火傷するほど熱い郷土愛。アリアンナ・オッキピンティのシチリア食材。

DSC_5210この眼差し!下の写真を見てください。30歳で出版した自伝的エッセイの表紙写真です。どこまでも頑固で気が強く、情熱的。ミラノの醸造学校に通いながら生まれ故郷のシチリアはヴィットリアでワインを造り始めた当時は弱冠22歳。瞬く間にワイン界のアイドルとなったアリアンナ・オッキピンティさん。映画にまで出演し、先述の「Natural Women 」という自伝のサブタイトルは「La mia Sicilia, il mio vino, la mia passione(わたしのシチリア、わたしのワイン、わたしのパッション)」です。Arianna Occhipintiで画像を検索していただくと、さながらモデルか女優の様なショットがずらりと並びます。インスタではワインのボトルよりも彼女を撮影した投稿の方が多いかも、というくらい。学生かなという可愛らしい男の子が「憧れの、超有名生産者アリアンナさんとツーショット!」なんてコメントを入れてたりして、ファンの熱狂ぶりがうかがえます。アリアンナは、現在34歳。実はママろばシチリア滞在時代からの旧友でもあるのです。ずっと年下なのに私を妹のように扱っていた生意気ぶりも懐かしいものです。 arianna ワイン界のシンデレラガールと紹介されてしまうことの多いアリアンナの、生産者としての華々しくも苦難に満ちたストーリーは輸入元のヴィナイオータさんのHPの記事をご覧いただくとして(実はこの記事もママろばが書かせていただいております。オータ社長から”おばちゃん”と呼ばれちゃってるひとがワタクシママろばです…ははは)、ろばの家ではワインはご紹介できないので、アリアンナがプロデュースする食品の方をご紹介させていただきます。 まあ、アリアンナの激しいシチリア愛は当時からハンパなく…といってもシチリア生まれのシチリア人であれば限りなく100%に近い人がこの歴史に弄ばれた美しい島をこよなく愛しているわけですが(本気でシチリア独立を望む人が相当数いますからね…)、それにしても彼女の惚れ込み方はすごいのです。うかつにシチリアを悪く言おうものなら…ほんと、怖いんです。そして特に、食べ物に関しては宮廷料理人としても活躍したという祖母やそのレシピを受け継いだ母親の影響もあり、若いうちから郷土料理や古典料理の知識も相当に持っていました。リストランテのシェフさえ作り方を知らないような古典的なドルチェを、お母さん直伝のレシピで手づくりしたものをごちそうしてくれたこともありました。 当然アリアンナ本人も相当の食いしん坊で、ささっと作るパスタやサラダでさえもビックリするほどセンスがよく、彼女のワイナリーを訪ねた時にはリストランテに連れて行ってもらうよりも彼女のキッチンでごちそうになった方が刺激的で嬉しかったほど。とってもお料理上手なのです。彼女の食に対する貪欲さも、先の記事に載っていますので読んでみてください。 さて、そんなアリアンナがプロデュースする秀逸なシチリア特産の食材。前回入荷時にはほどなく完売してしまった古代小麦のパスタや、極限まで塩を押さえた野生のケイパーの塩漬け、そして、今回日本初輸入の柑橘のジャム3種が入荷してきました。 この古代小麦のパスタ、当店で以前から扱っているイル・カザーレともまた違った食感ですのでぜひ試してみてください。こんなにも滋味深く、小麦の味わいが強いのに滑らかで食後感が軽く、ソースもさほど選びません。たとえるなら、カザーレは十割蕎麦、アリアンナは二八蕎麦、といった感じでしょうか。どちらもとても美味しいのですが、アリアンナが使うトゥミリアと呼ばれるこの古代小麦は、今イタリアでもとても注目されている品種です。その栄養価の高さ、グルテン含有量の低さから小麦アレルギーの救世主として話題にもなっているようです。当然アリアンナは純粋に食味の面からこの小麦に惚れ込んでいるはずですが、トゥミリアは現在では希少品種。シチリアのトラーパニ州、カステルベトラーノの黒パンが有名で、そのお蔭て種が残っているとも言われている古代小麦です。その小麦を100%使って伝統的な石臼で挽き、信頼するパスタ工房に頼んで成形してもらったもので、ペンネとフジッリ、大きなマカロニのようなパッケリの3種。本当にバランスがよくてどれも飽きのこない味です。 773eb520cda3ad18576f シチリア料理には欠かせないケイパーも、彼女が惚れ込んだものはとことん個性的です。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がまったく見当たりませんよね?当然要冷蔵、賞味期限も一般の塩漬けケイパーよりは短くなってしまいますが、その欠点をカバーしてなお余る美点がありますよ。塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。しかも、モンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生種。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオの、岩原で自生しているものを摘んで使っているあたり、さすがアリアンナという感じです。パッケージの写真を見て頂けると、葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっているのがわかると思います。これも一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい…けどベリーの方はたまにしか入ってないんですよね~。つい見つけると料理に入れずポリポリ味見してしまいます(笑)。 DSC_5359 最後は、日本初入荷の柑橘ジャム!もう、シチリアの柑橘の味の強さにはほとほと参ってしまいます。実はママろば、シチリア滞在時代は相当ジャムづくりにハマリ、ただでもらえるのをよいことにアンズを80kg仕込んだり、悪夢のように硬い花梨の種を3日3晩かけて取除いてジャムにしたり、と多少本格的にジャムを作っていた経験もあり、自称ジャムマニアなんです。知らないジャムがあれば片っ端から試したりもしていました。そして、ジャム造りの大先輩でこれまたワイン生産者のラ・ビアンカーラのアンジョリーノの奥様、ローザマリアさん(彼女のジャムも恐ろしく美味しい)のところに知らないジャムを持ち込んではジャム談義に花を咲かせていたのですが、二人で出した結論は、きび砂糖で果実の風味を残すのはかなり難しい、というものでした。ところがアリアンナ、この3種の柑橘を全て精製されていないきび砂糖100%で作っています。味見してみましたが全然柑橘の風味を損ねていないんです。驚きました。でも、シチリアの柑橘、だからこそできることなのかもしれません。イタリアで初めて知った、柑橘を丸ごとすりつぶしたタイプのマーマレード。アリアンナのマーマレードもこのタイプです。きび砂糖にも負けない果実の風味。それぞれにテクスチャーの個性や苦みの程度も違うので、個別の説明を参考にしてくださいね。 使用した柑橘は、2013年に購入したブドウ畑についていた0.5haほどの柑橘畑のもの。当然畑では一切の農薬を使用せず、完熟で収穫します。彼女が現在セラーとして使っている古い醸造施設にもアラブ式庭園が残されていて、そこでも柑橘が沢山植えられていました。シチリア西部に多くみられるこの庭園、方形で四方を人の背より高い石の壁で囲われています。海が近くシロッコなどの影響も大きい海岸部に多く残っており、おそらくは果樹を強い熱風から守るために作られたものだったのでしょう。ジャルディーノ・アラボ。アラブ文化の影響を強く受けたシチリアならではのエキゾチックな風景。朽ちかけたそれらの古い建物を修復・保存し、活用するのも彼女のシチリア愛の一部。ワイン生産者になると決めた14歳の時から、ただワインメーカーになるというだけでなく「シチリアで自分のワインを造るのだ」と誓っていたのです。それほどまでに愛するシチリア。彼女にとって、愛するシチリアの食文化を世界に紹介することは、ビジネスではなくパッションなのです。 最近は、日本からインスタで#ariannaocchipintiとタグ付けする方も多いのですね。彼女のワインを日本で飲んでいる投稿をよく目にします。彼女の食品を食べて、インスタに投稿されるのでしたらぜひとも#ariannaocchipintiだけでなく#vivasicilia(=シチリア万歳!)とハッシュタグしてみてください。きっと、喜んでくれると思いますよ。 アリアンナ渾身のシチリア食材のページはコチラです。

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