケ、水400cc、酒大匙2、しこの露大匙2~3、コショウ
作り方 :水に酒を入れて火にかけ、沸騰したまま3分ほどアルコールを飛ばす。弱火にしてグラグラしているところに溶き卵を筋状にゆっくり回しいれ、かき玉にする。仕上げにコショウを多めにふる。

これは絶対マリチャのネ・ビアンコ・ネ・ネーロを激押しします。さすがにお湯だけだと物足りないかな?と思っていたところに魚醤を濃いめに入れると「お、イケるじゃん?」となり、細かく挽いたコショウをたっぷり入れた瞬間「おお!!中華料理屋さんの卵スープだあ!」と感動してしまいました。

アレンジ1:ネギや刻み海苔、わかめを入れても美味しい。生姜の千切りを入れても。やまつ辻田さんの金炒りゴマをひねってふりかければもう何もいうことはありません。


 

 

いかがでしたか?これだけではないんですよ。サラダのドレッシングもとっても美味しくできるのです。レシピは次回のお楽しみに!そして、この魚醤は地あぶらだけでなく他にちょっとしたものをプラスしてあげるだけでかなり、さらにグレードアップします。そちらも次の特集で!

水産物加工業協同組合さんの『しこの露(大)』はコチラです。

ろばの家では少ない種類の調味料しか取り扱っていません。でもそれはすなわち自分たちが実際に使って心から納得のゆくものだけしか置いていないということなのです。つまり、考えてみたらろばの家にある食品全てが例外なく『定番』なのでした。
そんなおススメ調味料だけを集めたページを作りました。目をつぶってクリックしても、美味しいモノが届きますよ(笑)。
『ろばの家の定番調味料』のページはコチラです。

 

神々にささげるためのわら細工を、稲を育てるところから。ただただ平和を祈って。


このわら細工のお飾りは『祝結び』。ろばの家の窓に吊るしているだけなのですが多くの方からどういったお飾りなのか、どこの地方のものなのかなど尋ねられます。特に豪華な感じがするわけではなくシンプルで控え目な飾りなのですが、なぜかとても堂々とした印象で、見るものを晴れやかで明るい気持ちにしてくれます。

宮崎県西臼杵郡の高千穂地方、日之影にあるわら細工専門の工房『わら細工たくぼ』さんによるもの。手に取ってみていただくとよくわかるのですが、とてもとても丁寧なつくりで頑丈にしっかりと結わえられ、芯までみっちり詰まった藁の密度に驚きます。横からピョンピョン飛び出た短いわら屑などもなく、美しく整えられています。そして、青い藁の清々しい香り!こんな爽快な気持ちになるお飾りに、それまで出会ったことはありませんでした。毎年、年の暮れにお正月飾りを探していてあまり気に入ったものに出会えず、それでも無理矢理「まあこれならそれほど派手じゃないか」というものを妥協して間に合わせで買い、さほど感謝の念もなく飾っていたわたしとしては、こんなに美しく、見ているだけで清々しくなってくるようなお飾りに出会えたことはある種の衝撃でもありました。

たくぼさんは同じ高千穂で作陶する壷田和宏さんにご紹介いただき昨年からわら細工を置かせていただきました。『やっぱり、ごはん党』の時に初めてご紹介した鍋敷きのような生活道具はもともとは本業ではなく、主に神事に使われるわら飾りを専門に作っていた工房です。一年中飾っておくことのできる平和飾りや祝結びなどのお飾りはここ数年全国から注文が殺到し、何か月も前から予約しておかないと12月にお飾りを納品して頂くことができないのです。昨年ワタシがお願いしたのはもう10月近くだったので、ほんとうにわずかな数しかお願いすることができませんでした。11月以降は地元のしめ縄飾り作りに追われてしまうので、その前に集中して全国の注文分を制作してくださいます。え?それならもっと早くから作り始めればよいのではないか?いえいえ、今やっと、青刈りがはじまったばかりのところなのです。無農薬で安全、良質な藁を手に入れるために自分たちで稲から育て、わら細工専用に原料の藁を作る工房は、おそらく全国的にも相当珍しいのではないかと思います。

家業ではあっても兼業であったわらの仕事。サラリーマンの仕事をしながら地元の注連縄だけを冬の間制作してきたお父様の代から現当主の甲斐陽一郎さんが「この仕事を専業にする」と宣言し、高校教師を辞めてわら細工一本にかけてスタートを切ったのが5年前。今でこそ全国から注文が殺到し数量を制限しなければならないほどですが、専業でゆくこと自体不安ではじめは途方に暮れたと話していました。完全予約制でしか注文を受けないのは、どうやっても一日に作れる量に限界があること、ストックして置けないことが理由です。今年の1月に工房を訪ねた際、わらで縄を綯うところを見せてくださいました。縄を綯うことそのものよりも、藁をしごき、屑を払い仕上がりが美しく揃うよう整える作業に膨大な時間がかかるのだということを教えて頂きました。そして、質の良い藁を手に入れることの難しさも。
上の写真は祝酉。かわいらしい姿でとても人気があり、昨年すぐに完売してしまいその後も一番お問い合わせの多かった形です。昔から神使いといわれ大切にされてきた酉のモチーフは『とりこむ』ということで商売繁盛を連想させ、お店に飾る目的で求める方も多いのです。この酉のねじってある部分などを見ると、いかに美しくささくれができないよう丁寧に整えられているかがわかると思います。

こちらが当店で窓にかけている祝結び。家内安全を願う願掛け飾りでねじりの異なる左縄と右縄の2本の縄が「しっかり結びつく」様を表現しています。

何よりありがたいのは、ずっと飾って置いてよいということ。松の内で外してしまわなくてもよいだなんて!確かにこんなに手の込んだお飾り、何日かだけ飾ってあとは焼いてしまうだなんて勿体なさすぎです。地元でもお祝飾りは、厄除けや無病息災を祈って購入するもので、一年中飾っておける縁起物。それでもやはり、あまりに古くなり色褪せたものを取り替えようという時には新年を機に新調するご家庭も多いとのことでした。考え方も取扱い方もとても自由で、特にルールはないとのこと。表裏があるくらいです。自分の家の、好きなところに飾ればよい。甲斐さんに聞くと「縁起ものですから、その人が気持ち良ければ何でもいいんです」と。ちょっと安心しますよね。一応地元では、下の写真の七五三飾り(七五三でしめなわと読むのだそうです)がお正月用とされていて、玄関や窓、神棚などに飾るのが一般的ということなので、お正月専用に、という方は七五三飾りをお求めになるとよいかもしれません。

これがその、高千穂伝統のしめ縄の形で七五三飾りと呼ばれる飾りです。『天神7代地神5代日向3代』下がった房の数が神様を表します。しめ縄は漢字表記で「七五三縄」とも書き、しめ縄の源流を汲むしめ縄です。これは非常にシンプルな形状なので、ここに葉付きの橙や松の枝などさらに縁起のよい小物をプラスしてもよいですし、家のどちらの方角につけなければ、というようなルールもないということです。

高千穂は古事記・日本書紀に記される天岩戸神話を伝える神社などがあるなど日本神話発祥の地として「神々の里」と呼ばれる地域です。和宏さんが「この地方では常に神が宿っているとして、一般の家庭でも一年中注連縄を飾る風習がある」と教えてくださいました。例えば失くしものをしたり病気の人が出ると郡司さんに相談に行くなど、神事が根強く町の人々の暮らしに浸透しているというのです。和宏さん一家も移住組なので、はじめはとても新鮮なことにうつったようです。でも、ご自宅にはやはりたくぼさんのしめ縄が飾ってありました。1月に工房を訪ねた際連れて行ってくれたどのお店にもしめ縄が飾ってあり、とても不思議な気持ちで見てきました。でも、そのような話を聞く前から高千穂にいるだけで自然と気持ちが清々しくなってきて、町全体にポジティブな空気が流れているのを全身で感じました。自分には高千穂の空気自体が肌に合っているのかも、と後になって和宏さんに話したら、やはり彼らも移住先を探して日本各地を渡り歩いていた頃同じ気持ちで高千穂を選んだのだと話してくださいました。

どの注連縄も、とても丁寧につくられていますので自然と手に取る時に丁寧な所作になります。こんな風に自然とわき出てくる畏怖の念や神聖な心持ちというのは、実は今の世の中にもっとも不足しているものではないか、とふと思ってしまいました。

毎日、何事もなく平和に暮らしている。その奇跡のような事実に感謝する機会が、なかなかないのです。それこそ、突然の事故や病気に見舞われるまで意識することがありません。わたしは無神論者ではありませんが、いわゆる宗教のようなものにはあまり接点を持たないで生きてきました。それでも、ある程度歳をとってくると年老いてゆく親や、子どもたちの健康や、いろいろなことが非常にリアルな重みを持って自分の身にふりかかってくるのを感じられるようになってきます。

仕事や家事、子育てに追われて日々バタバタと暮らしているとその日その日をやり過ごすことで精いっぱいになってしまい、今こうして家族無事に暮らしていられることそのものに感謝することを、つい忘れてしまいます。個人的にはその感謝すべき対象が、世に言うところの「神」という存在なんだろうなと実感できるようになりました。だかこそ、穏やかに迎えたいお正月には自分の周りを神聖な空気で清めることも大切なのだ、と。そう思えるくらいには歳を重ねてきたということでしょう。

毎日じゃなくてもいい。気が付いた時だけでもいい。神々への感謝の気持ちを忘れないよう、日々若々しく(?)健康に暮らせるよう祈ってみよう。心の中で祈るというシンプルな行為にさえ時間が割けなくなってしまっていたとしたらそれは「少し立ち止まってみた方がいいよ」という警告かもしれません。結飾りにふと目をやってその警告に耳を傾けられたとき「ああ、ありがたい」と自然に感じられている自分に気が付きます。きっと、飾りというものはそのためにあるのです。

どうか明日も、平和な一日でありますように。願わくば、世界も平和に近づいてくれますように。

太陽・月・地球、3つの輪がつながる平和を願う飾り物『平和むすび』。

実った稲を根からそのまま使った生命力あふれるしめ縄。「根付く」・「実る」意味深い飾り物『根つき穂つき』

当店でも今年度分のご予約を開始いたしました。
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