お豆の知られざる秘密がザクザクと。楽しすぎるお豆ワークショップ。

4月7日の日曜日は、べにや長谷川商店代表の長谷川清美さんを講師にお迎えして、お豆料理のワークショップを行いました。昨年の3月に行った『豆まめしく』以来少しずつお豆料理に挑戦してくださるお客さまが増え、何種類かのお豆は何度もリピートしていただけるなど浸透してきた感触があることもあり、清美さんには「あまりにも初心者向けの内容ではなく、お豆料理の基本は押さえている方も楽しめる内容にしたい」とお願いしてありました。

長谷川清美さんは北海道・遠軽町の乾物商に生まれました。販路開拓のために横浜に2001年に設立した”べにやビス”の代表を務めるかたわら、農家で種を摂り継いで自家用に栽培されてきた在来種のお豆、いわゆる”地豆”の普及のため、講演や料理教室・セミナーなど全国を飛び回っています。また世界各国の豆料理の現状・文化を取材するためアマゾンの奥地まででも乗りこんでゆくパワフルな姿が数々のメディアで取り上げられています(その様子は、これまた沢山収録された『豆料理海外編』でも読むことができます)。それ以来、訪ねた国はなんと60ヶ国以上。横浜にあるべにやビスにおいて頻繁に報告会を開いています。2009年に発売されて以来お豆料理のバイブルとして判を重ねている『豆料理』、『べにや長谷川商店の豆図鑑』『日本の豆ハンドブック』など著書多数。最新作は4月15日発売予定の『「バーミキュラ」で豆料理』。

わたくしママろばが日本のお豆料理にハマってしまったのは、その、べにや長谷川商店の『豆料理』に載っていたシンプルなレシピでした。茹でて青のりをかけるだけ、という青大豆や浸し豆など、読んだ時は目からウロコの簡単さ、今ではろばのウチの定番になってしてしまったメニューが沢山載っています。著者である清美さんはずっとずっと会ってみたかった憧れの存在。まさかろばの家に清美さんがやってきて一緒にワークショップを開催させてもらえるだなんて、夢にも思いませんでした。でも、そんな風に待ち焦がれていたのは、わたしだけではなかったのです。お豆料理が好きで、お豆を日常的に調理していたIさんは、べにやさんのお豆がどれもこれも味が濃いのにびっくり!以来、お店に立ち寄る度に毎回2~3種類のお豆を買ってくださるように。今回のワークショップへは、真っ先にお申込みいただきました。ワタシたちの友人でもあるHさんは20年以上前に働いていた自然食品のお店でべにやさんのお豆を扱っており、その時からずっとずっと会いたいと思いながらもなぜかいつも絶妙にタイミングが合わずにその思いが果たせずにいたとか。まあとにかく、皆さん、とにかく清美さんに実際に会い、直接お話を聞くのを楽しみにしていたのです。

その日の講座は「蒸し豆の展開料理」がテーマでした。圧力鍋で蒸した青大豆でハンバーグと、青えんどうと赤えんどうを使ってハーブマリネを作りました。もう、この、圧力鍋で蒸した青大豆をそのまま味見した時点で、皆さんびっくり仰天してしまったのです。あまりにも、あまりにも甘い!茹でたての大豆というのは相当美味しいものですが、そんなレベルをはるかに超えて「これが本当に大豆なの?」というほど味が違うのです(下の画像は蒸す前の戻した青大豆と、蒸して成形前のハンバーグ種。ねっとりとした感じ、伝わるでしょうか?)。



乾物のお豆から戻して茹でたお豆の美味しさをお伝えしたくて昨年お豆の1000本ノックと呼んでご試食調理に励んだ『豆まめしく』でしたが、このレベルまではたどり着けませんでした。ただただ、あんな小さな豆粒の内部に、こんなにも濃厚な味わいが閉じ込められていたのかと、種子という存在であるお豆のチカラにひれ伏すしかありません。お豆のスープを作る際にいつもお豆出汁の美味しさに驚いていたのですが、お出汁が美味しいということはイコール、お豆から旨味も流れ出ているということに他なりません。お豆の味が抜けてしまわないよう、お出汁を使うお料理の茹で加減には気を使う必要があります。そして煮汁を使わないお料理には、茹でたお豆を使うのはもったいないということです。これまで茹でてしまうと色が落ちてしまうから、色を残したい時には蒸した方がよいと加熱法を使いわけてきたのですが、今後はもっと上手に使い分けられそうです。

種といえば!清美さんはお料理を作りながらお豆にまつわる様々なエピソードを披露してくださるのすが、その日飛び出したなかにはこんな面白いお話もありましたよ。お豆の煮えムラについてのお話です。乾物からお豆を煮た経験のある人ならわかると思うのですが、しっかり浸水して完全に戻し、十分に煮てもなお硬いまま残ってしまうお豆というのがあります。それは、ヒネ豆と呼ばれたりしてひょいとはじかれてしまうのですが、古くなったことが原因ではないというのです。そのお豆は、休眠しているだけなのだと。それが証拠に、空き缶などに入れて振ってあげると目を覚まし、煮えやすくなることもあるというのです。なんと!お豆が眠るとは…。しかも、ショックを与えてあげると覚醒するとは!

「でもそれは、植物として決して悪いことではないのです。全員が揃って目を覚まし、一斉に発芽してしまうとその年に気候などでよくない条件が揃えば、全滅してしまうかもしれないでしょう?」。ハッとしました。…そうか。当たり前のことだけど、食べるお豆も、種子だったんだ。休眠して芽を出さない種子があることで、絶滅のリスクを回避できる、発芽のムラは種の保存のために自らの遺伝子に組み込まれている大切な性質だったんですね。人間側の勝手な都合でよくない性質と解釈しているだけで、決してヒネてるわけでも不良なわけでもないんです。そうしてみると、いつまでも煮えない頑固者みたいな硬いお豆が、なんともいじらしく思えてきます(笑)。…がんばれ!種!

これまで知らなかったお豆の興味深いお話が次から次へと飛び出していました。ワタシは調理の補助でカウンターを挟んで反対側にいたので全てを聞き取ることができず、とっても悔しい思いをしました。調理のデモンストレーションを進めながらも、細かにお豆の特性や調理のコツを教えてくださるので、メモを取るのに忙しいやら、でも思わず聞き入って笑ってしまうやら、そうしているうちにママろばから調理の補助を押し付けられたり…。参加者にとってはなかなかに忙しいワークショップとなってしまいました。写真は、青大豆のハンバーグ。蒸したお豆のペーストが誇張抜きにサツマイモのペーストかと思うほど甘くこってりとしたコクがあり、このままコロッケにしたらクリームコロッケになりそうな味わいでした。とっても満足感がある食べごたえなのに、やはりそこが植物性たるゆえんか、食後感は軽いのです。

*画像のお料理は実際にワークショップで作ったお料理と異なります。

身体によいからでも、作物として優れていて持続可能な農業を支えることになるからでもなく、まず、こんなにも「お豆は美味しいものなんだ」ということを知っていただきたい。特に、在来種のお豆、品種改良されず、農家が種を継いで伝えてきた個性豊かな味わいを持つ地豆の存在を知っていただき、お豆本来の味わいを伝えたい。昨年にも増して、お豆熱が高まってしまいました。冒頭の写真。一番下の列に並んでいるお豆は、全て大豆です。左から、ミックス大豆、黒千石大豆、紅大豆、青大豆、茶豆、間作大豆、黒豆、大豆…。そのどれもが、違った味わいを持ち、違った食感、特性を持っています。そして本当に、それぞれがそれぞれに美味しい。当然適したお料理だって、合うお野菜だって、違ってきます。

今回、初めてつくばの地でワークショップを行うにあたり、清美さんのご厚意で普段は少量すぎて袋詰めしてもらえない希少な品種のお豆や、お豆の加工品、お茶なども届けていただきました。当店で扱ったことがないだけでなく、見たことも聞いたこともないお豆も沢山あります。市場にはまず出回らないであろう珍しい品種もあります。でも希少品種を喜んでくださるのは、よっぽどお豆料理が好きな方ばかりで、実は一般には名前がよく知られた普通の大豆や黒豆のほうがよく売れるのだそうです。消費されなければ、生産する人がどんどん減っていってしまいます。だからぜひ、試したことのないお豆を進んで選んでみて下さい。必死に次の世代を生き抜こうと眠ったフリをしている子もいるかもしれませんが、揺り起こしてあげてくださいね。そうしてあなたも豆上手になって、周りの人にお豆の本当の美味しさを伝えて欲しいのです。一人でも多くの人に。

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