『おやつの時間』の登場人物紹介#4 加藤仁志さん

katosan
ミッドナイトブルー。加藤さんのルリ釉のうつわを見ると、いつもその秘めごとじみた響きを持つ色の名前が浮かびます。真夜中の青。深い海の底や宇宙を連想させる、漢字だと青ではなくて碧、という字が使いたくなります。
このハッとするような鮮やかな色は、けれど、太陽の光が差し込んだ時だけに見せてくれる特別な色。電灯の光ではダメなのです。黒い土にコバルト釉という真っ青な薬をかけることでこの独特な色を出しているのだそうです。はじめて加藤さんのルリ釉のうつわを見たのは17cmくらいのプレートで、パッと見黒いお皿だと思っていました。でもそれが実は黒ではなく、とても深い紺色なのだと気がついた瞬間にもうすっかりやられていました。何の変哲もないオーソドックスなデザインに、でも色はちょっと他にないよというような組み合わせがまたそそります。たぶん形がシンプルだからこそなおのこと、意外性のある色が引き立つのでしょうね。とても丁寧な作りで加藤さんのお皿や鉢はどれもラインが美しく、形も引き締まって見えるのは黒に近い色のせいだけではないということは清潔感あふれる青白磁の作品を見てもわかるのですが、それでもこの特別な色を話題にしないわけにはいきませんでした。

丁寧なのは仕事だけでなく、出荷前にすべての作品に目止め(うつわのヒビ、貫入に色が入りシミになるのをふせぐために米ぬかを入れた湯に入れわかす処理)を施しておいてくれることや、念に念を入れ整然と並べられた梱包、お電話するたび恐縮してしまう謙虚な対応。どれをとっても「ていねいで実直な人」という印象を強めてゆく事実ばかり。今年の夏初めて工房を訪ねた際に現れた加藤さんが、まさにその印象通りのお顔で嬉しいというより安心に近い気持ちを抱いたものです。一緒に働く奥様に対しても、工房で走り回るお子さんにかける言葉も、なんてやわらかでゆったりしているんだろう。。。ついわが身を反省してしまうママろばでしたが、愛用のカップに対する回答があまりに加藤さん的で、らしいなあ…と苦笑してしまいました。

愛用のカップを見せてください。
2015.10.15 日常使いのマグカップ 009

「今、毎日使っておりますマグカップの写真を送らせていただきました。自作の粉引のマグカップになります。ここ5年ぐらいの間で1番多く制作しているモノです。粉引には、山で手掘りした原土を使って制作しています。そのため土の性質が少しづつ変わることもありますので、使い心地などを確かめるため自作の器を使うことが多いです。」

原土をご自分で掘り出して作品をつくる加藤さん。なぜ採土からはじめるのですか?という質問に「もちろん自分がほしい土味などを得るためでもありますが、掘ってきた土を乾かし、木づちで細かく砕き、ふるいにかけ、再び水を加えて使える土とする。この作業をすることで、土をあつかう仕事の原点を思い出させてくれる気がするので、これは続けていきたいと思っています。」と答えてくださいました。やはり、ていねいに土と向かい合っているのですね。加藤さん、追加の納品もありがとうございました!

 

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