お豆料理のバイブル。美味しくてヘルシーでその上簡単。365日地豆の料理を発信し続ける伊藤美由紀さん。

地豆は、絶滅危惧食品なんです。もうあと数年でなくなってしまうかもしれない品種もあります。

…そう警告を発するのは、札幌を拠点にコピーライターとして活動する伊藤美由紀さん。この『地豆の料理~食卓に並べやすい日本の在来豆アイデアレシピ100~』というレシピブックの著者です。プロフィールには「豆の大産地である北海道在住。豆と豆料理の愛好家。北海道遠軽町の雑穀商「べにや長谷川商店」との出会いから在来豆の魅力に開眼。以来、作ってきた豆料理の数は500以上。家庭菜園では在来豆を育て成長過程を愛でる、食べる、加工するを実践。豆のある暮らしを楽しんでいる。豆の魅力を伝えたいと願う豆の写真家でもある。」とあります。

2016年の国際豆年に合わせて出版されたというこの美しい本。実は全くの偶然からつくば市の図書館で、豆レシピを探していて発見しました。まずはその写真の美しさに目を奪われました。でもレシピに出てくるのは聞いたことのあるお豆ばかり。これって、べにや長谷川商店さんのお豆を使っているのでは?案の定、本の最後に「在来種の豆を買えるお店」という欄があってべにや長谷川商店の名前がある。そしてその後に続くのは…村上農場さん!!やだあ。もしかして、村上さんのお知り合いかも?北海道の上士幌で、とびっきり美味しいジャガイモを作る農家さんです。スーパーで売られているジャガイモと同じ名前で呼んで良いものか?と戸惑うほど味わいが傑出したおイモやとうもろこし、お豆をつくる村上農場さん。実はママろば、ワインの仕事時代にお世話になった方なのです。早速連絡してみると…やはり伊藤さんとは古くからのお知り合いでした。

せっかく地豆の企画をするならとご紹介をお願いして2018年にはじめて『豆まめしく』と題し豆料理をテーマにしたうつわとお料理の企画展で書籍を販売させていただく運びとなったのです。そして信じられないご縁というか「滅多に東京出張なんて入らないんだけど、急に決まったからこれはつくばに行けということだな、と思って」と伊藤さん。なんと企画展がはじまる1週間前にろばの家に遊びに来てくださいました。「本の中の写真は8割方自分で撮ったかな~。ほら、料理している手元とかはさすがに自分じゃ撮れないからプロにお願いしました」伊藤さんからきいてびっくり。これ、趣味のレベルじゃないでしょう…。べにやさんから出ているポストカードのお豆写真も伊藤さんの作品。展示会場にもディスプレイしていましたが、宝石のように色とりどりで美しい地豆たちへの愛がダイレクトに伝わってきます。

伊藤さんの本に出てくるお豆レシピは、これまで信じていた手順と微妙に違うものもあります。え?戻したお豆を素茹でせずに直接お肉と煮込んじゃっていいの?いんげん豆も水に浸さず調理できるの?何だか目からウロコのレシピが次から次へと飛び出してきます。そして素材の組み合わせ!絶対に自分では思いつかなかったような意外な取り合わせ…でも美味しそう!やってみたい!見るとレシピの行数がどれもこれも少ない。恐ろしく簡単そうで、これなら自分にもできそうです。それでいて、メインのおかずになるような立派なレシピが沢山載っています。

「在来種である地豆は、改良種と違って育てるのに本当に手がかかるから、農家の人はどんどん作るのをやめてしまう。特に高齢者が多いので、長くツルを伸ばして高いところで棹に結ばなければならい地豆を育てるのはキツイ作業なんです。手を挙げっぱなして血が下がり、麻痺してしまうこともあるんですよ。」伊藤さんは、わたしたちが地豆を消費しないと本当にもうあと数年で栽培が途絶えてしまい、この世から姿を消してしまう品種があるのだと教えてくださいました。「だからいかに手間を省いて簡単に、かつ美味しく作れるか。そこに最も注力しました。」わたしが伊藤さんが紹介しているレシピは例えば郷土料理などの伝統的な手法なのかと質問したとき、そう答えました。あれこれ試行錯誤して編みだされたレシピなのです。

伊藤さんはもともと個人的にお豆が好きでよく調理していたのに地豆の存在は知らないでいたところ、新聞で長谷川清美さんの記事を見つけて興味を持ち、早速知らない名前のお豆を3㎏ずつ10種類ほど取り寄せてみたのだそう。「箱を開けた時、まずそのビジュアルにやられました」こんなにも美しく、こんなにも色々な形、色のお豆があるなんて…」でも一番驚いたのは味の違いです。どれもこれもこれまで調理していたお豆より味が濃い!びっくりしました。でも、30㎏って結構消費するのが大変でしょう?世界中のお豆レシピを片っ端から試してブログにアップしていたところ、とある編集者の目に止まり声をかけられて…というのがこの本出版のきっかけだったのだそう。

はじめはべにやさんのお豆を調理しては「こんなの作りましたよ~」と写真付きでレシピを送ってあげたりする程度だったのがポストカードに採用され、さらには書籍出版の運びとなり…。なるほど、べにや長谷川商店の『豆料理』の裏表紙には、レシピ協力:伊藤美由紀とちゃんと書いてありました。

伊藤さんはgreenshellbeanというネームでインスタにも地豆料理を投稿されていて、毎日美味しそうなお豆料理えおアップされていますので、ぜひフォローしてみてください。お料理のセンスだけでなくスタイリングのすばらしさにも参ってしまいます。あれ?このうつわ…加地学さん?と思ったらやはり!#加地学 うつわ とあります。兄貴~~~!!ひとしきり伊藤さんと「カッコイイよね~~~。本人もカッコイイけど、生き方がね~~~!」と盛り上がりました。いえいえ、美由紀さん。美由紀さんの地豆にかけた人生も、相当にカッコいいですよ。

ママろば、伊藤さんにお会いした直後から企画展に向けてお豆料理1000本ノック。会うなり質問攻めにしてお豆料理のアドバイスをいただいたものでした。それから3年、わたしだけでなくパパろばも最近では毎日のようにお豆を戻してお店で試食に出したり、だいぶんお豆キャリアがついてきましたよ。皆さんもぜひこの本をきっかけに、地豆の楽しさに気付いていただければこれほど嬉しいことはありません。

おりしも、ママろばは目下高血圧の治療のため「玄米菜食」を勧められ極力お肉や動物性油脂を避け、お豆や海藻類をメインの食事を主体にするよう指導され食生活を見直している最中。お豆料理は健康なだけでなく、一週間にたった一食でもお肉の代わりにお豆を取り入れるだけで世界中のさまざまな問題(家畜の飼料、そこから派生するエネルギー消費などなど)を解決できる助けとなるという試算があちこちの研究機関から発表されています。

そう、冗談ではなくお豆は世界を救うのです。まずは自分自身の健康のため。家族のため、世界のため。美味しく楽しく美しいお豆料理、始めてみませんか?
*この記事は2018年3月にOnline ShopのNewsページに掲載された記事を今回の書籍再入荷に合わせてリライトしたものです。

 

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